--- 要約版 ---

72 マジェランアイナメ・ライギョダマシ 南極海

Patagonian Toothfish, Dissostichus eleginoides

&

Antarctic Toothfish, Dissostichus mawsoni

                                                           
図1

図2

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   図3

CCAMLR水域におけるマジェランアイナメとライギョダマシの漁獲量の海域別の経年変化
CCAMLR漁期はCCAMLRで用いられている漁期の年度を示し、単位年度は12月1日〜翌11月30日である。例えば、CCAMLRの2016年度(もしくは2015/16年度)は2015年12月1日〜2016年11月30日の期間に相当する。


図4

日本漁船のCCAMLR水域におけるマジェランアイナメとライギョダマシの漁獲量の海域別の経年変化
CCAMLR漁期はCCAMLRで用いられている漁期の年度を示し、単位年度は12月1日〜翌11月30日である。例えば、CCAMLRの2016年度(もしくは2015/16年度)は2015年12月1日〜2016年11月30日の期間に相当する。


図5

メロ類の主棲息深度と漁獲枠設定の単位となる小海区(Subarea/division)
影の部分は、両種の主棲息深度500〜1,800 mの陸棚斜面域。太破線は2種の区分線、北側域:マジェランアイナメ、南側域:ライギョダマシ(CCAMLR保存管理措置)



マジェランアイナメ・ライギョダマシ(南極海)の資源の現況(要約表)

                       
資源水準 低位〜中位
資源動向 横ばい
世界の漁獲量
(最近5年間)
CCAMLR水域1.5万〜1.6万トン
最近(2016)年:1.6万トン
平均:1.5万トン(2012〜2016年)
我が国の漁獲量
(最近5年間)
CCAMLR水域183〜283トン
最近(2016)年:183トン
平均:217トン(2012〜2016年)
管理目標安定した加入を確保する水準への資源の回復と維持及び関連種との生態学的関係の維持
目標値:以下のうち、達成の要件が厳しい(許容される漁獲量が少ない)方:
35年間漁獲を続けた場合の産卵親魚量(推定値)が、
@いずれの年も、漁獲を行わない場合の産卵親魚量(推定値)の20%以下とならないこと
A35年後に、漁獲を行わない場合の産卵親魚量(推定値)の50%以上となること
資源評価の方法資源に関する情報が豊富な海区では、資源動態モデル(CASAL)が標準的なメロ資源量評価手法として用いられている。資源に関する情報が不十分な海区では、主にCPUE比較法及び標識再捕獲法による資源量推定値から資源状態を判断している。
資源の状態調査・検討中
管理措置CCAMLR分割海区・EEZごとに毎年または2年に1回予防的漁獲制限量を決める。2017/18漁期の我が国の新規・開発漁業予定の小海区は4つあり、海区別の漁獲枠は48.6海区で557トン、58.4.1海区で545トン、58.4.2海区で42トン、58.4.3a海区で38トンと設定された。禁漁区である58.4.4b海区では漁獲枠48トンの調査漁業が日本漁船に認められている。
最新の資源評価年 2017年
次回の資源評価年 2018年


管理・関係機関
南極海洋生物資源保存委員会(CCAMLR)

生物学的特性
  • 体長・体重:尾叉長100 cm・13 kg(マジェランアイナメ)、尾叉長140 cm・35 kg(ライギョダマシ)
  • 寿命:40〜50歳(両種)
  • 成熟開始年齢:6〜9歳(マジェランアイナメ)、15〜16歳(ライギョダマシ)
  • 産卵期・産卵場:6〜9月・南極周辺海域の陸棚斜面水域(マジェランアイナメ)、6〜11月・南極周辺海域の陸棚斜面及び海山水域(ライギョダマシ)
  • 索餌期・索餌場:南極周辺海域の陸棚斜面水域
  • 食性:オキアミ類(幼魚期)、魚類、いか類、甲殻類
  • 捕食者:海産哺乳類
  • その他:マジェランアイナメとライギョダマシを総称してメロ類とされる

利用・用途
冷凍切身、みそ漬けなどの加工品

漁業の特徴
1977/78漁期からマジェランアイナメを対象とした底はえ縄漁業がサウスジョージア水域、ケルゲレン諸島水域及び南極大陸周辺の海山域で始められた。その後1980年代後半に南東大西洋に拡大し、トロール漁業と籠漁業も行われるようになった。一方、197/98漁期からロス海でライギョダマシを対象とした底はえ縄漁業が始まり、2000年代中盤にインド洋や南東大西洋に急速に拡大した。現在の主要漁業国はマジェランアイナメは英国、フランス、オーストラリア等、ライギョダマシは英国、韓国、ロシア、NZ等で、両魚種とも主に底はえ縄漁業を行っている。我が国は2002/03漁期よりメロ類漁業に参入し、調査・開発操業として底はえ縄船1隻が操業している。これまで、本種(メロ類)に対しては、IUU(違法・無報告・無規制)操業が資源状態に悪影響を及ぼしていることが強く懸念され、管理措置上にも大きな問題となっていた。そのため、CCAMLRは漁獲証明制度等IUU操業に対し積極的な対策を講じてきており、IUU操業は年々減少傾向にある。

漁獲の動向
漁業開始当初から1990年代までは主にマジェランアイナメが漁獲された。マジェランアイナメの漁獲量は、1977/78漁期から1984/85漁期までは概して500トン未満と少なかったが、1985/86漁期に約7,000トンに急増し、1990年代は6,000〜17,000トン、2000年代は12,000〜16,000トンで推移した。1990年代末以降はライギョダマシも漁獲され、漁獲量は2000年代前半に2,000〜4,000トンまで急増し、以降は3,000〜4,000トンで推移した。最近の漁獲量は、2015/16漁期にはメロ類16,046トン(マジェランアイナメ11,910トン+ライギョダマシ4,136トン)であり、前年2014/15漁期15,894トン(マジェランアイナメ12,058トン+ライギョダマシ3,836トン)に比べ増加した。我が国の2015/16漁期の漁獲量は183トン(マジェランアイナメ48トン+ライギョダマシ135トン)であり、前年漁期の194トン(ライギョダマシ43トン+ライギョダマシ151トン)より減少した。

資源状態
CCAMLR科学委員会により資源評価が実施されている。管理水域全体での資源量調査は行われていないが、本種の主な分布域が陸棚・陸棚斜面域であることから、小海区ごとに資源に関する情報の利用可能性に依存して、CASALなどの資源動態モデル、標識再捕法、CPUE比較法などにより、1〜2年ごとに資源評価が行われている。ただし、日本漁船の主漁場である新規・開発操業域や調査操業域(禁漁域)では十分な資源に関する情報が得られていないため、統合モデルによる資源評価の実施が合意されておらず、資源量推定値の不確実性が比較的高いと考えられている。日本漁船が主要漁場としている海区の資源については、2017年の資源評価の結果から、水準は低位〜中位、動向は横ばいと判断される。

管理方策
CCAMLR科学委員会の魚類資源評価作業部会が、魚類の資源管理のための科学的検討を行っている。検討方法は海区ごとに異なり、資源に関する情報が豊富な海区(48.3海区、48.4海区、58.5.1海区、58.5.2海区、58.6海区、88.1海区、88.2海区)では、CASALによるシミュレーション結果を基にCCAMLRが管理措置を決定する。情報が不十分であるとされているその他の海区では主にCPUE比較法及び標識再捕獲法による資源量推定値から資源状態を判断し、資源の動向を基に漁獲枠が自動的に決定される新ルールが2017/18年漁期より導入された。上記新ルールの下で、2017/18漁期の日本船が新規・開発漁業として操業する予定の海区別の漁獲枠は、48.6海区で557トン、58.4.1海区で545トン、58.4.2海区で42トン、58.4.3.a海区で38トンとなった。禁漁区である58.4.4b海区では漁獲枠48トンの調査漁業が認められている。なお、58.4.3b海区では2009/10漁期以降調査操業に準じた厳しい保存措置のもとで操業を行ってきたが、標識再捕の成果が上がらないことなどから2012/13漁期以降、許容漁獲量は0トンに据え置かれている。