--- 要約版 ---

05 大西洋クロマグロ 東大西洋

Atlantic Bluefin Tuna, Thunnus thynnus

                                                       
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図2

大西洋クロマグロ(東系群)の年齢あたりの体長(青線)と体重(赤線)
図中の矢印は成熟体長を表す。


図3

大西洋クロマグロの分布域(赤)と主要漁場(青)、産卵場(黄)
縦太線は東西の系群の境界。索餌場は産卵場を除く分布域。


図1

大西洋クロマグロ(東系群)の漁法別海域別公式漁獲量の推移(1950〜2016年)
漁獲量には投棄分も含まれる。灰色は資源評価に用いた地中海まき網による未報告漁獲量(1998〜2007年)を示す。


図5

大西洋クロマグロ(東系群)の親魚資源量の経年変化


図6

大西洋クロマグロ(東系群)の加入尾数(1歳魚)の経年変化


図7

大西洋クロマグロ(東系群)の2〜5歳(左図)及び10歳以上(右図)の漁獲死亡率



大西洋クロマグロ(東大西洋)の資源の現況(要約表)

資源水準 高位
資源動向 増加
世界の漁獲量
(最近5年間)
1.1万〜2.0万トン
最近(2016)年:2.0万トン
平均:1.5万トン(2012〜2016年公式報告漁獲量)
我が国の漁獲量
(最近5年間)
1,093〜1,578トン
最近(2016)年:1,578トン
平均:1,264トン(2012〜2016年)
管理目標 2022年までに60%以上の確率で親魚資源量をMSYを与えるレベルに回復
資源評価の方法 VPA
資源の状態 F2012-2014/F0.1=0.339 [0.254-0.438]
管理措置 TAC 2018〜2020年:2.82万トン、3.24万トン、3.6万トン
(日本枠:2,279トン、2,528トン、2,801トン)
最新の資源評価年 2017年
次回の資源評価年 2020年

管理・関係機関
大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)

生物学的特性
  • 体長・体重:尾叉長4.0 m・700 kg
  • 寿命:25〜30歳
  • 成熟開始年齢:4〜5歳
  • 産卵期・産卵場:6〜8月、マジョルカ島からシチリア島にかけての地中海
  • 索餌期・索餌場:地中海、ビスケー湾等、北緯35度以北の大西洋
  • 食性:魚類、甲殻類、頭足類
  • 捕食者:まぐろ・かじき類、さめ類、海産哺乳類

利用・用途
すし、刺身

漁業の特徴
主な漁業国はスペイン、フランス、イタリア、モロッコ、日本、チュニジア及びトルコである。日本ははえ縄、スペインは定置網と竿釣り漁業とまき網、フランス及びイタリアはまき網で漁獲する。東大西洋(ビスケー湾)と地中海(まき網)では小型魚(2〜5歳)の漁獲が知られている。地中海では、1990年代半ばより蓄養を目的としたまき網漁業が盛んになったが、2007年までの過去の漁獲量統計値の精度には疑問がある。

漁獲の動向
公式報告漁獲量は1990年代以降、1996年の約5万トンまで急増し、それ以降2009年までTAC(2万〜3.6万トン)前後で推移してきた。しかしSCRSは、公式報告漁獲量には深刻な過少報告が存在すると指摘し、1998〜2007年の推定漁獲量は5万〜6万トンとしている。2017年のSCRSでは、未報告漁獲量は地中海におけるまき網によるものと仮定し、これらの推定値を公式報告漁獲量として扱うこととした。2008年以降の漁獲量はより正確な報告であると考えられており、TAC(1万〜2万トン)前後で推移している。2015年以降はSCRSにおいて本資源の資源回復が確認されたため、TACを増加させた結果、2015および2016年の公式報告漁獲量は16,201トンおよび20,098トン、そのうち地中海は11,360トンおよび13,162トンであった。

資源状態
2017年のSCRSにおけるADAPT VPAを使用した資源評価において推定された親魚資源量は、1970年代半ばに過去最大(約60万トン)となった後、1990年から2000年代半ばまで横ばい(約28万トン)で推移し、その後近年まで急激な増加を示した。全ての資源量指数は近年の増加を示している。2017年のSCRSは、管理目標値の推定に必要な将来の長期的な加入量について様々な場合を検討したが、推定された管理目標値の範囲が非常に広くなったため、加入量を選択することは適切でないと判断し、管理目標値を推定しなかった。そのため、漁獲死亡係数Fのみに基づいて管理勧告を作成した。なお、管理目標にはFMSYの代替値としてF0.1を使用することとした。近年(2012-2014年の平均)のFは、F0.1の0.339倍(0.254-0.438:80%信頼区間)と推定され、現状は過剰漁獲ではないと判断された。2017年のSCRSは現状の資源状態を判断しなかったが、本資料では過去約50年(1968〜2015年)の親魚資源量推定値から資源の水準は高位で、資源の動向は増加傾向と評価した。

管理方策
ICCATは2009年に、2022年までに60%以上の確率で最適な資源状態に回復させるという計画を決定した。SCRSは勧告において、近年の規制により明らかに漁獲量及び漁獲死亡が減少したこと、最近年の全ての資源量指数が上昇傾向であることを言及した。管理目標については、仮に2020年までに3.8万トンで漁獲した場合、回復目標の設定年である2022年まで60%以上の確率でFをF0.1以下に保つためには、2021年以降の漁獲量を3.6万トン以下に減らす必要があるため、2022年まで管理目標を維持することのできる3.6万トンを勧告した。またTACを増加させる際は、2020年までに3.6万トンへ段階的な増加とすることを勧告した。SCRSの管理勧告を踏まえ、2017年11月の年次会合では、TACを2018年に2.8万トン(日本枠は2,279トン)、2019年に3.2万トン(2,528トン)、2020年に3.6万トン(2,801トン)にすると決定。その他の規制には、SCRSが資源崩壊の危機を認めた場合は漁業を停止、全ての蓄養生簀におけるステレオビデオカメラの導入、まき網、蓄養へのオブザーバー制度の導入を含む管理強化、地中海のまき網漁業の禁漁期の設定と魚群探査用の航空機利用の禁止、小型魚を保護するため30 kg以下の小型魚の漁獲・陸揚げ・販売の禁止、漁獲証明制度がある。