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21 メカジキ 北太平洋

Swordfish, Xiphias gladius

                                                                           
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最近の動き

2014年2月にISCカジキ類作業部会において最新の資源評価が行われ、中西部北太平洋系群については現在の資源量は乱獲状態になく、漁獲も過剰漁獲状態ではないとされた。また、東部太平洋北部系群については現在乱獲状態ではないものの、過剰漁獲に陥りつつあるとされた。これらの結果は同年7月のISC本会合で承認された後、8月のWCPFC科学委員会に報告された。


利用・用途

刺身、寿司で生食されるほか、切り身はステーキや煮付けなどに利用される。


図1

図1. ISCに報告された北太平洋(赤道以北)におけるメカジキの国別漁獲量


表1

表1. ISCに報告された北太平洋のメカジキの近年の国別漁獲量(トン)


図2

図2. 北太平洋(赤道以北)におけるメカジキの我が国の漁業種別漁獲量


図3

図3. アーカイバルタグから得られた親潮前線域でのメカジキの日周鉛直移動データ
移動データは1999年8月6〜10日のもの。赤線が水深、水色線が水温を示す。


図4

図4. アーカイバルタグで得られた親潮前線域におけるメカジキの水温帯別(上図)及び水深帯別(下図)昼夜分布パターン


図5

図5. 雌雄別の成長曲線(Sun et al. 2002)


表2

表2. 推定された雌雄別の年齢別下顎叉長(cm)


図6

図6. 北太平洋のメカジキ系群の分布域(ISC 2009)
中西部太平洋系群の分布は黒線で示した赤道以北の海域、東部太平洋系群の分布は黄線で示した海域、両系群の境界線は青い点線で示した。


図7

図7. 2014年の中西部北太平洋系群の資源評価に用いた資源量指数


図8

図8. 中西部北太平洋系群のプロダクションモデル解析の結果
左図は、開発可能な資源量(黒丸、1951〜2012年)及び最大持続生産量の生産に必要な資源量(点線、BMSY)を示す。右図は、漁獲率(黒丸、1951〜2012年)及び最大維持生産量の生産に必要な漁獲率(点線、HMSY)を示している。両図とも、エラーバーは95%信頼限界を示す。


図9

図9. 2014年の東部太平洋系群の資源評価に用いた資源量指数


図10

図10.東部太平洋系群のプロダクションモデル解析の結果
左図は、開発可能な資源量(黒丸、1955〜2012年)及び最大持続生産量の生産に必要な資源量(点線、BMSY)を示す。右図は、漁獲率(黒丸、1951〜2012年)及び最大維持生産量の生産に必要な漁獲率(点線、HMSY)を示している。両図とも、エラーバーは95%信頼限界を示す。


漁業の概要

ISCが集計した北太平洋における本種の国別漁獲量を図1、表1に示す。ただし、図1及び表1のデータは、近年のフィリピンや中米諸国等による漁獲量が含まれていない。北太平洋における総漁獲量は、1960年前後に2万トンを上まわったが、その後急激に減少し、1960年代〜1970年代前半には1万トン前後になった。1970年代までの総漁獲量は、日本の漁獲量の変動に伴い変化していた。その後1980年代に米国が、1990年代に台湾が漁獲量を増加させたため、総漁獲量は増加傾向を示し、1993年の総漁獲量は再び2万トンを上まわった。2000年代に入ると台湾の漁獲量は増加したものの、米国やメキシコの漁獲量が減少したため、総漁獲量は再び減少し近年は1万トン程度となっている。日本の漁獲量は1970年代中旬から漸減し続け、近年は4,460〜5,524トンで推移している。1970年代まで、日本は全体の9割程度のメカジキを漁獲していたが、近年、米国や台湾の漁獲量が増加したため、全体に占める割合は5〜6割程度にまで落ち込んでいる。米国は、ハワイを基地とするはえ縄漁船がメカジキを漁獲している。当該漁業は1980年代終盤に始まり、急速に成長して1993年には7,681トンを漁獲した。2000年には125隻(その内57隻がメカジキを主漁獲対象としていた)が操業して3,000トンを漁獲した(Ito and Coan 2002)。しかしながら、1999年初頭に海亀混獲を削減するための規制が当該漁業を対象に設定され(Ito and Coan 2002)、2001年の発効(Ito and Coan 2004)に伴い赤道以北でのメカジキを対象とした操業を禁止されたため、その一部は、一時的に基地をカリフォルニアに移して操業を継続することとなった。その後、ハワイを基地とするメカジキを対象としたはえ縄漁業は2005年に条件付き(海亀のクォータ及びオブザーバーの全船受け入れ)で再開している(50 CFR Part 665. 2012)。台湾は主に、遠洋・近海はえ縄により漁獲しており、2000年に3,000トンを超え、その後2,825〜5,426トンで推移している。

北太平洋における我が国の漁業種別漁獲量を図2に示す。総漁獲量は、1980年代後半までは0.8万〜1.2万トンであったが、1994年以降は一貫して減少傾向にあり、2011年には4,460トンまで減少したが、その後若干増加し、2015年には5,524トン(暫定値)へと回復している。1990年代以降の漁獲量の減少は、遠洋・近海はえ縄による漁獲の減少によるものである。近年の漁業種別漁獲量割合は、はえ縄が全体の8割以上を占め、次いで大目流し網等が多い。大目流し網による漁獲量は1980年代に1,000トンを超える時期があったが、1992年の公海域における流し網のモラトリアム(操業停止)以降、操業水域が我が国200海里内に限られたため漁獲量は急激に減少し、500トン以下にまで落ちこんだ。しかしながら、2000年代初頭に再び1,000トン以上となり、近年は193〜371トンを漁獲している。


生物学的特徴

【分布と回遊】

本種は、主な産卵場として知られている小笠原諸島沖合とミッドウェー諸島周辺海域から三陸沖移行域の摂餌場の間を南北回遊することが知られている。主産卵期は3〜7月頃であるが、産卵はほぼ周年行われると考えられている。

1999年7月に三陸沖でアーカイバルタグを装着・放流された200 kg近い個体が、約1年後にほぼ同じ場所で再捕された。回収されたタグのデータから、このメカジキは夏には北緯40〜45度の餌が豊富で冷たい黒潮水域に、冬には北緯10〜20度の亜熱帯水域へと移動する季節的な南北回遊を行っていたことが判明した(Takahashi et al. 2003)。

他の海域のメカジキ同様、北西太平洋のメカジキも日周鉛直移動を行うことが、アーカイバルタグ調査によって確認されている(図3)。それによると、メカジキは日出前に深層へ潜水し、日没後に表層へ浮上する。また、夜間は水温によらず表層20 m以浅に滞在しているのに対して、昼間は水深によらず水温3〜6℃の水温帯に分布していることが示唆されている(図4)。


【成長と成熟】

北太平洋系群のメカジキの成長に関する研究は、古くから多くの研究者によって行われているが、最新の報告はSun et al.(2002)が臀鰭第2棘を用いて行った研究であり(図5、表2)、他の研究からもほぼ同様の結果が得られている。他の海域同様、雌の方が早く成長し大型になる。下顎叉長2 m以上の個体はほとんど雌である。50%成熟下顎叉長は、ハワイ沖では雄で117 cm(3歳)、雌で162 cm(6歳)と報告されている(DeMartini et al. 2000)。


【資源構造】

従来、北太平洋のメカジキは単一系群を構成していると考えられていた。しかし、2009年2月のISCカジキ類作業部会で既存の情報のレビューが行われ、その結果、複数のDNA解析結果から東部太平洋北部海域と中西部北太平洋で系群が異なることが示唆されていること、さらに、両海域ではえ縄のCPUEトレンドが異なることから、両者は別系群であると判断され、資源評価も個別に行うこととなった。これを受け、日本のはえ縄CPUEの解析を行い、その結果を基に両系群の境界を図6に示したようなラインとすることで合意した(ISC 2009a)。


資源状態

中西部北太平洋系群及び東部太平洋系群の最新の資源評価は、ISCカジキ類作業部会において2014年2月にベイジアン・プロダクションモデルを適用して行われた(ISC 2014)。

中西部太平洋系群資源評価は、日本、台湾及び米国から報告された資源量指数(図7)と各国の漁業種別漁獲量(1951〜2012年)を用いて行われた。1969〜1999年の台湾の遠洋はえ縄CPUEは、プロダクションモデルへのフィッティングが悪く、最終的なモデルには使用されなかった。解析の結果、1951〜2012年の全解析期間において、漁獲対象の資源水準はMSYレベル以上であったことが示された(図8、左図)。一方、漁獲率(Harvest rate)は、1960年頃に一時的にHMSYレベルとなったが、その後はHMSY以下で推移していた(図8、右図)。解析結果を基に、最近年(2010〜2012年)の漁獲量または漁獲率を用いて2016年までの将来予測を行ったところ、漁獲可能資源量の水準はBMSY以上を維持し、近年の漁獲量水準を維持するために十分であることが示された(ISC 2014)。以上の結果から、現在の資源量は乱獲状態になく、漁獲も過剰漁獲状態ではないとされた。この結果は同年7月のISC本会合で承認されたのち、同年8月WCPFC科学委員会に報告された。次回の資源評価は2017年に予定されている。

東部太平洋北部系群の資源評価は日本及び台湾から報告された資源量指数(図9)と各国の漁業種類別漁獲量(1953〜2012年)を用いて行われた。解析の結果、資源水準は1995年の3.1万トンから2010年の6万トンへと増加し、その後もBMSYを概ね上回って推移しているが(図10、左図)、漁獲率は長期にわたって増加し1998、2002、2003年及び近年はMSYレベルを上回った過剰漁獲状態にある(図10右図)。


管理方策

中西部北太平洋系群については、資源状態は健全であるとのISCの資源評価結果もあり、本種の資源管理措置の作成に関して本委員会に勧告を行うWCPFC北小委員会においては、本資源に関する保存管理措置導入の議論は行われていない。東部太平洋北部系群についても、IATTCにおいて議論は行われていない。


メカジキ(北太平洋)の資源の現況(要約表)

中西部北太平洋系群 東部太平洋系群
資源水準 高位 高位
資源動向 安定 安定
世界の漁獲量
(最近5年間)
10,315〜11,100トン
最近(2015)年:11,100トン
平均:10,735トン(2011〜2015年)
我が国の漁獲量
(最近5年間)
4,460〜5,524トン
最近(2015)年:5,524トン
平均:4,935トン(2011〜2015年)
管理目標 検討中 検討中
資源の状態 現在の資源量は乱獲状態になく、漁獲も過剰漁獲状態ではない。 現在の資源量は乱獲状態ではないが、漁獲は過剰漁獲状態になりつつある。
管理措置 なし なし
管理機関・関係機関 ISC、WCPFC ISC、IATTC
最新の資源評価年 2014年 2014年
次回の資源評価年 2017年 2017年

執筆者

かつお・まぐろユニット
かじき・さめサブユニット
国際水産資源研究所 かつお・まぐろ資源部 まぐろ漁業資源グループ

井嶋 浩貴


参考文献

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