--- 要約版 ---

69 アメリカオオアカイカ 東部太平洋

Jumbo Flying Squid, Dosidicus gigas

                                                                            
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図3

アメリカオオアカイカの成長(酒井・若林 2010)


図2

アメリカオオアカイカの分布図


図6

アメリカオオアカイカの分布と主な海流
紫■の範囲はかつて報告されていた本種の分布範囲、赤■は最近年に分布拡大したと思われる範囲、青■は主漁場。


図9

日本のいか釣り漁船によるペルー海域(200海里内)におけるアメリカオオアカイカCPUE(トン/日/隻)の月別変化、及びエル・ニーニョ指標となる南方振動指数の月別変動



アメリカオオアカイカ(東部太平洋)の資源の現況(要約表)

資源水準 高位
資源動向 安定
世界の漁獲量
(最近5年間)
81.6万〜116.2万トン(全域)
最近(2014)年:116万トン
平均:93.6万トン(2010〜2014年)
我が国の漁獲量
(最近5年間)
0〜1.7万トン(ペルー海域)
平均:0.6万トン(2010〜2014年)
※2012年以降は操業できていない
最新の資源評価年 2015年(ペルー)
次回の資源評価年

管理・関係機関
南太平洋地域漁業管理委員会(SPRFMO)(ペルー政府、チリ政府、エクアドル政府)
メキシコ政府(メキシコ200海里内)

最近の動き
FAO統計によると、2014年も本種が頭足類中で最大漁獲量を維持した。2015年は中国漁業による漁獲量がさらに増大した。2015年後半からの強いエル・ニーニョ傾向の本種資源への影響が懸念される。

生物学的特性
  • 体長・体重:最大で外套長120 cm、体重60 kg
  • 寿命:1歳(中型)
  • 成熟開始年齢:約4〜5か月(中型)
  • 産卵期・産卵場:周年、カリフォルニア〜チリ沖の湧昇域
  • 索餌期・索餌場:周年、カリフォルニア〜チリ沖の湧昇域
  • 食性:プランクトン、魚類、いか類(共食い)
  • 捕食者:キハダ、いるか類、マッコウクジラ等

利用・用途
塩辛、さきいか、燻製、天ぷら・フライ、カップ麺用のフリーズドライ、イカリング、魚粉

漁業の特徴
1971年にカリフォルニア沖やメキシコEEZ内で本種を対象にいか釣り調査操業を行った。また、1984年〜1994年にかけて 同時に1989年に我が国の調査によってペルーEEZ内で高密群が発見され、1990年から我が国いか釣り漁船40隻余りが出漁した。1996年からペルーEEZ海域は不漁となったが、コスタリカ沖公海域で新漁場が開拓された。その後、ペルーEEZ内での操業が再開されたが、2001年以降、コスタリカ海域での操業はほとんどなくなった。2000年以降、ペルー、チリ、メキシコなどで、沿岸域における零細漁民による日帰りの手釣り漁業が発展し、現在に至っている。近年、本種は世界的ないか需要の高まりから国際原料となっている。近年はペルー沖やチリ沖の公海において、中国船を主体とする外国いか釣り漁船による漁獲が急増している。我が国は、2002年以降、主としてペルーEEZ海域で操業してきたが、ペルーは、2012年以降、沿岸零細漁業者への対策として外国船だけでなく自国の中大型いか釣船の操業も認めていない。このため、当年1月以降、当該水域で日本漁船の操業ができない状態が続いている。

漁獲の動向
全漁業国による総漁獲量は、1990年から1992年にかけて、約3万トンから12万トンに急増し、その後2001年まで、1998年の2.7万トンを除き、14万〜30万トンで推移した。2002・2003年に約40万トンに増加し、2004年にさらに約80万トンまで増加し、以降、多少の変動はあるものの80万トン前後の高い水準を維持している。2014年は116万トンに達し、2008年以降、いか・たこ類の単一種として世界最大漁獲量を維持している。2016年のSPRFMOの報告によると、2015年の漁獲量は、中国32.3万トン、チリ14.0万トン、台湾1.0万トン、であった。総漁獲量も80万トン以上に達したと推定される。我が国の漁獲量は、1992〜1995年にかけて4万〜8万トンであったがその後減少し、2000年に再び約6万トンに増加し、以降2011年まで1万〜7万トンで推移した。2012年以降は漁獲がない。

資源状態
ペルー海域における資源について、当海域の我が国いか釣り漁業のCPUEは、1991〜1995年の期間においては高かったが、1996〜1997年にかけて低下した。1997/1998年の前世紀最大規模のエル・ニーニョ発生後、2000年以降は上昇に転じた。ペルーの沿岸零細漁民のいか釣りCPUE水準は、2010年は低かったが、2011年に回復し、2012年1月以降にさらに上昇して資源は高位となった。ペルー政府機関のベイズ型プロダクションモデルによる2014年の資源評価では、現在の同資源に対する漁獲死亡係数はFMSY水準よりも十分低く、乱獲状態には至っていないと評価されており、資源水準は高位、資源動向は安定と判断されている。しかし、2015年後半から2016年前半まで赤道東太平洋海域で強いエル・ニーニョ傾向であり、本資源へ負の影響が懸念される。コスタリカ海域については、1996年 (平常年)及び1997年(エル・ニーニョ期)は好漁であったが、1999年(ラ・ニーニャ期)は不漁であった。2001年以降操業はほとんどないため、以降の資源状態は不明である。チリ海域及びメキシコ海域での2000年以降の資源状態に関する情報して不明である。 

管理方策
各主要沿岸国が自国EEZ資源について管理方策をとっている。ペルーEEZについては、ペルー政府がプロダクションモデルによって算定されたMSYを基に漁獲割当を決定する。2015年の漁獲割当は50万トンであった。2012年以降、外国漁船の入漁を認めていない。2014年には、これまで許可していなかった自国中型いか釣り船操業許可を検討している。チリEEZについては、チリ政府が、チリ中央部の第15州から第12州までの海域において、大規模漁業と零細漁業とに分けて、漁獲割当(Quota)を決定している。メキシコEEZについては、メキシコ政府が管理するが、詳細不明である。

資源状態のまとめ
  • ペルーEEZではMSYを基に漁獲割当決定。2014年は50万トン。外国漁船は入漁不許可。
  • その他のコスタリカ沖公海、メキシコ海域については不明である。チリ海域での資源評価は行われていない。

管理方策のまとめ
  • ペルーEEZではMSYを基に漁獲割当決定。2012年は50万トン。外国漁船は入漁不許可。
  • チリEEZでは大規模漁業と零細漁業に分けて漁獲割当決定。
  • メキシコEEZでは詳細不明。