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31 カツオ インド洋

Skipjack, Katsuwonus pelamis


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最近の動き

2017年10月にIOTC熱帯性まぐろ作業部会によって新たな資源評価が行われ、資源状態は点推定でKobeプロットのイエローゾーンとグリーンゾーンの境界にあり、不確実性を考慮するとグリーンゾーン確率が最も高いことが示された。資源評価結果に基づき、同年11-12月のIOTC科学委員会にて、前年に採択された漁獲管理ルール(HCR:Harvest Control Rule)に基づくTACの計算結果470,029トンが示され、2018〜2020年のTACとして勧告された。総漁獲量は2006年の62万トンをピークに2012年(34万トン)まで減少を続けていたが、2013年(43万トン)には前年より増加し、その後2015年には40万トンまで減少したものの、その後増加し、2017年には51万トンであった。2012年までの減少の原因は主として、ソマリア沖の海賊の活動範囲が広がったため、沿岸国の漁船が操業できなくなったこと、EUまき網船が大西洋など他の海域へ移動し、漁獲努力量が減少したことがあげられる。


利用・用途

缶詰、かつお節、乾燥品などの加工品の原料として利用される。


図1

図1. ソマリア沖EUまき網努力量(1度区画)分布図

海賊問題がなかった2007年(黄枠)、海賊の影響が見られる2008〜2011年(赤枠)、海賊の影響がなくなった2012〜2014年(緑枠)。円グラフの赤、緑、青、紫はそれぞれ第1〜第4四半期を表す。


図2

図2. インド洋カツオの国別漁獲量(1950〜2017年)(IOTCデータベース:2018年11月)


図3

図3. インド洋カツオの漁法別漁獲量(1950〜2017年)(IOTCデータベース:2018年11月)


図4

図4. EUスペインまき網漁業群れ別(漁獲量:千トン)(Soto and Fernández 2015)

F.SCHOOL:素群れ操業、LOG:付き物操業


図5

図5. インド洋カツオの海域別漁獲量(1950〜2017年)(IOTCデータベース:2018年11月)

F57:東インド洋(FAO海域57)、F51:西インド洋(FAO海域51)


図6

図6. インド洋カツオの分布域、産卵域および漁場


図7

図7. EUまき網、モルディブ竿釣りおよびスリランカ流し網によるカツオ標準化CPUE(IOTC 2017a)


図8

図8. SS3で使用されたカツオの成長式(緑色の曲線)(IOTC 2017a)

赤:Anganuzzi and Million(pers. comm.)、青:Eveson(2011)による成長式。


図9

図9. SS3で使用したカツオの体長別成熟割合(Sharma and Herrera 2014)


図10

図10. SS3による資源評価結果(神戸プロット:stock trajectory)(IOTC 2017a)

矢印は最新年(2016年)の状態を、灰色の丸は個別のシナリオによる最新年の状態を表す。


付表1. インド洋カツオの国別漁獲量(1950〜2017年)(トン)(IOTCデータベース:2018年11月現在)

付表1

***: 操業なし


付表2. インド洋カツオの漁法別漁獲量(1950〜2017年)(トン)(IOTCデータベース:2018年11月現在)

付表2

***: 操業なし


付表3. インド洋カツオの海域別漁獲量(1950〜2017年)(トン)(IOTCデータベース:2018年11月現在)

F51:西インド洋(FAO海域51)およびF57:東インド洋(FAO海域57)。

付表3

漁業の概要

1980年代初頭まではモルディブによる竿釣り、インドネシア、スリランカなどによる流し網を含む沿岸漁業の比率が高かった。総漁獲量は1950年から年々微増し、1983年には7万トン弱となった。西インド洋でEUによるまき網漁業が本格化した1984年に総漁獲量は11万トン台、1988年に20万トン台、1993年に30万トン台、1999年に40万トン台、2005年に50万トン台、2006年に60万トン台と急増し続けた。しかし2007年以降は、ソマリア沖海賊の活動範囲が拡大したため、沿岸国のまき網船および流し網船が操業できなくなり、EUまき網船が大西洋など他の海域へ移動し漁獲努力量が減少した(図1)。そのため、漁獲量は急減し、2012年には34万トンとなり、1994年以来最低レベルとなった。ただし、2012年に海賊活動がなくなった後には漁獲量が増加し、2013年には43万トン、2014年(42万トン)もほぼ同じレベルであった。2015年は40万トンとなりやや減少したが、その後増加し、2017年には51万トンになった(2018年9月までに報告された漁獲量、以下同様)(図2、付表1)。

最近5年間(2013〜2017年)の平均漁獲量は44万トンと推定されている。漁獲量の多い上位6か国は、インドネシア(5年間の平均漁獲量:7.5万トン)、モルディブ(7.4万トン)、スペイン(7.0万トン)、スリランカ(5.3万トン)、セーシェル(4.6万トン)、イラン(4.1万トン)となっている(図2、付表1)。

最近5年間の平均漁獲量のうち、43%がEU(スペイン、フランス)とセーシェルなどのまき網漁業、21%がモルディブなどの竿釣り漁業、20%が流し網漁業(主にインドネシア、イラン、スリランカ)、16%がその他の漁業という内訳になっている(図3、付表2)。2006年までは全漁法での漁獲量が増加する傾向にあったが、そのうちまき網の漁獲増大の比率が高く、FADの利用拡大によるところが大きかった。まき網による漁獲のうち、最近では80%以上がFAD操業によるものである(図4)。また、西インド洋(FAO海域51)と東インド洋(FAO海域57)における最近5年間(2013〜2017年)の平均漁獲量の割合は、71%、29%となっている(図5、付表3)。

インド洋における日本漁船によるカツオの漁獲は、ほとんどがまき網によるものである。インド洋における日本のまき網漁業は、1957年からまき網船1〜2隻が1980年代半ばまで操業していた。1988年以降は、漁船数が増加し最多時にはまき網船数は11隻(1991〜1994年)となり、1992〜1993年のカツオの漁獲量は3万トンを超えた。また、1977年から2012年まで、旧:水産総合研究センター開発調査センターおよび旧:海洋水産資源開発センターの調査船「(新・旧)日本丸」がインド洋全域で、2013年以降は同センター(現:水産研究・教育機構開発調査センター)調査船第一大慶丸がインド洋東部で試験操業を行っている。1994年以降まき網漁船数は徐々に減少し2010〜2014年には日本丸もしくは第一大慶丸の試験操業1隻のみであったが、2015年には当業船も加わり3隻に増加した。この間(2010年以降)のカツオの漁獲量は500〜2,900トンで推移している。


生物学的特性

カツオは3大洋全ての熱帯〜温帯水域、おおむね表面水温15℃以上の水域に広く分布する。インド洋では南緯40度以北に分布するが、紅海・ペルシャ湾には見られない(図6)。インド洋のカツオ資源は他2大洋とは別系群と考えられている(Matsumoto et al. 1984、Stéquert and Marsac 1986、Adam 1999等による)。

インド洋のカツオを対象とした成長研究では確実な年齢形質が確認されておらず、標識魚の放流・再捕データを使っても生活史の限られた期間における成長を推定するにとどまっている。体長組成解析からは満1歳で30 cm台、満2歳で50 cm台、満3歳で60 cm台に達する成長パターンが示されている。また、2012年のインド洋まぐろ類委員会(IOTC)熱帯性まぐろ作業部会において、標識データに基づく成長式が示された。体長−体重関係は、尾叉長50 cmでおおむね2.5 kgとされる。寿命は7歳と考えられている(IOTC 2014)。

成熟は尾叉長39〜43 cmで開始し、産卵は表面水温24℃以上の水域で広く行われ、仔魚は南緯30〜36度から北緯11〜15度まで出現する。産卵期は海域によりピークが見られるが、周年と考えられる(IOTC 2014)。

餌は魚類・いか類・甲殻類で、カツオ成魚の捕食者はさめ・かじき類が挙げられている。また、未成魚以下の成長段階における捕食者は、他大洋と同様、カツオ自体を含めた高度回遊性魚類のまぐろ類・かじき類、その他大型の魚食性魚類や海獣、海鳥である。


気候変動がカツオ・キハダ漁況へ与える影響

「14. キハダ(インド洋)詳細版」を参照。


資源状態

インド洋のまき網操業による漁獲量は、エル・ニーニョやダイポール現象の影響を受ける。カツオに対する漁獲努力の変動は、キハダ等の漁況の好・不調とも関連している。さらに、まき網の資源量指標を定義するのが難しいなど、本種の資源評価は困難であった。そのため、最近まで資源評価が実施されなかったが、第13回IOTC熱帯まぐろ作業部会(2011年)から竿釣りの標準化CPUEを用いることにより資源評価が実施されるようになった。最新の資源評価は2017年にIOTC第19回熱帯まぐろ作業部会でSS3(統合モデル)により実施された。資源量指数として、モルディブの竿釣りおよびEUまき網標準化CPUEが用いられた(図7)。また、空間構造は考慮せず、自然死亡率は2通り(0.8で固定、推定)、成長式は、ベルタランフィー2-stanza(変曲点あり)(Eveson et al. 2015)を使用した(図8)。資源評価では、5つのパラメータ(自然死亡係数、steepness、標識混合期間、標識データ、標識死亡率)の組み合わせによる48のシナリオを設定し、それらのうちふさわしくない(フィットがよくない)組み合わせを除いた36シナリオのメディアンで代表させた。図9は、SS3で使用した体長別成熟割合を示している。

結果として、最新年(2016年)の状態は、点推定ではバイオマスはグリーンゾーンとイエローゾーンの中間で、不確実性を考慮するとグリーンゾーン確率が47%と最も高かったものの、レッドゾーンも38%とかなり高い確率であった(図10)。なお、管理基準値としてはMSYベースではなく初期バイオマスベース(資源評価開始年時点における資源量との比)が用いられた。資源水準は、相対資源量(SSB2017/SSBtarget)が1.0付近であることから中位とし、資源動向は相対資源量の最近年の推移を基に横ばいと判断した。


管理方策

2017年のIOTC第19回熱帯まぐろ作業部会の資源評価結果を受け、IOTC第20回科学委員会は、すでに採択されていたHCRを適用し、TACが470,029トンという計算結果を示し、2018〜2020年のTACとして勧告した(IOTC 2017b)。2015年のIOTC年次会合では暫定管理基準値に関する決議、FADワーキンググループの設立およびFAD数制限(1隻あたり550基まで)が決議として採択された(IOTC 2015)。2016年5月のIOTC年次会合では、主としてキハダのための管理措置として、支援船の数はまき網船の半数を超えず、FAD数は同時に稼働する数が425基/隻、年間最大設置数を850基/隻までとする決議およびHCRに関する決議が採択された。2017年5月の年次会合では、支援船の数は段階的に削減(2018-19年にはまき網船2隻に対して支援船1隻まで、2020-22年には5隻に対して2隻まで)、FAD数は同時に稼働する数が350基/隻、年間最大設置数を700基/隻までと改訂された。


カツオ(インド洋)の資源の現況(要約表)*

資源水準 中位
資源動向 横ばい
世界の漁獲量
(最近5年間)
40万〜51万トン
最近(2017)年:51万トン
平均:44万トン(2013〜2017年)
我が国の漁獲量
(最近5年間)
522〜2,851トン
最近(2017)年:2,851トン
平均:1,756トン(2013〜2017年)
管理目標 初期バイオマスベース管理基準値
資源評価の方法 統合モデル(Stock Synthesis)による解析
竿釣りおよびまき網漁業CPUE、標識データおよび漁獲動向などにより水準と動向を評価
資源の状態 漁獲努力量も資源量も不確実性を考慮すると管理基準値を達成している確率が最も高く、過剰な漁獲や乱獲状況には至っていない。
管理措置 TAC:47万トン(2018〜2020年)
HCRによる管理。全長24 m以上の漁船の総隻数などの制限。FAD数を1隻で同時に稼働する数が350基、年間最大設置数が700基までに制限(その他の漁業・漁船管理方策はインド洋メバチ詳細版参照)。
管理機関・関係機関 IOTC
最新の資源評価年 2017年
次回の資源評価年 2020年(予定)

* 2016年までのデータを使用した資源評価の結果に基づく


執筆者

国際水産資源研究所 業務推進課 国際海洋資源研究員

松本 隆之

国際水産資源研究所 業務推進課

西田 勤


参考文献

  1. Adam, M.S. 1999. Population dynamics and assessment of skipjack tuna (Katsuwonus pelamis) in the Maldives. Doctoral thesis of the University of London. 302 pp.
  2. Eveson, J.P. 2011. Preliminary application of the Brownie-Petersen method to skipjack tag-recapture data. IOTC-2011-WPTT-13-31Rev_1.
  3. Eveson, J.P., Million, J., Sardenne, F., and Le Croizier, G. 2015. Estimating growth of tropical tunas in the Indian Ocean using tag-recapture data and otolith-based age estimates. Fisheries Research: Indian Ocean Tuna Tagging Programme special issue.
  4. IOTC. 2014. Report of the Seventeenth Session of the IOTC Scientific Committee, December, 2014. 357 pp. http://www.iotc.org/sites/default/files/documents/2014/12/IOTC-2014-SC17-RE_-_FINAL_DO_NOT_MODIFY.zip(2014年12月26日)
  5. IOTC. 2015. Report of the 19th Session of the Indian Ocean Tuna Commission. 155 pp. http://www.iotc.org/modules/file/icons/application-pdf.png(2017年1月6日)
  6. IOTC. 2016. Report of the 19th Session of the IOTC Scientific Committee, December, 2016. 215 pp. http://www.iotc.org/sites/default/files/documents/2016/12/IOTC-2016-SC19-RE_-_FINAL_DO_NOT_MODIFY.pdf(2017年1月5日)
  7. IOTC. 2017a. Report of the 19th Session of the IOTC Working Party on Tropical Tunas, IOTC-2017-WPTT19-R [E]. 118 pp. http://www.iotc.org/sites/default/files/documents/2017/11/IOTC-2017-WPTT19-RE_-_FINAL_DO_NOT_MODIFY.pdf(2017年12月20日)
  8. IOTC. 2017b. Report of the 20th Session of the IOTC Scientific Committee, December, 2017. 232 pp. http://www.iotc.org/sites/default/files/documents/2017/12/IOTC-2017-SC20-R_E.pdf(2017年12月21日)
  9. Matsumoto, W.M., Skillman, R.A., and Dizon, A.E. 1984. Synopsis of biological data on skipjack tuna, Katsuwonus pelamis. NOAA Tech. Rep. NMFS Circ., 451: 1-92.
  10. Sharma, R., and Herrera, M. 2014. Indian Ocean Skipjack Tuna Stock Assessment 1950-2013 (Stock Synthesis). IOTC-2014-WPTT16-43 Rev_2.
  11. Soto, M., and Fernández, F. 2015. Statistics of the purse seine Spanish fleet in the Indian ocean (1990-2014). IOTC-2015-WPTT17-13. 30 pp.
  12. Stéquert, B., and Marsac, F. 1986. La pêche de surface des thonidés tropicaux dans l’Océan Indien. FAO fisheries technical paper 282. FAO, Rome, Italy. xiv + 213 pp.