--- 要約版 ---

68 アルゼンチンマツイカ 南西大西洋

Argentine Shortfin Squid, Illex argentinus

                                                                       
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図3

"夏季産卵系群"の雌の成長曲線
各点は生まれ月及び幼稚仔期(◇)を示す(Brunetti et al. 1998aより)


図4

アルゼンチンマツイカの分布図


図1

各国のアルゼンチンマツイカ漁獲量の変遷(1981〜2015年)(FAO 2016、2015年はSAGPyA 2016より)


図6

日本のいか釣船のCPUE(トン/日)の経年変化とアルゼンチン調査船による秋冬生まれ群(南パタゴニア系群)の加入量(トン)の経年変化


図5

アルゼンチンEEZ及び英国領フォークランドFICZ内での漁獲量と総漁獲量の変遷(2015年以降はアルゼンチンEEZ内漁獲量から推測)


図11

本種の季節発生群(系群)と南緯44度を境とした資源分割管理



アルゼンチンマツイカ(南西大西洋)の資源の現況(要約表)

資源水準 低位(2016年漁期推定)
資源動向 不安定
世界の漁獲量
(最近5年間、FAO)
19.0万〜86.3万トン
最近(2014)年:86.3万トン
平均:30.5 万トン(2010〜2014年)
我が国の漁獲量
(最近5年間)
0トン
※2007年以降操業無し
最新の資源評価年
次回の資源評価年

管理・関係機関
南大西洋漁業委員会(SAFC)

最近の動き
我が国いか釣り漁船による本種の操業は、2007年からの南西大西洋からの完全撤退により、2016年漁期もなかった。

生物学的特性
  • 体長・体重:外套長25 cm、体重480 g程度
  • 寿命:1歳
  • 成熟開始年齢:約8〜12か月
  • 産卵期・産卵場:1年中;主に秋から冬、アルゼンチン沖大陸棚斜面域
  • 索餌場:アルゼンチン沖大陸棚上
  • 食性:中深層性魚類、オキアミ類、端脚類
  • 捕食者:メルルーサ(幼イカ期)、海鳥など

利用・用途
するめ、塩辛、まぐろはえ縄の餌等

漁業の特徴
現在の主要な漁業国は、アルゼンチン、台湾、中国、韓国等である。1970年代に沿岸国のアルゼンチン等によって年間数千トンが漁獲されていたが、1980年代に入りポーランド、日本等の遠洋漁業国のトロール船による本格的な操業が開始された。1980年代の半ばに日本、台湾及び韓国のいか釣り漁船が操業を開始した。現在でもいか釣り漁船による漁獲がほとんどである。2007年以降、日本のいか釣り漁船は完全撤退している。本種の盛漁期は南半球の夏から秋(2〜6月)で、主漁場にアルゼンチンEEZ及びフォークランドFICZ(暫定保護海域)内であるが、一部隣接する公海域にも形成され、季節とともに南北に移動する。

漁獲の動向
公海域も含めた総漁獲量は1980年代後半から増加し、1987年以降2003年までおおむね40万〜60万トン前後で安定し、1997、1999、2000年には80万〜100万トン近くに達した。2004年には約17万トンに低下したが、2006〜2008年に70万〜90万トン以上に急増し、公海を除くアルゼンチンEEZ及びフォークランドFICZ内での漁獲量も30万トンを超えた。総漁獲量は2009〜2011年に20万トン前後に再び減少したが、2011年には増加傾向となって30万トンを超え、2014年は86万トン、2015年には100万トンを超えたと推定される。このように、2015年までは高い水準を継続していたが、2016年漁期にアルゼンチン海域及びフォークランド(マルビナス)海域で漁獲量は激減した。アルゼンチンEEZ内の漁獲量は9月時点で5.7万トンと報告され、作年の同時期(12.6万トン)の半分であった。我が国の漁獲量は、1990年代は約10万トンで安定していたが、2001年以降減少し、2007年のいか釣り漁船撤退以降ない。

資源状態
アルゼンチン政府が公表しているアルゼンチンEEZ内の月別の漁獲量の変遷をみると、2009〜2012年にかけての低い水準から、2013年以降にかけて増加傾向が示され、2014年、2015年に豊漁となった。しかし、2016年には来遊資源が減少し、アルゼンチンEEZ内の漁獲量は集計が終わっている8月までの月別漁獲量は低く推移している。操業データに基づくCPUEなど近年の資源水準を示すデータは公表されていない。しかし総漁獲量がおよその資源水準を表すと考えると、2000年以降、わずか数年間で年間漁獲量が20万トンから100万トンまで変化し、近年の資源変動が極めて激しく不安定になっていることを示し、推測される2016年の総漁獲量の激減から、現在の資源状態は低位と判断される。

管理方策
本資源の大部分はアルゼンチンEEZ 及び英国領フォークランドFICZ海域内に分布し、管理上は便宜的に南緯44度線で区切って、南方資源と北方資源に分けて異なる管理方策をとっている。北方資源は、実質アルゼンチンのみが管理し、前年の漁獲実績による入漁隻数制限と漁期制限(5月1日〜8月31日まで)による努力量管理方策を実施している。一方、南方資源は、SAFCに基づき英ア二国が共同で、前年の漁獲実績による入漁隻数制限と解禁日(2月1日)制限による努力量管理のほかに、再生産管理を実施している。再生産管理とは、本種が単年性(年魚)であり、世代が重複することがないことから、ある年の資源はすべて前年の産卵親イカから生まれてくる再生産関係がある程度成立すると仮定し、来漁期の資源に回す親を一定量確保する施策である。相対逃避率(目標値40%)に加え、絶対逃避量(4万トン)を設定し、漁獲量を管理している。

資源状態のまとめ
  • いか釣り漁船CPUE、調査船調査、漁獲動向により評価。
  • 2014年は、過去最高水準の漁獲であり、資源水準は過去最高にせまる高位で増加傾向と判断。

管理方策のまとめ
  • 南緯44度線で南方資源と北方資源に分けてそれぞれ管理。
  • 南北両資源ともに努力量管理方策維持。入漁隻数の制限、解禁日と禁漁期(終漁日)を設定。
  • 南方資源は、さらに、再生産管理として相対逃避率40%及び絶対逃避量4万トンを設定し、漁獲量を制限。