--- 要約版 ---

68 アカイカ 北太平洋

Neon Flying Squid, Ommastrephes bartramii


PIC

[HOME] [詳細版PDF] [要約版PDF] [詳細版html] [戻る]
図2

アカイカ冬春生まれ群と秋生まれ群の分布域(漁場は索餌域に形成される)


図3

アカイカの成長曲線

(左)親の成長、(右)生息する表面水温に依存する稚仔期の成長曲線。


図1

北太平洋アカイカ国別漁獲量

各国の漁獲量は、FAO統計およびNPFC報告資料より推定。


図5

上:東経170度以東のアカイカ秋生まれ群の我が国の漁獲量(2018年までの全漁連集計より)と調査流し網CPUE(10反当たりの採集尾数)の経年変化(1999年までの調査流し網データは北海道大学の北星丸、2001年以降は青森水産総合研究センターの開運丸による)

下:2001年以降のアカイカ秋生まれ群の漁獲量と調査流し網CPUEの経年変化を拡大

破線は2001〜2018年までの調査流し網のCPUEの最低値と最高値の差を3等分した水準、低位、中位、高位を示す。


図6

上:東経170度以西の我が国のアカイカ冬春生まれ群の漁獲量(全漁連集計1〜3月の水揚量から原魚換算)と1974年〜2007年までの調査船CPUE(尾/釣り機台数/時間および流し網採集尾数/10反)の経年変化および中国の推定漁獲量

下:2008年以降(釣り調査終了)のアカイカ冬春生まれ群の漁獲量と調査流し網CPUEの経年変化を拡大

破線は2008〜2018年までの調査流し網のCPUEの最低値と最高値の差を3等分した水準、低位、中位、高位を示す。

アカイカ(北太平洋)の資源の現況(要約表)

資源水準 高位(秋生まれ群)・低位(冬春生まれ西部系群)
資源動向 増加傾向(秋生まれ群)・減少傾向(冬春生まれ西部系群)
世界の漁獲量
(最近5年間)
3.6万〜5.9万トン
最近(2017)年:4.5万トン
平均:4.7万トン
(2013〜2017年、FAO統計およびNPFC条約漁業情報からの推計)
我が国の漁獲量
(近年5年間)
0.2万〜0.5万トン
最近(2017)年:0.5万トン
平均:0.4万トン
(2013〜2017年、全漁連水揚げ統計の原魚換算)
管理目標 未設定
資源評価の方法 未確立
資源の状態 秋生まれ群:流し網調査のCPUEをもとにすると資源水準は高位に相当し、増加傾向と判断される。
冬春生まれ群:流し網調査のCPUEをもとにすると、資源水準は低位となっている。
管理措置 大規模流し網禁止(国連決議)
最新の資源評価年
次回の資源評価年

管理・関係機関
北太平洋漁業委員会(NPFC)

生物学的特性
  • 体長・体重:最大外套長約60 cm・体重約8 kg
  • 寿命:1歳
  • 成熟開始年齢:約10か月
  • 産卵期・産卵場:秋〜春、南西諸島〜小笠原諸島、ハワイ諸島
  • 索餌期・索餌場:春〜冬、亜寒帯境界〜移行領域
  • 食性:橈脚類、魚類(ハダカイワシ類中心)、頭足類、甲殻類
  • 捕食者:メカジキなど

利用・用途
冷凍ロールイカ、惣菜

漁業の特徴
1970年代中頃から我が国のいか釣り漁業が漁獲を開始した。1970年代後半には我が国の流し網漁業も漁獲を開始し、1979年からは東経170度以西を釣り漁場、以東を流し網漁場とする規制が実施された。1980年代にはいか釣り漁業は縮小したが、流し網漁業は重要となり、韓国と台湾も参入した。しかし、公海域における流し網漁業が国連決議により1992年末をもって操業停止となった。これを受けて我が国のいか釣り漁業が近海で復活し、その後、東経170度以東にも出漁するようになった。また、この頃、中国のいか釣り漁船が多く操業するようになった。2000年頃から、我が国のいか釣り漁業は縮小し、数百隻と言われる中国漁船を中心に台湾およびわずかの韓国いか釣り漁船が夏から秋にかけて東経170度の沖合から日本近海にかけて操業してきた。最近年では、我が国以外では主に中国のいか釣り漁船が我が国200海里付近で操業している。我が国のいか釣りの漁期は、日本近海における冬春生まれ群(西部系群)を対象とする冬漁(1〜3月)と、北太平洋中央部における大型の秋生まれ群と小型の冬春生まれ群を対象とした春夏漁(5〜8月)に分けられる。

漁獲の動向
1970〜1990年代初めには主に流し網により漁獲され、毎年の漁獲量は、漁業国の総計では20万〜35万トン、我が国では5万〜22万トンであった。公海流し網操業停止後の1994年以降ではいか釣りにより漁獲されている。流し網操業停止後の我が国のいか釣り漁獲量は1995年から1999年にかけて4万〜8万トン前後であったが、2000年代には平均で1.5万トン前後に減少し、近年は、夏漁と冬漁を合わせて0.5万トンに満たない低水準である。冬漁は、近年は不漁が続き、2015年、2016年漁期と2年連続でほとんど水揚げがない状態であったが、2017年以降は兼業するスルメイカの不漁の影響もあり2年連続で500トン以上の水揚げがあった。一方、夏漁は、2018年の漁獲量は4,928トンで、2015年以降わずかではあるが漸増している。台湾の漁獲量は1990年代までは1万〜8万トンであったが、2000年代以降は1万トン以下と少なくなっている。中国の漁獲量は、1990年代後半に増加して1999年にピーク(約13万トン)を記録し、2000年代まで8万〜13万トン程度で推移した。2010年代は減少傾向にあり、7万トン以下となっており、2017年は3.9万トンと推定された。漁業国などの総計では、これら各国らの変化を反映し、1998年にピーク(約23万トン)を記録したが、それ以降減少傾向にあり、2017年は4.5万トンであった。

資源状態
秋生まれ群は、1992年末の公海流し網の操業停止以降、流し網調査による結果(CPUE:10反当たりの捕獲尾数)は、1年間の時間遅れを伴って約6倍に増加したことから、商業流し網の操業停止によりアカイカの資源が急速に回復したと示唆された。しかし、その後の流し網の調査の結果では、1997年に低下した後、1998年を除き、2003年まで低い値となっている。2001年以降の流し網調査のCPUEをもとにすると資源水準は高位に相当する。
冬春生まれ群の資源状態は、2008年以降の流し網調査のCPUEをもとにすると、2009年以降はCPUEが低い状態が続き、2014年以降、5年連続で資源水準は低位となっているが2018年は回復傾向が見られた。

管理方策
北太平洋におけるアカイカの資源単位としての4系群が提案されている。しかし、資源管理上は極めて複雑であることから、NPFCの科学委員会においては東経170度を境にして東西で統計データの集計が進められている。