--- 要約版 ---

50 ミンククジラ オホーツク海・北西太平洋

Common Minke Whale, Balaenoptera acutorostrata


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図4

ミンククジラ(オホーツク海・北西太平洋系群)の分布図


図5

ミンククジラ(オホーツク海・北西太平洋系群)の春から夏の回遊経路


図2

北西太平洋におけるミンククジラの捕獲頭数(1930〜2016年)(定置網等による混獲は含まない)



ミンククジラ(オホーツク海・北西太平洋)の資源の現況(要約表)

                       
資源水準 高位
資源動向 増加傾向
世界の捕獲量
(最近5年間)
なし(商業捕鯨モラトリアムが継続中)
我が国の捕獲量
(最近5年間)
捕獲調査により37〜182頭
最近(2016)年:37頭
平均:93頭(2012〜2016年)
管理目標商業捕鯨モラトリアムが継続中であり、未設定
資源評価の方法調査船での目視調査による資源量推定
Hitter・Fitter法により水準と動向を評価
資源の状態西部北太平洋では目視調査により増加傾向と判明
管理措置商業捕鯨モラトリアムが継続中
最新の資源評価年 2013年
次回の資源評価年 2018年


管理・関係機関
国際捕鯨委員会(IWC)

生物学的特性
  • 体長・体重8.8 m(上顎先端から尾びれ分岐点までの長さ)・8.4トン
  • 寿命:50歳以下
  • 成熟開始年齢:6〜8歳
  • 繁殖期・繁殖場:12〜1月、低緯度海域
  • 索餌期・索餌場:夏、オホーツク海
  • 食性:サンマ、スケトウダラ、マサバ、マイワシ、カタクチイワシ、オキアミ類など
  • 捕食者:シャチ

利用・用途
鯨肉は、刺身、大和煮(缶詰)、鍋物材料、ベーコンなど、ヒゲ板は工芸品の材料として利用される。かつては鯨油を工業原料として利用していたが、現在は需要がない。

漁業の特徴
本種は1987年まで小型捕鯨業により商業的に捕獲されてきた。1988年以後はIWCの商業捕鯨モラトリアムにより、商業捕獲は停止しているが、1994年から国際捕鯨取締条約に認められた特別許可に基づく科学研究目的の捕獲が毎年行われている。
その他、本種は、沿岸の定置網等による毎年100頭以上の混獲が報告されている。

漁獲の動向
1950年以降1987年までの商業捕鯨では、年間200〜500頭程度が捕獲されていた。IWCのRMP適用試験で想定された系群構造仮説(北西太平洋には、オホーツク海・西太平洋系群と東シナ海・黄海・日本海系群の2系群が存在)を検証する目的で、特別許可に基づく捕獲が1994〜1999年まで行われ、目標とする捕獲標本数は年間100頭であった。2000年から、北西太平洋における鯨類と餌生物を巡る生態系の解明を目的とした捕獲調査が開始され、2000年〜2001年は予備調査、2002年から本格調査が実施された。調査目的を達成するため、胃内容物の種組成を一定の精度で明らかにするのに必要な標本数として、2013年には沿岸で120頭、沖合で100頭が設定されていた。しかし、2014年からは、国際司法裁判所の「南極における捕鯨」訴訟の判決を踏まえ、調査目的を限定するなど規模を縮小したうえで非致死的手法の比較実験を行うこととし、目標とする捕獲標本数は沿岸で102頭、沖合で0頭となった。2017年からはじまったNEWREP-NPではオホーツク海沿岸(網走沿岸)で47頭、太平洋沿岸で80頭、太平洋沖合で43頭の捕獲目標頭数が設定された。

資源状態
IWCによるHitter・Fitter法と1990年当時の資源量推定値約25,000頭を用いた解析によると、現実的な仮定の下では資源は増加傾向を示し、初期資源量(1930年)の70%以上のレベルにあると考えられており、資源は比較的高位にあると判断された。。一方、2013年に終了した第2回目のRMP適用試験の結果では、下記のように系群仮説の問題から一致した結論が得られなかったものの、もっとも保守的な仮説を含む基本的な6つのケースで、初期資源量に対する割合は、少なくともRMPのもとで捕獲枠が算出される54%以上にあることが示された。

管理方策
本種の商業捕獲は資源状態にかかわらず停止状態にある。1993年のIWCでフィードバック管理の考え方を取り込んで様々な不確実性のもとでも安全な管理が行えるRMPが採択された。このRMPのオホーツク海・西太平洋系群への適用試験は、1回目が2003年に終了し、極端に安全性を見込んだケースも含めた平均で年150頭程度(幅は63〜311頭)の商業捕獲枠が試算された。その後情報が集積されたこともあり、2回目の適用試験が2010年から開始され、2013年に終了し、平均で年69頭程度(幅は17〜123頭)の商業捕獲枠が試算された。しかしながら、北西太平洋における本種の系群構造仮説等について、捕鯨再開に反対する一部の科学者が多数の系群が存在する可能性を主張し続けており、IWC科学委員会において合意に至っていない。