--- 要約版 ---

54 ニタリクジラ 北西太平洋

Bryde's Whale, Balaenoptera edeni


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図4

ニタリクジラの分布域(網目は主分布域)


図6

西部北太平洋系ニタリクジラの成長曲線


図2

西部北太平洋系ニタリクジラの国別捕獲量の年推移


図1

日本における西部北太平洋系ニタリクジラの漁業別捕獲量の年推移


図7

トップバレルを有する鯨類目視調査船(赤丸内がトップバレル)


図9

目視調査を実施した航跡と西部北太平洋系ニタリクジラの発見位置(1998〜2002年8・9月)


図5

日本周辺におけるニタリクジラ2系群の分布


図11

IWCによる西部北太平洋系ニタリクジラの管理海域

ニタリクジラ(北西太平洋)の資源の現況(要約表)

資源水準 中位から高位
資源動向 増加
世界の漁獲量
(最近5年間)
なし(IWCによる商業捕鯨モラトリアムが継続中)
我が国の漁獲量
(近年5年間)
捕獲調査により25〜34頭
最近(2019)年:187頭 *1
平均:27頭(2012〜2016年)
管理目標 100年後の資源水準の目標として、IWC提示の値(初期資源量の60-72%)を維持
資源評価の方法 船舶による目視調査から推定した資源量推定値に基づく
資源の状態 26,299頭(95%信頼区間:18,374-37,643頭)
管理措置 *2 ・農林水産大臣による許可制(許可隻数:小型捕鯨業5隻、母船式捕鯨業1船団(母船1隻、独航船3隻)
・年間捕獲枠を設定(187頭(2019年))
・監督員による捕獲頭数管理
・衛星を利用した船舶位置の確認
最新の資源評価年 2019年
次回の資源評価年 遅くとも2025年までに実施予定

*1 再開された母船式捕鯨業による。

*2 2019年7月からの管理措置を記載。


管理・関係機関
国際捕鯨委員会(IWC)

生物学的特性
  • 体長・体重:10〜16 m(上顎先端から尾びれ分岐点)・12〜20.3トン
  • 寿命:約60歳
  • 成熟開始年齢:7〜10歳
  • 出産期・出産場所:冬を中心・低緯度海域
  • 索餌期・索餌場:中低緯度海域
  • 食性:オキアミ、魚類
  • 捕食者:シャチ
  • その他:我が国周辺には太平洋沖合に分布する西部北太平洋系群と東シナ海〜四国沿岸に分布し体サイズがやや小さい東シナ海系群が知られる。2003年以降、両系群をB. brydeiB. edeniの別種に分類する研究が報告されている。両系群を別種とする分類が確定した場合、西部北太平洋系群はB. brydeiに相当(東シナ海系群はB. edeni)。

利用・用途
刺身、鍋、竜田揚げ、くじらカツ、大和煮等他のひげ鯨同様食用として利用される。かつて、他国では主として鯨油として利用されていた。

漁業の特徴
本種は我が国沿岸で17世紀(江戸時代)から古式捕鯨(網取り式捕鯨)で捕獲されていた記録があるが、19世紀末に近代捕鯨(捕鯨砲による捕獲)が開始され、西部北太平洋系群を含む本種の捕獲が、三陸、和歌山、小笠原諸島近海を主漁場とした沿岸捕鯨によって、商業捕鯨モラトリアムへの異議申し立てを取り下げる1987年まで行われた。また沖合域では、第二次大戦後、我が国(1946〜1952年及び1971〜1979年)と旧ソ連(1970〜1979年)が母船式捕鯨を実施し西部北太平洋系群を捕獲した。この他に、台湾(1976〜1980年)とフィリピン(1983〜1985年)でも散発的に沿岸で同系群を捕獲した記録がある。1988年以降、全ての海域で商業捕鯨は停止されていたが、2019年6月30日に我が国がIWCを脱退したことにともない、2019年7月に我が国の領海・EEZ内での母船式捕鯨業が再開され、2019年には187頭が捕獲された。

漁獲の動向
西部北太平洋系群は、我が国では1946〜1987年の沿岸捕鯨で、およそ7,100頭(年平均170頭)、母船式捕鯨で1946〜1952年に約1,300頭(年平均190頭)、1971〜1979年に約2,700頭(年平均300頭)を捕獲した。この他に、旧ソ連が母船式捕鯨で1970〜1979年に約4,100頭(年平均410頭)、台湾が沿岸で1976〜1980年に約1,500頭(年平均290頭)、フィリピンが沿岸で1983〜1985年に約100頭(年平均30頭)を捕獲した。なお、本種は1940年代末に別種と識別されるまでイワシクジラと同種として扱われていた。日本の捕鯨統計で両種が区別されたのは1955年からであり、1976年からIWCにおいても両種を別個に管理されている。
我が国は、2000年から第二期北西太平洋鯨類捕獲調査(JARPN II)を開始し、2016年まで沖合域で同系群の捕獲を継続して行った。2013年まで年間50頭の捕獲上限のもとに総計655頭(年平均47頭)を捕獲したが、2014年に国際司法裁判所の「南極における捕鯨」訴訟判決の趣旨を踏まえ、調査目的を限定する等規模を縮小して実施することとなり、捕獲上限は25頭となった。2015、2016年も上限25頭を捕獲したが、2017〜2019年6月まで実施された新北西太平洋鯨類科学調査計画(NEWREP- NP)では、本種は捕獲対象とはなっていない。2019年7月から再開された商業捕鯨では、我が国の領海・EEZ内において母船式捕鯨業により、187頭が捕獲された。

資源状態
1996年のIWC科学委員会において西部北太平洋系群の包括的資源評価が行われ、1996年当時の成熟した雌の資源水準が同初期資源量の60〜80%であり、Hitterモデルによる資源動向予測により近年増加していることが合意された。また2008年の同委員会で、RMPによる捕獲枠算出に使用する2000年時点での資源量について20,501頭(CV = 0.336)として合意した。2017年に始まった2回目のRMP適用試験では、日本・IWC共同北太平洋鯨類目視調査プログラム(POWER計画)やJARPN II等の調査によって得られた目視データから推定された26,299頭(CV = 0.185)という北太平洋における西部北太平洋系群の資源量推定値が使用され、2019年に終了した。これらの結果から、本系群の資源水準は中位から高位にあり、資源動向は増加中であると判断される。

管理方策
IWCの新管理方式(NMP)が1976年より北太平洋で適用され、西部北太平洋系群は初期管理資源に分類され商業的に利用されていたが、商業捕鯨モラトリアムにより1987年漁期を最後に捕獲停止となった。その後、不確実性の下でも資源を安全に管理できる数々の安全策が組み込まれた、ひげ鯨類のためのRMPが1993年に完成した。本系群については、IWC科学委員会で、1996年に包括的資源評価を終え、2005〜2007年に第1回目のRMP適用試験が実施され、3つの管理オプションと1つの調査条件付き管理オプションが了承され、商業捕鯨のための捕獲枠の設定は科学的に可能であることが示された。2019年6月30日の我が国のIWC脱退にともない、農林水産大臣許可の母船式捕鯨業による漁業が、2019年7月から我が国の領海・EEZ内で再開された。2019年の捕獲枠は187頭であり、この値はIWCが開発し100年間捕獲を継続しても資源に悪影響を与えないと認めた極めて保守的な改訂管理方式(RMP)の運用のもと、多数のシミュレーションを通して算出され、海外有識者によるレビューを受けた捕獲可能量にもとづいている。