--- 要約版 ---

61 サクラマス 日本系

Masu Salmon, Onchorhynchus masou masou


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図1

サクラマスとその近縁種の自然分布域


図S

日本における沿岸漁業と日本海沖合におけるサクラマスの漁獲量の推移

サクラマスの資源の現況(要約表)

資源水準 中位
資源動向 横ばい
世界の漁獲量
(最近5年間)
596〜1,367トン
最近(2017)年:596トン
平均:1,002トン
(2013〜2017年、日本とロシアの漁獲量合計)
我が国の漁獲量
(近年5年間)
593〜1,357トン
最近(2017)年:593トン
平均:994トン(2013〜2017年)
管理目標 現在の資源水準の維持
目標値:過去10年の平均沿岸漁獲量1,145トン
資源評価の方法 沿岸漁獲量による水準と動向の評価
再生産実態評価(産卵床数調査)を2018年から開始
資源の状態 2017年の沿岸漁獲量/目標値=0.52
管理措置 0+春・秋、スモルト放流数計2.6億尾
道県の内水面漁業調整規則などによる遊漁の制限(体長・持ち帰り数の制限、禁漁期の設定)
最新の資源評価年 行っていない
次回の資源評価年 行っていない

管理・関係機関
北太平洋溯河性魚類委員会(NPAFC)・日ロ漁業合同委員会

生物学的特性
  • 体長・体重:体サイズは個体群間変異が顕著。最大値の範囲は尾叉長40〜80 cm、体重0.5〜8 kg程度。
  • 寿命・成熟年齢:降海型個体は3〜4年
  • 産卵期・産卵場:産卵は分布域北部から始まり、7月から11月の間に1か月弱、河川中〜上流域で行う。
  • 索餌期・索餌場:河川では冬季以外(ただし、産卵遡上したサクラマスは索餌しない)。海洋では周年。
  • 食性:河川では、水生、陸生の無脊椎動物、稀に魚類。海洋では魚類や大型のプランクトン。
  • 捕食者:河川では魚類、鳥類、遡上親魚は中型哺乳類。海洋では海産哺乳類という指摘があるが、詳細不明。

利用・用途
生鮮での流通が中心である。主に、ルイベや塩焼き、フライ、ムニエルなどにして賞味される。魚卵の利用は、ほとんど見られない。富山県のます寿司の原料としても有名。また、本州日本海側では主に遊漁対象として漁業権魚種に指定されている河川も多い。

漁業の特徴
主に日本とロシアの沿岸で漁獲されている。ただし、ロシアでは、ハバロフスク地方や沿海地方でのサクラマスの商業漁獲は現在禁漁で、主たる漁獲はサハリン州でのカラフトマス漁業における混獲である。漁獲のほとんどは日本であり、沿岸域での定置網やます引き釣り、一本釣り、刺網、底びき網など様々な漁法が用いられる。

漁獲の動向
サケやカラフトマスと同様、日本沿岸で漁獲されるサクラマスの総量は1990年代以降、時折高水準を示しつつも年々減少する傾向にある。ただし、漁獲量の年変動パターンは道県によって異なる。最も顕著な減少を示しているのは富山県で、1980年代半ばは20トンを超える漁獲があったが、その後激減し、2006年以降の漁獲量は5トンに満たない。また、青森県も富山県ほど顕著ではないものの減少傾向を示しており、1990年代前半まではほぼ毎年300トンを超える漁獲があったが、2000年以降は200トン程度あるいはそれを下回る年も目立つようになった。一方、山形県、秋田県、岩手県、北海道の4道県では、直近の5年間でこれまでの最大年間漁獲量を更新することはなかったが、1990年代、2000年代と同程度に獲れている年も多く、減少傾向とはいえない。ただし、北海道に関しては、1970年代以前は毎年のように1,500トン以上漁獲されていたため、長期的には減少したと考えられる。

資源状態
1970〜1980年代と比べると漁獲量は全体的には減少しているが、年変動も大きい。ただし、2000年から2017年にかけての国内の沿岸漁獲量は極端に減少しているわけではない(平均1,129トン:593〜1,788トン)。したがって、資源水準は中位、資源動向は横ばいと判断した。ふ化放流事業による資源増殖の効果は懐疑的であるが、近年、河川分断化解消などの影響もあって、新たな産卵河川、個体群定着河川が確認されている。自然再生産による資源増加が期待され、今後の資源動向を注視する必要がある。

管理方策
放流効果は十分に得られていないだけでなく、近年の研究から、放流魚は野生魚を駆逐すること、放流による密度増加はヤマメ幼魚の成長率低下を招き、結果として将来的な漁獲対象であるスモルトの出現率が低下することが分かってきた。一方、近年漁獲されるサクラマスのうち70〜80%は野生魚であること、河川分断化解消などにより産卵河川が増加していることが報告されている。これらを踏まえると、ふ化放流事業よりも自然再生産に重点を置いた資源管理を検討する必要がある。