--- 要約版 ---

05 大西洋クロマグロ 東大西洋

Atlantic Bluefin Tuna, Thunnus thynnus

                                                       
PIC

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図2

大西洋クロマグロ(東系群)の年齢あたりの体長と体重
赤は2015年に更新された体重曲線、灰色は更新前の東大西洋と地中海を示す。図中の矢印は成熟体長を表す。


図3

大西洋クロマグロの分布域(赤)と主要漁場(青)、産卵場(黄)
縦太線は東西の系群の境界。索餌場は産卵場を除く分布域。


図1

大西洋クロマグロ(東系群)の漁法別海域別公式漁獲量の推移(1950〜2015年)
灰色は資源評価に用いた未報告漁獲量(1998〜2007年)を示す。


図5

大西洋クロマグロ(東系群)の親魚資源量の経年変化
赤は公式に報告された漁獲量を用いた場合、青は1998〜2007年の実際の漁獲が公式に報告された漁獲よりも多かった場合。


図6

大西洋クロマグロ(東系群)の加入尾数(1歳魚)の経年変化
赤は公式に報告された漁獲量を用いた場合、青は1998〜2007年の実際の漁獲が公式に報告された漁獲よりも多かった場合。


図7

大西洋クロマグロ(東系群)の2〜5歳(左図)及び10歳以上(右図)の漁獲死亡率
赤は公式に報告された漁獲量を用いた場合、青は1998〜2007年の実際の漁獲が公式に報告された漁獲よりも多かったとした場合。



大西洋クロマグロ(東大西洋)の資源の現況(要約表)

資源水準 高位
資源動向 増加
世界の漁獲量
(最近5年間)
1.0万〜1.6万トン
最近(2015)年:1.6万トン
平均:1.3万トン(2011〜2015年公式報告漁獲量)
我が国の漁獲量
(最近5年間)
1,089〜1,386トン
最近(2015)年:1,386トン
平均:1,166トン(2011〜2015年)
最新の資源評価年 2014年
次回の資源評価年 2017年

管理・関係機関
大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)

最近の動き
ICCATでの最新の資源評価は2014年9月に行われた。ICCATの科学委員会(SCRS)は大西洋クロマグロに関して2016年に資源評価データ準備会合を開催し、次回以降の資源評価に向けて、生物学的データ及び資源評価手法を検討した。2016年のSCRSの管理勧告に基づき、年次会合においてTAC設定がなされた。次回の資源評価は、2017年に実施する予定である。

生物学的特性
  • 体長・体重:尾叉長4.0 m・700 kg
  • 寿命:25〜30歳
  • 成熟開始年齢:4〜5歳
  • 産卵期・産卵場:6〜8月、マジョルカ島からシチリア島にかけての地中海
  • 索餌場:地中海、ビスケー湾等、北緯35度以北の大西洋
  • 食性:魚類、甲殻類、頭足類
  • 捕食者:まぐろ・かじき類、さめ類、海産哺乳類

利用・用途
すし、刺身

漁業の特徴
主な漁業国はスペイン、フランス、日本、イタリア、モロッコ、チュニジア及びトルコである。日本ははえ縄、スペインは定置網と竿釣り漁業とまき網、フランス及びイタリアはまき網で漁獲する。東大西洋(ビスケー湾)と地中海(まき網)では小型魚(2〜5歳)の漁獲が知られている。地中海では、1990年代半ばより蓄養を目的としたまき網漁業が盛んになったが、2007年までの過去の漁獲量統計値の精度には疑問がある。

漁獲の動向
公式報告漁獲量は1990年代以降、1996年の約5万トンまで急増し、それ以降2009年までTAC(2万〜3.6万トン)前後で推移してきた。しかしSCRSは、公式報告漁獲量には深刻な過少報告が存在すると指摘し、1998〜2007年の推定漁獲量は5万〜6万トンとしている。2008年以降の漁獲量はより正確な報告であると考えられており、TAC(1万〜2万トン)前後で推移している。ICCATへ2015年に公式に報告された漁獲量は16,201トン、そのうち地中海は11,360トンであった。

資源状態
SCRSにおける2014年のADAPT VPAを使用した資源評価において、親魚資源量は1970年代(約30万トン)から2000年半ば(約15万〜22万トン)まで減少し続けた後、近年は急激な増加傾向に転じたと推定された。ただし、推定された親魚資源量の増加速度や量には高い不確実性があると考えられている。公式報告漁獲量が正しかった場合、2013年の親魚資源量は59万〜65万トン、近年(2011〜2013年)では過去最大時(約31万トン、1957〜1959年)の約1.75倍(実際の漁獲量が公式報告漁獲量よりも多い場合は1.9倍)であった。これは2012年に行われた資源評価結果よりも楽観的であり、資源水準は高位で、増加傾向と評価された。2016年のSCRSは、生物学的データ及び資源評価手法を検討し、また更新された各種資源量指数および将来予測の結果に基づいて、2014年の資源評価と判断が変わらないことを確認した。

管理方策
ICCATは2009年に、2022年までに60%以上の確率で最適な資源状態に回復させるという計画を決定した。SCRSは勧告において、近年の規制により明らかに漁獲量及び漁獲死亡が減少したこと、最近年の全ての資源量指数が上昇傾向であることを言及した。管理目標については、現行の資源評価では、定量的に評価しきれていない不確実性が含まれている懸念があり、将来の資源回復確率を定量的に示すことは困難としながらも、最も予防的なMSY程度の漁獲量(約2.3万トン)までであれば回復目標を達成可能と勧告した。SCRSの管理勧告を踏まえ、2016年11月の年次会合では、2014年の決定を維持し、2017年のTACを23,155トン(日本枠は1,931トン)にすると決定。その他の規制には、SCRSが資源崩壊の危機を認めた場合は漁業を停止、全ての蓄養生簀におけるステレオビデオカメラの導入、まき網、蓄養へのオブザーバー制度の導入を含む管理強化、地中海のまき網漁業の禁漁期の設定と魚群探査用の航空機利用の禁止、小型魚を保護するため30 kg以下の小型魚の漁獲・陸揚げ・販売の禁止、漁獲証明制度がある。

資源状態のまとめ
  • ADAPT VPAで資源量を推定。
  • 過去の漁獲量の精度に大きな不確実性。
  • 近年の規制により明らかに漁獲量及び漁獲死亡が減少。
  • 最近年の全ての資源量指数が上昇傾向。
  • 近年の親魚資源量は急激な増加傾向に転じ、2013年は59万〜65万トン。
  • 推定された親魚資源量の増加速度や量には高い不確実性があるが、資源水準は高位で、増加傾向と評価。


管理方策のまとめ
  • 2017年のTACは23,155トン。
  • SCRSが資源崩壊の危機(資源の回復が困難な状況)を認めた場合、漁業を停止。。
  • 地中海のまき網漁業の禁漁期設定、東大西洋の一部と地中海のはえ縄の禁漁期設定。
  • 蓄養の管理強化。
  • 30 kg以下の小型魚の漁獲・陸揚げ・販売を原則禁止。