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74 サンマ 北太平洋

Pacific Saury, Cololabis Saira

                                               
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最近の動き

サンマは北太平洋の温帯・亜寒帯域に広く生息しており、その一部が日本近海域へ来遊し漁獲される。FAOの統計によると、1980年以前は日本及びロシア(旧ソ連)のみが北太平洋でサンマを漁獲していたが、近年では韓国、台湾及び中国も漁獲するようになった。日本及びロシアでは主にEEZ内で漁獲を行っているが、その他の国は主に北太平洋公海域で操業しており、近年では公海域での漁獲量が増加している。

現在、北太平洋のサンマは高度回遊性魚類として北太平洋漁業委員会(NPFC)による資源管理の対象になっている。NPFCでは、2015年8月に第1回委員会が開かれ、2017年中にサンマの資源評価を実施することが合意されている。2016年4月のNPFC科学委員会(SC)のサンマの小科学委員会(SSC)において資源状況、資源評価方法に関する議論が開始された。


利用・用途

日本では、生鮮食品、加工原料として広く利用されている。台湾では主に冷凍で水揚げし、中国と韓国向けを中心に輸出が多い(酒井ら 2014)。台湾が輸出しているサンマのうち、大型のサンマは中国、韓国で食用にされるほか、オーストラリアではマグロの養殖用の餌として利用されている。また。小型のサンマは台湾からタイやフィリピンで缶詰に加工された後、ロシアに輸出されている(酒井ら 2014)。ロシアでは主に缶詰等の加工原料として利用されているほか、フィッシュミールの原料にも用いられている。


表1 表1. 北太平洋におけるサンマの国・地域別漁獲量(トン)
*1 日本の漁獲量は全国さんま棒受網漁業協同組合による資料

*2 2007年までの韓国の漁獲量は聞き取り情報(太平洋側)、2008年以降は海洋水産部HP(http://www.fips.go.kr, 2015年4月20日)からの情報

*3 ロシア及び台湾の漁獲量は2013年まではFAO統計値、2014年以降はNPFC提出資料

*4 中国の漁獲量はNPFC提出資料


図1

図1. 北太平洋におけるサンマの漁獲量
日本の漁獲量は農林水産省統計値、そのほかの資料は表1と同じ。


図2

図2. さんま棒受網(大臣許可)漁船のトン数別操業隻数


図3

図3. さんま棒受網漁船の年間操業回数(網数)の推移


図4

図4. サンマの分布域(索餌場と産卵・生育場)と日本漁船及び公海における外国漁船の主漁場位置


図5

図5. サンマの日齢と体長(左)、日齢と体重(右)の関係式
Gompertzの成長曲線にあてはめて推定した。


図6

図6. 日本の調査船調査(表層トロール)によるサンマの採集尾数
近年10年間(2007〜2016年)の結果を示す。


表2 表2. 日本の調査船調査で推定したサンマの海区別資源量(万トン)
2011年の3区の資源量は、過去の1区、2区の資源量の比率から推定した値。


図7

図7. 日本の調査船調査(表層トロール)から推定した海区別サンマの資源量
資源量は面積密度法で推定した(表層トロール調査を実施した2003〜2016年のみ)。


図8

図8. サンマの漁獲割合の推移(2003〜2015年)
漁獲割合は(各国・地域のサンマ漁獲量の合計値/日本の調査船調査による推定資源量)として求めた。


図9

図9. サンマの標準化CPUEの推移(計算を実施した1980〜2015年のみ)
日本のさんま棒受網漁船の漁獲資料を基に解析した。


図10

図10. 日本におけるサンマのTACと漁獲量の推移


漁業の概要

日本以外でサンマを漁獲している主な国・地域は、ロシア、台湾、韓国、中国である。FAOの統計によると、1960年代からは旧ソ連、1980年代中盤からは韓国、終盤からは台湾が漁獲を始め、外国漁船によるサンマの漁獲量が増加した。これらの国・地域も、棒受網漁業あるいは類似の集魚灯を利用した敷網漁業によって漁獲を行っている。ロシア漁船は主にEEZ内で操業しているのに対し、台湾、韓国及び中国は北太平洋公海域を主漁場としている。このほか、韓国では沿岸域で刺し網によるサンマを対象とした漁業も行っている。なお、このほかにバヌアツも公海操業を行い、年数千トン程度の漁獲を行っているものと思われる。


【日本】

日本では、サンマの大半はさんま棒受網漁業で漁獲される。農林水産大臣許可のさんま棒受網漁業の漁期は8〜12月である。さんま棒受網の漁場は千葉県以北の太平洋側の我が国EEZ内がほとんどであったが、2010年以降は公海にも漁場が形成されるようになった。漁場は、8月は北海道東部沖から千島列島沖に形成されるが、9月下旬から10月上旬には三陸沖まで南下し、11〜12月の漁期終盤には常磐沖から房総沖にまで達する。このほか小規模ながら、7月には北海道東部沖で流し網が、10月〜翌年2月頃まで熊野灘では棒受網漁業が行われ、日本海を含む各地の定置網でも漁獲されている。

日本のサンマ漁獲量は1950年代に増加したが、1960年代になると減少し、1969年には5.2万トンまで減少した。1970年代は漁獲量がやや回復したものの、年変動が大きく、1973年に42.7万トンに達したが、20万トンを下回る年も多かった(図1)。1980年代以降は漁獲量も安定し、1980〜1982年、1998年と1999年は20万トンを下回ったものの、2012年まで20万トン以上を維持してきた。しかし、近年のサンマ漁獲量は減少傾向にあり、2013年に14.8万トン、2015年も11.2万トンに留まり、1977年以来の低い値となった(表1、図1)。

我が国において、農林水産大臣許可のさんま棒受網漁船は10トン以上200トン未満である。ただし、トン数階層別の隻数は大きく変化しており、1980年代は50〜80トンの階層が多かったが、近年は10トン以上20トン未満(小型船)及び100トン以上200トン未満船(大型船)が多くなった(図2)。日本のさんま棒受網漁船の2015年の出漁船は151隻で、前年と同数であった。なお、大半を占める小型船と大型船の内訳として小型船が68隻で前年より2隻減、100トン以上の大型船が前年より1隻増の55隻であった。

日本のさんま棒受網漁船の漁期年間の操業回数は、さんま棒受網漁船の操業隻数と同様に1980年代に大きく減少し、1982年は28.5万回の操業があったが、1992年には1982年の4分の1となる7万回に留まった。その後、1998〜2003年には10.6万〜14.6万回に回復したものの、2004年以降は再び低下し、5.5〜9.1万回の範囲で横ばいに推移している。なお、2015年の操業回数は漁場が例年よりも沖合に形成されたことも影響して4.8万回に留まり、2014年の5.7万回を下回った(図3)。

全漁業国・地域の漁獲量に占める日本の割合は2001年までは多くの年で70%以上であったが、台湾をはじめとする他国・地域の漁獲量の増加によって2002〜2009年は49〜66%に低下、2010年以降は50%を下回る状況が続き、2015年は32%で過去最低となった(表1、図1)。


【台湾】

台湾のさんま漁船は、日本漁船より早い5月末〜12月まで、主に東経150度以東の公海域で棒受網による操業を行っている(Huang et al. 2007)。初夏から秋にかけては北海道沖のEEZの境界線外側に沿って南西方向に南下しながら操業を行っている(Tseng et al. 2013)。台湾のサンマ漁船の多くはイカ釣りとの兼業船で、1〜4月頃まで南西大西洋のマツイカ漁を行い、5月から機材を替えて12月頃まで棒受網を行う。そのため、南西大西洋のマツイカをはじめとする海外イカ類の漁模様が台湾のさんま漁船の操業にも影響を与える。

FAOの統計によると台湾の漁獲量は、1989年〜2001年までは5万トン以下でほぼ横ばい(0.8万〜4万トンの範囲)であったが、2002年以降は急増し、2005年の漁獲量は11.1万トンに達した(図1)。その後、台湾の漁獲量は2006年と2007年に一時的に減少したものの、2008年以降は10万トン以上を維持し、2013年には18万トンに達して初めて日本の漁獲量(14.8万トン)を上回った。2015年(15.8万トン)は日本と同様に前年(2014年、23.0万トン)を大きく下回ったものの、日本の漁獲量(11.2万トン)を上回る状況が続いている。

現在操業している台湾のサンマ漁船の大きさは900〜1,200トン(ただし国際総トン数)である。台湾のサンマ漁船では、漁獲したサンマを船上で選別、箱詰めして船内の魚倉で冷凍保管した後、運搬船に積み替えて台湾や中国などの港に水揚げしている。台湾のサンマ漁船には、選別・箱詰め作業の作業員を含め、50人以上乗船している(酒井ら 2014)。NPFCの資料によると2015年に公海域で操業した台湾のサンマ漁船数は90隻であった。


【中国】

2015年8月に開催されたNPFCの科学作業部会に提出された資料によれば、中国も2012年から公海におけるサンマ漁業に参入している。2016年4月に同SCで報告された資料によると、中国漁船による各年のサンマ漁獲量は2,014トン(2012年)、23,191トン(2013年)、76,129トン(2014年)であり、年々増加していたが、2015年は48,503トンに留まり、日本や台湾同様に前年を下回った。2015年に公海域で操業した中国のサンマ漁船数は42隻であり、前年(44隻)を下回った。


【ロシア】

ロシアのサンマ漁船は日本と同様、主に自国のEEZ内で操業している。1961〜1995年までは1983年(7,606トン)を除き、年間2万トン以上(23,423〜72,618トン)漁獲した。1996〜2000年は年間2万トンを下回った(4,665〜17,390トン)ものの、2001年以降は増加し、2014年まで5万トン前後を維持、2007年には過去最高の119,433トンに達した。しかし、2015年は他国・地域同様、漁獲量が減少し、前年(2014年、71,167トン)比34%の23,964トンに留まった。


【韓国】

韓国の漁獲量(韓国EEZ内の日本海を除く)は、1980年代後半は1,050~3,236トンの低い水準であったが、1990年以降増加し、2015年まで1万トン以上で推移している。韓国では北太平洋の他、韓国EEZ内(日本海と東シナ海)で4〜6月を主漁期としてサンマを漁獲しており、1960年代〜1970年代初めにかけては年間2.5万トン前後(1.1万〜4万トン)の漁獲があった(Zhang and Gong 2005)。


生物学的特性

【分布と回遊】

サンマは、日本海・オホーツク海、北太平洋の亜熱帯水域から亜寒帯水域にかけて広く分布する。集団遺伝学的解析では、東シナ海、日本海や北米沿岸に分布するものを含めて、変異がきわめて小さいと考えられている(Chow et al. 2009)。サンマが分布する海域の表面水温は7〜25℃に及ぶが、10〜15℃の水温域で分布密度が高く、漁場が形成されやすい。

サンマは季節的な南北回遊を行い、5〜8月に北上して夏季に黒潮・親潮移行域北部・亜寒帯水域を索餌域として利用する(図4)。8月中旬以降、南下回遊を開始し、冬季には産卵のため移行域・黒潮前線域・亜熱帯域に達する。南北回遊に加えて、大きく東西方向にも回遊することが知られている(Suyama et al. 2012)。サンマは漁期前の6〜7月には日本のはるか沖合、東経155度〜西経170度付近に多く分布し、日本近海では少ない。しかし、秋以降には西方向に回遊し、東経170度より東に分布していたサンマも日本近海に来遊し、漁獲される。しかし、北太平洋に分布するすべてのサンマが日本列島近海に来遊するわけではなく、東方沖合の公海域を南下する群もいると考えられる。


【成長と成熟】

サンマの寿命は約2年である(Suyama et al. 2006)。耳石日周輪の解析から、ふ化後6〜7か月で体長約20 cmに成長し、漁獲の主対象となる1歳魚は漁期中(8〜12月)に体長29 cm以上に達する(図5)。サンマの産卵期は長く、9月から翌年6月にわたる。産卵海域は季節的に移動し、秋季と春季は主に黒潮・親潮移行域に形成されるのに対し、水温の低い冬季は黒潮域〜黒潮続流域に形成される(図4)。主な産卵海域は、秋季及び春季が移行域、冬季が黒潮域〜黒潮続流域であると考えられており、日本沿岸から東方沖合域まで広い海域で産卵が行われている。飼育実験や野外の調査結果では、成熟している個体は主に体長25 cm以上で、0歳魚の一部と1歳魚が産卵する(巣山ら 2016)。


【食性】

仔稚魚期はカイアシ類のノープリウス幼生などの小型動物プランクトンを捕食するが、成長とともにオキアミなど大型の動物プランクトンも捕食するようになる(小達 1977)。サンマを捕食する生物として、ミンククジラなどの鯨類、ハイイロミズナギドリ、ウトウなどの鳥類、ギンザケ、ビンナガなどの大型魚類やアカイカなどの高次捕食者が知られている。


資源状態

現在、サンマの資源評価は、NPFCの枠組みで2017年の資源評価方法の合意に向けてSCで作業が進められている。そのため、ここでは日本の調査船による調査結果及び日本のサンマ漁業の指標値の解析結果による資源状態を示す。


【調査船調査】

日本では、北太平洋におけるサンマの資源尾数及び資源量を明らかにするため、2003年以降6〜7月の北太平洋において、表層トロール(ニチモウ社製NST-99型表層トロール)を使用して調査を行っている。調査は東経143度から西経165度までの海域を対象とし、原則として、経度4度間隔で調査線を設定し、調査ライン上の表面水温8〜18℃の海域で行っている。また、表層トロールによる曳網面積と採集個体数から各調査点における分布密度を求めるとともに、調査海域全体の面積を乗じて調査海域におけるサンマの資源量を推定している(巣山ら、2016)。

2003〜2016年に実施した調査結果では、調査を実施した6〜7月にサンマは日本近海から西経域にかけての広い範囲で採集された(図6)。ただし、2003〜2009年は日本近海(1区:東経162度以西の海域)にもサンマが多く採集されていたが、2010年以降は、1区でのサンマの採集数が大きく減少し、その後も同様の傾向が続いている。1区に分布するサンマは、日本では漁期はじめに漁獲されること、2区(東経162度〜西経177度)及び3区(西経177度以東)に分布するサンマよりも大型であることから、近年の漁期当初にみられる不漁及び魚体サイズの小型化と関連していることが想定される。

調査結果から推定したサンマの資源量は、2003〜2008年は283万トン(2007年)〜502万トン(2004年)であった(表2、図7)。しかし、2010年に大きく減少し、その後300万トンを越えたのは2011年(311万トン)のみであった。2016年の資源量は、前年(227万トン)をやや下回る178万トンと推定された。なお、日本に近い1区(東経162度以西の海域)における資源量は、2003〜2009年は平均105万トンであったのが、2010〜2015年は平均14万トンに大きく減少しており、1区における資源量の減少がサンマ全体の資源量減少の大きな比重を占めていると言える。

調査船で推定した資源量と表1に示す漁業国・地域における全漁獲量から計算した漁獲割合(全漁獲量/資源量)を図8に示す。漁獲割合は、2003年が最も低く(8.8%)、その後、年変動はあるものの、増加傾向を示し、2012年(23.8%)及び2014年(24.7%)には20%を超えた。2015年は調査船による推定資源量が低い値であったものの、各国・地域とも漁獲量が大きく減少したことから、漁獲割合は15.6%と計算され、2003年以降の平均値(15.2%)と同様の値となった。


【漁業による指標値】

漁業による指標値として、日本のサンマ漁船の標準化CPUEを基に示す。漁船のCPUE(1操業当たりの漁獲量)は、通常、漁船サイズ、漁期、漁場及び表面水温の影響を受けることから、これらの影響を取り除いた標準化CPUEを求めて指標値に用いる必要がある(巣山ら2016)。標準化CPUEは、1980〜2015年漁期(7月〜翌6月、以下、本項では「年」とする)の70トン以上の標本船データを用い、CPUEの誤差分布に対数正規分布を仮定した一般化線型モデル(GLM)を適用した。ここで、GLMの応答変数にはCPUEの自然対数値、説明変数には、年(各年の資源量の指標値を示す)、月、漁船トン数(Grt)の自然対数値、表面水温及び海区を用いた。なお、Grt以外はカテゴリカル変数とした。また、年毎にGrtの効果が変わることはないと仮定し、YearとGrtの交互作用を除外したフルモデルから、BIC(ベイズ情報量基準)による変数選択を行なった。その結果、下記のモデルが選択された。


Ln(CPUE)= 年 + 月 + Grt  + 海区 + 表面水温 + 年:月の交互作用+ 年:海区の交互作用 + 月:海区の交互作用 + 月:表面水温の交互作用 + 定数 + 誤差


なお、上記の式より、周辺推定平均(庄野 2004)をもとに、各年の資源量以外の影響を補正した指標値を標準化CPUEとして算出した。

日本漁船の1980年以降の標準化CPUE(1操業当たりの漁獲量)は1994年(4.26トン)まで上昇傾向であった。しかし、その後は単年的に大きく上昇した年(1997年)があったものの、1999年(0.92トン)まで急速に低下した(図9)。2002年以降は再び上昇傾向を示し、2008年には1980年以降の最高値(6.16トン)に達した。2009年も4.09トンで高水準を維持したが、翌2010年に大きく低下、その後は1.44トン(2015年)〜3.18トン(2014年)の範囲で推移している。


【資源の水準と動向】

我が国が行ってきた資源状態の判断方法と過去のサンマの判断基準に従い(巣山ら 2016)、サンマの調査船調査結果及び漁業による指標値を用いてサンマの資源水準と動向を判断した。資源水準は、漁業情報である標準化CPUEを指標値に用い、1980年以降の標準化CPUEの平均値(2.41トン)の±標準偏差(1.46トン)内を中位水準、平均値+標準偏差以上を高位水準、平均値−標準偏差以下を低位水準とした。その結果、2015年の標準化CPUE(1.46トン)は前年(3.18トン)から半減したものの、平均値±標準偏差内にあることから、資源水準は中位と判断された。また、直近5年間の調査船による推定資源量の変化を基にすると、2014年以降、3年連続で減少していることから、動向は減少と判断される。


【資源と海洋環境の関係】

マイワシ等の他の小型浮魚類同様、サンマの資源量も10年〜数10年規模の海洋環境変動との関連が指摘されている(Tian et al. 2003, 2004)。10年〜数10年規模の海洋環境の変動としては、太平洋の海面水温に見られる太平洋十年規模振動(Pacific Decadal Oscillation:PDO)やNPGO(North Pacific Gyre Oscillation)がある。また、韓国における日本海での1970年代後半から1980年代のサンマ漁獲量の減少には1970年代のレジームシフトによる水温上昇の影響が報告されている(Zhang and Gong 2005)。また、10〜数10年規模の海洋環境変動に加えて、エルニーニョ・南方振動(El Niño-Southern Oscillation:ENSO)による数年規模の海洋環境の変化とサンマ資源変動との関係(エルニーニョの時に大型魚が増える)も報告されている(Tian et al. 2003)他、北太平洋中部移行域におけるChl-a濃度や混合層深度とサンマ資源水準との強い関係が見いだされている(Ichii et al. 2015)。しかし、海洋環境が魚類資源変動に与える影響は複雑であり、海洋環境の変化によるサンマの資源変動の応答を把握し、メカニズムを解明することは今後の重要な課題となっている。

海洋環境の変化と資源変動のメカニズムとの関連では、サンマの卵、仔稚魚は黒潮によって主に東に運ばれ、輸送過程の環境が生残に大きく影響する。そのため、実際のサンマの仔稚魚の分布密度の変化(Takasuka et al. 2014)や、粒子追跡シミュレーションによって移送過程や経験する海洋環境の推測が試みられており(Oozeki et al. 2015)、近年の1区を中心とするサンマの資源量変動との関係の解明が期待される。


管理方策

サンマはNPFCの対象種となったことにより、国際的な枠組みのもと、資源管理が実施されることになった。すでにNPFCでは、2017年に行われる資源評価に基づき、新たな保存管理措置が取られるまでの間、漁船の許可隻数の急激な増加を抑制する保存管理措置が採択されている。また、公海で操業する漁船に対するVMS(Vessel Monitoring System)の義務付けと許可漁船を毎年事務局に登録する制度を採択している。

また、我が国におけるサンマの資源管理については、さんま棒受網漁業に対する許可制度や操業期間の設定、年間の漁獲量の上限を定めて管理する漁獲可能量(TAC)制度(図10)等が行われてきている。


サンマ(北太平洋)の資源の現況(要約表)

資源水準 中位
資源動向 減少
世界の漁獲量
(最近5年間)
35.4万〜62.5万トン
最近(2015)年:35.4万トン
平均:46.1万トン(2011〜2015年)
我が国の漁獲量
(過去5年間)
11.2万〜22.4万トン(棒受網漁業)
最近(2015)年:11.2万トン
平均:18.2万トン(2011〜2015年)
管理目標 NPFCでは、2017年中に暫定的な資源評価を完了することで合意している。
資源の状態 日本の調査船調査結果(推定資源量)及び漁獲情報(標準化CPUE)では、共に2005年以降減少し、2010年以降は中位水準となっている。
管理措置 NPFCでは、新たな保存管理措置が実施されるまで漁船の許可隻数の急激な増加を抑制すること等が合意されている。
我が国では、許可制度、操業期間の設定、TAC制度等が行われている。
管理機関・関係機関 NPFC
最新の資源評価年 2016年
次回の資源評価年 2017年

執筆者

外洋資源ユニット
いか・さんまサブユニット
東北区水産研究所 資源管理部 浮魚・いか資源グループ

木所 英昭・巣山 哲・宮本 洋臣

東北区水産研究所 資源管理部

酒井 光夫


参考文献

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