
--- 要約版 ---

南大西洋におけるメカジキの漁法別漁獲量(1951〜2016年)

南大西洋におけるメカジキの国別漁獲量(1951〜2016年)

JABBAで推定された相対資源量(B/BMSY:右図)及び相対漁獲係数(F/FMSY:左図)
点線は95%信頼区間。

BSP2で推定された相対資源量(B/BMSY:青線)及び相対漁獲係数(F/FMSY:赤線)
実線は推定値、破線は90%信頼区間。
メカジキ(南大西洋)の資源の現況(要約表)
資源水準 | 低位 |
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資源動向 | 増加 |
世界の漁獲量 (最近5年間) |
7,725〜10,686トン 最近(2016)年:7,725トン 平均:9,380トン(2012〜2016年) |
我が国の漁獲量 (最近5年間) |
639〜1,162*1トン 最近(2016)年:639トン 平均:824トン(2012〜2016年) |
管理目標 | MSY:約14,600トン |
資源評価の方法 | Just Another Bayesian Biomass Assessment(JABBA)及びBayesian Surplus Production 2(BSP2)による。 |
資源の状態 | B2015/BMSY=0.72(0.53〜1.01)*2 F2015/FMSY=0.98(0.70〜1.36)*2 |
管理措置 | ・2018〜2021年のTACを各年14,000トン(日本の割り当ては901トン)とする。国別割り当てについて、割り当て分を超過もしくは余った場合には、2年以内であれば差し引き・上乗せを行い調整することができる。ただし、調整分は前年の割り当て量の20%を超えない範囲とする。 ・下顎叉長125 cm/体重25 kg未満の個体の水揚量を15%以下に抑えるか、下顎叉長119 cm/体重15 kg未満の個体の水揚量を0%にする(投棄量の評価含む)。 |
最新の資源評価年 | 2017年 |
次回の資源評価年 | 未定 |
*2 Just Another Bayesian Biomass Assessment(JABBA)の中央値と95%信頼区間。
管理・関係機関 | |
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大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT) |
生物学的特性 | |
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利用・用途 | |
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刺身、寿司、切り身(ステーキ)、煮付け |
漁業の特徴 | |
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1980年代末まで主に日本、台湾、韓国のはえ縄の混獲として漁獲され、漁獲量は少なかった。1989年から本種を目的にはえ縄の浅縄操業を行うスペインの船団が参入し、漁獲量が増加した。 |
漁獲の動向 | |
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はえ縄の混獲であった1980年代末までは、総漁獲重量は1万トン未満と少なかった。本種を対象としたスペインのはえ縄船団が参入した1989年から漁獲量が急増し、1995年には総漁獲量は21,930トンでピークとなった。1995年以降は、規制の導入、努力量の他の大洋への移動及び主対象魚種の変更により漁獲量は減少している。2016年には7,725トンとなった。日本のはえ縄漁船は、主漁場が北大西洋に移り、努力量の減少で漁獲量も大幅に減少し2016年の漁獲量は639トンと1995年以降で最低を記録した。 |
資源状態 | |
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最新の資源評価は2017年にICCATのSCRSによって1950~2015年までのデータを用いて実施された。資源評価にはJust Another Bayesian Biomass Assessment(JABBA)及びBayesian Surplus Production 2(BSP2)が用いられ、資源量指数と将来予測の計算にはJABBAが、感度解析にはBSP2が使用された。両モデルともに資源量指数として、日本、台湾、スペイン、ブラジル、ウルグアイ、南アフリカのはえ縄の資源量指数を使用した。2種類のモデルによる本種の資源評価結果の結果は概ね一致していた。JABBAの結果から本種の資源状態は乱獲状態にあり、漁獲は過剰漁獲の状態ではないものの、MSYレベルに近いことが示された。また、SCRSは、JABBAを用いて2028年までの将来予測を行った。漁獲量を既存のTAC(15,000トン)とした場合では、10年後にMSYレベルに回復する可能性は26%であり、50%の確率で資源量と漁業をMSYレベルにするためには漁獲を14,000トンに減少させる必要があることが示唆された。 |
管理方策 | |
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ICCATは2014〜2017年の間、各年15,000トンのTACを設定していたが、2017年の年次会合において、2018〜2021年までのTACを14,000トンとした。日本の割当量は901トンである。国別割り当て分を超過もしくは余った場合には、2年以内であれば差し引き・上乗せを行い調整することができる。ただし、調整分は前年の割り当て量の20%を超えない範囲とする。 現在、大西洋全域について、@下顎叉長125 cm/体重25 kg未満の個体の水揚量を15%以下に抑える、またはA下顎叉長119 cm/体重15 kg未満の個体の水揚量を0%にする(投棄量の評価含む)、という2種類の最小体長規制がある。2006〜2008年の大西洋全体で水揚げされた125 cm以下の個体の割合は24%(尾数)と推定されている(北系群では28%、南系群では20%)。 |