--- 要約版 ---

04 クロマグロ 太平洋

Pacific Bluefin Tuna, Thunnus orientalis

                                                       
PIC
左から順に成魚、未成魚(尾叉長60 cm、20 cm)

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図3

日本周辺における太平洋クロマグロの主な漁場分布


図4

太平洋クロマグロの分布と回遊の概念図


図S-3

太平洋クロマグロの尾叉長・体重と年齢との関係


図1

太平洋クロマグロの国別漁獲量の推移(1952〜2016年)(ISCによる公表値に基づく)


図2

太平洋クロマグロの漁法別漁獲量の推移(1952〜2016年)(ISCによる公表値に基づく)


図9

太平洋クロマグロの親魚資源量(1952〜2014年)(上図)と加入量(1952〜2014年)(下図)のトレンド
赤色の実線は最尤法による点推定値、上下の点線はパラメトリックブートストラップ法により計算した90%信頼区間の端点。(ISCによる公表値に基づく)


図12

加入水準の仮定(上図)及び漁獲管理措置(下図)の違いによる親魚資源量の将来予測結果の比較
グラフはシナリオごとの6千回のシミュレーション結果の中央値であり、計算結果の半数はこれよりも低い。両図中の破線は、資源評価期間(1952〜2014年)における歴史的中間値(約4.1万トン)。下図における加入水準は、80年代の低レベルを仮定。(図はISC評価結果に基づき水産庁監修の下編集)



クロマグロ(太平洋)の資源の現況(要約表)

                       
資源水準 低位
資源動向 横ばい
世界の漁獲量
(最近5年間)
1.1万〜1.7万トン
最近(2016)年:1.3万トン
平均:1.4万トン(2012〜2016年)
我が国の漁獲量
(最近5年間)
0.6万〜1.0万トン
最近(2016)年:0.8万トン
平均:0.7万トン(2012〜2016年)
管理目標親魚資源量を2024年までに、少なくとも60%の確率で歴史的中間値(約4.1万トン)まで回復させることが暫定回復目標となっている。
さらに、暫定回復目標を達成した後、10年以内に60%以上の確率で「初期資源量の20%(約13万トン)」まで資源を回復させることが次期回復目標とされた。
資源評価の方法統合モデル
資源の状態1)最近年(2014年)の親魚資源量(約1.7万トン)は、歴史的最低水準(約1.1万トン)近くまで減少しており、2)最近年(2014年)の加入も低水準である。
管理措置WCPFC:1)30 kg未満の小型魚の漁獲量を2002〜2004年平均水準から半減させる。2)30 kg以上の大型魚の漁獲量を2002〜2004年平均水準から増加させない。
IATTC:1)親魚資源量を2024年までに、少なくとも60%の確率で歴史的中間値(約4.1万トン)まで回復させることを暫定回復目標とする。2)商業漁業については、2017年及び2018年の年間漁獲上限3,300トンを原則とし、2年間の合計が6,600トンを超えないように管理する。3)漁獲のうち、30 kg未満の小型魚の漁獲の比率を50%まで削減するよう努力し、2018年の年次会合において2017年の操業結果のレビューを行う。4)2030年までの次期中間目標を、2018年の年次会合で作成する。5)遊漁については、商業漁業と同等の削減措置を取り、委員会に報告する。
日本国内:1)ひき縄等の沿岸漁船の承認制及び漁獲実績報告の義務化、2)クロマグロ養殖場の登録制及び実績報告の義務化、3)天然種苗を用いるクロマグロ養殖場の数・生け簀の規模の拡大防止、等。2015年1月から、小型魚は4,007トン、大型魚は4,882トンの漁獲枠を設けて管理している。2018年から「海洋生物資源の保存及び管理に関する法律」に基づくTAC管理が開始される。
最新の資源評価年 2016年
次回の資源評価年 2018年(データアップデート)

管理・関係機関
中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)
北太平洋まぐろ類国際科学委員会(ISC)
全米熱帯まぐろ類委員会(IATTC)

生物学的特性
  • 体長・体重:尾叉長2.5 m・320 kg
  • 寿命:20歳以上
  • 成熟開始年齢:3歳
  • 産卵期・産卵場:日本南方〜台湾東沖で4〜7月、日本海で7〜8月
  • 索餌期・索餌場:温帯域
  • 食性:魚類、頭足類、甲殻類、他
  • 捕食者:まぐろ類、さめ類、シャチ

利用・用途
刺身・すしなど

漁業の特徴
我が国の沿岸域、太平洋の沖合域などで、様々な漁法で漁獲されている。我が国の沿岸域ではひき縄で未成魚が、定置網で未成魚と成魚が漁獲され、沖合域ではまき網により夏季から秋季に未成魚と成魚が漁獲されている。また、台湾東沖から奄美諸島周辺域にかけては、春季に我が国や台湾のはえ縄で成魚が漁獲されている。東シナ海から日本海南西部にかけては、1990年以降、我が国と韓国のまき網による未成魚の漁獲が増加している。東部太平洋ではメキシコが5〜10月にまき網で漁獲しており、そのほとんどが養殖種苗となっている。米国では遊魚の対象となっている。

漁獲の動向
太平洋全体の漁獲量は1981年には3.5万トンであったが、1988年には0.9万トンまで減少し、その後は加入量変動の影響を受けつつ増加と減少を繰り返した。2000年代以降は資源の減少に伴い漁獲量も減少傾向にあり、2008年の2.5万トンから2015年には1.1万トンまで減少した。海域別の漁獲量は、2012〜2016年では、北西太平洋で0.7万〜1.1万トン、東部太平洋で0.3万〜0.7万トンと推定されている。漁法別の漁獲量は、2012〜2016年では、まき網で0.7万〜1.2万トン、はえ縄で900〜1,200トン、ひき縄で400〜1,000トン、定置網で1,200〜1,900トンである。近年は、親魚資源の減少の影響により、はえ縄による高齢の大型成魚(100 kg以上)は減少している一方、未成魚の漁獲は増加傾向にある。ただし、近年の漁獲上限の影響も受けることに留意が必要である。

資源状態
2016年にISCが資源評価を更新した。1952〜2014漁期年(7月〜翌6月)のデータを用い統合モデル(Stock Synthesis)により推定された親魚資源量は、1960年代初頭には約15万トンであったが、1984年には約1.1万トンの最低水準となった。近年の親魚資源量は、1990年代中ごろのピークから2010年まで徐々に減少した後、現在では減少傾向に歯止めがかかっている。最近年(2014年)の資源量は約1.7万トンである。加入量は親魚資源量とは独立に年変動し、直近5年間の加入量平均値は歴史的平均値を下回っている可能性があるものの、2015年以降は増加傾向にある。本種の資源状態は、最近年の親魚資源量が歴史的最低水準近く、最近年の加入も低水準であることから、低位で横ばいと判断される。

管理方策
中西部太平洋水域では、2014年のWCPFCで1)親魚資源量を2024年までに、少なくとも60%の確率で歴史的中間値(約4.1万トン)まで回復させることを暫定回復目標とする、2)30 kg未満の小型魚の漁獲量を2002〜2004年平均水準から半減させる、3)30 kg以上の大型魚の漁獲量を2002〜2004年平均水準から増加させない等を内容とする保存管理措置が採択された。2017年8月に韓国で開催されたWCPFC第13回北小委員会(全米熱帯まぐろ類委員会(IATTC)との合同作業部会)において、ステークホルダー会合の結果やWCPFCの要求に対するISCの回答を踏まえ、次期回復目標や長期管理方策についての議論が行われ、「次期回復目標」として現在の目標である「暫定回復目標」を達成した後、10年以内に60%以上の確率で「初期資源量の20%(約13万トン)」まで資源を回復させることが合意されるとともに、漁獲制御ルールとして、資源評価の結果、「暫定回復目標」の達成確率が、(ア)60%を下回った場合、60%に戻るよう、管理措置を強化、(イ)75%を上回った場合、(a)「暫定回復目標」の70%以上を維持、かつ(b)「次期回復目 標」の60%以上を維持する範囲で増枠の検討が可能となることも合意された。これを踏まえ、2017年12月に開催されたWCPFC第14回年次会合では、北小委員会が勧告した太平洋クロマグロの管理戦略と、それを実施するために修正された保存管理措置案が、多くの国から評価する旨の発言とともに、全会一致で採択された。東部太平洋水域では、2016年のIATTCで、1)親魚資源量を2024年までに、少なくとも60%の確率で歴史的中間値(約4.1万トン)まで回復させることを暫定回復目標とする、2)商業漁業については、2017年及び2018年の年間漁獲上限3,300トンを原則とし、2年間の合計が6,600トンを超えないように管理する、3)漁獲のうち、30 kg未満の小型魚の漁獲の比率を50%以下とするよう努力し、2018年の年次会合において2017年の操業結果のレビューを行う、4)2030年までの次期中間目標を、2018年の年次会合で作成すること、5)遊漁については、商業漁業と同等の削減措置を取り、委員会に報告する、等を内容とする現行保存管理措置の継続が採択された。
国内では、WCPFCの合意に基づいて2015年1月から漁獲管理に取組んでおり、30kg未満の小型魚は漁獲量上限を4,007トン (2002〜2004年平均水準から半減)、大型魚は4,882トン(2002〜2004年平均水準を維持)として管理されている。漁獲管理のための措置として、1)ひき縄等の沿岸漁船の承認制、2)養殖場の登録制、3)天然種苗を用いる養殖場の規模の拡大防止、等が導入されている。また、漁獲可能量(TAC)制度の試験実施にも取組み、都道府県ごとに漁獲枠を割り当て、各都道府県単位での管理を設定しているが、本種は時期や地域、漁法ごとの漁獲状況に著しい偏りが生じることがあり、管理が難しい場合があることから全国規模の管理体制も併用されている。なお、2018年1月からは沖合漁業より「海洋生物資源の保存及び管理に関する法律(資源管理法)」に基づくTACに移行する。また、「まぐろ資源の保存及び管理の強化に関する特別措置法」に基づき国内の流通業者(輸入業者、卸売業者)から韓国産及びメキシコ産の太平洋クロマグロの輸入情報を収集する取組が行われている。