--- 要約版 ---

38 アオザメ 全水域

Shortfin Mako, Isurus oxyrinchus


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図2

アオザメの分布


図1

日本の主要漁港へのアオザメ水揚量


図3

アオザメの年齢と成長(尾鰭前長)

NP、NA、SP、SA、IOはそれぞれ北太平洋、北大西洋、南太平洋、南大西洋、インド洋で推定された成長式であることを示す。Takahashi et al.(2017)およびRosa et al.(2017)の成長式はそれぞれ北太平洋、北大西洋の資源評価で用いられた。


図4

北太平洋におけるアオザメの標準化CPUEの年トレンド

黄色、黒、赤、緑、紫はそれぞれハワイ(浅縄)、日本(浅縄;1993年以前)、日本(深縄;1994年以降)、台湾、メキシコのはえ縄漁業データに基に相対化した値(推定値)を示す。


図5

統合モデルによって推定された北太平洋系群のa)資源量およびb)漁獲強度(漁獲死亡係数)の年変化

点線は95%信頼区間、青線は、MSY水準の資源量(a)および漁獲強度(漁獲死亡係数)(b)を示す。


図7

BSP2-JAGSによって推定された資源量(青線)と漁獲強度(赤線)の年変化(a:北大西洋系群、b:南大西洋系群)

資源量については、各年の資源量とMSY水準の資源量の比を示し、1未満であれば資源量水準が低いことを示す。漁獲強度については、各年の漁獲強度とMSY水準時の漁獲強度の比を示し、1より大きければ漁獲強度が適正水準よりも高いことを示す。


図10

インド洋(全域)における日本のはえ縄で混獲されたアオザメの標準化したCPUE

各折れ線は様々な報告率で抽出したデータに基づく解析結果を示す。

アオザメ(全水域)の資源の現況(要約表)

海域 北太平洋 南太平洋
資源水準 中位 調査中
資源動向 増加 調査中
世界の漁獲量
(最近5年間)
(2013〜2017年)
854〜1,081トン*
(水揚量)
最近(2017)年:
1,081トン
平均:1,102トン
調査中
我が国の漁獲量
(最近5年間)
(2013〜2017年)
764〜869トン(水揚量)
最近(2017)年:
869トン
平均:818トン
91〜198トン
最近(2017)年:
129トン
平均:140トン
管理目標 検討中 検討中
資源評価の方法 統合モデル 検討中
資源の状態 SA2016/SAMSY:1.36
1-SPR2016/1-SPRMSY:0.62
検討中
管理措置 漁獲物の完全利用など 漁獲物の完全利用など
最新の資源評価年 2018年
次回の資源評価年 2021年

* 北緯20度以北の漁獲量に基づく(一部にバケアオザメが含まれる)。2017年の値は暫定値。


海域 北大西洋 南大西洋
資源水準 低位 調査中
資源動向 減少 不明
世界の漁獲量
(最近5年間)
(2013〜2017年)
2,904〜3,646トン
(水揚量)
最近(2017)年:
3,112トン
平均:3,254トン
2,001〜3,273トン
(水揚量)
最近(2017)年:
2,742トン
平均:2,676トン
我が国の漁獲量
(最近5年間)
(2013〜2017年)
33〜89トン(水揚量)
最近(2017)年:89トン
平均:62トン
77〜181トン(水揚量)
最近(2017)年:96トン
平均:115トン
管理目標 MSY MSY
資源評価の方法 ベイジアンサープラスプロダクションモデルおよび統合モデル ベイジアンサープラスプロダクションモデルおよびCMSY(漁獲量と生産力情報に基づく資源評価手法)
資源の状態 B2015/BMSY:0.57〜0.95
F2015/FMSY:1.93〜4.38
B2015/BMSY:0.65〜1.75
F2015/FMSY:0.86〜3.67
管理措置 漁獲物の完全利用など
原則所持禁止(例外措置として、@オブザーバー乗船時に種々のデータ収集を行えば捕獲時死亡個体のみ採捕可能とする措置や、A一定のサイズ以上の個体であれば生死によらず採捕可能とする措置などがある。)
漁獲物の完全利用など
最新の資源評価年 2017年 2017年
次回の資源評価年 2019年(統合モデルアップデート)

海域 インド洋
資源水準 調査中
資源動向 不明
世界の漁獲量
(最近5年間)
(2013〜2017年)
調査中
我が国の漁獲量
(最近5年間)
(2013〜2017年)
99〜112トン
最近(2017)年:102トン
平均:105トン
管理目標 検討中
資源評価の方法 検討中
資源の状態 検討中
管理措置 漁獲物の完全利用など
最新の資源評価年
次回の資源評価年 2020年

管理・関係機関
大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)
みなみまぐろ保存委員会(CCSBT)
中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)
北太平洋まぐろ類国際科学委員会(ISC)
全米熱帯まぐろ類委員会(IATTC)
インド洋まぐろ類委員会(IOTC)

生物学的特性
  • 体長・体重:全長408 cm(推定)、505.8 kg
  • 寿命:雄20〜30歳、雌30〜40歳
  • 成熟開始年齢:雄5〜9歳、雌17〜21歳
  • 繁殖期・繁殖場:調査中(出産期は晩冬〜盛夏)
  • 索餌期・索餌場:温帯・熱帯域
  • 食性:魚類、頭足類
  • 捕食者:成魚は調査中、幼魚はホホジロザメ

利用・用途
肉はソテーやみそ漬け、練り物原料、鰭はフカヒレ、脊椎骨は医薬・食品原料、皮は革製品

漁業の特徴
本種は全世界の熱帯から温帯の沿岸から外洋まで普通に見られる種であり、まぐろはえ縄や沿岸流し網で混獲されている。さめ類の中では肉質が良いため商品価値は高い。太平洋においては、1975〜1992年までは流し網とはえ縄漁業による漁獲が大部分を占め、このうち1980年代以降は流し網による漁獲量が全体の半分以上を占めたが、公海流し網漁業がモラトリアムに入ってからは、大部分がはえ縄による漁獲となっている。大西洋においては、北部では1980年代は、遊漁とはえ縄漁業による漁獲がほぼ同程度であったが、1990年以降はほぼ9割以上がはえ縄による漁獲となっている。国別では、1997年以降はスペインの漁獲が急増する一方で日本の漁獲は減少し、スペイン・ポルトガル・米国による漁獲が全体の大部分を占める。南大西洋では、ほぼ全ての漁獲がはえ縄によるもので、国別漁獲量は1990年代中盤以降、スペイン、ナミビア、ポルトガルによる漁獲が全体の6割以上を占めている。インド洋では、遊漁、沿岸小規模漁業、準産業規模の漁業によって漁獲されるほか、まぐろ・かじき類を対象としたはえ縄漁業において混獲されている。日本においては、遠洋はえ縄は冷凍、近海はえ縄や沿岸流し網は氷蔵で水揚げされている。

漁獲の動向
我が国の主要漁港におけるさめ類の漁法別・種別水揚量の調査では、1992〜2017年の日本の漁港への水揚量は554〜1,479トンで、その内はえ縄による水揚量が473〜1,308トンと大部分を占めており(アオザメ総水揚量の約84%)、流し網が続いて多かった(アオザメ総水揚量の約16%)。2011年の水揚量は、東日本大震災の影響から前年に比べて減少し、約550トンであったが、2012年には約850トンまで回復した。その後は、780〜870トンの範囲を推移している。2011年を除けば1992年以降特に顕著な増減傾向はなく、さめ類の総漁獲量に占める割合(2006〜2017年)は6.2〜7.7%であった。

資源状態
北太平洋の系群については、2018年4月に統合モデルによる北太平洋のアオザメの資源評価が初めて行われた。2015年のインディケーター解析以降漁業・生物データを大きく改善した結果、ベースケースでは、MSYを管理基準とした場合、2016年の親魚資源量はMSY水準を36%上回り、2016年の漁獲強度はMSY水準の62%に相当したことから、北太平洋系群は乱獲状態でもなく、過剰漁獲の状態でもないと推定された。複数のシナリオに基づく感度解析でも同様の傾向が確認され、将来予測の結果は現在の平均的漁獲強度下において、2017-2026年にかけて資源は緩やかに増加することが示された。将来予測の結果と資源量指数や親魚量、加入量は安定して推移していることなどを合わせて考えると、北太平洋系群の資源の動向は増加傾向にあると推定される。インド洋系群については、これまで資源評価が行われておらず、現状でインド洋全体としての資源動向は不明であり、当該系群の資源状態に関する国際的な合意事項は存在しない(2020年に資源評価が行われる予定)。1990年代初期以降、当該海域の我が国漁船の漁業データに基づき推定した標準化CPUEには、顕著な増減傾向が認められていない。大西洋系群については、2017年に資源評価が行われ、北大西洋系群については、現在(2015年)の資源量はMSY水準以下(B2015/BMSY = 0.57〜0.95)、現在の漁獲強度はMSY水準以上(F2015/FMSY = 1.93〜4.38)との結果をもとに、資源水準は乱獲状態であり過剰漁獲が行われているとされた。複数の資源評価モデルにより、資源量や親魚量・加入量が減少傾向にあることから、北大西洋系群の資源動向は、減少傾向にあると推定される。南大西洋系群の現在(2015年)の資源水準は、乱獲状態の可能性があり(B2015/BMSY = 0.65〜1.75)、過剰漁獲が起こっている可能性がある(F2015/FMSY = 0.86〜3.67)とされたが、評価結果は不確実性が高く、信頼性が低いとされた(正確な資源動向は不明)。北大西洋系群については、2019年に統合モデルによる将来予測を中心としたアップデートが行われる予定である。

管理方策
全てのまぐろ類地域漁業管理機関において、漁獲されたさめ類の完全利用(頭部、内臓および皮を除く全ての部位を最初の水揚げまたは転載まで船上で保持すること)および漁獲データ提出が義務付けられている。加えて、WCPFCでは、2014年の年次会合において、@まぐろ・かじき類を対象とするはえ縄漁業は、ワイヤーリーダー(ワイヤー製の枝縄およびはりす)またはシャークライン(浮き玉または浮縄に接続された枝縄)のいずれかを使用しないこと、Aさめ類を対象とするはえ縄漁業は、漁獲を適切な水準に制限するための措置などを含む管理計画を策定すること、が合意された。これを受け、北太平洋系群のヨシキリザメを漁獲対象としている気仙沼の近海はえ縄漁業において、年間のアオザメの水揚げ量の上限を600トンにすること、1 m以下のアオザメをできるだけ放流することなどの取組を定めた管理計画が2016年1月1日より5年間実施されている。
また、大西洋系群については、2017年の資源評価の結果を受けて、北大西洋系群について原則所持禁止とするが、オブザーバーが乗船し生存放流・死亡投棄個体数などのデータを収集する条件で死亡個体の保持を認める、或いは生死に限らず一定サイズ以上の個体については保持を認めるなどの例外措置を盛り込んだ管理勧告が採択された。併せて同管理勧告の中で、科学委員会は2019年にこれらの措置の有効性を評価し、必要に応じて変更および追加の管理勧告を行うこととされている。