--- 要約版 ---

41 クロトガリザメ 全水域

Silky Shark, Carcharhinus falciformis

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図1

日本の主要漁港へのクロトガリザメの水揚量


図2

クロトガリザメの分布 (Last and Stevens 1994より引用)


図4

クロトガリザメの成長式(Branstetter 1987、Bonfil et al. 1993、Oshitani et al. 2003、Joung et al. 2008、Sanchez-de Ita et al. 2011、Hall et al. 2012より引用)



クロトガリザメ(全水域)の資源の現況(要約表)

資源水準 低位(中西部太平洋)
資源動向 減少(中西部太平洋)
世界の漁獲量
(最近5年間)
調査中
我が国の漁獲量
(最近5年間)
1〜12トン
最近(2014)年:1トン
平均:4トン(2010〜2014年)
最新の資源評価年 2013年(中西部太平洋)
2014年(東部太平洋)
次回の資源評価年 2019年(インド洋)
※その他の海域については、資源評価が未実施または未確定

管理・関係機関
全米熱帯まぐろ委員会(IATTC)
大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)
インド洋まぐろ類委員会(IOTC)
中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)
絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約、CITES)

最近の動き
東部太平洋の本種に関して、2016年のIATTC第90回年次会合において、2017〜2019年の管理措置が勧告された。2016年9〜10 月のワシントン条約第17 回締約国会議において、本種を附属書Uに掲載する提案が可決された(我が国は留保) 。

生物学的特性
  • 体長・体重:全長3.5 m・346 kg
  • 寿命:22歳
  • 成熟開始年齢:雄6〜13歳、雌6〜15歳
  • 繁殖期・繁殖場:交尾期;晩春(5〜7月)、出産期;晩春(5〜7月)〜初夏または周年
  • 索餌期・索餌場:調査中
  • 食性:魚類
  • 捕食者:調査中

利用・用途
肉は生鮮食品や塩干物として食用に利用される。鰭はフカヒレスープの原料、皮は革製品の材料として利用されるほか、肝臓からはビタミン類が抽出され工業用、化粧品用等に利用される。

漁業の特徴
はえ縄やまき網漁業によって混獲される。まき網漁業では、集魚装置(FAD)を用いた操業での混獲が多く、混獲される板鰓類の90%を占めるとされる。メキシコ湾やカリブ海では、本種を対象とした漁業が存在し、フカヒレスープの原料として鰭の採取を目的とした利用が進んだ結果、個体数が大きく減少した。東部太平洋では、本種はまき網、はえ縄、沿岸小規模漁業によって混獲されており、国別にはメキシコ、中央アメリカが漁獲量の大部分を占めている。インド洋においては、混獲のほか、遊漁、沿岸小規模漁業、準産業規模の漁業によって漁獲される。スリランカでは、本種を対象とした大規模漁業が存在する。日本においては、はえ縄及び流し網によって漁獲されている。

漁獲の動向
我が国の主要漁港におけるさめ類の漁法別・種別水揚量の調査では、本種の種別の水揚げ量の記録が開始された2006〜2014年における本種の総水揚量は10〜12トンで、その内はえ縄による水揚量はクロトガリザメ総水揚げ量(2006〜2014年の合計値)の65%、流し網による水揚げ量は本種の総水揚量の約24%を占めている。水揚げが記録された2006〜2014年の期間のデータによれば、総水揚げ量は2010年までは6〜12 トンの範囲で推移していたが、2011年には東日本大震災による影響により水揚げ量は1トンまで減少し、2012〜2013年には3〜4トンまで増加したが、2014年にはWCPFCによる本種の船上保持禁止措置が導入され、気仙沼近海はえ縄漁業者による水揚げがなくなったため、1トンまで減少した。

資源状態
中西部太平洋系群については、2012年から太平洋共同体事務局(SPC)の専門家グループによって統合モデルによる資源評価が行われ、現在の努力量がFMSYを大きく上回り(Fcurrent/FMSY=4.48)、産卵親魚量もMSYレベルを下回る(SBcurrent/SBMSY=0.7)ことから、現在の漁獲は過剰な状態にあり、資源も乱獲状態の可能性が極めて高いと結論付けられている。
東部太平洋系群については、2014年にIATTC事務局により、まき網のオブザーバーデータなど利用可能な情報に基づく資源状態の傾向分析が行われ、1990年代初期〜中期にかけてCPUEが大きく減少し、その後は比較的安定して推移していることが示された。

管理方策
ICCAT、WCPFCにおいては、船上保持禁止措置が導入されている。IATTC及びIOTCにおいては本種を対象とした保存管理措置はないが、漁獲されたさめ類の完全利用(頭部、内臓及び皮を除く全ての部位を最初の水揚げ又は転載まで船上で保持すること)及び漁獲データ提出が義務付けられている。また、東部太平洋のクロトガリザメに関しては、2016年のIATTC第90回年次会合において、2017〜2019年に、IATTC海域において@混獲された魚体の船上保持禁止(まき網漁船)、A航海毎の混獲量の上限を全種の漁獲量の20%以下に制限(サメを対象としないはえ縄漁船)、B体長100 cm以下の小型魚の漁獲量を本種漁獲量の20%以下に制限(浅縄を使用するはえ縄漁船)、などをはじめとする管理措置が勧告された。
2016年5月、モルジブ共和国をはじめとする国々が本種をワシントン条約附属書Uに掲載する提案を行い、同年9-10月に行われたワシントン条約第17 回締約国会議CITES COP17において投票の結果、附属書Uへの掲載が可決された。この議決は、2017 年10 月4日から発効するが、我が国は、商業漁業対象種は持続的利用の観点から、漁業管理主体である地域漁業管理機関又は沿岸国が適切に管理していくべきとの立場等から、本種の附属書U掲載について留保している 。このため、我が国は、締約国に輸出する場合には輸出許可書が必要となるものの、海からの持ち込みについての証明書の発給は不要となっている。

資源状態のまとめ
  • 中西部太平洋系群:現在の漁獲は過剰な状態にあり、資源も乱獲状態の可能性が極めて高い。
  • その他の系群:資源水準の推定は行われていない(東部太平洋系群については、資源状態の傾向分析は実施。インド洋系群については、2019年にインディケータ解析が行われる予定。)。

管理方策のまとめ
  • WCPFC、ICCAT:保持禁止。
  • IATTC、IOTC:漁獲されたさめ類の完全利用及び漁獲データ提出。
  • IATTC:まき網における船上保持禁止、はえ縄漁獲量・小型個体の漁獲量制限
  • CITES附属書Uに掲載され国際取引が規制(我が国は留保)。