--- 要約版 ---

51 クロミンククジラ 南極海・南半球

Antarctic Minke Whale, Balaenoptera bonaerensis

                                                       
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図2

1928年から1986/87年までの南極海母船式捕鯨による鯨種別捕獲頭数の変遷、1987/88年以降は調査による標本採集数の変遷


図3

IWC IDCRおよびSOWERの南極海周極調査2巡目(左)と3巡目(右)おけるクロミンククジラの発見位置(桃色の丸)、黒色の太線は調査船が調査を行った区間


図4

SCAAにより推定したクロミンククジラのインド洋系群(左)および太平洋系群(右)の1歳以上の資源量



クロミンククジラ(南極海・南半球)の資源の現況(要約表)

                       
資源水準 作業中
資源動向 インド洋系群・太平洋系群は直近の 20年間安定
世界の捕獲量
(最近5年間)
なし(商業捕鯨モラトリアムが継続中)
我が国の漁獲量
(最近5年間)
JARPAII、NEWREP-Aにより年間0〜333頭
(2012/13年〜2016/17年)
管理目標商業捕鯨モラトリアムが継続中であり、未設定
資源評価の方法SCAA(統計的年齢別捕獲頭数モデル)
資源の状態南緯60度以南の海氷域を除く南極海全域における資源量
1985/86〜1990/91年:72万頭[信頼区間:51.2万頭−101.2万頭]
1992/93〜2003/04年:52万頭[信頼区間:36.1万頭−73.3万頭]
*南緯60度以北、海氷域内にも相当数が分布。
管理措置商業捕鯨モラトリアムが継続中
最新の資源評価年 2014年
次回の資源評価年 未定

管理・関係機関
国際捕鯨委員会(IWC)

生物学的特性
  • 体長・体重:8.4 m・6.8トン(成熟雄の平均)、8.9 m・8.1トン(成熟雌の平均)(体長は上顎先端−尾鰭分岐点)
  • 寿命:約50歳
  • 成熟開始年齢:7〜8歳(1970年代以降)〜14歳(1940年代)
  • 繁殖期・繁殖場:冬、中低緯度海域
  • 索餌期・索餌場:夏、南極海
  • 食性:ナンキョクオキアミ
  • 捕食者:シャチ

利用・用途
鯨肉(刺身、大和煮など)、工芸品。かつては鯨油

漁業の特徴
本種の捕獲管理は、第二次世界大戦以前は行われなかったが、以後は、他のひげ鯨類同様に、1946年に署名され1948年に発効した国際捕鯨取締条約下に設立されたIWCが行っている。本種は南氷洋母船式捕鯨の後期の重要対象種であり、1960年代までは捕獲が少なかったが、1970年代初頭から資源が開発され、1971/72年度から我が国が本格的な捕獲を開始し、翌1972/73年からソ連が操業に参入した。1975/76年から新管理方式(NMP)の導入、また1979/80年度から母船式操業が本種を除き禁止となり、南極海で捕獲可能な種は本種のみとなり、本種の漁獲は1980年代前半に最盛期を迎えた。この他、ブラジル(1971〜1983年)と南アフリカ(1972〜1975年)が、自国の沿岸で本種を対象とした捕鯨操業を行っていた。一方、1978/79年からIWC国際鯨類調査10か年計画(IDCR)による本種の資源量調査が開始され、科学的に充実した資源情報の下で管理が行われ、安定した捕獲数での操業が行われた。しかし、IWCは1982年に本種を含む大型鯨類を対象とした商業捕鯨の全面モラトリアムを採択した。日本やソ連は異議申し立ての下に本種の商業的操 業を継続していたが、1986/87年を最後に、商業的操業を取りやめた。

漁獲の動向
1950〜1960年代は本種の捕獲は少なかったが、本格的な捕鯨が開始された1971/72年に日本が3,000頭あまりを捕獲した。翌1972/73年にはソ連が参入し、全漁業国の総捕獲数は6,500頭余りに達した。1975/76年のNMPの導入後、資源量調査の科学的な資源情報に基づく管理下で、6,500〜8,000頭が捕獲された。1982年の商業捕鯨モラトリアム後は、日本やソ連は異議申し立ての下に1986/87年まで年間5,000頭あまりを捕獲した。

調査による捕獲
1987/88年以降、日本は特別許可(国際捕鯨取締条約第8条)により南極海鯨類捕獲調査(JARPA)を本種を対象として行った。この調査で得た情報の解析から、鯨類を中心とする南極海生態系の構造が現在もなお変化し続けていることが示唆され、そのような変化を検証するために、ナガスクジラ及びザトウクジラも採集対象に加えた第二期調査(JARPAII)を2005/06年より開始した。しかしながら、2014年の国際司法裁判所「南極における捕鯨」訴訟判決を受け、第二期調査を取りやめた(2014/15年は目視調査を実施)。2015/16年より、国際司法裁判所の判決を踏まえ策定された、新調査計画「新南極海鯨類科学調査計画(NEWREP-A)」に基づく新たな調査を国際捕鯨取締条約第8条に基づき開始した。
JARPAでは、我が国は、南極海で本種の計画標本数を300頭±10%として、各漁期241〜330頭を捕獲した。1995/96年より計画標本数を400頭±10%に拡大して2004/05年まで389〜440頭を捕獲した。2005/06年から2013/14年までのJARPAIIでは、本種の計画標本数を850頭±10%として103〜853頭を捕獲した。2015/16年より開始した、NEWREP-Aに基づく新たな調査では、本種の性成熟年齢を十分な精度をもって推定することを目的に、採集頭数を333頭に設定している。

資源状態
2001年から2014年までの13年間にわたり、IWC/SCにおいて本種のインド洋系群と太平洋系群の詳細資源評価が行われ、SCAAを用いた評価の結果、これら系群の資源量は1950年代から1970年代にかけ増加し、以降、1980年代にかけ低下した後、以降は安定していることが明らかになった。SCAAに用いた2012年IWC/SCで合意された南極海における資源量推定値はIWCが実施した2回目の周極目視調査(1985/86-1990/91年)において72万頭、3回目の周極目視調査(1992/93-2003/04)において52万頭である(http://iwc.int/estimate)。本種はこれらの周極目視調査では調査されていない海氷域にも相当数の個体が分布していることから、上記の推定値は過小であると考えられる。1回目の周極目視調査(1978/79-1983/84年)では、調査線上の見落とし確率を推定するための独立観察者実験が行われなかったため、個体数は推定されていない。データ不足のため上記2系群以外の資源評価は行われていない。

管理方策
1990年のIWC/SCによる詳細資源評価によって、利用可能な資源であることが明らかとなり、また、2001年から2014年に行われた詳細資源評価においても本種のインド洋系群と太平洋系群の資源量は過去20年にわたり安定していることが明らかになっているが、改訂管理方式(RMP)による持続可能な捕獲枠の試算は実施されていない。鯨類資源の持続的利用を推進している我が国としては、締約国の使命として資源調査を積極的に行い、正しい情報のもとに適切な判断を下されるよう、関係国と協調しながら持続的利用を推進していく必要がある。