--- 要約版 ---

40 アオザメ 大西洋

Shortfin Mako, Isurus oxyrinchus


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図2

アオザメの分布

色の濃い部分は信用できる情報に基づく既存の分布あるいは確かに分布していると思われるエリア、薄い部分は分布が推定されるもしくは不確実な情報に基づく分布エリアを示す。


図1a
図1b

北大西洋(上)及び南大西洋(下)におけるアオザメ水揚げ量とはえ縄漁業による水揚げが全体を占める割合


図3a
図3b

大西洋で報告されているアオザメの年齢と成長(尾鰭前長)


図5

BSP2-JAGSによって推定された資源量(青線)と漁獲強度(赤線)の年変化(a:北大西洋系群、b:南大西洋系群)

資源量については、各年の資源量とMSY水準の資源量の比を示し、1未満であれば資源量水準が低いことを示す。漁獲強度については、各年の漁獲強度とMSY水準時の漁獲強度の比を示し、1より大きければ漁獲強度が適正水準よりも高いことを示す。


図7

統合モデルによって推定された北大西洋系群の資源状態


図8

統合モデル(モデル1:上、モデル3:下)に基づき、TACを100トン刻みで変えた場合の親魚資源量の相対値の変化(将来予測期間:2016〜2070年)

モデル1は親子関係式がべバートンホルト・自然死亡が雌雄で大きく異なる仮定をおいたモデルで、モデル3は親子関係式がLFSR(さめ類のように産仔数が少ない資源に適した関係式)・自然死亡が雌雄で同じ仮定をおいたモデル。実線は中央値、色のついた区間は各漁獲量に対する推定値の95%信頼区間を示す。

アオザメ(大西洋)の資源の現況(要約表)

海域 北大西洋 南大西洋
資源水準 低位 調査中
資源動向 減少 不明
世界の漁獲量
(最近5年間)
(2014〜2018年)
2,359〜3,339トン
(水揚量)
最近(2018)年:
2,359トン
平均:2,920トン
2,175〜3,272トン
(水揚量)
最近(2018)年:
2,175トン
平均:2,752トン
我が国の漁獲量
(最近5年間)
(2014〜2018年)
20〜89トン(水揚量)
最近(2018)年:20トン
平均:60トン
77〜182トン(水揚量)
最近(2018)年:93トン
平均:112トン
管理目標 MSY MSY
資源評価の方法 BSPM(BSP2-JAGS、JABBA)及びSS BSPM(BSP2-JAGS、JABBA、CMSY)
資源の状態 B2015/BMSY:0.57〜0.95
F2015/FMSY:1.93〜4.38
B2015/BMSY:0.65〜1.75
F2015/FMSY:0.86〜3.67
管理措置 漁漁獲物の完全利用等
原則所持禁止(例外措置として、@オブザーバー乗船時に種々のデータ収集を行えば捕獲時死亡個体のみ採捕可能とする措置や、A一定のサイズ以上の個体であれば生死によらず採捕可能とする措置等がある。)
漁獲物の完全利用等
最新の資源評価年 2019年(統合モデルアップデート) 2017年
次回の資源評価年 未定 未定

管理・関係機関
大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)
ワシントン条約(CITES)

生物学的特性
  • 体長・体重:最大で全長445 cm(推定)、最大で553.84 kg
  • 寿命:雄20〜30歳、雌30〜40歳
  • 成熟開始年齢:雄8歳、雌18歳
  • 繁殖期・繁殖場:調査中(出産期は晩冬〜盛夏)
  • 索餌期・索餌場:温帯・熱帯域
  • 食性:魚類、頭足類
  • 捕食者:成魚は調査中、幼魚はホホジロザメ

利用・用途
肉はソテーやみそ漬け、練り物原料、鰭はフカヒレ、脊椎骨は医薬・食品原料、皮は革製品

漁業の特徴
メキシコ湾、カリブ海を含む大西洋において、本種を含む外洋性さめ類ははえ縄、流し網、その他の漁業で混獲されているが、混獲量の大部分はまぐろ・かじき類を対象としたはえ縄漁業が占めている。また、米国、カナダ、英国、アイルランドでは遊漁の対象ともなっている。北大西洋については、1990年中盤以降はほぼ90%以上の水揚量がはえ縄による。国別では、1980年以前の記録はスペイン・日本によるものであったが、1981年から米国の水揚量が、1990年からはポルトガルの水揚量が増え始め、2000年代中盤まではスペイン・米国・ポルトガルの水揚量が北大西洋全体の90%を占めるに至った。2000年代中盤からはモロッコの水揚量が増加し、2015〜2016年には全体の30%を占めた。南大西洋においては、大部分の水揚量(94%以上)がはえ縄によるもので、国別には1970〜1980年代終盤までの水揚量の大部分は日本、ブラジルによる報告であったが、その後はスペインの水揚量が増え始め、1988年以降は南大西洋全体の水揚量の約40%(1988〜2018年のスペインの水揚量の割合の平均)を占めている。日本の水揚量は、1980年代終盤〜1995年頃までは南大西洋全体の40〜60%を占めていたが、以降急激に減少し2010年以降は5%(2010年以降の日本の水揚量の割合の平均値)程度を推移している。

漁獲の動向
北大西洋個体群の水揚量は1980年以前は1,000トン以下とされているが、その後1985年にかけて約3,800トンまで急増したのち1989年に約2,200トンまで減少した。その後、1990年代中盤にかけて約5,300トンまで増加した。その後はおよそ2,600〜4,800トンの範囲で推移していたが、2010年以降は減少傾向にある。
南大西洋においては、1970~1980年代中盤までの水揚量は1,000トン以下の範囲で緩やかに増加し、その後は増減を繰り返しながら1995年の約3,000トンまで急激に増加した。それ以降は増減を繰り返しながらおよそ1,600〜3,300トンの範囲で推移していたが、2014年以降は減少傾向にある。

資源状態
大西洋系群については、2017年に資源評価が行われ、北大西洋系群については、現在(2015年)の資源量はMSY水準以下(B2015 / BMSY = 0.57〜0.95)、現在の漁獲強度はMSY水準以上(F2015 / FMSY = 1.93〜4.38)との結果をもとに、資源水準は乱獲状態であり過剰漁獲が行われているとされた。複数の資源評価モデルにより、資源量や親魚量・加入量が減少傾向にあることから、北大西洋系群の資源動向は、減少傾向にあると推定される。南大西洋系群の現在(2015年)の資源水準は、乱獲状態の可能性があり(B2015 / BMSY = 0.65〜1.75)、過剰漁獲が起こっている可能性がある(F2015 / FMSY = 0.86〜3.67)とされたが、評価結果は不確実性が高く、信頼性が低いとされた(正確な資源動向は不明)。統合モデルによる北大西洋アオザメの将来予測(2016〜2070年)及び4つの管理方策(TAC・サイズ規制・生存個体の放流・努力量(F)の削減)の効果(各方策あるいは各方策を組み合わせて実施した場合の親魚メス資源の回復状態)を確認した結果、TAC = 0では2050年までにMSYまで回復する確率は60%、サイズ規制は回復の速度を速める事、生存放流のレベルに関わらず資源は2035年まで減少すること、漁獲圧が0の場合MSYを達成するレベルまで資源が回復するには2070年までかかることが推測された。

管理方策
全てのまぐろ類地域漁業管理機関において、漁獲されたさめ類の完全利用(頭部、内臓及び皮を除く全ての部位を最初の水揚げ又は転載まで船上で保持すること)及び漁獲データ提出が義務付けられている。大西洋系群については、2017年の資源評価の結果を受けて、北大西洋系群について原則所持禁止とするが、オブザーバーが乗船し生存放流・死亡投棄個体数等のデータを収集する条件で死亡個体の保持を認める、或いは生死に限らず一定サイズ以上の個体については保持を認める等の例外措置を盛り込んだ管理勧告が採択された。2019年に本管理勧告の規定に基づき行われたICCAT科学委員会による管理措置の有効性評価の結果、2019年のICCAT年次会合において、管理勧告の見直しに向けた議論が行われたが合意に至らず、2020年に議論が継続されることとなっている。