--- 要約版 ---

41 クロトガリザメ 全水域

Silky Shark, Carcharhinus falciformis


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図1

日本の主要漁港へのクロトガリザメの水揚量

本種の種別の水揚量は2006年以降コンスタントに記録され始めた。


図2

クロトガリザメの分布


図4

クロトガリザメの成長式

クロトガリザメ(全水域)の資源の現況(要約表)

資源水準 低位(中西部太平洋)
資源動向 減少(中西部太平洋)
世界の漁獲量
(最近5年間)
調査中
我が国の漁獲量
(近年5年間)
1〜12トン
平均:4トン(2010〜2014年)
管理目標 検討中
資源評価の方法 統合モデル(Stock Synthesis)
資源の状態* Fcurrent/FMSY=4.48
SBcurrent/SBMSY=0.7
(中西部太平洋)
管理措置 船上保持禁止(ICCAT、WCPFC)
漁獲物の完全利用など(IATTC、IOTC)
まき網における船上保持禁止(IATTC)
はえ縄漁獲量・小型個体の漁獲量制限(IATTC)
最新の資源評価年 2014年(東部太平洋)、2018年(太平洋)
次回の資源評価年 2019年(インド洋)

* 2018年に報告された太平洋全域の個体群を対象とした資源評価結果については、信頼性が低いとされているため、2013年の結果を残した。


管理・関係機関
全米熱帯まぐろ委員会(IATTC)
大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)
インド洋まぐろ類委員会(IOTC)
中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)
絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約、CITES)

生物学的特性
  • 体長・体重:全長3.5 m・346 kg
  • 寿命:22歳
  • 成熟開始年齢:雄6〜13歳、雌6〜15歳
  • 繁殖期・繁殖場:交尾期:晩春(5〜7月)、出産期:晩春(5〜7月)〜初夏または周年
  • 索餌期・索餌場:調査中
  • 食性:魚類
  • 捕食者:調査中

利用・用途
肉は生鮮食品や塩干物として食用に利用される。鰭はフカヒレスープの原料、皮は革製品の材料として利用されるほか、肝臓からはビタミン類が抽出され工業用、化粧品用などに利用される。

漁業の特徴
はえ縄やまき網漁業によって混獲される。まき網漁業では、集魚装置(FAD)を用いた操業での混獲が多く、混獲される板鰓類の大部分を占めるとされる。メキシコ湾やカリブ海では、本種を対象とした漁業が存在し、フカヒレスープの原料として鰭の採取を目的とした利用が進んだ結果、個体数が大きく減少した。東部太平洋では、本種はまき網、はえ縄、沿岸小規模漁業によって混獲されており、国別にはメキシコ、中央アメリカが漁獲量の大部分を占めている。インド洋においては、混獲のほか、遊漁、沿岸小規模漁業、準産業規模の漁業によって漁獲される。スリランカでは、本種を対象とした大規模漁業が存在する。日本においては、はえ縄および流し網によって漁獲されていた(なお、現在は、WCPFC、ICCATにおいては、本種の船上保持禁止措置が導入されている)。

漁獲の動向
我が国の主要漁港におけるさめ類の漁法別・種別水揚量の調査では、本種の種別の水揚量がコンスタントに記録され始めた2006〜2014年における本種の総水揚量は1〜12トンであった。時系列で見ると、総水揚量は2006〜2010年までは6〜12 トンの範囲で推移していたが、2011年には東日本大震災による影響により水揚量は1トンまで減少し、2012〜2013年には3〜4トンまで増加したが、2014年にはWCPFCによる本種の船上保持禁止措置が導入され、気仙沼近海はえ縄漁業者による水揚げがなくなったため、1トンまで減少した。漁法別に見ると、はえ縄による水揚量は、2014 年は規制の導入により0 トンであったが、それ以前は1〜10 トンで、クロトガリザメの総水揚量(2006〜2014 年の合計値)の65%を占めており、流し網による水揚量は0〜4トンで、本種の総水揚量の約24%を占めていた。2017年の我が国主要漁港における水揚量は0トンとなっている。

資源状態
中西部太平洋系群については、2012年から太平洋共同体事務局(SPC)の専門家グループによって統合モデルによる資源評価が行われ、現在の努力量がFMSYを大きく上回り(Fcurrent/FMSY = 4.48)、産卵親魚量もMSYレベルを下回る(SBcurrent/SBMSY = 0.7)ことから、特に2000年代以降の漁獲強度は過剰な状態にあり、資源も乱獲状態の可能性が極めて高いと結論付けられている。2018 年の中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)第14回科学委員会で報告された新たな資源評価結果は、2016年の親魚資源量は漁業が存在しないと仮定して推定した親魚資源量の47%であり(SB2016/SB0 = 0.47)、MSY水準を上回っている(SB2016/SBMSY = 1.18)ことから、資源は乱獲されていないものの、漁獲強度はMSY水準を上回っており(F2016/FMSY = 1.61)、過剰漁獲の状態にあると推定された。しかしながら、生物学的知見や漁獲データの不確実が大きく、これらの結果の信頼性は低く、太平洋内のクロトガリザメの空間構造や移動率に関する情報・理解を改善すること、より広範な海域の漁業データを収集し、不確実性を改善する必要があるとされた。 東部太平洋系群については、2014年にIATTC事務局により、まき網のオブザーバーデータなど利用可能な情報に基づく資源状態の傾向分析が行われ、1990年代初期〜中期にかけてCPUEが大きく減少し、その後は比較的安定して推移していることが示された。

管理方策
ICCAT、WCPFCにおいては、船上保持禁止措置が導入されている。IATTCおよびIOTCにおいては本種を対象とした保存管理措置はないが、漁獲されたさめ類の完全利用(頭部、内臓および皮を除く全ての部位を最初の水揚げまたは転載まで船上で保持すること)および漁獲データ提出が義務付けられている。また、東部太平洋のクロトガリザメに関しては、2016年のIATTC第90回年次会合において、2017〜2019年に、IATTC海域において@混獲された魚体の船上保持禁止(まき網漁船)、A航海毎の混獲量の上限を全魚種の漁獲量の20%以下に制限(さめを対象としないはえ縄漁船)、B体長100 cm以下の小型魚の漁獲量を本種漁獲量の20%以下に制限(浅縄を使用するはえ縄漁船)、などをはじめとする管理措置が勧告された。2016年9-10月に行われたワシントン条約第17 回締約国会議CITES COP17において、本種の附属書IIへの掲載が提案され、投票の結果可決された。この決定は2017 年10 月4日に発効したが、我が国は、商業漁業対象種は持続的利用の観点から、漁業管理主体である地域漁業管理機関または沿岸国が適切に管理していくべきとの立場などから、本種の附属書II掲載について留保している 。このため、我が国は、締約国に輸出する場合には輸出許可書が必要となるものの、海からの持ち込みについての証明書の発給は不要となっている。