--- 要約版 ---

42 ネズミザメ・ニシネズミザメ 全水域

Salmon Shark, Lamna ditropis

&

Porbeagle, Lamna nasus


                                          PIC PIC

                                                                ネズミザメ                                                         ニシネズミザメ


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図4

ネズミザメの年齢と成長


図5

ニシネズミザメの年齢と成長


図2

ネズミザメ(上)とニシネズミザメ(下)の分布

色の濃い部分は信用できる情報に基づく既存の分布あるいは確かに分布していると思われるエリア、薄い部分は分布が推定されるもしくは不確実な情報に基づく分布エリアを示す。


図1

日本の主要漁港へのネズミザメ水揚量


図6

北太平洋における日本のはえ縄漁業データを基に標準化したネズミザメのCPUE


図7

ミナミマグロ漁場において、日本の科学オブザーバーが収集したデータを基に標準化したニシネズミザメのCPUE


図8

漁獲圧が南半球ニシネズミザメのMIST(個体群が維持可能な漁獲圧の上限に対応するリファレンスポイント)を超える確率を年別に推定した結果

上から、大西洋南東部とインド洋南西部、インド洋南東部、太平洋南西部、南半球全体。1に近いほど、個体群への負の影響が大きい事を示す。


ネズミザメ(北太平洋)の資源の現況(要約表)

資源水準 調査中
資源動向 横ばい
世界の漁獲量
(最近5年間)
調査中
我が国の漁獲量
(最近5年間)
1,939〜3,549トン(水揚量)
最近(2018)年:3,548トン
平均:3,212トン(2014〜2018年)
管理目標 検討中
資源評価の方法 未実施
資源の状態 調査中
管理措置 漁獲物の完全利用等
最新の資源評価年 実施されていない
次回の資源評価年 未定

ニシネズミザメ(北大西洋・南半球)の資源の現況(要約表)

海域 北西大西洋 北東大西洋
資源水準 低位 低位
資源動向 増加 調査中
世界の漁獲量
(最近5年間)
(2014〜2018年)
20〜56トン
最近(2018)年:12トン
平均:29トン
我が国の漁獲量
(最近5年間)
(2014〜2018年)
0〜2トン
最近(2018)年:0トン
平均:0.4トン
管理目標 MSY
資源評価の方法 BSPMによる解析 BSPM及びASPMによる解析
資源の状態 B2008/BMSY:0.43-0.65 B2008/BMSY:0.09-1.93
管理措置 ・漁獲物の完全利用等
・生きた状態で混獲された場合の放流義務
・その他、沿岸国における以下の国内規制あり;国内漁獲量制限(米国:11.3トン、EU:0トン、ウルグアイ:0トン)、対象漁業の禁止(カナダ)、水揚げサイズ規制(EU:尾叉長210 cmまで)
最新の資源評価年 2009年 2009年
次回の資源評価年 2020年 2020年

海域 南西大西洋 南東大西洋
資源水準 調査中 調査中
資源動向 調査中 調査中
世界の漁獲量
(最近5年間)
(2014〜2018年)
0〜38トン
最近(2018)年:4トン
平均:9.4トン
我が国の漁獲量
(最近5年間)
(2014〜2018年)
0〜13トン
最近(2018)年:0トン
平均:3.6トン
管理目標 MSY
資源評価の方法 BSPM及びCFASPによる解析 実施せず
資源の状態 B2008/BMSY
0.36-0.78
調査中
管理措置 ・漁獲物の完全利用等
・生きた状態で混獲された場合の放流義務
・その他、沿岸国における以下の国内規制あり;国内漁獲量制限(米国:11.3トン、EU:0トン、ウルグアイ:0トン)、対象漁業の禁止(カナダ)、水揚げサイズ規制(EU:尾叉長210 cmまで)
最新の資源評価年 2009年 2009年
次回の資源評価年 2020年 2020年

海域 その他南半球
資源水準 調査中
資源動向 調査中
世界の漁獲量
(最近5年間)
(2014〜2018年)
調査中
我が国の漁獲量
(最近5年間)
(2014〜2018年)
7〜42トン
最近(2018)年:10トン
平均:18トン
管理目標 検討中
資源評価の方法 MISTによるリスク評価
資源の状態 調査中
管理措置 ・漁獲物の完全利用等
最新の資源評価年 2017年
次回の資源評価年 予定なし

管理・関係機関
中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)
大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)
インド洋まぐろ類委員会(IOTC)
全米熱帯まぐろ類委員会(IATTC)
みなみまぐろ保存委員会(CCSBT)
北西大西洋漁業機関(NAFO)
国際海洋開発理事会(ICES)
絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約、CITES)
北太平洋まぐろ類国際科学委員会(ISC)

生物学的特性
(左:ネズミザメ/右:ニシネズミザメ)
  • 体長・体重:最大で全長305 cm・175 kg/最大で全長350 cm・230 kg
  • 寿命:雌20年、雄25年以上/雌雄20〜46年以上(北大西洋)、最大65年(南太平洋)
  • 成熟年齢:雌6〜10歳、雄3〜5歳/雌13〜18歳、雄7〜11歳(50%成熟年齢)
  • 繁殖期・繁殖場:交尾期:9〜11月(北大西洋ニシネズミザメ)、出産期:3〜5月/4〜6月(北大西洋)、6〜7月(南太平洋)
  • 索餌期・索餌場:両者とも温帯・寒帯域
  • 食性:両者とも魚類、頭足類
  • 捕食者:調査中

利用・用途
肉はソテーやみそ漬け、鰭はフカヒレ、脊椎骨は医薬・食品原料、皮は革製品

漁業の特徴
ネズミザメは、主にはえ縄と流し網によって漁獲され、その多くが宮城県の気仙沼港を中心とした東北地方に水揚げされる。
ニシネズミザメは、はえ縄や流し網によって漁獲されている。北大西洋では本種を対象とした漁業が存在し、1920年代から開発が進み、個体群が大きく減少した。約65%がはえ縄で漁獲されており、2007年頃まではカナダ、フランス、フェロー諸島による漁獲量は447〜2,458トンで北大西洋全体の漁獲量の9割を占めていたが、その後は各国の漁業規制により3国の漁獲量(合計値)は10トン以下にまで減少している。南大西洋では、本種は主にまぐろ・かじき類を対象としたはえ縄漁業での混獲物であり、2014年を除いてほぼ全てがはえ縄で漁獲されている。1991〜2018年の漁獲量は0〜360トンで、1991年から増減しながら2010年の16トンまで減少を続け、その後2014年の38トンまで増加したが、2015年には3.6トンまで減少し、以降は5トン未満を推移している(2018年の報告値4トン)。

漁獲の動向
我が国の主要漁港へのさめ類の漁法別・魚種別水揚量の調査では、1992〜2018年のネズミザメの水揚量は、はえ縄が289〜2,926トン、流し網が270〜2,029トン、全体では1,136〜4,406トンであった。全体として2004年頃までは緩やかな増加傾向が見られ、その後2009年までは増減を繰り返しながら推移した。2011年は、東日本大震災の影響で水揚量は大幅に減少して1,136トンであったが、2012年には3,075トン、2013年には3,309トン、2015年には3,512トンが水揚げされ、震災前のレベル(1992〜2010年の水揚量の平均:3,001トン)にまで回復した。2016年の水揚げは流し網による漁獲が落ち込んだため1,939トンと減少したが、2017年には流し網による漁獲量の回復により3,549トンまで再び増加している(2018年の漁獲量は3,548トン)。さめ類の総漁獲量に占めるネズミザメの割合は15〜31%であり(2005〜2018年)、ヨシキリザメに次いで多かった。

資源状態
ネズミザメに関しては、我が国により漁業データ(1993〜2007年)の分析が行われた結果、標準化したCPUEに顕著な増減傾向は認められず、解析期間中資源は安定的に推移していたと推定された。
南半球のニシネズミザメに関しては、我が国によりミナミマグロ漁場で混獲されるニシネズミザメの漁業データ(1990年代前半〜2010年代前半)の分析が行われた結果、標準化したCPUEに顕著な増減傾向は認められず、解析期間中資源は安定的に推移していたと推定された。南半球に棲息するニシネズミザメに関して、関係漁業国のデータに基づきリスク評価の枠組みで資源状態を解析した結果、現在の漁獲圧下において、本系群の絶滅リスクは低いことが報告された。
大西洋のニシネズミザメに関しては、2009年にICCATにおいて資源評価が行われ、大西洋の北西部、北東部、南西部、南東部の4系群を仮定した解析が行われた。北東系群については、推定された資源量は1961年以降緩やかに減少を続け、B / BMSYは1980年以降0.5付近で推移していることから、2008年時点の資源水準は低位と考えられる。北西系群については、資源量は一度BMSYを大きく下回ったが、2000年頃からの漁獲強度はFMSYを下回り、資源は回復傾向を示した。このことから、2008年時点の資源水準・動向は低位であるが増加傾向と考えられる。いずれの系群についても、資源の減少が指摘されており、資源の水準はBMSYを下回る状態である可能性が示唆された。南大西洋系群については、東部・西部ともに、データの不確実性が大きいため資源水準に関する結論は出なかった。

管理方策
全てのまぐろ類地域漁業管理機関(RFMO)において、漁獲されたさめ類の完全利用(頭部、内臓及び皮を除く全ての部位を最初の水揚げ又は転載まで船上で保持すること)及び漁獲データ提出が義務付けられており、2019年のWCPFCでは、2020年11月以降、(ア)水揚げまでヒレを胴体から切り離さない、又は、(イ)船上では切り離したヒレと胴体を同じ袋で保管する等の代替措置を講じる、ことが合意された。加えて、2014年のWCPFCにおいて、@まぐろ・かじき類を対象とするはえ縄漁業は、ワイヤーリーダー(ワイヤー製の枝縄及びはりす)又はシャークライン(浮き玉又は浮縄に接続された枝縄)のいずれかを使用しないこと、Aさめ類を対象とするはえ縄漁業は、漁獲を適切な水準に制限するための措置等を含む管理計画を策定すること、が合意された。ICCATにおいては、2015年の年次会合において、ニシネズミザメが生きた状態で混獲された場合、速やかに放流を求める措置が合意された。
この他、ネズミザメに関しては、宮城県気仙沼を中心として国内の水揚量・体長組成の収集を行い、モニターを継続している。ニシネズミザメに関しては、大西洋沿岸国において、国内措置として独自の資源評価に基づく漁獲量制限等が行われている。
なお、ニシネズミザメに関しては、2013年のCITES第16回締約国会議において本種を附属書IIに掲載する提案が提出され、可決された。CITESによる取引規制は、本種の国際商取引を透明化し漁業及び資源の管理に貢献することを目指すものとされているが、国際取引が資源に悪影響を与えているという根拠がないことからこの制度がどこまで有効に機能するかは、注視していく必要がある。我が国は、商業漁業対象種の資源は、漁業管理主体であるRFMO又は沿岸国が適切に管理していくべきとの立場から附属書II掲載において留保している。