--- 要約版 ---

60 サケ(シロザケ) 日本系

Chum Salmon, Oncorhynchus keta

                                                                          
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図1

日本系サケの分布(黄色:産卵地域、青色:漁場海域、赤色:分布海域、緑色:索餌(夏季)海域)


図4

8〜9月のベーリング海に分布する日本系サケ未成魚。遺伝的系群識別により推定されたCPUE(トロール網1時間曳きあたりの採集個体数)(Urawa et al. 2009)。


図7

サケの来遊数(沿岸漁獲数と河川捕獲数の合計値)と放流数


図8

日本各地におけるサケの回帰率の推移
回帰率とは、各年級群の2〜6年魚の来遊数合計値をその年級群の放流数で除した割合(%)とする。



サケ(シロザケ)(日本系)の資源の現況(要約表)

資源水準 中位
資源動向 横ばい
世界の漁獲量
(最近5年間)
我が国の漁獲量
(最近5年間)
12万〜14万トン
最近(2015)年:13.4万トン
平均:13.2万トン(2011〜2015年)
最新の資源評価年
次回の資源評価年

管理・関係機関
北太平洋溯河性魚類委員会(NPAFC)
日ロ漁業合同委員会

最近の動き
2015年度漁期の来遊数は、1989年以降では2番目に低い水準となった。

生物学的特性
  • 体長・体重:尾叉長 1.08 m・11.5 kg
  • 寿命・成熟年齢:2〜8歳
  • 産卵期・産卵場:秋〜冬、北日本の河川
  • 索餌期・索餌場:夏、オホーツク海(海洋年齢1年目)、ベーリング海(海洋年齢2年目以降))
  • 食性:水生昆虫・落下昆虫(河川)、動物プランクトン・マイクロネクトン(海洋)
  • 捕食者:ウトウなど海鳥・ウグイなど魚類(幼魚)、ネズミザメなど大型魚類・オットセイなど海産哺乳類(未成魚・成魚)、ヒグマなどの陸生肉食動物

利用・用途
用途は広く、塩蔵品(新巻、山漬、定塩)、生鮮・冷凍品(焼き魚、石狩鍋、三平汁、チャンチャン焼き、ステーキ、ムニエル、ルイベ)、乾製品(トバ等)、燻製、フレーク、練り製品、缶詰、氷頭なます、飯寿司、塩辛(めふん)等がある。魚卵製品として、すじこ、いくらがある。成魚の皮は、かつて民芸品とされていたが、現在はコラーゲン抽出の原材料として注目されている。

漁業の特徴
第二次世界大戦後、1952年に北洋さけます漁業が再開されると流し網による沖獲りが発展したが、1977年に200海里水域が設定され、さらに母川国主義の考えが定着すると、沖獲り漁業は著しく後退した。北太平洋公海でのさけます漁業は禁止されている。流し網漁業は、2015年以前までロシア及び日本200海里水域において春から初夏に実施されていた。これら沖獲り漁業の対象はロシア系が主体であり、日本系の割合は僅かと考えられている。なお、2016年からロシア水域での流し網漁業は禁止された。1970年代に入ると日本沿岸での漁獲量が増加した。日本系資源の大半は、夏から冬季にかけて主に北日本の産卵河川周辺の沿岸で定置網等により漁獲される。他国経済水域内での本種系群の漁獲量は不明である。日本で増殖対象となっている溯河性さけ・ます類のうち最も漁獲量が多い。

漁獲の動向
1970年代から沖合域の漁獲量は徐々に減少し、同時に沿岸域の定置網による漁獲量が増加した。沖合域ではロシア系が主な漁獲対象であり、日本系の漁獲量は僅かと考えられている。最近5年間(2011〜2015年)の漁獲量は12.2万〜14.0万トン、2015年の沿岸漁獲量は13.4万トンであった。

資源状態
稚魚放流数は1960〜1970年代にかけて増加し、1980年代以降約18億〜20億尾で安定していたが、2011年には東日本大震災の影響で約12億尾に減少し、2012〜2015年も被災したふ化場が復興途上であり、放流目標数も削減したため、16億〜18億尾と近年の平均的な放流数をやや下回った。成熟魚の全国の来遊数(沿岸漁獲尾数と河川捕獲尾数の合計)は、1960年代後半の約500万尾から1990年代には平均で6,600万尾と10倍以上に増加した。その後も4,400万〜7,700万尾で推移したが、2004年から漸減傾向を示し、2010年以降は、2013 年を除き、5,000万尾を割り込んでいる。2015年は4,412万尾と1989年以降で2番目に少なかった。しかし、2010〜2014年の平均来遊数(4,693万尾)と同水準であることから、現在の資源水準は中位と判断できる。放流魚の生残状況の指標となる回帰率は、北海道の1989〜1997年級群では4〜5%程度が多かったが、1998年級群以降、年変動が大きくなり3〜7%台の範囲で変動している。東日本大震災で被災した2010年級群が、2015年には5年魚として回帰し、本州太平洋側では1989年以降で最も少ない5年魚の来遊数を記録した。

管理方策
回帰率への密度効果は認められなかったため、最大の持続生産量及びそれに必要な最適放流数は算出できなかった。現在のところ本資源の変動は大きいが、近年の来遊数は、放流数がほぼ一定になった1980年代初頭の年級群が回帰を迎えた1980年代半ば以降の来遊数の変動の範囲内にあることから、現在の水準の維持が望ましい。資源水準の維持には、近年の放流数約18億尾の維持が必要で、産卵親魚量一定方策による管理が適切である。

資源状態のまとめ
  • 2011〜2015年の平均来遊数は4,584万尾(うち沿岸漁獲数4,117万尾、河川捕獲数471万尾)。
  • 2015年の来遊数は4,412万尾で、資源状態は中位、横ばい。

管理方策のまとめ
  • 現在の資源水準を維持することが管理目標。
  • 稚魚放流数・産卵親魚数一定方策が適切。
  • 推定回帰尾数と必要親魚数の差が漁獲可能量。