--- 要約版 ---

76 サンマ 北太平洋

Pacific Saury, Cololabis saira


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図4

サンマの分布域(索餌場と産卵・生育場)と日本漁船及び公海における外国漁船の主漁場位置


図5

サンマの日齢と体長(左)、日齢と体重(右)の関係式

Gompertzの成長曲線にあてはめて推定した。


図1

北太平洋におけるサンマの漁獲量


図6

2019年のNPFCにおける資源評価結果

B ratio(各年資源量BBMSYに対する比:左)とF ratio(各年漁獲割合FのFMSYに対する比:右)の時系列。


図7

日本の資源量直接推定調査(表層トロール)による海区別サンマの分布量

本調査を実施した2003年以降の結果。


図10

1994年以降のサンマの標準化CPUEの推移

サンマ(北太平洋)の資源の現況(要約表)

資源水準 中位
資源動向 減少
世界の漁獲量
(最近5年間)
26.3万〜63.0万トン
最近(2018)年:43.9万トン
平均:41.0万トン(2014〜2018年)
我が国の漁獲量
(近年5年間)
8.4万〜22.8万トン
最近(2018)年:12.9万トン
平均:13.4万トン(2014〜2018年)
管理目標 検討中。ただし、北太平洋漁業資源保存条約第3条では、MSYを実現することができる水準の維持、と記載。
資源評価の方法 ベイズ型状態空間プロダクションモデル(BSSPM)
資源の状態 資源量は2000年代中頃以降減少。近年の資源量(2016〜2018年の平均)はMSY水準を下回っている。1980年以降、漁獲割合はMSY水準を下回っているものの、2000年代中頃以降では増加の傾向である。
管理措置 ・NPFC:2020年のNPFC条約水域でのTACは33万トン(分布域全体の漁獲上限は55.6万トン)。遠洋漁業国・地域による許可隻数の増加の抑制(沿岸国の許可隻数は急増を抑制)、サンマの洋上投棄の禁止、公海で操業する漁船へのVMS設置義務及び小型魚漁獲の抑制のための6〜7月における東経170度以東の操業自粛。
・日本国内:許可制度、TAC制度等
最新の資源評価年 2019年
次回の資源評価年 2020年

管理・関係機関
北太平洋漁業委員会(NPFC)

生物学的特性
  • 体長・体重:肉体長(下顎先端〜尾柄肉質部末端)最大で体長35 cm、体重220 g程度
  • 寿命:約2年
  • 成熟開始年齢:0歳(一部)、1歳(100%)
  • 産卵期・産卵場:9〜6月・黒潮親潮移行域〜黒潮域
  • 索餌期・索餌場:5〜8月・黒潮親潮移行域北部〜亜寒帯水域
  • 食性:動物プランクトン
  • 捕食者:大型魚類、海鳥、海産哺乳類

利用・用途
日本では、生鮮食品、加工原料として広く利用。台湾では主に冷凍で水揚げし、中国と韓国向けを中心に輸出。

漁業の特徴
日本以外でサンマを漁獲している主な国・地域は、ロシア、台湾、韓国、中国及びバヌアツである。1960年代からは旧ソ連、1980年代中盤からは韓国、終盤からは台湾が北太平洋で漁獲を始め、外国漁船によるサンマの漁獲量が増加した。いずれの国・地域も、主に棒受網漁業によって漁獲を行っている。ロシア漁船は主に自国の200海里水域内で操業しているのに対し、台湾、中国及びバヌアツは北太平洋公海域を主漁場としている。

漁獲の動向
日本のサンマ漁獲量は棒受網漁業の発達に伴い1950年代に増加したが、1960年代になると減少し、1969年には6.3万トンとなった。1970年代は漁獲量がやや回復したものの、年変動が大きく、1973年に40.6万トンに達したが、20万トンを下回る年も多かった。1980年代以降は漁獲量も安定し、1980年と1981年、1998年と1999年は20万トンを下回ったものの、2012年まで20万トン以上を維持してきた。しかし、近年は再び減少傾向にあり、2016年に11.4万トン、2017年は8.4万トン、2018年には12.9万トンと10万トン前後で推移している。なお、2017年の漁獲量は、1970年以降で最も低い値であった。
台湾の漁獲量は、2001年までは0.8万〜4.0万トンの範囲であったが、2002年以降は急増し、2005年には11.1万トンに達した。その後、2006年と2007年に一時的に減少したものの、2008年以降は10万トン以上を維持し、2013年には18.3万トンに達して初めて日本の漁獲量(14.9万トン)を上回った。2018年(17.8万トン)も日本と同様に前年(2017年、10.4万トン)の漁獲量を上回り、日本の漁獲量(12.9万トン)よりも多い状況が続いている。
中国漁船による各年のサンマの漁獲量は2,014トン(2012年)、2.3万トン(2013年)、7.6万トン(2014年)と、漁獲量を急速に伸ばした。その後、2015年は4.9万トンに留まり、日本や台湾同様に前年を下回ったものの、2016年は日本、ロシア、台湾が前年よりも減少する中、6.3万トンに増加したが、2017年は4.8万トンに減少した。2018年には9.0万トンと再び増加した。
ロシアの漁獲量は1996〜2000年は年間2万トンを下回った(4,665〜17,390トン)ものの、2001年以降は増加し、2014年まで5万トン前後を維持、2007年には過去最高の11.9万トンに達した。しかし、2015年以降は毎年減少し、2017年は6,315トン、2018年は7,784トンとなった。漁場は主に200海里水域内であったが、2017年以降は公海の漁獲量が200海里水域の漁獲量を上回っている。
韓国の漁獲量(韓国200海里水域内の日本海を除く)は、1980年代後半は1,050〜3,236トンの低い水準であったが、1990年以降増加し、2017年まで1万トン以上で推移している。バヌアツは2013年にさんま漁業に参入し、初年は1,509トンを漁獲している。漁獲量は年々増加し、2016年に7,331トン、2017年には4,437トンに減少したが、2018年には8,231トンと過去最高となった。

資源状態
2019年3月のNPFCサンマ資源評価技術作業部会会合において、1980〜2017年の漁獲量、日本、中国、韓国、台湾及びロシアから提出された2017年(韓国のみ2016年)までの棒受網漁業の標準化CPUE及び漁業独立の資源量指数として、日本が実施する資源量直接推定調査から得られた2003〜2018年の分布量を使用して、日本、中国、及び台湾がベイズ型状態空間プロダクションモデル(BSSPM)を用いた資源評価の結果を提出した。3メンバーの結果は、ほぼ同様であったため、最終的に結果を一つにとりまとめ、当作業部会の資源評価結果として報告した。分布量Bは2000年代中頃以降減少し、2017年に1980年以降で最低となった(B2017 / BMSY = 0.63)。近年の資源量(B2016-2018)はMSY水準(BMSY)を下回った(B2016-2018 / BMSY = 0.82)。また、1980年以降で漁獲割合F(漁獲量/資源量)はMSY水準(FMSY)を下回ったが、2000年代中頃以降では増加の傾向を示した。近年の漁獲割合(F2015-2017)はMSY水準の82%であった(F2015-2017 / FMSY = 0.82)。
なお、日本の棒受網漁業の標準化CPUE(平均比)を指標値に用いると、2017年は2002年以来15年ぶりに0.5(平均値−標準偏差)を下回ったが、2018年は0.6に上昇し、再び0.5より高い値となったことから、資源水準は中位と判断された。また、資源量直接推定調査による分布量は、2018年は増加したものの、2014年以降、4年連続で減少していることから、動向は減少と判断した。

管理方策
我が国におけるサンマの資源管理については、許可制度(北太平洋さんま漁業(10トン以上船)に対する大臣許可や10トン未満船に対する知事許可)や年間の漁獲量の上限を定めて管理する総漁獲可能量(TAC)制度等が行われている。
2019年7月に開催されたNPFC年次会合では、2020年のサンマの分布域全体(NPFC条約水域(北太平洋公海)及び隣接する200海里水域)におけるサンマの漁獲量上限を55.6万トンとした上で、NPFC条約水域でのサンマのTACを33万トンに制限することが新たな保存管理措置として採択された。このほかの保存管理措置として、漁獲努力量の増加の抑制、サンマの洋上投棄禁止、公海で操業する漁船へのVMS(Vessel Monitoring System)の設置義務及び小型魚漁獲の抑制のための6〜7月における東経170度以東の操業自粛が定められている。