--- 要約版 ---

73 クサカリツボダイ 天皇海山海域

North Pacific Armorhead, Pentaceros wheeleri

                                               
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図2

天皇海山海域の主要海山群
(現在北緯45度以北、C-H海山及び光孝海山南東部は操業禁止となっており、ハンコック海山より南東は米国EEZ内にある)


図4

クサカリツボダイの産卵場及び回遊経路の模式図(Kiyota et al. 2016を改変)


図3

天皇海山海域におけるクサカリツボダイ国別漁獲量の経年変化



クサカリツボダイ(天皇海山海域)の資源の現況(要約表)

資源水準 低位
資源動向 卓越加入の有無による年変動が大きい
卓越加入の発生頻度は近年増加していたが、2013〜2016年の加入は低水準であった
世界の漁獲量
(最近5年間)
1,066〜25,355トン
最近(2015)年:1,066トン
平均:6,973トン(2011〜2015年)
我が国の漁獲量
(最近5年間)
894〜20,867トン
最近(2015)年:894トン
平均:5,678トン(2011〜2015年)
最新の資源評価年 2014年
次回の資源評価年 未定

管理・関係機関
北太平洋漁業委員会(NPFC)

最近の動き
2016年8月の第2回NPFC委員会会合において従来の暫定・自主管理措置を引き継いだ底魚漁業保全管理措置が採択され、2017年1月に発効した。

生物学的特性
  • 体長・体重:尾叉長30 cm・600 g
  • 寿命:8歳
  • 成熟開始年齢:3歳(成魚になると海山に着底し、漁獲対象に加入する)
  • 産卵期・産卵場:11〜2月・天皇海山海域の水深300〜500 m水域
  • 索餌場:北太平洋東部の表層域(未成魚)、天皇海山の水深300〜500 m水域(成魚)
  • 食性:カイアシ類や尾索類など(未成魚)、甲殻類、翼足類、尾索類、魚類など(成魚)
  • 捕食者:調査中

利用・用途
冷凍ドレスを干物、みそ漬けなどに加工。

漁業の特徴
本資源は、天皇海山海域において操業を行っている我が国の底びき網漁業及び底刺し網漁業の主対象魚種である。これら漁業は、本種の他にキンメダイ、オオメマトウダイなどを漁獲している。底びき網漁船は水深300〜500 mの平頂海山の頂上部で操業し、底刺し網漁船は海山斜面域や水深が深い海山で操業を行っている。天皇海山海域は、1967年に旧ソ連が漁場開発した。我が国は1969年から底びき網漁業を行っている。ソ連漁船は漁獲量が急減した1978年以降ほぼ撤退し、年によって操業する程度である。2004年以降は韓国漁船が参入した。操業隻数は、近年漁獲低迷に伴い減少している。我が国漁船は2013年には底びき網船6隻、刺し網船1隻であったが、2016年には底びき網船4隻、底刺し網船1隻であった。我が国以外では2016年には韓国漁船トロール船1隻、ロシア底はえ縄船1隻が操業した。

漁獲の動向
総漁獲量は、1968〜1976年の開発から8年間では、ソ連と我が国により、1971年の0.9万トンを除き、3.2万〜17.8万トンの高水準で推移した。このうち、我が国は1万〜3万トンの高い水準を維持した。1977年には876トンに急減し、1978年以降は我が国により1,000トン前後の低い水準で推移したが、1992〜1993年と2004年、2010年、2012年には一時的に急増し、卓越年級群が加入したと考えられている。2013年以降4年連続して加入が非常に少ないために低迷しており、2015年は1,066トン、うち我が国は894トンであった。

資源状態
本資源は、その生物学的特性によって、コホート解析や余剰生産モデルを用いた資源解析を行うことが困難であるため、資源状態及び動向は、便宜的に漁獲量の経年変化に基づき判断されている。1970年代前半の開発当初に比べ、その後の漁獲量は低く、数年から10数年に一度現れる卓越年級がない年は、千トン前後の漁獲量にとどまっていたことから、開発当初と比べると、1980年代以降の資源量は低いレベルにあると判断される。特に1994〜2003年までの10年間は卓越加入が現れず、非常に低いレベルにあった。しかし2004年、2008年、2010年、2012年の漁獲量は6,000〜21,000トンと高く、卓越加入の発生頻度が近年増したことを示している。しかし、2013〜2016年は一転して加入が低い状態が続いている。加入の多寡にかかわらず漁獲率が高く、加入魚の約9割が初回産卵を経験する前に漁獲されている。

管理方策
本資源と同様に漁獲されるキンメダイの資源解析結果に基づき、本資源の産卵親魚の確保と卓越年級の発生を促進する効果が期待できるよう、1997〜2006年の平均漁獲努力量の20%を削減するとともに、本種の産卵時期に当たる11〜12月を努力量の削減時期(禁漁期)としている。さらにC-H海山の閉鎖や、漁船数の現状凍結などの管理措置も導入されている。2015年7月にNPFCが発足し、加入量に応じて漁獲量の上限を調整する順応的管理の導入を検討することが合意された。

資源状態のまとめ
  • 1970年代の開発当初に比べ、資源量は低水準。
  • 卓越加入の有無による年変動が大きい(2013〜2016年の加入は低水準)。
  • 漁獲率が高く加入魚の約9割が産卵前に漁獲される。

管理方策のまとめ
  • 科学オブザーバーの100%乗船。
  • 水深1,500 m以深、北緯45度以北での操業禁止。
  • C-H海山及び光孝海山南東部を閉鎖。
  • 操業許可漁船数の現状維持。
  • 産卵時期である11、12月の禁漁。
  • 漁獲努力量上限(底びき網年間総操業時間5,600時間以下)の設定(自主措置)。
  • 日本の年間漁獲量上限15,000トン。
  • 底刺し網を海底から70 cm以上離して敷設する。