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17 メバチ 中西部太平洋

Bigeye Tuna, Thunnus obesus

                                                                               
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最近の動き

2016年の総漁獲量は15.2万トン(予備集計)で、過去最高値を記録した。本種の最新の資源評価は2017年に太平洋共同体事務局(SPC)の科学専門グループにより行われた。MSYは15.3万トンと推定された。2012年から2015年の平均の産卵資源量のレベル(SB2012-2015/SBF=0)は0.32(80%確率範囲 は0.15-0.41)であり、限界管理基準値(Limit Reference Point;SB/SBF=0 = 0.20)を上回っている。また、従来、過剰漁獲能力の基準と見なされてきたFMSYで判断した場合、2012年から2015年の平均漁獲努力は1.0を下回った(F2012-2015/FMSY=0.83(80%確率範囲は0.61-1.31))。資源は乱獲状態の可能性が低く、漁獲努力が過剰でない可能性が高い。2017年12月に開催されたWCPFC第14回年次会合において、措置の見直しが議論され、まき網のFADs操業規制、はえ縄の漁獲量管理などが改訂された(WCPFC 2017b)。


利用・用途

はえ縄の漁獲物は生鮮(刺身)、まき網の漁獲物は缶詰をはじめとする加工品として主に利用される。


表1

表1. 中西部太平洋におけるメバチの各四半期齢時の体長(尾叉長cm)と体重(kg)(Harley et al. 2014、McKechnie et al. 2017a)


図1

図1. 太平洋におけるメバチの分布域と索餌域


図2

図2. 中西部太平洋におけるメバチの漁法別漁獲量(上図)と国別漁獲量(下図)


図3

図3. 主要漁業によるメバチの漁獲量分布(1990〜2016年)及び2017年の資源評価に用いられた海区区分(Williams et al. 2017)
緑がはえ縄、青がまき網、黄がその他の漁業を表す。


図4

図4. 中西部太平洋におけるメバチ資源評価の2014年と2017年の主な変更点(WCPFC 2017a)
2017年の資源評価結果は前回(2014年)と大きく結果が異なった。影響の大きな変更は成長式とエリア分けとされた。成長式が変更されると、資源評価モデル内で年齢別の自然死亡係数、再生産力も変更になるので、あわせて示す。
左上(成長式の違い);青:2017年、赤:2014年、紫色:1σ信頼区間。
右上(四半期齢別自然死亡係数の違い);黒:2017年の成長式と新しい体長別成熟率(Farley et al. 2017)を適用した場合、赤:2014年の成長式と古い体長別成熟率を適用した場合、青:2014年の成長式と新しい体長別成熟率を適用した場合、緑:2017年の資源評価モデルで自然死亡係数を内部推定した場合。
左下(四半期齢別再生産力の違い);再生産力は性比、成熟率、産卵頻度およびfecundityの積(相対表示);黒:2017年、赤:2014年、青:2014年の成長式と新しい体長別成熟率を適用した場合。
右下(エリア分けの変更);資源評価モデル内で、漁業の分布等に応じてサブエリアを設定している。熱帯まぐろ類が良く漁獲される熱帯域の範囲を狭くし(エリア3と4の北限が北緯20度から10度に変更されている)、熱帯域の影響をより正確に捉えることを目的とした。


図5

図5. 中西部太平洋におけるメバチのF/FMSYとSB/SBF=0の経年的プロット(WCPFC 2017a)
SB/SBF=0は、漁業がないと仮定して推定した現在の産卵資源量を1.0としたときの実際の産卵資源量。


図6

図6. 中西部太平洋におけるメバチのSpawning potential(上図)と Spawning Biomass ratio(下図)の推移(WCPFC 2017a)
上図:海域(図3)ごとのSpawning potential(産卵資源量、性比、年齢別成熟率、1回あたりの産卵量、産卵回数の情報を考慮した、産卵可能指数)。下図:漁業がないと仮定した状態の産卵資源量を1.0としたときの、実際の産卵資源量の割合。設定がことなる72ケースの結果を示す。青色と赤色は異なる成長式を示す(青:耳石による成長式。2017年の資源評価で新たに適用された。赤:体長組成による成長式。2014年の資源評価まで用いられていた手法)。


図7

図7. 中西部太平洋におけるメバチの加入量(WCPFC 2017a)
海域(図3)ごとの加入量(10,000個体)を表す。


図8

図8. 中西部太平洋におけるメバチの漁獲死亡係数(年)の推移(WCPFC 2017a)
黒:親魚、赤:未成魚


図9

図9. 中西部太平洋における漁業ごとのメバチ産卵資源へのインパクト(WCPFC 2017a)
縦軸は漁業が資源を減少させた割合(%)を示したもの。はえ縄(緑)、竿釣り(赤)、まき網流れもの操業(青)、まき網素群れ操業(水色)、その他(黄)を表す。


付表1-1
付表1-2
付表1-3
付表1-4

付表1. 中西部太平洋におけるメバチの年別国別漁獲量(単位:トン)


漁業の概要

WCPFCが管理する中西部太平洋は、西経150度以西の太平洋である(図1)。はえ縄、まき網及び竿釣りが主な漁業である。はえ縄は1950年代にキハダを主要対象種として発展したが、1970年代半ばにメバチを主要な対象とするようになった。まき網は、カツオを主対象としつつ、キハダも漁獲する漁業として1970年代半ばに始まった。1970年代までは、はえ縄が漁獲の9割を占めていたが、その後、まき網による漁獲量が増加した。2016年の総漁獲量は15.2万トン(予備集計)で、内訳は、まき網が41%、はえ縄が42%、竿釣りが3%、そのほか14% である。そのほかには、フィリピン及びインドネシアにおける多様な漁業(ひき縄、小型のまき網、刺網、手釣りなど)が含まれている(図2、付表1)(Williams et al. 2017)。なお、付表1の値とこれに基づく図2は、WCPFCの個人情報保護のルールにより、ある年のある国の漁獲実績がある船舶数が3隻未満の場合は公表されないため、全ての国を足し上げても、上記の総漁獲量の記載と一致しないことがあるが、2016年の場合は、付表1の合計は15.1万トンと総漁獲量(15. 2万トン)とほぼ同値である。

まき網漁業について、日本近海、とくに三陸沖で、季節的にかつお・まぐろ類を対象とした操業は第二次大戦前より行われていた。熱帯域における大規模なまぐろまき網漁業の先駆者は日本である。マッカーサーラインが廃止された1952年から試験的に太平洋熱帯域への出漁がみられ、1969年に自然流木に蝟集する魚群を対象とする漁法が開発され、また、素群れへの操業方法開発の努力も続けられた結果、1970年代半ばに、現在の熱帯域で周年操業する形態が確立した(海外まき網漁業協会 2004)。1980年代には台湾船、韓国船が参入し、かつ東部太平洋の不漁によって一部の米国まき網船が中西部太平洋に漁場を移し、メバチの漁獲量が増加し始めた。1990年代に入ると、集魚装置(FADs)を使用した操業が発達した。これは、人工的に流れもの(人工筏とも呼ばれる。典型的には、フロートになる筏部分と、海中にあって蝟集効果を高めると考えられる網(中古のまき網の身網)及び位置を知らせるブイで構成される)を海に投入し、しばらく待って(数週間から数か月)、魚群が蝟集した場合、これを明け方に漁獲する漁 法である。近年、FADsに魚群探知機と衛星ブイを装着し、魚群の蝟集状況を、FADsに赴いて点検せずとも把握できる工夫が行われている。点検時間が短縮することにより、FADs操業の漁獲効率が高まっている可能性がある。これらの装置は、大西洋では、ほぼすべてのFADs(ICCAT 2016)に、東部太平洋ではおおよそ3/4のFADs(Hall and Román 2017)に装着されているとの報告がある。数年前より、世界的にまぐろ類の地域漁業管理機関において、FADsに関する調査の気運が高まっている。具体的な調査項目として、FADs操業のまぐろ類資源や生態系へのインパクトを推定する目的で、海上にある総FADs数の推定、FADs寿命の推定、生分解性のFADs素材の開発、生物が絡まりにくいFADsの開発、FADsに関する情報収集項目の標準化作業などがある。FADs操業では主として、小型魚が漁獲される。メバチ資源に中西部太平洋内では、東部の方が西部よりメバチが多獲される傾向があり、かつ東部でFADs操業が盛んである。したがって、主として東部海域でのFADs操業によるメバチ漁獲がもたらすメバチ資源への影響が懸念さ れている(Harley et al. 2015、Kawamoto and Nakamae 2016)。漁場は、北緯10度から南緯10度の熱帯域で東西に幅広いが、特に東経160度付近で漁獲が多い(図3)。近年10年(2007〜2016年)で、まき網の漁獲量の多い国は、米国、台湾、パプアニューギニア、韓国、日本、スペイン及びフィリピンなどで、2016年には、これら7カ国でまき網漁獲量の65%を占めた。日本まき網船の漁獲量は、2000年以降は5,000トン前後であり、2016年は4,681トン(予備集計)であった。まき網全体の努力量は近年、上昇傾向にあったが、2015年は2014年より減少し、2016年は2015年より若干増加した。操業方法により、主として漁獲される魚のサイズが異なり、素群れ操業は尾叉長50〜100 cmに分布する。流れもの操業(FADs操業含む)は50 cmを主体に、90 cm未満が多い(Williams et al. 2017)。

はえ縄漁業について、我が国漁船は1938年頃に漁場は赤道付近まで拡大し、キハダを主要な漁獲対象種としていた(岡本 2004)。マッカーサーラインが廃止された1952年から、漁場が急速に拡大し、1960年には中央アメリカ沿岸に達した(Suzuki et al. 1978)。その後も南北両半球の温帯域に操業域を広げ、1960年代には、地理的に最も広く操業が行われた。この頃は缶詰等の加工品原料としてキハダとビンナガを漁獲していたが、1970年代半ばには、刺身需要の増加と冷凍設備の改善によって、主たる漁獲対象魚種がメバチに変更されたため、はえ縄のメバチ漁獲量が増加した。漁場は、北緯15度と南緯15度熱帯域で東西に幅広い。南北30〜35度付近の温帯域に、それぞれの冬場を中心にメバチの好漁場が形成される。これらの魚体は小さく未成熟なので摂餌回遊と考えられる(図3)。近年10年(2007〜2016年)で、はえ縄の漁獲量の多い国は、日本、韓国、台湾、中国、米国及びインドネシアなどで、2016年には、これら6か国ではえ縄漁獲量の83%を占めた。日本船の漁獲量は、1978年と1990年に2回のピーク(そ れぞれ5.1万トン、5.0万トン)を記録した。1990年以降は減少傾向にあり、2016年は1.2万トン(予備集計)であった。はえ縄船の漁獲サイズは、主として尾叉長90 cmから170 cmである(Williams et al. 2017)。

竿釣り漁業は、日本のカツオ竿釣り漁業で漁獲されるメバチが1950年代から記録されている。1970年代半ばまで、年1,000〜2,000トンの漁獲であった。その後、インドネシアの漁獲が増加し、近年10年(2007〜2016年)で、竿釣りの漁獲量が多いのはインドネシアで、2016年には、インドネシア一国で竿釣り漁獲量の72%を占めた(Williams et al. 2017)。

そのほかの漁業は、フィリピンとインドネシア東部における多様な漁法(ひき縄、小型のまき網、刺網、手釣りなど)が含まれる。漁獲サイズは、尾叉長20〜50 cmが多い(Williams et al. 2017)。これらの漁業の水揚地が多いことから、漁獲量の把握が十分ではなく、特にインドネシアの漁獲量は不確定要素が大きいと考えられている。


生物学的特性

メバチは、三大洋の熱帯域から温帯域にかけて広く分布する。若齢で小型のメバチは、似たような大きさのカツオやメバチと群れを作ることがあり、これらはもっぱら表層に分布する。成長するにつれて、メバチ単独の群れとなり、より水深の深い層にも分布するようになる。産卵は水温24℃以上の水域で周年行われると考えて良いが、季節性もみられ、赤道の北側で4〜5月、南側では2〜3月である(二階堂ほか 1991)。このような産卵期の違いは、中西部太平洋内に系群が存在する可能性を示唆する。近年、西経140度、155度、170度、180度の赤道を放流点として、放流点と再捕点のみが分かる標識と、移動経路が分かる標識を用いた大規模な標識放流調査が行われた(Schaefer et al. 2015)。東西方向に、隣の放流点にまで移動する例は多数みられたが、それ以上の長距離移動は少なかった。これらは系群の存在を補強する証拠となり得る。一方で、はえ縄やまき網の漁獲状況をみると、中西部太平洋内では明瞭な漁獲の切れ目がないこと分かる(Williams et al. 2017)。このように系群の存在については 異なる見解が得られるため、判断が難しいものの、2017年の場合も含めて、中西部太平洋のメバチの資源評価では、中西部太平洋で一つの系群と見なし、東部太平洋とは西経150度で分離されている。メバチは多回産卵型で、産卵期にはほぼ毎日産卵し、産卵は夜間(19 時から真夜中;二階堂ほか 1991、19時から朝4時;Schaefer et al. 2005)に行われ、一回当たりの産卵数はハワイ南西沖のサンプルから体長150 cmで約220万粒であると考えられている(二階堂ほか 1991)。本種の寿命は、放流後14年経過してから再捕された例(SPC 未発表データ)から10〜15年であろうと考えられている。胃内容物からは魚類や甲殻類、頭足類等、幅広い分類群が出現し、種特異性はないようである。しかし、他のまぐろ類に比べてハダカイワシ類やムネエソ等の中深層性魚類が多い。仔魚期、稚魚期には多くの捕食者がいると思われるが情報は少ない。さらに遊泳力が付いた後は大型のかじき類、さめ類、歯鯨類等に外敵は限られてくるものと思われる。生物学的最小型は90〜100 cm、14〜20 kg(満2歳の終わりから3歳)と報告 されており(Kikawa 1953)、雌の50%は92 cmで成熟し、135 cmの雌では50%が成熟している(Schaefer et al. 2005)。

2017年の資源評価での諸設定は次のとおり。資源評価モデルの設定ファイルはSPCのホームページより得られる(http://www.spc.int/oceanfish/en/ofpsection/sam/sam)。このファイルと資源評価文書を参考とした。成長式に大きな変化があり、これに伴い、年齢別の自然死亡係数や成熟率にも変化が起きたので、図4に比較結果をまとめた。

成長式:2014年の資源評価と同様に体長組成を用いて資源評価モデル内で推定する成長式と、新たに耳石を用いた成長式(Farley et al. 2017、McKechnie et al. 2017b)が示された。10歳魚の平均体長が184 cmから152 cmに変わる大きな変更があった。四半期齢ごとの尾叉長(cm)を示す。

 →2014年資源評価(体長組成による成長式):21.7, 33.3, 42.9, 50.3, 56.1, 65.5, 75.1, 83.5, 91.0, 97.5, 103.6, 109.4, 114.8, 119.9, 124.7, 129.2, 133.4, 137.4, 141.1, 144.7, 148.0, 151.1, 154.0, 156.8, 159.4, 161.8, 164.1, 166.3, 168.3, 170.2, 172.0, 173.7, 175.3, 176.7, 178.1, 179.5, 180.7, 181.9, 183.0, 184.0(Harley et al. 2014)

 →2017年資源評価(耳石による成長式):21.8, 31.5, 40.5, 48.8, 56.6, 63.9, 70.6, 76.8, 82.6, 88.1, 93.1, 97.8, 102.1, 106.1, 109.9, 113.4, 116.6, 119.6, 122.4, 125.1, 127.5, 129.7, 131.8, 133.8, 135.6, 137.3, 138.8, 140.3, 141.6, 142.9, 144.1, 145.2, 146.2, 147.1, 148.0, 148.8, 149.5, 150.3, 150.9, 151.5(McKechnie et al. 2017a)

自然死亡係数:キハダ、メバチでは、一般に体長が大きいほど雄が多いことが知られている。産卵に対する負担が雌で大きく、成熟後の雌の自然死亡係数が高いと仮定すると、この現象を説明出来ると考えられる。従って、体長別の雌雄比が再現できるように、自然死亡係数を雌雄別に、成熟度を考慮し、最終的に雌雄をまとめて、一つの、体長別の自然死亡係数が作成された(Harley and Maunder 2003、Hoyle 2008、Hoyle and Nicol 2008、Harley et al. 2014、McKechnie et al. 2017a)。資源評価モデル内では、年齢別死亡係数として利用するため、体長から年齢に変換される。成長式の変更に伴い、年齢別自然死亡係数も変化する。四半期齢ごとの自然死亡係数を示す。

 →2014年資源評価:0.200, 0.166, 0.134, 0.101, 0.100, 0.100, 0.100, 0.100, 0.100, 0.101, 0.101, 0.102, 0.103, 0.104, 0.106, 0.109, 0.113, 0.119, 0.125, 0.130, 0.134, 0.135, 0.134, 0.133, 0.131, 0.129, 0.128, 0.126, 0.124, 0.123, 0.121, 0.120, 0.118, 0.117, 0.116, 0.115, 0.114, 0.113, 0.112, 0.111(Harley et al. 2014)

 →2017年資源評価:0.202, 0.168, 0.135, 0.102, 0.101, 0.101, 0.101, 0.101, 0.101, 0.102, 0.102, 0.104, 0.106, 0.109, 0.112, 0.114, 0.115, 0.116, 0.116, 0.116, 0.116, 0.116, 0.116, 0.116, 0.115, 0.115, 0.115, 0.115, 0.114, 0.114, 0.114, 0.113, 0.113, 0.113, 0.113, 0.112, 0.112, 0.112, 0.112, 0.111(McKechnie et al. 2017a)

成熟:体長別成熟率は改訂され、成熟が若干、早まる結果となった(Farley et al. 2017)。資源評価モデル内では、年齢別成熟率として利用するので、成長式の変更に伴い、年齢別成熟率も変更された。

 →2014年資源評価:0.00, 0.00, 0.00, 0.00, 0.00, 0.00, 0.00, 0.01, 0.02, 0.03, 0.06, 0.10, 0.16, 0.26, 0.39, 0.56, 0.74, 0.87, 0.96, 0.99, 1.00, 0.99, 0.97, 0.94, 0.90, 0.87, 0.83, 0.79, 0.75, 0.72, 0.68, 0.64, 0.60, 0.56, 0.53, 0.50, 0.46, 0.43, 0.40, 0.37(Harley et al. 2014)

 →2017年資源評価:00.00, 0.00, 0.00, 0.00, 0.00, 0.00, 0.02, 0.04, 0.10, 0.20, 0.34, 0.49, 0.63, 0.73, 0.81, 0.87, 0.91, 0.94, 0.96, 0.98, 0.99, 1.00, 1.00, 1.00, 1.00, 0.99, 0.99, 0.98, 0.97, 0.96, 0.95, 0.94, 0.93, 0.92, 0.90, 0.89, 0.87, 0.86, 0.84, 0.83(McKechnie et al. 2017a)

体長体重関係式:W= 2.0417 × 10-5 × L3.0214 (L:尾叉長(cm)、W:体重(kg))(McKechnie et al. 2017a)


資源状態

最新の資源評価は2017年にSPCの科学専門グループにより行われた。資源評価モデルはMultifan-CL(Fournier et al. 1998、Hampton and Fournier 2001、Harley et al. 2014、McKechnie et al. 2017a)が用いられた。資源量指数として、まき網は用いられていない。はえ縄に関しては、2014年の資源評価で用いた手法(Delta-log normal model)を踏襲した。ただし、主要はえ縄国(日本を含む)の操業ごとのデータを用いた点、漁船ごとの効果を除いた点が異なる。説明変数は、年・四半期、漁獲位置(5度5度)、対象種(クラスター解析の結果)である。漁獲の有無部分には、このほかに努力量が加わっている。また、感度分析として、空間統計を用いた場合(Tremblay-Boyer and Pilling 2017a)、漁船効果を取り入れた場合(Tremblay-Boyer and Pilling 2017b)が適用された。前回の資源評価でも、資源評価の諸設定について、確実には分からない項目(例えばスティープネス)がある場合は、各項目の値を複数仮定して(例えばスティープネスであれば、0.75、0.85、0.95)不確実性を考慮 した。今回の資源評価では、この方法をより発展させた(図4)。すなわち、資源評価指標(とくに限界管理基準値)に影響の大きい5つの項目を選択し、これらに複数の値を仮定し、最終的に144ケースのシナリオの結果を統合したものとなっている(WCPFC 2017a)。

資源評価の結果、MSYは15.3万トンと推定された。2012年から2015年の平均の産卵資源量のレベル(SB2012-2015/SBF=0)は0.32(80%確率範囲 は0.15-0.41)であり、限界管理基準値(Limit Reference Point;SB/SBF=0 = 0.20)を上回っている。また、従来、過剰漁獲能力の基準と見なされてきたFMSYで判断した場合、2012年から2015年の平均漁獲努力は1.0を下回った(F2012-2015/FMSY=0.83(80%確率範囲は0.61-1.31))(図5)。資源は乱獲状態の可能性が低く、漁獲努力が過剰でない可能性が高い。ただし、乱獲状態(LRP を下回る)であった可能性が16%(144ケースのうち23ケースはLRPを下回る)あり、漁獲努力が過剰(F2012-2015 > FMSY)であった可能性も23%(144ケース中33ケース)あることには留意。Spawning potential(産卵資源量、性比、年齢別成熟率、一回あたりの産卵量、産卵回数の情報を考慮した、産卵可能指数)は1970年代から減少傾向にある(図6)。また、Spawning Biomass ratio(漁業がない と仮定して推定した状態の産卵資源量を1.0としたときの、実際の産卵資源量との比)は最近年を除いて、減少傾向にあり、2015年の144ケースの中央値は0.37(図6)とされ、LRP(0.2)を上回った。加入量は、1950年から1970年にかけて減少した後、2000年あたりまで増加傾向となり、その後、減少した。最近年は過去平均よりは高いと推定されている(図7)。漁獲死亡は、まき網の漁獲量が増加した1980年頃から若齢魚の漁獲死亡係数が急激に増加し、FADs操業が始まった1990年代半ば以降に、さらに急増した。1980年以降の増加は、フィリピン・インドネシアの漁業の漁獲量増加も一因である。この若齢魚の変化に比較して、成魚の漁獲死亡の増加は緩やかである。大型のメバチがまき網やフィリピン・インドネシアの漁業で漁獲されることがまれであることが、この違いの原因と考えられる(図8)。各漁業の親魚資源量に与える影響は、近年は、はえ縄とまき網のFADs操業の影響はおおよそ同じと推定された(図9)。

なお、前回(2015年)の資源評価結果では、過剰漁獲状態であり、乱獲状態でもある、と評価されていた。最新の資源評価では、上記のとおり、漁獲努力が過剰でない可能性が高く、乱獲状態の可能性が低いとされたが、これは主に成長式と分布域の分け方を修正したためであり、最新の資源評価は、前回の資源評価よりも資源評価の諸設定に起因する不確実性をより取り込む手法を採用したため、資源評価指標が、より不確実にみえる結果となった。

前回の資源評価での不確実性の扱いを発展させた方法を今回の資源評価で採用している(図4)。資源評価結果は、実際は144ケースのシナリオの結果を統合したものとなっている。これは、次の4つの過程で決められた。@2014年の資源評価モデルをもとに、漁業データの更新、新しいMultifan-CLソフトウェアの適用、エリアの変更、成長式の変更などを行って'diagnostic case' と呼ばれる、引き続く感度分析過程の基礎になるモデルを構築した。ただし、従来のbase caseやreference caseと呼ばれていたもっとも資源状態を表すモデルと異なり、感度分析の一つとの扱い。Aこの'diagnostic case'の設定を一つだけ変更し、各設定の影響を判定する'one-off sensitivity' 解析(感度分析)を行った。変更した設定の種類は14(新旧成長式、新旧エリア、タグデータの重み、スティープネス、サイズデータの重み、標識放流データの種類、はえ縄漁獲量の推定方法、用いるCPUEの違い、自然死亡係数など)に及ぶ。Bこれらの感度分析のうち、diagnostic caseと比較して、資源評価指標に影響の大きな5つの設定(成長式の 種類(新旧2種類)、エリア(新旧2種類)、タグデータの重み(2種類)、スティープネス(3種類)、サイズデータの重み(3種類))の組み合わせ合計72ケース(=2 x 2 x 2 x 3 x3)で構成される'structural uncertainty grid' 解析を行った。CSC13の議論で新しい成長式を用いたモデル(36ケース)の重みを3、古い成長式を用いたモデル(36ケース)の重みを1とした。数字が大きい方が、よりありえる設定とみなされる。資源評価指標の中央値を計算するために、前者のケース数を3倍し、108ケース、後者は据え置いて36ケース。合計144ケースとなる。なお、このときの重みの決め方は必ずしも客観的ではないので、客観的な指標を開発する必要性(WCPFC 2017aのパラグラフ243)が言及された。


管理方策

2017年12月に開催されたWCPFC第14回年次会合において、メバチ・キハダ・カツオの保存管理措置に関し、これまでの措置が2017年で失効し、規制がない状態に戻るため、2018年以降の措置について議論が行われた。その結果、2018年1年間の暫定措置として、次の措置が合意された(WCPFC 2017b)。

まき網(熱帯水域)
・2018年にFAD操業禁止3か月(7〜9月)+ 公海FAD操業禁止追加2ヶ月(4〜5月もしくは11〜12月)。
・FADs操業禁止は、本船以外の船(tender vessel)にも適用される。
・公海操業日数制限は、先進国に加え島嶼国がチャーターする船にも適用。
・FADs数規制(1隻あたり常時350個以下):全条約水域に適用
・公海操業日数の制限
・島嶼国以外のメンバーの大型船隻数制限
はえ縄
・メバチの漁獲量制限(我が国の漁獲枠は、16,860トン(2017年)から18,265トンに増加。)

MSE (Management strategy evaluation) の検討状況

「3. まぐろ類の漁業と資源調査(総説)」にMSEに関する一般的な説明(総説の付表1、図11および12)がある。また、WCPFCでのMSEの検討内容については、「13. キハダ(中西部太平洋)」を参照のこと。


メバチ(中西部太平洋)の資源の現況(要約表)

資源水準 中位
資源動向 横ばい
世界の漁獲量
(最近5年間)
14.3万〜16.6万トン
最近(2016)年:15.1万トン
平均:15.6万トン(2012〜2016年)
我が国の漁獲量
(最近5年間)
1.8万〜2.5万トン
最近(2016)年:1.8万トン
平均:2.2万トン(2012〜2016年)
管理目標 検討中
資源評価の方法 統合モデル(Multifan-CL)
資源の状態 SB2015/SBF=0=0.32
F2012-2015/FMSY=0.83
管理措置 まき網(熱帯水域)
・2018年にFAD操業禁止3か月(7〜9月)+ 公海FAD操業禁止追加2ヶ月(4〜5月もしくは11〜12月)。
・FADs操業禁止は、本船以外の船(tender vessel)にも適用される。
・公海操業日数制限は、先進国に加え島嶼国がチャーターする船にも適用。
・FADs数規制(1隻あたり常時350個以下):全条約水域に適用
・公海操業日数の制限
・島嶼国以外のメンバーの大型船隻数制限
はえ縄
・メバチの漁獲量制限(我が国の漁獲枠は、16,860トン(2017年)から18,265トンに増加。)
管理機関・関係機関 WCPFC、SPC
最新の資源評価年 2017年
次回の資源評価年 2020年

執筆者

かつお・まぐろユニット
熱帯まぐろサブユニット
国際水産資源研究所 かつお・まぐろ資源部 まぐろ漁業資源グループ

佐藤 圭介

                              

参考文献

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