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13 キハダ 中西部太平洋

Yellowfin Tuna, Thunnus albacares

                                                                                   
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最近の動き

2015年の総漁獲量は60.5万トン(予備集計)で、過去最高値(60.6万トン;2013年)とほぼ同じ値であった。本種の最新の資源評価は2014年に太平洋共同体事務局(SPC)の科学専門グループにより行われ、資源は過剰漁獲状態になく、乱獲状態にも陥っていないと評価された。同年のWCPFC科学小委員会は、SPCの評価結果を承認するとともに、@漁獲量を過去最高水準(2012年)より増やすべきではないこと、A委員会が管理目標に合意するまでの間、産卵資源量を現状水準に維持するための措置を委員会は実施することを勧告した。2016年12月に開催されたWCPFC第13回年次会合において、措置の見直しが議論されたが、現行措置が継続されることとなった。

また、近年のWCPFCにおいては、長期的な管理枠組みとしての漁獲戦略の導入の議論が進んでいる。


利用・用途

はえ縄の漁獲物は生鮮(刺身)、まき網の漁獲物は缶詰をはじめとする加工品として主に利用される。


図1

図1. 太平洋におけるキハダの分布域及び産卵域


図2a 図2b

図2. 中西部太平洋におけるキハダの漁法別漁獲量(上図)、国別漁獲量(下図)


図3

図3. 主要漁業によるキハダの漁獲量分布(1990〜2015年合計)及び2014年の資源評価に用いられた海区区分(Williams and Terawasi 2016)
黄緑がはえ縄、赤が竿釣り、青がまき網、黄がその他の漁業を表す。


表1

表1. 中西部太平洋におけるキハダの各四半期齢(3か月ごと)時の体長(尾叉長cm)と体重(kg)(Davies et al. 2014)


図4

図4. 中西部太平洋におけるキハダのF/FMSYとSB/SBF0の経年的プロット(WCPFC 2014)
SB/SBF0は、漁業がないと仮定した場合の産卵親魚量を1.0としたときの実際の産卵資源量。


図5

図5. 中西部太平洋におけるキハダのSpawning potential(上図、WCPFC 2014)と Spawning Biomass ratio(下図、Davies et al. 2014)の推移
上図:縦軸はSpawning potential(産卵資源量、性比、年齢別成熟率、1回あたりの産卵量、産卵回数の情報を考慮した、産卵可能指数)、横軸は年で示す。黒実線がレファレンス・ケース。緑実線は標識魚群の混合する度合いが違う設定。赤と水色実線は親子関係が異なる設定(黒実線と同じ推定値のため見えない)。
下図:縦軸は漁業がないと仮定した状態の産卵資源量を1.0としたときの、実際の産卵資源量の割合。赤丸は2012年の状況を示し、0.38。


図6

図6. 中西部太平洋におけるキハダの加入量(WCPFC 2014)
縦軸は加入量(10,000個体)、横軸は年で示す。黒実線がレファレンス・ケース。緑実線は標識魚群の混合する度合いが違う設定。赤と水色実線は親子関係が異なる設定(黒実線と同じ推定値のため見えない)


図7

図7. 中西部太平洋におけるキハダの漁獲死亡係数(年)の推移
黒:親魚、赤:未成魚。


図8

図8. 中西部太平洋における漁業ごとのキハダ産卵資源へのインパクト(Davies et al. 2014)
縦軸は漁業が資源を減少させた割合(%)を示したもの。はえ縄(緑)、竿釣り(赤)、まき網流れもの操業(青)、まき網素群れ操業(水色)、その他(黄)を表す。


図9

図9. 中西部太平洋におけるキハダ産卵資源の将来予測(Pilling et al. 2014)
2012年の漁獲の強さ、加入が親子関係式のばらつきの範囲(左図)あるいは、2002〜2011年の範囲(右図)で将来の加入があると仮定。縦軸は、漁業がないと仮定して推定した現在の産卵資源量を1.0としたときの、実際の産卵資源量の割合。黒実線:中央値。2種の加入の仮定について、それぞれ200回の将来予測を行い、その結果の範囲を等値線と青色のグラデーションで示してある。緑破線:SBMSYに相当。赤破線:20% SBF=0(2002〜2011年)に相当。


表2a 表2b

表2. WCPFCにおける漁獲管理方策、管理基準値に関する検討状況(WCPFC 2016)


付表1
付表2

付表9


付表4

付表. 中西部太平洋におけるキハダの年別国別漁獲量(単位;トン)


漁業の概要

WCPFCが管理する中西部太平洋は、西経150度以西の太平洋である(図1)。はえ縄、まき網及び竿釣りが主な漁業である。はえ縄は1950年代にキハダを主要対象種として発展したが、1970年代半ばにメバチを主要な対象とするようになった。まき網は、カツオを主対象としつつ、キハダも漁獲する漁業として1970年代半ばに始まった。1980年代までは、はえ縄が漁獲の半ば以上を占めていたが、その後、まき網による漁獲量が増加した。2015年の総漁獲量は60.5万トン(予備集計)で、過去最高値(60.6万トン;2013年)とほぼ同じ値であった。内訳は、まき網が49%、はえ縄が16%、竿釣りが6%、そのほか27%である。そのほかには、フィリピン及びインドネシアにおける多様な漁業(ひき縄、小型のまき網、刺網、手釣りなど)が含まれている(図2、付表1)(Williams and Terawasi 2016)。なお、付表1の値とこれに基づく図2は、WCPFCの個人情報保護のルールにより、ある年のある国の漁獲実績がある船舶数が3隻未満の場合は公表されないため、全ての国を足し上げても、上記の総漁獲量の記載と一致しない。2015年の場合は、付表1の合計は57.5万トンと総漁獲量(60.5万トン)の95.0%に相当する。

まき網漁業について、日本近海、特に三陸沖で、季節的にかつお・まぐろ類を対象とした操業は第二次大戦前より行われていた。熱帯域における大規模なまぐろまき網漁業の先駆者は日本である。マッカーサーラインが廃止された1952年から試験的に太平洋熱帯域への出漁がみられ、1969年に自然流木に蝟集する魚群を対象とする漁法が開発され、また、素群れへの操業方法開発の努力も続けられた結果、1970年代半ばに、現在の熱帯域で周年操業する形態が確立した(海外まき網漁業協会 2004)。1980年代には台湾船、韓国船が参入し、かつ東部太平洋の不漁によって一部の米国まき網船が中西部太平洋に漁場を移したため、キハダの漁獲量が増加し始めた。1990年代に入ると、集魚装置(FADs)を使用した操業が発達した。これは、人工的に流れもの(人工筏とも呼ばれる。典型的には、フロートになる筏部分と、海中にあって蝟集効果を高めると考えられる網(中古のまき網の身網)及び位置を知らせるブイで構成される)を海に投入し、しばらく待って(数週間から数か月)、魚群が蝟集した場合、これを明け方に漁獲する漁法である。近年、FADsに魚群探知機と衛星ブイを装着し、魚群の蝟集状況を、FADsに赴いて点検せずとも把握できる工夫が行われている。点検時間が短縮することにより、FADs操業の漁獲効率が高まっている可能性がある。これらの装置は、大西洋では、ほぼ全てのFADs(ICCAT 2016)に、東部太平洋ではおよそ1/3のFADs(Hall and Román 2016)に装着されているとの報告がある。数年前より、世界的にまぐろ類の地域漁業管理機関(RFMO)において、FADsに関する調査の気運が高まっている。具体的な調査項目として、FADs操業のまぐろ類資源や生態系へのインパクトを推定する目的で、海上にある総FADs数の推定、FADs寿命の推定、生分解性のFADs素材の開発、生物が絡まりにくいFADsの開発、FADsに関する情報収集項目の標準化作業などがある。漁場は、北緯10度から南緯10度の熱帯域で東西に幅広いが、特に東経160度付近で漁獲が多い(図3)。近年10年(2006〜2015年)で、まき網の漁獲量の多い国は、パプアニューギニア、韓国、フィリピン、台湾、米国及び日本などで、2015年には、これら6か国でまき網漁獲量の75%を占めた(付表1)。日本船の漁獲量は、2000年以降は3万トン前後であり、2015年は3.5万トン(予備集計)であった。まき網全体の努力量は近年、上昇傾向にあったが、2015年は2014年より若干減少した。操業方法により、主として漁獲される魚のサイズが異なり、素群れ操業は尾叉長70 cm以下は少なく、FADs操業は80 cm未満が多い(Williams and Terawasi 2016)。

縄漁業について、我が国漁船は1938年頃に漁場は赤道付近まで拡大し、キハダを主要な漁獲対象種としていた(岡本 2004)。マッカーサーラインが廃止された1952年から、漁場が急速に拡大し、1960年には中央アメリカ沿岸に達した(Suzuki et al. 1978)。その後も南北両半球の温帯域に操業域を広げ、1960年代には、地理的に最も広く操業が行われた。この頃は缶詰等の加工品原料としてキハダとビンナガを漁獲していたが、1970年代半ばには、刺身需要の増加と冷凍設備の改善によって、主たる漁獲対象魚種がメバチに変更されたため、はえ縄のキハダ漁獲量は減少した。漁場は、北緯15度と南緯15度熱帯域で東西に幅広いが、特にフィリピンやインドネシアの群島水域での漁獲が多く(図3)、夏季には温帯域でも漁場が形成される。近年10年(2006〜2015年)で、はえ縄の漁獲量の多い国は、インドネシア、台湾、バヌアツ、日本、韓国及び中国などで、2015年には、これら6か国ではえ縄漁獲量の82%を占めた(付表1)。日本船の漁獲量は、1978年にピーク(7.2万トン)を記録した後、減少傾向にあり、2015年は7,543トン(予備集計)であった。はえ縄船の漁獲サイズは、主として尾叉長90 cmから170 cmである(Williams and Terawasi 2016)。

竿釣り漁業は、日本のカツオ竿釣り漁業で漁獲されるキハダが1950年代から記録されている。1970年代半ばまで、年1万トン未満の漁獲であった。その後、インドネシアの漁獲が増加し、近年10年(2006〜2015年)で、竿釣りの漁獲量が多い国はインドネシアで、2015年には、インドネシア一国で竿釣り漁獲量の89%を占めた。

そのほかの漁業は、フィリピンとインドネシア東部における多様な漁法(ひき縄、小型のまき網、刺網、手釣りなど)が含まれる。漁獲サイズは、尾叉長20〜50 cmが多い。また、量は少ないものの、手釣りでは尾叉長110 cm以上を漁獲している場合もある。


生物学的特徴

キハダは、三大洋の熱帯域から温帯域にかけて広く分布する。若齢で小型のキハダは、似たような大きさのカツオやメバチと群れを作ることがあり、これらはもっぱら表層に分布する。成長するにつれて、キハダ単独の群れとなり、より水深の深い層にも分布するようになる。また、夏季には緯度で40度近くまで分布するが、冬季には緯度で30度以上に分布することは稀である。産卵は水温24℃以上の水域で周年行われると考えて良いが、季節性もみられ、産卵盛期は熱帯域で、西部太平洋(東経120度〜180度)は12月から翌1月、より東に位置する中央太平洋(180度から西経140度)は4〜5月との報告がある(Kikawa 1966)。また、3〜5月の産卵は、11〜12月の産卵よりも活動的だとする報告もある(Yesaki 1983)。このような産卵期の違いは、中西部太平洋内に系群が存在する可能性を示唆する。放流点と再捕点のみがわかるタイプの標識放流調査は、数多くの結果が報告されている(たとえば、Kamimura and Honma 1963、Royce 1964)。長距離移動した例も少なくはないが、多くの個体が、ある一定の範囲(数百キロ以内)で再捕されている。南北よりも東西方向での移動が顕著である(Davies et al. 2014)。近年、東部太平洋の熱帯域の北緯側で、移動経路がわかるタイプの標識による標識放流調査が行われたところ(Schaefer et al. 2014)、やはり多くの個体が放流点の近くに留まり、長距離の移動個体は少ない傾向がみてとれた。これらは系群の存在を補強する証拠となり得る。また、近年、太平洋の各海域で得られたキハダの間に遺伝学的な差異が検出されている(Aguila et al. 2015、Grewe et al. 2015)。一方で、はえ縄やまき網の漁獲状況をみると、中西部太平洋内では明瞭な漁獲の切れ目がないことわかる(Williams and Terawasi 2016)。このように系群の存在については異なる見解が得られるため、判断が難しいものの、2016年の資源評価の場合も含めて、中西部太平洋のキハダの資源評価では、中西部太平洋で一つの系群と見なし、東部太平洋とは西経150度で分離されている。1回当たりの産卵数(Batch fecundity)は200万〜350万粒である(体重1 kgあたり5.5万〜6.4万粒)。1度の産卵期に複数回産卵できるとされており(Schaefer 1998)、そのことは、蓄養のキハダでも確認されている(Niwa et al. 2003)。本種の寿命は、年齢査定の結果や成長が速いこと、漁獲物にあらわれる最大体長は170 cm程度(5歳)であることから、メバチより短く、7〜10年であろうと考えられている。本種の仔魚期の餌生物はカイアシ類、枝角類が主体である(Uotani et al. 1981)。稚魚の胃内容物には魚類が多く、次いで頭足類が出現し、カイアシ類はほとんどみられない(辻 1998)。成魚の胃内容物に関する知見は比較的豊富で(Matthews et al. 1977)、魚類を主に甲殻類、頭足類など幅広い生物を摂餌し、明確な嗜好性はないと思われる。仔魚期、稚魚期には多くの捕食者がいると思われるが情報は少ない。さらに遊泳力が付いた後は大型のかじき類、さめ類、歯鯨類等に外敵は限られてくるものと思われる。雌の生物学的最小形は60 cm程度との報告もあるが、50%成熟は体長105 cm程度である(Itano 2000)。

2014年の資源評価では、自然死亡係数は雌雄同じ値が用いられたが、体長が大きいほど雄が多いことを反映するように四半期齢別に設定された。すなわち、0歳で四半期あたり0.2、その後、第5四半期齢で0.1まで減少し、その後、次第に高くなり、再び低くなる(Harley and Maunder 2003、Hoyle 2008、Hoyle and Nicol 2008、Harley et al. 2014)。成長式は、耳石日輪と標識放流調査結果から成長を解析した結果(Lehodey and Leroy 1999)は、von Bertalanffy成長式を当てはめると、若齢期(体長80 cm以下)を過大推定する傾向がみられたため、2歳までは、耳石日輪や標識放流調査結果に四半期ごとに合致させることとし、その後の成長は、von Bertalanffy成長式に従うものとした(Davies et al. 2014)。


自然死亡係数(四半期齢)
       Harley et al. (2014):
       0.200, 0.166, 0.134, 0.101, 0.100, 0.100, 0.100, 0.100, 0.100, 0.101, 0.101, 0.102, 0.103, 0.104, 0.106, 0.109, 0.113, 0.119, 0.125, 0.130, 0.134, 0.135, 0.134, 0.133, 0.131, 0.129, 0.128, 0.126, 0.124, 0.123, 0.121, 0.120, 0.118, 0.117, 0.116, 0.115, 0.114, 0.113, 0.112, 0.111
成長(尾叉長cm、四半期齢)
       Harley et al. (2014):
       25.5, 41.5, 49.2, 58.6, 72.6, 86.3, 96.9, 105.8, 113.0, 118.6, 123.5, 127.7, 131.5, 134.7, 137.5, 140.0, 142.1, 144.0, 145.6, 147.0, 148.3, 149.3, 150.3, 151.1, 151.8, 152.4, 153.0, 153.4
体長体重関係式
       Davies et al. (2014) :
       W= 2.8 × 10-5 × L2.921 (L : 尾叉長(cm)、W : 体重(kg)、t : 年齢)

資源状態

最新の資源評価は2014年にSPCの科学専門グループにより行われた。資源評価モデルはMultifan-CL(Fournier et al. 1998、Hampton and Fournier 2001、Davies et al. 2014)が用いられた。資源量指数として、まき網に関しては、フィリピン船(Bigelow et al. 2014)、パプアニューギニア船(Pilling et al. 2014a)の標準化CPUEが用いられた。はえ縄に関しては、日本船(Hoyle and Okamoto 2011、McKechnie et al. 2014)、台湾船、韓国船をはじめとした複数の国のデータを複合した標準化CPUE(Davies et al. 2014)が用いられた。MSYは58.6万トンと推定された。2008年から2011年の平均の産卵資源量のレベル(SB2008-2011/SBF=0)は0.42であり、限界管理基準値(Limit Reference Point;SB/SBF=0=0.20)を上回っており、WCPFCにおいて、従来資源が乱獲状態にあるか否かの基準とみなされてきたSBMSYで判断した場合(SB2008-2011/SBMSY=1.37)でも1.0を上回った。また、従来過剰漁獲能力の基準と見なされてきたFMSYで判断した場合、2008〜2011年の平均漁獲努力は1.0を下回った(F2008-2011/FMSY=0.72)(図4)。これを受け、SPCは、資源は過剰漁獲状態になく、乱獲状態にも陥っていないと評価した。Spawning potential(産卵資源量、性比、年齢別成熟率、一回あたりの産卵量、産卵回数の情報を考慮した、産卵可能指数)は1990年代から減少傾向にある(図5)。また、Spawning Biomass ratio(漁業がないと仮定して推定した現在の状態の産卵資源量を1.0としたときの、実際の産卵資源量の割合)は近年、減少傾向にあり、2012年は0.38(図5)とされた。加入量は、1965年から1990年にかけては目立った特徴が認められない。1990年以降、それ以前の平均から6%ほどの減少が認められた。最新年(2012年)の加入量の推定の不確実性は大きく、推定値は示されていない(図6)。漁獲死亡は、若齢魚と親魚で類似しており、1970年から急激に増加し、近年は高いレベルにあることが示された。1970年代以降の若齢魚の死亡率が増加は、フィリピン、インドネシア及びベトナムの漁獲量の増加に起因するとみられている(図7)。各漁業の産卵資源量に与える影響は、はえ縄、竿釣りのインパクトは低く、まき網の素群れ操業のインパクトは中程度ながら増加傾向にあり、まき網のFADs操業とフィリピン、インドネシア及びベトナムの漁業のインパクトが高いと推定された(図8)。将来予測(2012年の漁獲の強さ、加入が2002〜2011年の範囲あるいは、親子関係式のばらつきの範囲で将来の加入があると仮定)を行うと(Pilling et al. 2014b)、2032年までにLRPを下回る確率及びSBMSYを下回る確率は1%未満とされた。また、漁獲努力がFMSYを上回る確率も1%未満とされた(図9)。

2014年8月のWCPFC科学委員会は、SPCの評価結果を承認するとともに、@漁獲量を過去最高水準(2012年)より増やすべきではないこと、A委員会が管理目標に合意するまでの間、産卵資源量を現状水準に維持するための措置を委員会は実施することを勧告した(WCPFC 2014)。2015年と2016年には資源評価は実施されず、科学委員会は2014年と同じ勧告を行った(WCPFC 2015、WCPFC 2016)。


管理方策

WCPFCは、メバチ・キハダ・カツオの保存管理措置として、以下を導入している。現在の措置は2013年に合意され、2014年から2017年までの規制が定められている。2016年12月に開催されたWCPFC第13回年次会合において、措置の見直しが議論されたが、現行措置が継続されることとなった。

(a) まき網漁業(熱帯水域)
・キハダの漁獲量を増大させない
・2014〜2016年:FAD操業禁止(3か月)+FAD操業禁止1か月延長又は同等のFAD操業回数制限
・2017年:2015、2016年の措置+公海におけるFAD操業禁止
・島嶼国以外のメンバーが保有する隻数の凍結
※FAD操業規制はメバチ幼魚死亡率削減を目的とするが、本種にも影響を与えている。
(b) はえ縄漁業
・キハダの漁獲量を増大させない。

現在、WCPFCにおいては、長期的な資源管理の枠組みとして、@管理目標(Management ObjectivesあるいはManagement Goal)、A管理基準値(RP;Reference Points)、B漁獲管理ルール(HCR;Harvest Control Rules 資源量の変動に応じて、予め決めておいた管理措置を発動するルール)、C限界管理基準値を下回る許容リスク(acceptable levels of risk)、D管理戦略評価(MSE: Management Strategy Evaluation 候補となる管理戦略(A〜Cで構成)の案を、資源の加入状況や自然死亡率等、正確にはよくわからないことについての様々なシナリオの仮定の下、コンピュータでシミュレーションし、不確実性を踏まえたうえで、それぞれの管理戦略案が目標に対してどのような成果をもたらすか評価するもの)、E監視戦略(monitoring strategy 管理基準値に対する資源の動向を監視するための戦略)で構成される漁獲戦略の導入に向けた議論が活発になってきている。この背景には、資源評価には大きな不確実性がついてまわるということが広く認識されてきたことがある。実際の観測が難しいとされる親子関係や自然死亡係数などの設定の違いにより、資源評価結果が大きく異なることがある。また、最新の資源評価結果が過去の結果と大きく変わり、議論の余地が大きくなった場合に、管理方策が恣意的に変更されてしまわないように、管理手続きを事前合意する必要性が認識され始めたことも一因にある。WCPFC第11回年次会合で、設立に関する保存管理措置が採択され(CMM 2014-06)、第12回年次会合で作業計画が決定された。WCPFCにおける漁獲戦略の検討状況を表2に示す。なお、WCPFCも含む、近年のまぐろ類RFMOにおけるMSEの進捗状況についてはNakatsuka(2017)が詳しい。


キハダ(中西部太平洋)の資源の現況(要約表)

資源水準 中位〜低位
資源動向 横ばい
世界の漁獲量
(最近5年間)
52.2万〜60.6万トン
最近(2015)年:60.5万トン
平均:56.9万トン(2011〜2015年)
我が国の漁獲量
(最近5年間)
3.6万〜5.2万トン
最近(2015)年:4.9万トン
平均:4.5万トン(2011〜2015年)
管理目標 検討中
資源の状態< MSY=58.6万トン
SB2008-2011/SBF=0=0.42
SB2008-2011/SBMSY=1.37
F2008-2011/FMSY=0.72
C2012/MSY= 1.02
(レファレンス・ケースの値を参照)
管理措置 (a) まき網漁業(熱帯水域)
・キハダの漁獲量を増大させない
・FAD使用の段階的な規制強化
・島嶼国以外のメンバーが保有する隻数の凍結
※FAD操業規制はメバチ幼魚死亡率削減を目的とするが、本種にも影響を与えている。
(b) はえ縄漁業
・キハダの漁獲量を増大させない。
管理機関・関係機関 WCPFC、SPC
最新の資源評価年 2014年
次回の資源評価年 2017年

執筆者

かつお・まぐろユニット
熱帯まぐろサブユニット
国際水産資源研究所 かつお・まぐろ資源部 まぐろ漁業資源グループ

佐藤 圭介


参考文献

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