我が国は、水産資源の適切な保存及び管理に資するため、水産資源に関する調査及び研究その他必要な施策を講ずることになっています(水産基本法第十五条)。我が国は、国際的に資源評価及び管理がされている漁業資源について、高い精度のデータを過去から蓄積してきており、国際的な資源調査や資源管理において、引き続き、積極的なリーダーシップを発揮していく必要があります。
国際漁業資源をめぐる最近の情勢についていくつかご紹介します。太平洋クロマグロでは、資源管理の強化により、資源状態が歴史的な低水準からゆっくりと回復しつつあることが示されており、これまで、将来予測も含めて資源動向を正確に把握するための取組に積極的に取り組んできました。この結果、2021年の中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)年次会合において大型魚の漁獲枠の15%増が合意されました。中西部太平洋のカツオについては、日本近海への来遊量の水準が低下していることが懸念されていることから、資源評価に加えて、熱帯から日本近海に至る資源構造や回遊経路の詳細な把握が重要となっています。このほか、2015年に発足した北太平洋漁業委員会(NPFC)で資源評価、管理が議論されているサンマは、我が国の漁獲量の減少傾向が続いており、資源量の減少や公海域における大量漁獲の資源への悪影響が懸念されています。2021年に開催された第6回NPFC年次会合では、2021年及び2022年のサンマ分布域全体の総漁獲可能量を33万3,750トン(2020年措置は55万6,250トン)とすること、NPFC条約水域(公海)へのTACを19万8千トン(2020年措置は33万トン)とすることが合意されました。今後の漁獲可能量の見直しに向け、引き続き資源調査・評価の充実が求められています。また、サケ・マス類については、我が国沿岸への来遊数が減少しており、その要因の解明が課題となっています。
このような情勢の中、我が国は、引き続き、資源の評価及び変動要因の解明のための調査を推進し、科学的知見に基づく適切な資源管理措置の導入及び遵守を主導していくことが求められています。水産庁では、国立研究開発法人水産研究・教育機構、道県試験研究機関、大学、漁業者団体等の協力を得ながら、高度回遊性魚類のカツオ・マグロ類、カジキ類、サンマ、サメ類、溯河性魚類のサケ・マス類、公海域の外洋底魚類・イカ類などの国際漁業資源調査(水産資源調査・評価推進事業(平成30年度までは国際水産資源調査・評価推進事業))を実施しているところです。資源調査にご協力をいただいている多くの方々に謝意を表するとともに、本事業の成果が国際漁業資源の持続的な利用、我が国の漁業及び関連産業の維持、発展に貢献できるよう、今後も効率的な事業実施に努めて参ります。
本ホームページでは、水産資源調査・評価推進事業(一部他事業を含む)において実施した資源調査及び評価の結果に基づき、主要な魚種の資源状態や資源管理方策についてとりまとめたものを掲載しています(特に断りのない限り令和5年1月1日時点の情報)。国際漁業資源の現況についてご理解いただく一助になれば幸いです。なお、本ホームページの記載内容やデータ等を引用される際には、水産庁漁場資源課国際資源班または国立研究開発法人水産研究・教育機構にご連絡いただくとともに、出典を明記されるようお願いします。
水産庁・漁場資源課
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