--- 要約版 ---

06 大西洋クロマグロ 西大西洋

Atlantic Bluefin Tuna, Thunnus thynnus

                                                       
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図1

大西洋クロマグロの分布域(赤)と主要漁場(青)、産卵場(黄)
索索餌場は産卵場を除く分布域。縦太線は東西の系群の境界。


図3

大西洋クロマグロ(西系群)の年齢あたりの体長と体重
青は2010年の資源評価で更新された成長曲線、灰色の実線は更新前を示す。図中の矢印は成熟体長を示す。赤は2015年に更新された体重曲線、灰色点線は更新前を示す。


図2a 図2b

大西洋クロマグロ(西系群)の年別漁法別漁獲量(上)と年別国別漁獲量(下)
漁獲量には投棄分も含まれる。


図5

大西洋クロマグロ(西系群)の親魚資源量の経年変化
資源評価モデルでの推定親魚資源量。上下の点線間は80%信頼範囲。


図6

大西洋クロマグロ(西系群)の加入尾数(1歳魚)の経年変化
資源評価モデルでの推定加入尾数。上下の点線間は80%信頼範囲。最近年(2011〜2013年)の加入尾数の推定値は、推定精度が低いためマークを変えた。


大西洋クロマグロ(西大西洋)の資源の現況(要約表)

資源水準 中位
資源動向 増加
世界の漁獲量
(最近5年間)
1,482〜2,007トン
最近(2015)年:1,839トン
平均:1,742トン(2011〜2015年)
(投棄を含む)
我が国の漁獲量
(最近5年間)
289〜578トン
最近(2015)年:347トン
平均:366トン(2011〜2015年)
最新の資源評価年 2014年
次回の資源評価年 2017年


管理・関係機関
大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)

最近の動き
ICCATでの最新の資源評価は2014年9月に行われた。ICCATの科学委員会(SCRS)は大西洋クロマグロに関して2016年に資源評価データ準備会合を開催し、次回以降の資源評価に向けて、生物学的データ及び資源評価手法を検討した。SCRSの管理勧告を踏まえ2016年11月に委員会は、2017年の総漁獲可能量(TAC)を設定した。次回の資源評価は2017年に実施する予定である。

生物学的特性
  • 体長・体重:尾叉長4.0 m・700 kg
  • 寿命:32歳
  • 成熟開始年齢:9歳
  • 産卵期・産卵場:5〜6月、メキシコ湾
  • 索餌場:北緯35度以北の大西洋
  • 食性:魚類、甲殻類、頭足類
  • 捕食者:まぐろ・かじき類、さめ類、海産哺乳類

利用・用途
刺身・すしなど

漁業の特徴
主な漁業国は、米国、カナダ及び日本である。日本の漁獲は全てはえ縄、米国及びカナダではロッド&リールと呼ばれる釣り漁業が主体である。漁期は、米国が主に7〜11月、カナダは8〜11月である。日本の従来の漁期は11〜3月であったが、2009年の個別割当制度(IQ制)導入により徐々に早まり、現在は9〜12月である。

漁獲の動向
漁獲量は1981年までは5,000トン前後で推移したが、漁獲規制により1983年以降は2000年代半ばまで2,500トン前後となっている。2002年に、1982年以降で最大の3,319トンに達した後、1,800トン前後で推移し、2013年には過去最低水準(1,482トン)を記録した。2015年以降のTACは2,000トンに設定され、2015年の漁獲量は1,839トンであった。2003年以降の漁獲量の減少は、米国での不漁が主な原因である。

資源状態
SCRSにおける2014年のADAPT VPAを用いた資源評価において、親魚資源量は1970年代に約5万トンから2万トンに大幅に減少した後、1980年代から2000年頃までの期間に1970年代初頭の25〜36%水準(1.5万トン前後)で比較的安定していたと推定された。2000年半ば以降、親魚資源量に急激な増加傾向が見られ、2013年の親魚資源量は約3万トン(1970年の59%)と推定された。2010年の資源評価では高水準と評価されていた2003年級の加入量は、最新の資源評価においても2012年資源評価と同じく、2010年の資源評価よりも低く見積もられ、当該年級が2002・2003年級の両方で構成されるとの結果となった。しかし、これは漁獲物の年齢組成を推定する際に隣り合う年級群の判別が高齢になるにしたがって不鮮明になる技術的な問題によるものであり、現実には2003年級の加入水準は高かった(約19万尾)と認識された。加入量(1歳魚)は1976年以降、2003年を除き、低いレベルで推移している。2016年のSCRSでは、最近年の資源量指数に関する情報及び更新した将来予測結果に基づき、2014年の資源評価と判断が変わらないことを確認した。

管理方策
ICCATは1998年に、2018年までに50%以上の確率で資源を最適な状態(SSBMSY)に回復させるという管理目標を定めた。現在の管理の指標(MSY)に用いている2つの極端な再生産関係の仮定(高加入、低加入シナリオ)の解決が期待されているが、SCRSは解析並びに議論の結果、加入シナリオの高低についてはどちらかを選択できないと結論付けた。SCRSは2014年の資源評価において、漁獲量を2,250トン以下にすると、2019年までに現状またはそれ以上の資源量が得られるとした。また、現在の漁獲量(1,750トン)を維持することはより早い資源量の増加につながり、加入シナリオの検証にも役立つとした。2016年の年次会合では、2014年の決定(Rec. 14-05)を継続し、2017年のTACを2,000トン(日本は346トン)とした。また他の規制として、SCRSが資源崩壊の危機を認めた場合は漁業を停止、体長115 cm(または体重30 kg)未満の個体の漁獲量制限(国別に漁獲量の10%未満とすること並びに小型魚から経済的利益を得ない方法を開始すること)、産卵場(メキシコ湾)における産卵親魚を対象とした操業の禁止及び漁獲証明制度が実施されている。

資源状態のまとめ
  • ADAPT VPAで資源量を推定。
  • 2000年半ば以降、親魚資源量は急激な増加傾向に転じ、2013年は約3万トン。
  • 資源水準は中位、増加傾向。
  • 2003年級の加入量(1歳魚)は約19万尾で水準は高かったと認識。
  • 本種の西系群と東系群は混合しており、東系群の資源量が西系群よりはるかに大きい。

  
管理方策のまとめ
  • 2018年までに50%以上の確率で資源を最適な状態(SSBMSY)に回復させる。
  • 2017年のTACは2,000トン。
  • 小型魚漁獲制限。
  • 漁期・漁場の制限。
  • SCRSが資源崩壊の危機(資源の回復が困難な状況)を認めた場合、漁業を停止。