--- 要約版 ---

54 イワシクジラ 北西太平洋

Sei Whale, Balaenoptera borealis

                                                  
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図3

北西太平洋におけるイワシクジラの夏季の分布域(青)


図2

北太平洋における全漁業国によるイワシクジラの捕獲頭数の推移(1910〜2016年)


表1

北西太平洋鯨類捕獲調査におけるイワシクジラ捕獲頭数(2002〜2016年)



イワシクジラ(北西太平洋)の資源の現況(要約表)

                       
資源水準 (おそらく)中位
資源動向 増加
世界の捕獲量
(最近5年間)
なし(商業捕鯨モラトリアムが継続中)
我が国の捕獲量
(最近5年間)
捕獲調査により90〜100頭
最近(2016)年:90頭
平均:94頭(2012〜2016年)
管理目標商業捕鯨モラトリアムが継続中であり、未設定
資源評価の方法船舶による目視調査から推定した資源量推定値に基づく
資源の状態北西太平洋では目視調査により増加傾向と判断
管理措置商業捕鯨モラトリアムが継続中
最新の資源評価年
次回の資源評価年

管理・関係機関
国際捕鯨委員会(IWC)

生物学的特性
  • 体長・体重:15 m(上顎先端から尾びれ分岐点までの長さ)・20トン
  • 寿命:60歳(最高年齢)
  • 成熟開始年齢:7歳(1960年)〜10歳(1925年)
  • 繁殖期・繁殖場:11月、亜熱帯・温帯の外洋海域
  • 索餌期・索餌場:夏季、亜寒帯水域
  • 食性:魚類(カタクチイワシ、マイワシ、キュウリエソ、サンマ、マサバ、ハダカイワシ類など)、いか類(スルメイカ、テカギイカなど)、動物プランクトン(オキアミ類、カイアシ類)
  • 捕食者:シャチ

利用・用途
鯨肉は、刺身、大和煮(缶詰)、鯨かつ、鍋物材料、内蔵は、ゆで物として利用している。ヒゲ板は工芸品の材料として利用される。鯨油はかつて工業原料などに用いられた。

漁業の特徴
北西太平洋における本種の捕獲は、1890年代末に我が国の基地式の近代捕鯨(捕鯨砲を使った捕獲)により開始された。その後、これに加えて、1940年には本種も対象とする我が国の母船式捕鯨が操業を開始した。北太平洋においては、我が国の他には、1919年以降、旧ソ連、米国及びカナダが本種を捕獲した。1969年以後、日本、米国、カナダ、旧ソ連の4か国による規制措置がとられ捕獲割当量が定められるようになり、1970年からIWCにより北太平洋の本種の捕獲枠が設定されるようになった。その後IWCの規制が厳しくなり、1976年から北太平洋全域で商業捕獲を停止している。商業捕鯨以外では、第二期北西太平洋鯨類捕獲調査(JARPN II)により2002〜2003年は年間50頭、2004年以降は毎年100頭を上限に捕獲していたが、2014年から2016年については、国際司法裁判所の「南極における調査捕鯨」訴訟判決に照らし、調査目的を限定するなど規模を縮小して実施することとなり、捕獲上限は90頭となった。2017年から開始された新北西太平洋鯨類科学調査計画(NEWREP- NP)においても本種は対象鯨種となっており、目標捕獲頭数は13 4頭である。

漁獲の動向
1910年代から1955年まで全漁業国により年間500頭程度が継続して捕獲されたがその後、捕獲が急激に伸び1967年には過去最高の6,095頭に達した。1969年以降は捕獲割当量の設定により、1975年の528頭まで漸減した。1976年以降はIWCの規制により商業捕獲はない。2002年以降、我が国は捕獲調査を行い、捕獲上限のもと、2002、2003年は39、50頭、2004〜2014年は90〜100頭、2015年は90頭を捕獲した。なお、我が国では1911年から捕鯨統計が整備されたが、イワシクジラ(本種)とニタリクジラは分類されず、両種とも統計上イワシクジラとして記録された。日本の捕鯨統計で両種が区別されたのは1955年からである。国際捕鯨統計においては、それが区別されて記録されるようになったのは1968年からである。

資源状態
目視調査と遺伝解析の結果に、過去の捕獲・標識再捕情報も加えた総合的な系群識別解析が2015年のIWC科学委員会年次会合で報告され、北太平洋に広く分布する本種は同一系統であることが示されている。
IWCで1975年に行われたCPUEと発見率指数にもとづく資源評価では、北太平洋における本種の初期資源量は42,000頭で1975年時点の資源量は9,000頭とMSYレベル(23,000頭)の40%であるとされたため、当時の管理方式にもとづき保護資源と分類された。それにより、1976年度から北太平洋全域で本種の捕獲が禁止され現在に至っている。我が国は2002年から食性解明を目的とした捕獲調査を実施しており、得られた目視情報から北西太平洋における資源量推定を行っている。我が国の目視調査の結果では、1980年代始めから1990年代中頃にかけて北西太平洋海域で増加傾向が見られ、資源が回復しつつあるものと考えられる。北西太平洋における資源量は2008年の調査結果からは調査海域で5,086頭と推定され、おそらく中位と判断される。また、中央〜東部北太平洋における資源についても、2010年に開始されたIWC・日本共同の北太平洋鯨類目視調査プログラムで得られた情報をもとに資源量推定が行われ、29,632頭との推定値が得られており、両調査海域は重複していないことから、合算すると北太平洋全域における資源量推定値は34,718頭 (CV=0.214)となる。

管理方策
IWCでは、資源状態にかかわらず全ての商業捕獲を停止している。引き続き、目視調査を継続的に実施して資源の動向を把握する。