--- 要約版 ---

75 サンマ 北太平洋

Pacific Saury, Cololabis saira

                                               
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図4

サンマの分布域(索餌場と産卵・生育場)と日本漁船及び公海における外国漁船の主漁場位置


図5

サンマの日齢と体長(左)、日齢と体重(右)の関係式
Gompertzの成長曲線にあてはめて推定した。


図1

北太平洋におけるサンマの漁獲量
漁業・養殖業生産統計年報(農林水産省)を基に作成。1995年以降は外国の漁獲量(NPFCの資料)を追加。


図6

2017年のNPFCにおける資源評価で推定されたサンマの資源量の推移
日本の調査船による分布量を定量的に用いて解析した日本、中国、台湾の結果を示す。


図7

2017年のNPFCにおける資源評価結果
KOBEプロットで示された日本の評価結果の例。日本の調査船による分布量を定量的に用いた場合で示した。


図9

日本の調査船調査(表層トロール)から推定した海区別サンマの分布量
(表層トロール調査を実施した2003〜2017年の結果)。


図11

サンマの標準化CPUEの推移(計算を実施した1980〜2016年のみ)
日本のさんま棒受網漁船の漁獲資料を基に解析した。



サンマ(北太平洋)の資源の現況(要約表)

                       
資源水準 中位
資源動向 減少
世界の漁獲量
(最近5年間)
35.2万〜62.8万トン
最近(2016)年:35.4万トン
平均:44.5万トン(2012〜2016年)
我が国の漁獲量
(最近5年間)
11.4万〜22.7万トン
最近(2016)年:11.4万トン
平均:16.5万トン(2012〜2016年)
管理目標MSY水準の維持
資源評価の方法各国の標準化CPUEと日本の調査船による分布量データを用い、余剰生産モデルで資源量とMSYを推定
資源の状態2015年までのデータを用いた解析結果では、現在の資源量はMSY水準を上回っていると推定されている。なお、日本の調査船調査結果(推定資源量)及び漁獲情報(標準化CPUE)によると、中位水準減少傾向と判断されている。
管理措置我が国では、許可制度、TAC制度等によって資源管理が行われている。2015年以降、NPFCでは国際的な保存管理措置として、許可漁船の登録、中国等の遠洋漁業国・地域の許可隻数の増加禁止(沿岸国の許可隻数は急増を抑制)、VMS(Vessel Monitoring System)の設置等が決まっている。
最新の資源評価年 2017年
次回の資源評価年 2018年

管理・関係機関
北太平洋漁業委員会(NPFC)

生物学的特性
  
  • 体長・体重:肉体長30 cm・150 g
  • 寿命:約2年
  • 成熟開始年齢:0歳(一部)、1歳(100%)
  • 繁殖期・繁殖場:12〜3月・移行域〜黒潮域/li>
  • 索餌期・索餌場:5〜8月・移行域北部〜亜寒帯水域
  • 食性:動物プランクトン
  • 捕食者:大型魚類、海鳥、海産哺乳類

利用・用途
日本では、生鮮食品、加工原料として広く利用。台湾では主に冷凍で水揚げし、中国と韓国向けを中心に輸出。

漁業の特徴
日本以外でサンマを漁獲している主な国・地域は、ロシア、台湾、韓国、中国である。1960年代からは旧ソ連、1980年代中盤からは韓国、終盤からは台湾が漁獲を始め、外国漁船によるサンマの漁獲量が増加した。いずれの国・地域も、主に棒受網漁業によって漁獲を行っている。ロシア漁船は主に自国のEEZ内で操業しているのに対し、台湾、韓国及び中国は北太平洋公海域を主漁場としている。このほか、バヌアツも公海で操業を行っている。

漁獲の動向
日本のサンマ漁獲量は1950年代に増加したが、1960年代になると減少し、1969年には5.2万トンまで減少した。1970年代は漁獲量がやや回復したものの、年変動が大きく、1973年に40.6万トンに達したが、20万トンを下回る年も多かった。1980年代以降は漁獲量も安定し、1980〜1981年、1998年と1999年は20万トンを下回ったものの、2012年まで20万トン以上を維持してきた。しかし、近年は減少傾向にあり、2015年に11.6万トン、2016年も11.4万トンに留まり、1977年以降で最も低い値となった。
台湾の漁獲量は、2001年までは0.8万〜4万トンの範囲であったが、2002年以降は急増し、2005年には11.1万トンに達した。その後、2006年と2007年に一時的に減少したものの、2008年以降は10万トン以上を維持し、2013年には18万トンに達して初めて日本の漁獲量(14.9万トン)を上回った。2016年(14.6万トン)も日本と同様に前年(2015年、15.2万トン)を下回ったものの、日本の漁獲量(11.4万トン)を上回る状況が続いている。
中国漁船による各年のサンマ漁獲量は2,014トン(2012年)、23,191トン(2013年)、76,129トン(2014年)であり、年々急増した。2015年は48,503トンに留まり、日本や台湾同様に前年を下回ったものの、2016年は他の国が前年よりも減少している中、63,016トンに増加した。
ロシアは1996〜2000年は年間2万トンを下回った(4,665〜17,390トン)ものの、2001年以降は増加し、2014年まで5万トン前後を維持、2007年には過去最高の119,433トンに達した。しかし、2015年は他国・地域同様、漁獲量が減少し、前年(2014年、71,167トン)比34%の23,964トン、2016年もさらに減少し、前年比61%の14,623トンとなった。韓国の漁獲量(韓国EEZ内の日本海を除く)は、1980年代後半は1,050〜3,236トンの低い水準であったが、1990年以降増加し、2016年まで1万トン以上で推移している。バヌアツは年数千トンの漁獲を上げているものと思われる。

資源状態
2017年4月のNPFCによる余剰生産モデルを用いた資源評価結果では、現在のサンマの資源量はMSY水準を上回っていると判断され、現在の漁獲死亡係数もMSYを達成するための漁獲死亡係数(Fmsy)を下回っていることから、適正な水準にある可能性が高いと判断された。ただし、資源評価の不確実性を考慮すると、これ以上、漁業を拡大することは避けるべきとの見解で一致した。なお、MSYは設定される条件によって多少異なるものの、概ね50万トン前後と推定された。一方、日本の調査船調査によるサンマの分布量は、調査を開始した2003年以降、減少傾向にあり、特に2017年には、これまでで最も低かった2016年(178万トン)の約半分、最も多かった2003年(502万トン)の17%にあたる86万トンにまで減少した。このように2017年4月のNPFCの資源評価では2015年までのデータを基に検討が行われ、健全な水準にあると結論付けたものの、その後の調査や漁況データでは、資源量が低下している状況がみられていることから、我が国は最新のデータを追加した資源評価の早期更新を求めている。なお、日本漁船の標準化CPUEを指標値(平均比 )に用いると、2016年の値(0.587)は、平均値±標準偏差(0.455)内にあることから、資源水準は中位と判断された。また、調査船で推定された分布量は、2014年以降、4年連続で減少していることから、動向は減少と判断した。

管理方策
我が国におけるサンマの資源管理については、許可制度(北太平洋さんま漁業(10トン以上船)に対する大臣許可や10トン未満船に対する知事許可)や年間の漁獲量の上限を定めて管理する漁獲可能量(TAC)制度等が行われている。
2015年以降、NPFCでは国際的な資源管理のため保存管理措置が設定され、その改善に向けて議論が継続している。2017年の科学委員会では暫定的な資源評価結果に合意した。2017年7月に札幌で開催されたNPFC本委員会では、科学委員会の結論を基に日本が保存管理措置の修正を提案し、中国等の遠洋漁業国・地域による許可隻数の増加禁止は合意されたものの(沿岸国の許可隻数は急増を抑制)、数量規制の合意には至らなかった。なお、公海で操業する漁船に対するVMS(Vessel Monitoring System)の義務付けと許可漁船を毎年事務局に登録する制度がすでに採択されている。