--- 要約版 ---

74 キンメダイ 天皇海山海域

Splendid Alfonsino, Beryx splendens

                                               
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図1

天皇海山列の地図
(コラハン海山から推古海山南バンクまでが底魚漁場として利用されているが、キンメダイが漁獲されるのは仁徳海山以南である。)


図2

天皇海山海域におけるキンメダイの国別漁獲量およびクサカリツボダイの総漁獲量の経年変化



キンメダイ(天皇海山海域)の資源の現況(要約表)

資源水準 2019年NPFC科学委員会で検討予定
資源動向 2019年NPFC科学委員会で検討予定
世界の漁獲量
(最近5年間)
812〜3,861トン
最近(2016)年:3,861トン
平均:2,562トン(2012〜2016年)
我が国の漁獲量
(最近5年間)
773〜3,783トン
最近(2016)年:3,783トン
平均:2,450トン(2012〜2016年)
管理目標 2019年NPFC科学委員会で検討予定
資源評価の方法 2019年NPFC科学委員会で検討予定
資源の状態 現状は不明だが、クサカリツボダイ資源の枯渇に伴い本種を狙った操業が増え、漁獲量の増大と漁獲物の小型化傾向が認められる
管理措置 NPFC保存管理措置:
・操業許可漁船数の現状維持
・北緯45度以北における操業禁止
・水深1,500 m以深での操業禁止
・C-H海山及び光孝海山南東部の閉鎖
・底刺し網を海底から70 cm以上離して敷設する
・11〜12月(クサカリツボダイ産卵期)の禁漁
・科学オブザーバーの100%乗船
我が国自主措置:
・底びき網のコッドエンドメッシュサイズ100 mm以上
・刺し網のメッシュサイズ120 mm以上
・漁獲努力量上限の設定(底びき網年間総曳網時間5,600時間以内)
・1ケース120尾以上の小型魚製品の生産自粛
最新の資源評価年 2008年
次回の資源評価年 2019年

管理・関係機関
北太平洋漁業員会(NPFC)

生物学的特性
  
  • 体長・体重:尾叉長50 cm、体重2.5 kg
  • 寿命:20年以上
  • 成熟開始年齢:4〜5歳
  • 産卵期・産卵場:夏、産卵場は不明
  • 索餌期・索餌場:着底後は日周鉛直運移動を行い、主に夜間に索餌
  • 食性:浮遊期は不明。着底後は魚類、えび類など
  • 捕食者:不明

利用・用途
冷凍ラウンドで水揚げされ、鮮魚、干物、煮付け等として販売。

漁業の特徴
本資源は、天皇海山海域において操業を行っている我が国の底びき網・底刺し網漁業の対象魚種である。最も重要な漁獲対象種はクサカリツボダイであるが、卓越加入の有無により漁獲量の年変動が極端に大きいため、不漁時には本資源が主な代替資源として漁獲されている。底びき網漁船は水深300〜500 mの平頂海山の頂上部で、底刺し網漁船は海山斜面域や水深が大きい海山で操業を行っている。同海域では、1967年に旧ソ連が漁場開発し、我が国の漁船は1969年から操業を開始した。
我が国の漁船数は2013年には底びき網船6隻、底刺し網船1隻であったが、2017年には底びき網船2隻、底刺し網船1隻に減少している。ソ連漁船は1982〜2009年の間、底びき網および底はえ縄によって本資源を漁獲していたが、近年の漁獲は報告されていない。2004年以降は韓国の底びき網漁船が参入したが、近年の漁獲量は200トンに満たない。

漁獲の動向
本資源の漁獲は天皇海山漁場の開発から10年を経てクサカリツボダイの漁獲量が激減した1970年代後半から始まり、1980〜1982年には年間1万トン前後に達した。一方、1985年以降の漁獲量は、1991年を除けば年間5千トンを下回っている。最近ではクサカリツボダイの卓越加入年であった2010年、2012年の漁獲量が1千トン以下と少なかったのに対し、クサカリツボダイ加入量が極めて少なく漁獲量が低迷している2013年以降は、年間漁獲量が2千〜4千トンに増加している。
天皇海山海域の底びき網漁業の漁獲開始年齢は1歳未満(尾叉長10 cm前後)、体長モードは概ね1〜2歳(尾叉長18〜24 cm)に相当し、着底直後の未成魚から漁獲している。また、ここ数年で尾叉長30 cm以上の成魚の割合が経年的に減少しており、漁獲物がさらに小型魚に偏る傾向にある。一方、底刺し網の漁獲開始年齢は1〜2歳(尾叉長20 cm前後)、モードは概ね4〜7歳(尾叉長28〜31 cm)である。

資源状態
2008年に我が国が行った余剰生産モデルを用いた資源評価では、漁獲死亡率がMSY水準に比べて20〜28%過大であると推定された。また近年では、底びき網漁業のノミナルCPUE(見かけ上の単位努力量あたり漁獲量)が増加傾向にあるが、このことはクサカリツボダイの資源枯渇に伴うキンメダイ狙い操業の増加、並びに小型魚の漁獲量増大等を反映している可能性があり、単純に親魚資源量の増加と見なすことはできない。
加入量あたり漁獲量モデルを試行してみた結果、1歳前から漁獲対象とする現状の天皇海山海域のキンメダイ漁業は、資源を有効利用できていない可能性が示唆された。本種の成熟開始年齢は4歳〜5歳と考えられており、加入量あたり産卵親魚量の観点からも、漁具規制などにより漁獲開始年齢を引き上げることが望ましい。

管理方策
上記の余剰生産モデルによる資源評価に基づき、努力量を抑制する暫定措置として漁船数の凍結、11〜12月の操業禁止、底びき網曳網時間の20%削減が2009年に導入された。また、我が国の底魚漁業の許可条件として、底びき網のコッドエンドメッシュサイズは100 mm以上、底刺網のメッシュサイズは120 mm以上に制限されており、漁業者団体の自主措置として1ケース16 kg 120尾入り以上となる小型魚の製品の生産を自粛している。
NPFCでは本種をクサカリツボダイと並ぶ底魚資源評価の優先対象種に掲げており、2019年に本種の資源評価を行い必要な保存管理措置を導入することが決まっている。2018年には漁獲の推移ならびに既往の資源評価結果と資源生物情報のレビューが予定されている。