--- 要約版 ---

52 ミンククジラ オホーツク海・北西太平洋

Common Minke Whale, Balaenoptera acutorostrata


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図3

ミンククジラ(オホーツク海・北西太平洋系群)の分布図


図4

ミンククジラ(オホーツク海・北西太平洋系群)の春から夏の回遊経路


図1

北西太平洋におけるミンククジラの捕獲頭数(1930〜2019年)(定置網等による混獲は含まない)

ミンククジラ(オホーツク海・北西太平洋)の資源の現況(要約表)

資源水準 高位
資源動向 増加
世界の漁獲量
(最近5年間)
なし(IWCによる商業捕鯨モラトリアムが継続中)
我が国の漁獲量
(近年5年間)
37〜170頭 *1
最近(2019)年:123頭 *2
平均:105.6頭(2015〜2019年)
管理目標 100年後の資源水準の目標として、IWC提示の値(初期資源量の60-72%)を維持
資源評価の方法 調査船での目視調査による資源量推定
資源の状態 西部北太平洋では目視調査により増加傾向と判明
管理措置 *3 ・農林水産大臣による許可制(許可隻数:小型捕鯨業5隻、母船式捕鯨業1船団(母船1隻、独航船3隻)
・年間捕獲枠の設定(53頭(2019年))
・監督員による捕獲頭数管理
・洋上解体の禁止と鯨体処理場の指定(北海道網走市、北海道釧路市、青森県八戸市、宮城県石巻市、千葉県南房総市、和歌山県太地町)*4
・衛星を利用した船舶位置の確認
最新の資源評価年 2019年
次回の資源評価年 遅くとも2025年までに実施予定

*1 2015-2018年、捕獲調査による。

*2 捕獲調査により79頭、母船式・沿岸(小型)捕鯨業により44頭。

*3 2019年7月からの管理措置を記載。

*4 小型捕鯨業のみの管理措置。


管理・関係機関
農林水産省、国際捕鯨委員会(IWC)

生物学的特性
  • 体長・体重:雄8.6 m、雌8.8 m (上顎先端から尾びれ分岐点までの長さ)・雄7.1トン、雌8.1トン(捕獲個体の最大体長・体重)
  • 寿命:49歳(捕獲個体の最高年齢)
  • 成熟開始年齢:7歳程度
  • 繁殖期・繁殖場:12〜1月、低緯度海域
  • 索餌期・索餌場:夏、オホーツク海
  • 食性:サンマ、スケトウダラ、マサバ、マイワシ、カタクチイワシ、オキアミ類等
  • 捕食者:シャチ

利用・用途
鯨肉は、刺身、大和煮(缶詰)、鍋物材料、ベーコン等、ヒゲ板は工芸品の材料として利用される。かつては鯨油を工業原料として利用していたが、現在は需要がない。

漁業の特徴
本種は1987年まで小型捕鯨業により商業的に捕獲されてきた。1988年以後はIWCのいわゆる「商業捕鯨モラトリアム」により、商業捕獲は停止していた一方、1994年から国際捕鯨取締条約第8条に認められた特別許可に基づく科学研究目的の捕獲が我が国により行われてきた。しかし、我が国が2019年6月末をもってIWCを脱退したことにより、翌7月1日から商業捕鯨が31年ぶりに再開され、科学研究目的の捕獲をともなう調査は終了となった。その他、本種は、沿岸の定置網等により毎年100頭前後の混獲が報告されている。

漁獲の動向
1950年以降1987年までの商業捕鯨では、年間200〜500頭程度が捕獲されていた。IWCの改訂管理方式(RMP)適用試験で想定された系群構造仮説(北西太平洋には、オホーツク海・西太平洋系群と東シナ海・黄海・日本海系群の2系群が存在)を検証する目的で、特別許可に基づく北西太平洋鯨類捕獲調査(JARPN)が1994〜1999年まで行われ、目標とする捕獲標本数は年間100頭と設定された。2000年から、北西太平洋における鯨類と餌生物を巡る生態系の解明を目的とした第二期北西太平洋鯨類捕獲調査(JARPN II)が開始され、2000年〜2001年は予備調査、2002年から本格調査が行われた。調査目的を達成するため、胃内容物の種組成を一定の精度で明らかにするのに必要な目標捕獲標本数として、2013年調査では沿岸域で120頭、沖合域で100頭が設定されていた。しかし、2014年からは、国際司法裁判所の「南極における捕鯨」訴訟判決の趣旨を踏まえ、調査目的を限定する等したうえで非致死的手法の比較実験を行うこととし、目標捕獲標本数は沿岸域で102頭、沖合域で0頭となった。2017年から開始された新北西太平洋鯨類科学調査(NEWREP-NP)においては、算出捕獲可能量の精緻化を目的に、オホーツク海沿岸(網走沖)で47頭、太平洋沿岸域で80頭、太平洋沖合域で43頭の目標捕獲頭数が設定され調査が行われていたが、我が国のIWC脱退により2019年6月末をもって終了となり、翌7月からは再開された商業捕鯨において2019年7月1日から12月31日まで、母船式・沿岸(小型)捕鯨合わせて53頭の捕獲枠が設定され、我が国の領海・EEZ内で操業が行われ、44頭が捕獲された。

資源状態
IWCによるHitter・Fitter法と1990年当時の資源量推定値約25,000頭を用いた解析によると、現実的な仮定の下では資源は増加傾向を示し、初期資源量(1930年)の70%以上のレベルにあると考えられており、資源は比較的高位にあると判断された。2013年に終了した第2回目のRMP適用試験の結果では、もっとも保守的(悲観的)な仮説を含む基本的な6つのケースで、初期資源量に対する割合は、少なくともRMPのもとで捕獲可能量算出が可能となる54%以上にあることが示された。

管理方策
本種の商業捕獲は資源状態にかかわらず停止状態にある。1993年のIWCでフィードバック管理の考え方を取り込んで様々な不確実性のもとでも安全な管理が行えるRMPが採択された。北西太平洋における本種の系群構造仮説等については、あらゆる最新の科学的知見が2つの系群しか存在しない仮説を支持しているにもかかわらず、反捕鯨の一部の科学者が多数の系群が存在する可能性を主張し続けている。我が国では、2019年のIWC脱退に伴い、RMPの運用のもと、多数のシミュレーションを通して100年後までの資源リスクを評価し算出した極めて保守的な捕獲可能量にもとづき、捕獲枠を設定した。2019年の捕獲枠は、捕獲可能量(171頭)から2019年6月までに実施された捕獲調査による捕獲数(79頭)、定置網による混獲数(39頭)を控除した53頭(母船式・沿岸捕鯨業)となっている。