--- 要約版 ---

16 メバチ 東部太平洋

Bigeye Tuna, Thunnus obesus


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図1

太平洋におけるメバチの分布域

赤色と緑色を合わせた海域が索餌域(分布域)。赤色が産卵域(年平均表面水温24℃以上)。


図S-2

東部太平洋におけるメバチの漁法別漁獲量


図S-3

東部太平洋におけるメバチの国別漁獲量


図S-4

東部太平洋におけるメバチの年齢ごとの尾叉長(cm)と体重(kg)の関係


図4

東部太平洋におけるメバチのF/FMSYとSB/SBMSYの推移(水色丸が現状と95%信頼区間)

白い△は、解析開始年(1975年)。破線は暫定限界管理基準値を示す。横軸の破線は、親子関係を想定(スティープネス0.75)し、かつ漁業がないと仮定したときの産卵資源量の加入量の50%を得るための産卵資源量で0.38*SBMSYに相当する。縦軸の破線は、そのときの漁業の強さで1.6*FMSYに相当する。

メバチ(東部太平洋)の資源の現況(要約表)

資源水準 中位
資源動向 増加
世界の漁獲量
(最近5年間)
8.6万〜10.5万トン
最近(2017)年:10.1万トン
平均:9.6万トン(2013〜2017年)
我が国の漁獲量
(最近5年間)
0.8万〜1.4万トン
最近(2017)年:0.8万トン
平均:1.2万トン(2013〜2017年)
管理目標 検討中
資源評価の方法 統合モデル(Stock Synthesis)
資源の状態 SB2018/SBMSY=1.02
F2015-2017/FMSY=1.14
管理措置 ・2017年〜2020年におけるまき網漁業の禁漁期間を拡大(62日⇒72日、一部漁法に設定されていた漁獲上限は廃止)
・2018年〜2020年においてまき網漁業で使用可能な集魚装置(FAD)の数を大型まき網漁船で450個に制限
・はえ縄漁業:国別メバチ漁獲枠の設定(我が国漁獲枠は32,372トン)
最新の資源評価年 2018年
次回の資源評価年 2020年

管理・関係機関
全米熱帯まぐろ類委員会(IATTC)

生物学的特性
  • 体長・体重:尾叉長2.0 m・200 kg
  • 寿命:10〜15歳
  • 成熟開始年齢:3歳
  • 産卵期・産卵場:周年、表面水温24℃以上の海域
  • 索餌期・索餌場:温帯域
  • 食性:魚類、甲殻類、頭足類
  • 捕食者:まぐろ・かじき類、さめ類、海産哺乳類

利用・用途
刺身や缶詰原料

漁業の特徴
主要な漁業は、はえ縄とまき網。1975〜1993年は、はえ縄による漁獲が大部分を占めていたが、1990年代に入って集魚装置(FAD)を使用したまき網操業が発達すると、まき網の漁獲が急増すると共にはえ縄の漁獲が減少した。まき網漁業について、当初は米国船が多かったが、1970年代の終わり頃からメキシコ、ベネズエラ船が増加するとともに米国船が減少し、1990年代に入ると、エクアドルやバヌアツ船が増加した。伝統的にいるか付き操業と素群れ操業が行われてきたが、これらは主としてキハダを漁獲していた。1990年代にFAD操業が発達すると、まき網によるメバチの漁獲量が急増した。まき網船の隻数は2017年には254隻、魚艙容量26.3万m3と過去最高値を記録した。2013年以降、連続して隻数と魚艙容量が共に増加している。はえ縄漁業について、我が国漁船は、当初は缶詰などの加工品原料としてキハダとビンナガを漁獲していたが、1970年代半ばには、刺身需要の増加と冷凍設備の改善によってメバチへと主たる対象魚種を変更した。2000年以降、南北アメリカ沿岸域への出漁が減少し、現在は、赤道を挟んだ南北15度の範囲が主な漁場となっている。台湾船は1960年代から出漁しているがビンナガを主対象としており、韓国船は1970年代半ばから操業がある。このほかに、中国、米国、バヌアツなどが漁獲を行っている。

漁獲の動向
1975〜1993年までは、はえ縄による漁獲が大部分(88%)を占めており、1986年に10万トンに初めて達した。その後、1990年代に入ってFADを使用したまき網操業が発達すると、まき網の漁獲が急増すると共にはえ縄の漁獲が減少した。2000年にピーク(14.3万トン)を記録した後、減少傾向となり、2017年には10.1万トン(予備集計)となった。この年、まき網とはえ縄の割合はまき網が65.2%、はえ縄が34.8%であった。

資源状態
資源評価は2018年にIATTC事務局により行われた。MSYは9.5万トンと推定され、2017年の漁獲量より小さい。2018年当初の産卵資源量はMSYレベル(SB2018/SBMSY=1.02)。2014〜2017年の平均漁獲努力は、MSYレベルよりやや大きい(F2015-2017/FMSY=1.14、Fmultiplier=0.87)と推定された。SBMSYおよびFMSYは暫定目標管理基準値(Interim Target Reference Point)であるので、2017年当初の本資源は適正なレベルであり、本資源への近年3か年の漁獲努力は、適正レベルであったと推定される。また、資源水準は中位、動向は増加と判断できる。ただし、本資源評価結果は不確かで、資源評価の包括的な見直しが必要と考えられており、2018年のIATTC第93回年次会合ではこの資源評価結果は示されず、カツオと同様に複数の漁業指標(CPUE、漁獲サイズなど)が示されたに過ぎない。

管理方策

■2017年7月に開催された第92回会合において、2017年から2019年については、(ア)2017年〜2020年におけるまき網漁業の禁漁期間を拡大(62日⇒72日、一部漁法に設定されていた漁獲上限は廃止)、(イ)2018年〜2020年においてまき網漁業で使用可能な集魚装置(FAD)の数を大型まき網漁船で450個に制限、(ウ)はえ縄漁業の国別メバチ漁獲枠設定の維持(我が国漁獲枠は32,372トン)といった保存管理措置が採択された。2018年8月に開催された第93回会合において、まき網漁船が使用する集魚装置(FAD)を使用した操業回数の制限などについて議論が行われたが、合意に至らず、議論を継続することになった。


漁獲管理ルール

■2014年の第87回年次会合で、暫定的に管理基準値(限界管理基準値と目標管理基準値)が合意された。2016年7月の第90回年次会合で、以下を内容とする漁獲管理ルールの大枠が合意された。漁獲管理ルールは、意志決定のためのル−ルであり、目標管理基準値を達成し、かつ限界管理基準値を避けることを目的とした事前に合意された複数の管理方策の集まりである。

  1. 最も厳しい管理を必要とする魚種については、例えば禁漁などの管理方策などの措置を、まき網漁業に対しては複数年固定できるものとし、漁獲の強さが、目標管理基準値(FMSY;最大持続生産量(MSY)を達成する漁獲の強さ)以上とならないように維持する。
  2. 漁獲の強さが、限界管理基準値(FLIMIT;親子関係を想定し、加入が初期資源加入量の50%に減少する状態における産卵親魚量を維持する漁獲の強さ)を超過する確率が10%以上となる場合は、50%の確率で目標管理基準値(FMSY)以下となるまで削減し、かつ限界管理基準値(FLIMIT)を超過する確率を10%以下となる措置を可能な限り早期に実施する。
  3. 産卵親魚量が、限界管理基準値(SLIMIT;親子関係を想定し、加入が初期資源加入量の50%に減少する状態における産卵親魚量)を下回る確率が10%以上となる場合は、50%以上の確率で目標管理基準値(SMSY;MSYを達成する水準の産卵親魚量)まで回復させ、かつ限界管理基準値(SLIMIT)を下回る確率を10%以下とする措置を2世代以内と5年以内のどちらか、より長いほうの期間中に実施する。
  4. まき網漁業以外の漁業に関する追加規制をIATTC事務局職員が勧告する際には、対象資源に与える相対的な影響も踏まえ、まき網漁業で採択された措置と可能な限り一貫性を持たせる。
  5. 上記の漁獲管理ルールに加えて、IATTC事務局職員が、今後、さまざまな漁獲管理ルールを科学諮問小委員会に提案し、IATTC委員会は恒久的な漁獲管理ルールを決定してゆく。