--- 要約版 ---

70 アメリカオオアカイカ 東部太平洋

Jumbo Flying Squid, Dosidicus gigas


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図3

アメリカオオアカイカの成長


図2

アメリカオオアカイカの分布図


図1

アメリカオオアカイカの国別漁獲量

2017年の国別漁獲量はSPRFMO会議報告値からの暫定値。


図6

アメリカオオアカイカの分布と主な海流

紫■の範囲はかつて報告されていた本種の分布範囲、赤■は最近年に分布拡大したと思われる範囲、青■は主漁場。


図9

日本のいか釣り漁船によるペルー海域(200海里内)におけるアメリカオオアカイカCPUE(トン/日/隻)の月別変化及びエル・ニーニョ指標となる南方振動指数の月別変動

アメリカオオアカイカ(東部太平洋)の資源の現況(要約表)

資源水準 ペルー海域・チリ海域:高位
資源動向 ペルー海域・チリ海域:不安定
世界の漁獲量
(最近5年間)
74.5万〜116.2万トン(全域)
最近(2016)年:74.7万トン
平均:94.2万トン
(2012〜2016年)
我が国の漁獲量
(最近5年間)
0.1万トン(ペルー海域)
(2012年のみ、※2012年以降は操業していない)
管理目標 2017年ペルーEEZ内XV〜XII州海域:漁獲割り当て50万トン
2017年チリEEZ海域:漁獲割り当て20万トン
資源評価の方法
資源の状態 不明
管理措置 ペルーEEZ海域:外国漁船の80海里までの入漁制限(2011年)、これまで許可されていなかった自国中型いか釣り船操業許可の検討中(2014年)
最新の資源評価年
次回の資源評価年

管理・関係機関
南太平洋地域漁業管理委員会(SPRFMO)、その他沿岸国(メキシコ政府)

生物学的特性
  • 体長・体重:最大で外套長120 cm、体重60 kg
  • 寿命:1歳(中型)
  • 成熟開始年齢:約4〜5か月(中型)
  • 産卵期・産卵場:周年、カリフォルニア〜チリ沖の湧昇域
  • 索餌期・索餌場:周年、カリフォルニア〜チリ沖の湧昇域
  • 食性:プランクトン、魚類、いか類(共食い)
  • 捕食者:キハダ、いるか類、マッコウクジラ等

利用・用途
塩辛、さきいか、燻製、天ぷら・フライ、カップ麺用のフリーズドライ、イカリング、魚粉

漁業の特徴
1971年にカリフォルニア沖やメキシコEEZ内で本種を対象にいか釣り調査操業を行った。また、1984年〜1994年にかけて 同時に1989年に我が国の調査によってペルーEEZ内で高密群が発見され、1990年から我が国いか釣り漁船40隻余りが出漁した。1996年からペルーEEZ海域は不漁となったが、コスタリカ沖公海域で新漁場が開拓された。その後、ペルーEEZ内での操業が再開されたが、2001年以降、コスタリカ海域での操業はほとんどなくなった。2000年以降、ペルー、チリ、メキシコなどで、沿岸域における零細漁民による日帰りの手釣り漁業が発展し、現在に至っている。近年、本種は世界的ないか需要の高まりから国際原料となっている。近年はペルー沖やチリ沖の公海において、中国船を主体とする外国いか釣り漁船による漁獲が急増している。我が国は、2002年以降、主としてペルーEEZ海域で操業してきたが、ペルーは、2012年以降、沿岸零細漁業者への保護対策として外国船だけでなく自国の中大型いか釣船の操業も認めていない。このため、当年1月以降、当該水域で日本漁船の操業ができない状態が続いている。近年は公海での中国船の漁獲量が増加している。

漁獲の動向
全漁業国による総漁獲量は、1991年頃から増加を開始し、韓国、日本、メキシコ、ペルーの漁獲を中心に2000年には20万トンに達し、中国の参入とペルーの漁獲増により2002年には40万トンに達した。その後の中国、ペルー及びチリの漁獲増加により2004年には総漁獲量は約80万トンに達し、それ以降変動はあるものの80万トン前後の高い漁獲量が維持されている。2014年は116万トンに達し、2008年以降、いか・たこ類の単一種として世界最大漁獲量となった。2018年のSPRFMOの報告によると、2017年の漁獲量は、中国29.6万トン、チリ15.4万トン、台湾0.7万トンであった。総漁獲量は70万トン以上に達したと推定される。我が国の漁獲量は、1992〜1995年にかけて4万〜8万トンであったがその後減少し、2000年に再び約6万トンに増加し、以降2011年まで1万〜7万トンで推移した。2012年以降、我が国の漁獲はない。

資源状態
ペルー海域における資源について、当海域の我が国いか釣り漁業のCPUEは、1991〜1995年の期間においては高かったが、1996〜1997年にかけて低下した。1997/1998年の前世紀最大規模のエル・ニーニョ発生後、2000年以降は上昇に転じた。ペルーの沿岸零細漁民のいか釣りCPUE水準は、2010年は低かったが、2011年に回復し、2012年1月以降にさらに上昇して資源は高位となった。2014年にペルー政府機関により行われたベイズ型プロダクションモデルを用いた資源評価では、現在の同資源に対する漁獲死亡係数はFMSY水準よりも十分低く、乱獲状態には至っていないと評価されており、資源水準は高位、資源動向は安定と判断されている。しかし、2015年後半から2016年前半まで赤道東太平洋海域での強いエル・ニーニョにより、本資源の漁獲量は各国とも減少した。コスタリカ海域については、1996年 (平常年)及び1997年(エル・ニーニョ期)は好漁であったが、1999年(ラ・ニーニャ期)は不漁であった。2001年以降操業はほとんどないため、以降の資源状態は不明である。チリ海域及びメキシコ海域での2000年以降の資源状態に関する情報も不明である。

管理方策
各主要沿岸国が自国EEZ資源について管理方策をとっている。ペルーEEZについては、ペルー政府がプロダクションモデルによって算定されたMSYを基に漁獲割当を決定する。2017年の漁獲割当は50万トンであった。2012年以降、外国漁船の入漁を認めていない。2014年には、これまで許可していなかった自国中型いか釣り船操業許可を検討している。チリEEZについては、チリ政府が、チリ中央部の第15州から第12州までの海域において、大規模漁業と零細漁業とに分けて、漁獲割当(Quota)を決定している。メキシコEEZについては、メキシコ政府が管理するが、詳細不明である。