--- 要約版 ---

26 ニシマカジキ 大西洋

White Marlin, Tetrapturus albidus


PIC

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図4

ニシマカジキの分布


図1

ニシマカジキの国別漁獲量


図2

ニシマカジキの海域別・漁法別漁獲量


図5

漁業別資源量指数

破線は個々の資源量指数を、黒実線はそれらを1つに併せた資源量指数を示す。


図6

推定された相対資源量(青線)および相対漁獲死亡率(赤線)の歴史的推移

上図はプロダクションモデルの、下図は統合モデルの結果を示す。資源量および漁獲死亡係数はMSY水準に対する相対値として示してある。相対資源量は、プロダクションモデルでは総資源量、統合モデルでは産卵親魚量に基づく推定値。

ニシマカジキ(大西洋)の資源の現況(要約表)

資源水準 低位
資源動向 微増
世界の漁獲量*
(最近5年間)
401〜637トン
最近(2017)年:401トン
平均:491トン(2013〜2017年)
我が国の漁獲量*
(最近5年間)
6〜24トン
最近(2017)年:10トン
平均:11トン(2013〜2017年)
管理目標 MSY:目標値874〜1,604トン
資源評価の方法 ASPIC (a stock-production model incorporating covariates)およびStock Synthesis 3
資源の状態 おそらくB2010<BMSY
おそらくF2010<FMSY
管理措置 2019年のTACを400トンとする(日本の割当量は35トン)。
スポーツフィッシングについてオブザーバー乗船(5%)、サイズ規制、漁獲物の売買禁止。
最新の資源評価年 2012年
次回の資源評価年 2019年

* 漁獲量には、いずれもラウンドスケールスピアフィッシュの漁獲が混入していると考えられる。


管理・関係機関
大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)

生物学的特性
  • 体長・体重:200 cm(下顎‐尾叉長)・44 kg
  • 寿命:不明
  • 成熟開始年齢:不明
  • 産卵期・産卵場:春、熱帯域
  • 索餌期・索餌場:夏、温帯域
  • 食性:おそらく魚類、いか類
  • 捕食者:大型歯鯨類、まぐろ・かじき類などが小型個体を捕食する場合がある。
※2006年に本種に外見がよく似たラウンドスケールスピアフィッシュが新種として記載された。これ以前に行われた本種の生物学的研究には、ラウンドスケールスピアフィッシュの標本が混入していると考えられる。

利用・用途
刺身、寿司、切り身(ステーキ)、マリネ。

漁業の特徴
本種を主対象として漁獲している漁業は米国、ベネズエラ、バハマ、ブラジルなどのスポーツフィッシングとカリブ海諸国やアフリカ西岸諸国の沿岸零細漁業であるが、漁獲量の大部分は台湾、日本、ブラジルなどのはえ縄漁業の混獲によるものである。近年、ベネズエラ、トリニダード・トバゴなどのカリブ海諸国やブラジルの零細漁業の漁獲の割合が多い。最近本種に外見が極めてよく似たラウンドスケールスピアフィッシュ(Roundscale Spearfish, Tetrapturus georgii)という新種の存在が確認され、ニシマカジキの報告漁獲量の中に本種の漁獲が含まれていることがわかった。現在までのところICCATのニシマカジキの漁獲統計はこの2種を一緒に計上している。

漁獲の動向
本種の漁獲の大半ははえ縄漁業によるものであり、1980年代半ば以降は南大西洋での漁獲が、北大西洋を上回っていたが、2010年からは北大西洋の漁獲量がやや多くなっている。本種の総漁獲量は1960年代に約5,000トンまで達した後、1970年代に2,000トン前後に急減し、2000年までの間に1,000〜2,000トンの間で推移した。その後総漁獲量は緩やかな減少傾向を示し、2009年までは600トン前後で推移したが、2010年以降再び減少し、2017年は暫定値で401トンと報告されている。日本の漁獲量は、1990年代前半までは100トンを上回っていたが、それ以降減少を続け、近年の漁獲量は6〜24トンであり、2017年は10トンであった。

資源状態
2012年5月にICCATにおいてプロダクションモデルと統合モデルを用いて資源評価が行われた。資源はこれまで高い漁獲圧を受けてきたが、現在は漁獲圧も減少し、現在の漁獲死亡係数の水準はMSYレベルよりも低くなっている可能性が高いが、資源量はいまだにMSYレベルよりも低くなっていると考えられる。また、評価に用いた両モデルでは資源の生産性の推定値が異なり、後者の方が前者と比べて資源の回復が早いという結果になったが、現有の情報ではどちらの結果も同程度の確率で起こりうるとされた。これらの結果は、報告された漁獲量がニシマカジキの漁獲死亡を正しく反映しているという仮定によっているが、生存放流個体の死亡率が高かったと仮定した場合は、推定される資源状況は悲観的になり、現在でも過剰漁獲の状態にあることを示した。以上の結果から、資源量は、MSYを下回っている可能性があるものの、漁獲量は減少しているため、資源水準は定位、資源動向は微増と判断される。

管理方策
2012年に行われた資源評価結果を受けて、大西洋のニシマカジキ資源に対しては、2013〜2015年の間のTACを400トンとすることが合意された(2016〜2018年も継続)。日本の割当量は年間35トンである。また、割当量の消化が近づいた場合には、生きて漁獲された個体をできるだけ放流後の生存率が高くなるように放流することが勧告された。また、資源解析・評価の実施に当たって問題となった、生存放流および死亡投棄個体数の推定方法の報告、スポーツフィッシングについてはオブザーバーの乗船(カバー率5%)、サイズ規制と売買の禁止が勧告されている。2018年のICCATでは、2019年のTACを1ヶ年延長し400トンとすることが合意されるとともに、放流後の死亡率を最小化するよう取り組むことが勧告された。