--- 要約版 ---

51 ツチクジラ 太平洋・日本海・オホーツク海

Baird's Beaked Whale, Berardius bairdii


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図2

ツチクジラの分布図


図3

日本周辺におけるツチクジラの分布と漁場及び主な水揚地(鯨体処理場)


図4

体長と年齢の関


図5

ツチクジラ捕獲頭数の経年変化

ツチクジラ(太平洋・日本海・オホーツク海)の資源の現況(要約表)

資源水準 中位
資源動向 横ばい
世界の漁獲量
(最近5年間)
なし
我が国の漁獲量
(近年5年間)
28〜61頭
最近(2019)年:47頭
平均:49.2頭(2015〜2019年)
管理目標 現在の資源水準の維持
資源評価の方法 ライントランセクト法に基づく目視調査データ解析から資源量を推定
資源の状態 ・太平洋沿岸(北海道〜相模湾):5,000頭(2,500〜10,000頭、1991〜1992年)
・日本海東部:1,500頭(370〜2,600頭、1983〜1989年)(過小推定の可能性大)
・オホーツク海南部:660頭(310〜1,000頭、1983〜1989年)(過小推定の可能性大)
管理措置 ・年間捕獲枠66頭(日本海10頭、オホーツク海4頭、太平洋52頭)
・洋上解体禁止と鯨体処理場の指定(北海道網走市、北海道釧路市、青森県八戸市、宮城県石巻市、千葉県南房総市、和歌山県太地町)
・農林水産大臣による許可制(許可隻数5隻)
・衛星を利用した船舶位置の確認
最新の資源評価年 2012年
次回の資源評価年 2022年を予定

管理・関係機関
農林水産省

生物学的特性
  • 体長・体重:9〜12 m(上顎先端から尾鰭分岐点までの長さ)・9〜12トン
  • 寿命:雄84歳、雌54歳(捕獲物の最高年齢)
  • 成熟開始年齢:雄6〜11歳、雌10〜15歳
  • 繁殖期・繁殖場:交尾期10〜11月、出産期3〜4月・繁殖場は調査中
  • 索餌期・索餌場:周年・房総、常磐沖ほか
  • 食性:魚類、頭足類
  • 捕食者:シャチ

利用・用途
肉は房総半島周辺でタレと呼ばれる乾肉、他の地域では、生鮮肉、缶詰加工用肉等。脂皮は汁物。

漁業の特徴
捕獲は少なくとも17世紀に遡り、明治時代初頭まで千葉県勝山沖を中心に手投げ銛で捕獲していた。戦後、小型捕鯨業による捕獲が急増し、漁場も千葉県周辺から三陸、北海道、日本海沿岸まで広がった。本種は体長10 mに達する歯鯨類で、IWCの管轄外種であり、商業捕鯨モラトリアム以降も、我が国政府の管理の下で捕獲が継続している。現在の商業捕獲は、大臣許可漁業である小型捕鯨業のみで実施され、北海道網走市、宮城県石巻市、千葉県南房総市にある鯨体処理場で水揚げ・解体・処理されている。

漁獲の動向
太平洋側沿岸での捕獲が主体であり、1950〜1970年代初頭にかけて年間100頭を超える捕獲が行われた(自由操業)。1983年に自主規制枠、1990年に捕獲枠が導入され、1999年以降は、年間捕獲枠62頭(太平洋沿岸+オホーツク海54頭、日本海8頭)が設置されてきた。2005年に枠の見直しが行われ、系群ごとに太平洋52頭、オホーツク海4頭、日本海10頭、計66頭の捕獲枠が設置された。なお、このうち太平洋系群については、その年の捕獲数が捕獲枠に満たなかった場合、10頭を上限に翌年への繰り越しが認められている。2019年は太平洋53頭(前年からの繰り越し1頭を含む)、オホーツク海4頭、日本海10頭、計67頭の捕獲枠の下に操業が行われ、47頭が捕獲された。

資源状態
資源量の推定値は、太平洋沿岸(北海道〜相模湾):5,000頭(95%信頼区間2,500〜10,000頭:1991〜1992年)、日本海東部:1,500頭(同370〜2,600頭:1983〜1989年)、オホーツク海南部:660頭(同310〜1,000頭:1983〜1989年)である。IWCの管轄外種のため、資源状態に関する国際合意はない。過去の統計は別種の混在の可能性もあり、1970年以前の捕獲が初期資源に与えた影響は明らかでない。各系群の資源量推定値は5,000頭以下と小さく、分布範囲も限られていることから、資源水準は中位とした。捕獲物組成の動向は、資源の増減の兆候がないことから、資源動向は横ばいと考えられる。

管理方策
IWC科学委員会は、ひげ鯨類が対象の新たな資源管理モデル(改訂管理方式:RMP)を開発したが、社会構造(群れ構成や繁殖様式等)が複雑な歯鯨類には適用できない。推定資源量の約1%を目安とした捕獲枠や、PBR(Potential Biological Removal:混獲動物の管理に米国で採用されている資源量、増加率等の不確実性を取り込んだ捕獲枠算出モデル)による試算値等を参考に農林水産省が捕獲枠を設定している。この他、小型捕鯨業を行う操業隻数(5隻)及び鯨体処理場が農林水産大臣による許可制となっている。