--- 要約版 ---

71 ナンキョクオキアミ 南極海

Antarctic Krill, Euphausia superba

                                                       
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図3

ナンキョクオキアミの漁場(サウスシェトランド、サウスオークニー、サウスジョージア水域が現在の主漁場である)


図2

ナンキョクオキアミの海区別漁獲量の経年変化(1972〜2016年)


図1

48海区における過去10年間の小海区別ナンキョクオキアミ漁獲量(2007〜2016年)


図6

CCAMLRの統計海区



ナンキョクオキアミ(南極海)の資源の現況(要約表)

                       
資源水準 高位
資源動向 横ばい
世界の漁獲量
(最近5年間)
21.7万〜29.4万トン
最近(2016)年:23.7万トン
平均:24.7万トン(2012〜2016年)
我が国の漁獲量
(最近5年間)
2012年(2012/13漁期)より操業なし
管理目標予防的漁獲制限による資源の維持・捕食者と生態系の保存
目標値:以下のうち、達成の要件が厳しい(許容される漁獲量が少ない)方:
20年間漁獲を続けた場合の産卵親魚量(推定値)が、
@いずれの年も、漁獲を行わない場合の産卵親魚量(推定値)の20%以下とならないこと
A20年後に、漁獲を行わない場合の産卵親魚量(推定値)の75%以上となること
資源評価の方法オキアミ捕食者モニタリングデータの解析に基づき、オキアミ漁業のオキアミ捕食者への影響を評価する手法を検討中
資源の状態48海区の推定総資源量は6,030万トン
ただし、局所的な資源枯渇の生態系影響、気候変動による分布量変動が懸念されている。
管理措置CCAMLR海区毎に予防的漁獲制限量:
・48海区:561万トン
・58.4.1小海区:44万トン
・58.4.2小海区:264万トン
小海区別トリガーレベルが当面の許容漁獲枠となる:
・48.1小海区:15.5万トン
・48.2及び48.3小海区:27.9万トン
・48.4小海区:9.3万トン(全体の合計は62万トン以下)
最新の資源評価年 2000年
次回の資源評価年 未定

管理・関係機関
南極海洋生物資源保存委員会(CCAMLR)

生物学的特性
  • 体長・体重:標準体長(額角先端−尾節末端)50 mm・1.0 g
  • 寿命:5〜7歳
  • 成熟開始年齢:雌2歳、雄3歳
  • 産卵期・産卵場:12〜2月、南極海の陸棚、陸棚斜面水域
  • 索餌期・索餌場:主に夏季・南極大陸寄りの南極表層水域
  • 食性:夏)植物プランクトン、冬)動物プランクトン・アイスアルジー・デトライタス
  • 捕食者:海産哺乳類、海鳥類、魚類、いか類等

利用・用途
飼料、釣餌、食品、薬品等

漁業の特徴
1972/73漁期(12月1日〜翌11月30日)に旧ソ連が中層トロール漁業を開始した。その後1973/74漁期に日本が参入し、1975/76漁期にポーランド等が参入して、1980年代には大量に漁獲するようになった。1992/93漁期を最後に旧ソ連体制の崩壊によってロシアは漁船の採算が取れなくなり撤退した。2005/06漁期にはノルウェーが参入した。ノルウェーは、コッドエンドにフィッシュポンプを取り付けた連続操業可能なトロール漁具を装備した大型船を導入するなどして、急速に漁獲量を拡大した。2009/10漁期には中国が1隻操業して参入し、翌2010/11漁期には5隻が操業した。 2011/12漁期では、主要な漁業国はノルウェー(3隻)、韓国(3隻)、日本(1隻)であり、そのほかチリ、中国が操業した。2011/12漁期終了後、日本は撤退し、現在(2014/15漁期)の操業国は残りの4か国、及びウクライナである。近年、南極半島周辺でも冬季に海氷に覆われない状況が発生し、夏季中心の操業から冬季を中心とした操業に変わっている。漁場は、南極半島周辺(48海区)のうち、2009/10漁期はサウスシェトランド水域(FAO統計海区48.1小海区)が 主漁場となった。同小海区の漁獲量が漁期半ばの2010年10月には小海区単位に分割されたトリガーレベル(新たな管理措置への移行基準の漁獲量上限;本小海区は15.5万トン)に近づいたため、同小海区は閉鎖された。2011/12漁期は48.1小海区と48.3小海区中心の操業となった。2012/13〜2016/17漁期は、引き続き、操業が48.1小海区に集中し、漁獲量は2013/14漁期を除き漁期半ばに早々とトリガーレベルに達し閉鎖された。現在の実質的な漁場は、48.1小海区、48.2小海区及び48.3小海区である。

漁獲の動向
総漁獲量は、漁業が始まった1972/73漁期には旧ソ連による7,400トンであった。その後各国が参入して増加し、1981/82漁期に50万トンを超えてピークに達した。1986/87漁期から1990/91漁期までは35万〜40万トンで安定していたが、1992/93漁期にはロシアの撤退により8万トン台へ急落した。1992/93漁期以降は13万トン前後で推移していたが、2010/11漁期には21.3 万トンに若干増加した。また、中国は2009/10漁期に初めて1隻操業して0.2万トン漁獲し、2010/11漁期には5隻が1.6万トン漁獲した。2013/14漁期の総漁獲量は293,814トンであり、1991年以降で最も多かった。2016/17漁期は237,342トン(暫定値)であった。2016/17漁期の漁業国は、ノルウェー(15.7万トン)、中国(3.8万トン)、韓国(3.4万トン)、ウクライナ(0.8万トン)である。2016/17漁期も操業が48.1小海区に集中し、同小海区の漁獲量が全体の63%を占めた。なお、2016/17漁期にインド洋区(58海区)で21年振りの操業が中国により行われたが、漁獲量は513トンであった。日本の漁獲量は2003/04漁期以降2万〜4万トンで安定していたが、2011/12漁期終了後は撤 退したため漁獲はない。

資源状態
CCAMLRの条約水域の3つに区分された海区(48(大西洋)、58(インド洋)、88(太平洋))のうち、主要漁場である48海区については、1981年の国際共同バイオマス調査計画(FIBEX計画)により、資源量は当初1,510万トン、修正値3,540万トンと推定された。2000年に日本、英国、米国、ロシアが行ったCCAMLR-2000一斉調査では、資源量は当初4,429万トン(CV 11.4%)、修正値3,729万トン(CV 20.9%)と推定されていたが、2010年の再計算により6,030万トン(CV 12.8%)に修正された。これに伴い、開発率0.093で算出された予防的漁獲制限量は347万トンから561万トンに上方修正された。58海区については近年操業がほとんど行われておらず、また88海区についてはこれまで操業が行われておらず、よって資源状態は問題ない。
主要漁場である48海区における近年の漁獲量は、資源量の0.3%に過ぎず、資源水準は高位、動向は横ばいと判断される。しかし、CCAMLRでは、地球温暖化などの環境変動により資源が予想外の急激な変化を示す可能性もあるという意見が多くなっている。

管理方策
CCAMLRは条約水域を3つの海区に区分し、海区ごとに保存管理措置を決定する。資源量に開発率を乗じて予防的漁獲制限量が算出される。48海区の予防的漁獲制限量は2010年に561万トンに改定されたが、国別に漁獲枠が設けられることはない。本種資源自体は高いレベルにあるが、漁獲の局所的集中によりペンギン、おっとせい等の捕食者に悪影響が及ぶことを懸念し、新たな管理措置の導入を検討中である。2009年のCCAMLR年次会合において、48海区全体に対して、各小海区の過去最大の漁獲量を合計して62万トンに設定されていた新管理措置への移行基準(トリガーレベル)を小海区ごとに資源量の割合で配分することが決まり、2011年の同年次会合で3年間延長された。各小海区への割当量は48.1小海区15.5万トン、48.2及び48.3小海区27.9万トン、48.4小海区9.3万トンだが、全体の合計は62万トンを超えることはできない。当面これが実質的な許容漁獲量になる。過去2年の漁場形成は平年と異なる時空間パターンを示し、年変動も大きいことから、漁船を通じた科学データ収集や対照区や実験区の導入を含むフィードバック管理の導入が 検討されている。まずは2016年をめどに、現行のトリガーレベル(小海区)管理から、捕食者モニタリングデータなどの解析に基づき、漁獲制限量を小規模管理ユニット(SSMU)に分割する管理への移行を検討する予定になっている。将来的には、捕食者モニタリング、漁業データ、生態系モデルに基づいた本種のフィードバック管理を目指すことになっていたが、2016年に現行のトリガーレベルをさらに3年間延長して、フィードバック管理への移行を進めることとなった。58海区の予防的漁獲制限量は、2008年に58.4.1小海区が44.0万トン、58.4.2小海区が264.5万トンと設定された。88海区は過去に漁業が行われていたいため、予防的漁獲制限量は設定されていない。