--- 要約版 ---

12 キハダ 東部太平洋

Yellowfin Tuna, Thunnus albacares

                                                           
PIC

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図1

太平洋におけるキハダの分布域


図S

東部太平洋におけるキハダの年齢ごとの尾叉長(cm)と体重(kg)の関係(Wild 1996)


図2a

東部太平洋におけるキハダの漁法別漁獲量


図2b

東部太平洋におけるキハダの国別漁獲量


図4

東部太平洋におけるキハダのF/FMSYとSB/SBMSYの推移(水色丸は現状、バーは95%信頼区間)
破線は暫定限界管理基準値を示す。横軸の破線は、親子関係を想定(スティープネス0.75)し、かつ漁業がないと仮定したときの産卵資源量の加入量の50%を得るための産卵資源量で0.28*SBMSYに相当する。縦軸の破線は、そのときの漁業の強さで2.42*FMSYに相当する。



キハダ(東部太平洋)の資源の現況(要約表)

資源水準 中位
資源動向 横ばい
世界の漁獲量
(最近5年間)
21.3万〜25.8万トン
最近(2015)年:25.8万トン
平均:23.3万トン(2011〜2015年)
我が国の漁獲量
(最近5年間)
0.2万〜0.3万トン
最近(2015)年:0.3万トン
平均:0.3万トン(2015〜2015年)
最新の資源評価年 2016年
次回の資源評価年 2017年

管理・関係機関
全米熱帯まぐろ類委員会(IATTC)

最近の動き
2015年の総漁獲量は25.8万トン(予備集計)で前年の105%であった。資源評価は2016年にIATTC事務局により行われた。MSYは27.2万トンと推定され、2015年の漁獲量より大きい。2016年当初の産卵資源量はMSYレベルよりやや小さい(SB2016/SBMSY=0.95)。2013〜2015年の平均漁獲努力は、ほぼMSYレベル(F2013-2015/FMSY=0.98、Fmultiplier=1.02)と推定された。SB/SBMSY、F/FMSYは暫定目標管理基準値(Interim Target Reference Point)であるので、2016年当初の本資源は乱獲状態だが、適正なレベルに近く、本資源への近年3か年の漁獲努力は、ほぼ適正レベルであったといえる。まき網漁業の拡大が資源悪化の要因であるとの認識の下、IATTC事務局は、まき網漁業の禁漁期間拡大を勧告した。IATTCは、この勧告を元に議論を行い、2017年2月に開催された第91回会合(特別会合)において、同勧告を基に議論されものの、禁漁期間の拡大については合意が得られなかったため、我が国の提案に基づき、2017年については、(ア)禁漁期間を含め現状維持(まき網漁業:62日間の全面禁漁。沖合特定区での1か月間禁漁。はえ縄漁業:国別メバチ漁獲枠の設定)、(イ)まき網漁業のうち一部の漁法(FAD(集魚装置)を用いた操業及びイルカ巻き操業)に新たに漁獲上限を導入、(ウ)2017年5月に行われる資源評価結果を踏まえ、次回会合で措置の見直しを行う、とする保存管理措置が採択された。また、2016年の年次会合においては、漁獲管理ルールが採択された。

生物学的特性
  • 体長・体重:尾叉長2.0 m・200 kg
  • 寿命:7〜10歳
  • 成熟開始年齢:3歳
  • 産卵期・産卵場:周年、表面水温24℃以上の海域
  • 索餌期・索餌場:熱帯域・温帯域
  • 食性:魚類、甲殻類、頭足類
  • 捕食者:まぐろ・かじき類、さめ類、海産哺乳類

利用・用途
刺身や缶詰原料

漁業の特徴
主要な漁業はまき網(総漁獲量の95%を占める。2011〜2015年)であり、残りがはえ縄(4%)と竿釣り(1%未満)である。まき網漁業について、当初は米国船が多かったが、1970年代の終わり頃からメキシコ、ベネズエラ船が増加するとともに米国船が減少し、1990年代に入ると、エクアドルやバヌアツ船が増加した。伝統的にイルカ付き操業と素群れ操業が行われてきたが、1990年代に入ると集魚装置(FADs)を使用した操業が発達した。まき網船の隻数は2015年には243隻、24.7万m3と過去最高値を記録した。はえ縄漁業について、我が国漁船は、当初は缶詰等の加工品原料としてキハダとビンナガを漁獲していたが、1970年代半ばには、刺身需要の増加と冷凍設備の改善によってメバチへと主たる対象魚種を変更した。2000年以降、南北アメリカ沿岸域への出漁が減少し、現在は、赤道を挟んだ南北15度の範囲が主な漁場となっている。台湾船は1960年代から出漁しているがビンナガを主対象としており、韓国船は1970年代半ばから操業があり、2005年以降の漁獲量は多くない。中国船は2015年に予備集計であるが、日本の漁獲量を超え、東部太平洋で最もキハダを漁獲する、はえ縄漁業国となった。エクアドルのはえ縄漁獲量も近年多い。

漁獲の動向
近年の漁獲は大部分がまき網(95%、2011〜2015年)によるものであり、残りがはえ縄(4%)と竿釣り(1%未満)である。漁獲量は1970年代半ばと1990年にピークがみられる。1983年の漁獲量の急激な落ち込みは、海況の変化に起因する漁船数の減少による。1990年から1995年頃の漁獲減少は、イルカの保護運動の影響で、イルカに付くキハダ魚群を狙う操業が減少したことによる。2001〜2003年に漁獲量は40万トンを超えたが、好調な加入による資源量増大が要因である。2015年の漁獲量は25.8万トン(予備集計)で前年の105%であった。

資源状態
資源評価は2016年にIATTC事務局により行われた。MSYは27.2万トンと推定され、2015年の漁獲量より大きい。2016年当初の産卵資源量はMSYレベルよりやや小さい(S2016/SMSY=0.95)。2013-2015年の平均漁獲努力は、ほぼMSYレベル(F2013-2015/FMSY=0.98、Fmultiplier=1.02)と推定された。S/SMSY、F/FMSYは暫定目標管理基準値であるので、2016年当初の本資源は乱獲状態だが、適正なレベルに近く、本資源への近年3か年の漁獲努力は、ほぼ適正レベルであったといえるまき網漁業の拡大が資源悪化の要因であるとの認識の下、IATTC事務局は、まき網漁業の禁漁期間拡大を勧告した。資源水準、動向は中位、横ばいと判断できる。

管理方策
  • 2017年2月に開催された第91回会合(特別会合)において、2017年については、(ア)禁漁期間を含め現状維持(まき網漁業:62日間の全面禁漁。沖合特定区での1か月間禁漁。はえ縄漁業:国別メバチ漁獲枠の設定)、(イ)まき網漁業のうち一部の漁法に新たに漁獲上限を導入(FAD操業:97,711トン、イルカ巻き操業:162,182トン(いずれも2013-2015年平均漁獲量)、素群れ操業には漁獲上限なし)、(ウ)2017年5月に行われる資源評価結果を踏まえ、次回会合で措置の見直しを行う、とする保存管理措置が採択された。
  • 2016年6月に開催された第90回会合(年次会合)において、以下を内容とする漁獲管理ルール採択された。
@最も厳しい管理を必要とする魚種については、まき網漁業に対する措置を複数年固定できるようにし、漁獲死亡率を、最大持続生産量(MSY)を達成する水準以上とならないよう維持する。
A漁獲死亡率が限界管理基準値(親子関係を想定し、加入が初期資源加入量の50%に減少する状態における産卵親魚量を維持する漁獲死亡率)を超過する確率が10%以上となる場合、50%の確率でMSYを達成する水準以下となるまで削減し、かつ限界管理基準値を超過する確率を10%以下とする措置を可能な限り早期に実施する。
B産卵親魚量が限界管理基準値(親子関係を想定し、加入が初期資源加入量の50%に減少する状態における産卵親魚量)を下回る確率が10%以上となる場合、50%以上の確率で目標水準(MSYを達成する水準の産卵親魚量)まで回復させ、かつ限界管理基準値を下回る確率を10%以下とする措置を2世代以内5年以内のうちより長い期間中に実施する。
Cまき網漁業以外の漁業に関する追加規制を事務局職員が勧告する際には、対象資源に与える相対的な影響も踏まえ、まき網漁業で採択された措置と可能な限り一貫性を持たせる。


資源状態のまとめ
  • 資源評価は2016年に統合モデル(Stock Synthesis)を用いて実施。
  • MSY27.2万トン。最近年(2015年)の漁獲量は25.8万トン。
  • 近年(2013〜2015年)の漁獲係数はほぼMSYレベル(F/FMSY=0.98)。
  • 近年(2016年)の産卵資源量はMSYレベルよりやや小さい(SB/SBMSY=0.95)であり、中位、横ばい。

管理方策のまとめ
  • まき網漁業:62日間の全面禁漁。沖合特定区での1か月間禁漁。漁獲上限導入(FAD操業、イルカ巻き操業)。