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22 メカジキ インド洋

Swordfish, Xiphias gladius

                                               
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最近の動き

総漁獲量はピーク年(2004年)の4.0万トンから年々減少し2011年には2.2万トンまで落ち込んだ。この原因はソマリア沖での海賊の活動範囲が拡大し、多くのはえ縄船が他の大洋へ移動し漁獲努力量が減少したことによる。2012年に海賊活動が収束し、はえ縄船(台湾・中国)の一部は武装警備員を乗船させソマリア沖へ戻りつつあるため、総漁獲量は2012年以降急増し、2015年には4.0万トン弱となり2番目の総漁獲量を記録した。2014年以来インドネシアの漁獲量が急増し、2014年と2015年にはそれぞれ1.1万トンを記録し、2013年以前の最大漁獲国であった台湾漁獲量の1.9倍(2014-2015年平均)近くになりメカジキの最大漁獲国となった。


利用・用途

寿司、刺身に利用されるほか、切り身はステーキや煮付けとして消費される。


図1

図1. インド洋メカジキの国別漁獲量(1950〜2016年)(IOTCデータベース:2017年10月)
2016年は暫定値。NEIFR:Not Elsewhere Included FR Fresh(生鮮まぐろ漁船)。
"NEI" catches: those not reported, and hence are mostly estimates made by scientists using trade data and port sampling(FAO)
http://www.fao.org/docrep/007/y5428e/y5428e03.htm(2015年12月19日)


図2

図2. インド洋メカジキの漁法別漁獲量(1950〜2016年)(IOTCデータベース:2017年10月)
2016年は暫定値。


図3

図3. インド洋メカジキのFAO海域別漁獲量(1950〜2016年)(IOTCデータベース:2017年10月)
2016年は暫定値。F57:東インド洋(FAO海域51)及びF51:西インド洋(FAO海域57)。


図4

図4. 資源評価で使用されたメカジキはえ縄標準化CPUE(IOTC 2017)


図5

図5. インド洋におけるメカジキの分布


図6

図6. まぐろはえ縄における漁獲量の平年分布(1989〜1993年)(Fonteneau 2004)


図7

図7. インド洋におけるメカジキの産卵域及び索餌域(IFREMER 2006 改変)


図8

図8. メカジキCPUE標準化で使用される4海域
2011年第9回かじき作業部会より。海域1-9は以前使用されたサブエアリア。(IOTC 2014a)


図9

図9. インド洋におけるSS3によるメカジキ資源評価の結果(資源状況の変遷を示す神戸プロット)(IOTC 2017)


付表1

付表1. インド洋におけるメカジキの国別漁獲量(1950〜2016年;トン)(IOTCデータベース:2017年10月)
2016年は暫定値。
*** 操業なし


付表2

付表2. インド洋におけるメカジキの漁法別漁獲量(トン)・組成(%)(1950〜2016年)(IOTCデータベース:2017年10月)
2016年は暫定値


付表3

付表3. インド洋におけるメカジキの海域別漁獲量(トン)及び組成(%)(1950〜2016年)(IOTCデータベース:2017年10月)
F51:西インド洋(FAO海域51)及びF57:東インド洋(FAO海域57)。2016年は暫定値。


漁業の概要

本種は、日本及び台湾のまぐろ類を対象としたはえ縄漁業の混獲として(台湾は時には対象種として)、1950年代より漁獲され始めた。1990年初めまでの約40年間に総漁獲量は徐々に増加し、1992年には1.6万トンに達した。1990年代に入ると、沿岸国や島しょ国(スリランカ、インドネシア、レユニオン、インドほか)がメカジキも対象とした操業を開始し、さらに台湾の漁獲努力量が増加したため、総漁獲量は1993年には2万トン台(2.6万トン)へと増加した。総漁獲量は、その後も増加を続け、1998年に3.8万トンに達し、第1回目のピークを記録した(図1〜2、付表1〜2)。しかし、1999年から総漁獲量は減少し、2001年には3.2万トンまで落ち込んだ。

この頃よりスペイン及びポルトガルのメカジキはえ縄漁船(メカ縄船)が遠洋漁業に参入したため、2002年より総漁獲量は再度増加し、2004年に4.0万トンと最大漁獲量(第2回目のピーク)を記録した。しかし、2000年半ばからソマリア沖の海賊の活動範囲が拡大し、まぐろはえ縄船が他の大洋へ移動し漁獲努力量が減少したため、総漁獲量は2005年から減少し2011年には2.2万トンまで落ち込み、1992年以来19年間で最低の漁獲量となった。2012年に海賊活動が収束し、一部はえ縄船(台湾・中国)が武装警備員を乗船させソマリア沖へ戻りつつあるため、総漁獲量は2012年以降急増し2015年には4.0万トン弱となり過去2番目の総漁獲量を記録した(図2、付表2)。

台湾は長年メカジキの最大漁獲国で、1969〜2002年における総漁獲量の40〜60%を占めていた。しかし、その後、2003〜2004年30%台、2005〜2015年平均19%へと急速に落ち込んだ。これは、スペイン、インドネシア、スリランカの漁獲量が増加したためである。台湾のはえ縄は、特に南西インド洋や赤道辺りの西インド洋で操業を行っており、夜間に浅縄を使いメカジキを狙って漁獲する場合もある。台湾漁船による漁獲は、その多くが欧州向けに一部は日本に輸出されているが、自国内での消費はほとんどない。

1990年代に入りスペイン、インドネシア、レユニオン、セーシェルなどがメカジキを対象にし、モノフィラメントの漁具とケミカルライトを使った夜間のはえ縄漁業を展開した。この漁具により、日本や台湾の伝統的なはえ縄漁業よりはるかに高い漁獲量を達成した。しかし、最近年は、南西インド洋漁場における釣獲率の低下と魚価安により思うような実績を上げられないでいる。そのほか、1990年代に入ってスリランカ(流し網)による漁獲量も増加してきている。また、便宜置籍船(生鮮はえ縄)による漁獲は、1990年代は多かったが最近年減少している。2015年において漁獲量の多い国(1,000トン以上の国)は、インドネシア、台湾、スリランカ、スペイン、インド、セーシェル、ポルトガルの順となっている。2014年以来インドネシアの漁獲量が急増し2014年と2015年にはそれぞれ1.1万トンを記録し台湾の漁獲量の2倍近くとなりメカジキの最大漁獲国となった(図1、付表1)。

日本の漁獲量は、1997年に最大(2,800トン)となったが、その後まぐろ漁場がメカジキの少ない南半球の高緯度海域(ミナミマグロ漁場)に移り、さらに2008年以降は海賊問題のため漁獲量は減少し2015年には707トンまで落ち込んだ(ピーク時の25%)(図1、付表1)。本種は東インド洋(FAO海域57)で最近5年間の平均で約50%、西インド洋(FAO海域51)で約50%となっており、同じ程度の量が漁獲されている(図3、付表3)。

インド洋南西海域で、1990年代半ばから2000年代半ばにかけ日本のCPUEが急減した(Ijima 2017)(図4)。主な原因は、南西海域においてミナミマグロを漁獲対象とする台湾のはえ縄船が増加し、さらにレユニオン、スペイン及びポルトガルのメカ縄船が参入し、総漁獲圧が急増したためと考えられる(図1、付表1)。そのため、この海域におけるメカジキ資源状況が懸念されており、IOTC科学委員会からのリクエストにより、資源評価はインド洋全体及び南西海域の2海域に対し実施された(IOTC 2011、2014a、2014b)。しかし、2014年のかじき作業部会・科学委員会は、同一系群であるインド洋のメカジキについて、南西海域だけの資源評価は意味がないので実施不要という勧告をし、2015年の年次会合もこれに同意したが、この海域の豊度指数(標準化CPUE)は常にモニターするよう科学委員会にリクエストした(IOTC 2014a、2014b、2015)。


生物学的特性

【分布・回遊】

本種は、北緯30度から南緯50度までの温帯域・熱帯域に広く生息している(図5)。メカジキの漁況は、マダガスカル周辺水域、ソマリア沖、オーストラリア南西部、インドネシア沖で良いので、これらの水域が分布の中心と考えられている(Fonteneau 2004)(図6)。

インド洋メカジキ分布域の西端は、インド洋まぐろ類委員会(IOTC)と大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)の境界線である東経20度と考えられている。しかし、漁獲量分布を見ると東経10度付近まで切れ目がないこと(図6)、南アフリカ沿岸の暖水塊はインド洋側から東経15度近くまで張り出していることから、実際の資源の境界線はもっと西側にあるのではないかと考えられている。

メカジキは日周鉛直移動することがよく知られている。夜間に表層、日中は水深1,000 mまで、音響散乱層(DSL)と餌である頭足類の鉛直移動に追従した行動をとる。また、メカジキはまぐろ類とは異なり群れをつくる習性はないが、潮境や海山の辺りで集まる傾向がある。


【成長・成熟・産卵・食性】

本種に関する具体的な生物学的特徴(年齢、成長、産卵など)の知見はほとんど得られていない。メカジキは当歳魚の間に急速に成長し90 cm(15 kg)まで達するが、成熟するまでは時間がかかる。寿命は長く30年以上生きる場合もある。メカジキは、高齢で雌雄二形(性的サイズ二型)が見られ、雌は雄より大きく早く成長し、遅く成熟する。南西インド洋における50%成熟率は、雌は6〜7歳で170 cm、雄は1〜3歳で120 cmで、メカジキは繁殖率が高く、1回の産卵で何百万もの卵を産卵する。インド洋では、赤道付近の海域で3日に一度7か月間継続して産卵していると考えられている(IOTC 2014b)。また、インド洋における漁業や調査情報によれば、ソマリア沖とジャワ島沖で春にまとまった数の成熟個体が発見されているので、この2水域内に産卵場があるのではないかと考えられている(Poisson 2006、Poisson and Fauvel 2009)(図7)。メカジキの餌生物は頭足類(特にいか類)及び魚類である。


【系群構造】

1990年代に南西インド洋でメカジキを対象としたレユニオン、スペイン及びポルトガルによるメカ縄漁業が新たに参入し、さらに台湾のはえ縄による漁獲努力量が増加したため、この海域における漁獲量が増加した。これに伴い標準化CPUEの減少が南西部インド洋水域に限って発生しているので、この海域における系群が存在する可能性が示唆された(Nishida et al. 2006)。一方で、フランス海洋研究調査機関(IFREMER)はインド洋メカジキ系群構造解析事業(IOSSS)において遺伝子解析を行いインド洋のメカジキの系群構造は1つとみなした(IFREMER 2006、IOTC 2013)。しかしながら、一部の遺伝子しか解析されていない可能性があり、南西インド洋の地域的なCPUEの減少は、別系群の可能性を否定できないため、今後引き続き標識放流を通して調査を継続するよう、2014年の科学委員会は勧告した(IOTC 2014b)。


資源状態

【CPUE標準化】

日本のはえ縄CPUE

1976年から2015年までの日本のインド洋はえ縄操業データを用いて、メカジキCPUEを標準化した(Ijima 2017)。2011年の第9回かじき作業部会より、4つのサブエリアを用いてCPUE標準化を実施することになった(図8)。また、日本の操業データから次のような特徴が見られた。ログブックデータの形式が1994年から変更され、90年代の半ばを境に浅縄から深縄に漁具構成が移行し、操業船の数も一時的に落ち込みがみられた。このことから、CPUE標準化に当たって、操業データを1976年から1993年までと1994年から2015年までの2期間へ分割した。さらに、ゼロキャッチ率が多い(50%以上)ことを考慮して、CPUE標準化によく用いられる一般化線形混合モデルだけではなく、ゼロ過剰モデル(Zero-inflated negative binomial)も適用した。CPUE標準化モデルのモデル選択にはベイズ情報量規準(BIC)を用いた。


標準化CPUEおよび不一致の問題

日本(前期・後期)、台湾、インドネシア、スペイン、ポルトガルおよび南アフリカのはえ縄漁業で漁獲された合計7種のメカジキ標準化CPUEの報告があった。そのうち資源評価で使用された標準化CPUEは、日本(前期・後期)、台湾、スペインおよびポルトガルの5種類であった(図4)。インド洋南西海域では、スペインおよびポルトガルの標準化CPUEはフラットな傾向である一方、台湾、日本の標準化CPUEは減少傾向にある。このように同じ海域でも複数の標準化CPUEの傾向が一致しない問題が残されている。


【資源評価】

2017年の第15回かじき作業部会で行った統合モデルSS3によるインド洋全域の資源評価(1950〜2015年のデータを使用)では、SSB/SSBMSY=1.5、F/FMSY=0.76で安全な状況であることが判明した。(図9)。ただしMSYは3.2万トンで、2015 年の漁獲量(4.0万トン)はMSYを大きく上回り資源状況は悪化している。また、リスク解析(神戸II)の結果、現在の漁獲量を20%増加した場合、10年後にFか?MSYを上回る確率か? 71%、 SBか?MSYを下回る確率が46%となっている。以上より、本種の資源状況は健全ではあるが、安心はできない状況にあるといえる(IOTC 2017)。


管理方策

メカジキを漁獲対象とする漁船隻数を2007年水準に抑える措置が導入されている。2017年の第20回科学委員会は、メカジキの漁獲量は今後MSYレベル(3.2万トン)を超えるべきでないと勧告した。


メカジキ(インド洋)の資源の現況(要約表)

資源水準 中位
資源動向 減少
世界の漁獲量
(最近5年間)
2.1万〜4.0万トン
最近(2015)年:4.0万トン
平均:3.2万トン(2011〜2015年)
我が国の漁獲量
(最近5年間)
576〜770トン
最近(2015)年:707トン
平均:666トン(2011〜2015年)
管理目標 MSY=3.15万トン
資源評価の方法 SS3
資源の状態 ・2015年における資源は、F/FMSY=0.76及びSSB/SSBMSY=1.50で安全な状況にある。
・しかし、2015年の漁獲量はMSYを超え資源状況は悪化しつつある。
管理措置 ・今後の漁獲量はMSY(3.15万トン)を超えるべきでない(2017年第20回科学委員会勧告)
・オブザーバープログラム実施(決議:11/04)
・漁獲量・漁獲努力量収集(決議:15/01)
・義務データ提出(決議:5/02)
その他はインド洋メバチ参照のこと。
管理機関・関係機関 IOTC
最新の資源評価年 2017年
次回の資源評価年 2020年


執筆者

国際水産資源研究所 業務推進課

西田 勤


参考文献

  1. Fonteneau, A. 2004. Non-titled working file for the 3rd session of the IOTC working party on billfish. Perth, Australia, November 10-12, 2003.
  2. IFREMER. 2006. Report of the Indian Ocean Regional Workshop on Swordfish Structure, IFREMER Ile de la Réunion, France. 44 pp.
  3. Ijima, H. 2017. CPUE standardization of the Indian Ocean swordfish (Xiphias gladius) by Japanese longline fisheries: Using negative binomial GLMM and zero inflated negative binomial GLMM to consider vessel effect (IOTC-2017-WPB15-19).
  4. IOTC. 2011. Report of the 9th session of the IOTC working party on billfish. IOTC-2011-WPB-R [E].
  5. IOTC. 2013 Report of the 10th session of the IOTC working party on billfish. IOTC-2013-WPB-R [E].
  6. IOTC. 2014a. Report of the 12th session of the IOTC working party on billfish. IOTC-2014-WPB-R [E].
  7. IOTC. 2014b. Report of the 17th Session of the IOTC Scientific Committee. IOTC-2014-SC-R [E].
  8. IOTC. 2015. Report of the 19th Session of the IOTC Scientific Committee. IOTC-2015-SC-R [E].
  9. IOTC. 2017. Report of the 15th session of the IOTC working party on billfish. IOTC-2017-WPB15-R[E].
  10. Nishida, T., Shiba, Y., Suzuki, N., Nakadate, M., Ishikawa, S., and Chow, N. 2006. Consideration on sampling methods for tissue collection in the IFREMER swordfish stock structure study by the genetic analyses. Indian Ocean Regional Workshop on Swordfish Structure, IFREMER Ile de la R?union, France. 51 pp.
  11. Poisson, F. 2006. Synopsis of the reproductive dynamics of swordfish in Indian Ocean and areas for future studies. IOSSS workshop.
  12. Poisson, F., and Fauvel, C. 2009. Reproductive dynamics of swordfish (Xiphias gladius) in the southwestern Indian Ocean (Reunion Island). Part 1: oocyte development, sexual maturity and spawning. Part 2: fecundity and spawning Pattern (IOTC-2009-WPB-04).