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01 世界の漁業の現状の資源評価について

                                                           

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表1

表1. 1人1日当たり動物性タンパク質供給量(資料:FAOフードバランスシート)(単位:グラム)


図1

図1. 世界の漁業生産量の推移(海藻類、ほ乳類を除く、1950〜2014年)(FAO統計資料)


図2

図2. 北西太平洋における国別漁獲の動向(海藻類、ほ乳類を除く、1950〜2014年)(FAO統計資料)


図3

図3. 北西太平洋における主要資源の漁獲動向(1950〜2014年)(FAO統計資料)


図4

図4.1974〜2013年における世界の海洋水産資源(海域別魚種)の漁獲利用状態別割合の推移(FAO(2016)のFigure 13 を改変)
漁獲拡大の余地のない・ある資源(薄緑・濃緑)は、生物学的に持続可能な漁獲状態にある。


1.世界の漁業生産の動向

(1)漁獲及び養殖の生産量

世界の人口は、1950年には約25億人であったが、2015年には73億人に達しており、さらに2050年には97億人を超えると予想されている(UN-DESA 2015)。国際連合食糧農業機関(FAO)のフードバランスシートのデータによれば、水産物は、人類に供給される動物性タンパク質(1人1日当たり32グラム)の約16%の5グラムを担っている(表1)。以下に述べるとおり、世界の水産物の需要の増大に伴い、漁業生産量は増大しているが、漁獲による生産量は近年横ばい傾向であり、需要の増大には養殖による生産量の増大が応えている状況にある。それでも、漁業生産量の約5割は海面漁業によるものであり、水産物供給に果たす海面漁獲の役割は依然として大きく、漁獲対象資源の維持、増大は重要である。

世界の魚介類(海藻類を除く)の漁獲と養殖を合わせた漁業生産量は、FAO統計資料によると、1950年以降ほぼ増加傾向を維持しており、2014年には167.3百万トンに達した(図1)。養殖による生産量(海面+内水面)は、2014年において73.8百万トンであり、2004年の41.9百万トンから10年間で平均的には年6%の割合で増加している。漁獲による生産量(海面+内水面)は、2014年において93.5百万トンであり、過去20年間程度ほぼ横ばいで推移している。このうち内水面での漁獲量は、2014年は11.9百万トンであり、2004年の8.7百万トンから10年間で37%増加している。

海面での漁獲量は、FAO統計資料によると、1950年の16.8百万トンからほぼ増加を続け、1976年には60百万トンを超え、1996年に86.4百万トンでピークとなった(図1)。その後はやや減少傾向が続いたが最近はほぼ横ばいとなり、2014年は81.6百万トンであった。海域(FAOによる区分)別の2014年の漁獲量は、北西太平洋が21.7百万トンで最も多く、次いで中西部太平洋が12.8百万トンであり、北東大西洋の8.7百万トン、東インド洋の8.0百万トン、南東太平洋の6.8百万トンが続いている。国別の2014年の海面漁獲量は、中国が15.2百万トンで最も多く、次いでインドネシアが6.1百万トンであり、米国(5.0百万トン)、ロシア連邦(4.0百万トン)、日本(3.7百万トン)、ペルー(3.6百万トン)、インド(3.4百万トン)が続いている。

魚種別の2014年の漁獲量は、FAO統計資料によると、1991年から2013年まで最も多かった南東太平洋のアンチョベータ(Engraulis ringens)が3.1百万トンに減少し、スケトウダラが3.2百万トンで1990年以来24年ぶりに最も多くなった。これにカツオ(3.1百万トン)、マサバ(1.8百万トン)、大西洋ニシン(1.6百万トン)が続いている。なお、アンチョベータの漁獲量は、1960年以降、94千トンから13.1百万トンに達する極めて大きな変動を示している。


(2)我が国周辺水域の漁獲動向

我が国周辺を含む北西太平洋における漁獲量は、1950年から増加を続け、1983年に19百万トンを超え、以降は変動しながら19百万〜23百万トンの範囲で推移している(図2)。最近5年間は21百万〜22百万トンの水準で緩やかに増加しており、2014年は22.0百万トンであった。この漁獲のほとんどは、中国(13.9百万トン)、日本(3.3百万トン)、ロシア連邦(2.8百万トン)及び韓国(1.1百万トン)による。

北西太平洋における主要資源(1950〜2010年の平均漁獲量上位10魚種)の漁獲量の推移は、1970年代から1990年代にかけてはスケトウダラが、1980年代から1990年代初めにかけてはマイワシが、それぞれ大量に漁獲され、1980年代後半にはそれぞれの魚種で5百万トンを超える漁獲量が記録された(図3)。その後、スケトウダラでは2000年代に1百万トン台に減少して、以降は1.1百万〜2.0百万トンの範囲で推移し、2014年は1.8百万トンであった。マイワシでは1990年代に急激に減少して、1990年代後半以降は192千〜496千トンの範囲で推移し、2014年は353千トンであった。カタクチイワシでは、1980年代までは255千〜492千トンであったが、1990年代後半に1百万トンを超え、以降は1.1百万〜1.9百万トンの範囲で推移し、2014年は1.4百万トンであった。マサバでは、1970年代から1980年代初めにかけては1.4百万〜2.2百万トンと多く漁獲されたが、1990年代初めに600千トン台に減少した。その後2000年代後半以降は概ね1百万トン以上で推移し、2014年は1.2百万トンであった。タチウオでは、1950年代の数十万トンの水準から増加を続けて1990年代に1百万トンを超えた。その後は1.0百万〜1.3百万トンで推移し、2014年は1.1百万トンであった。


2.漁業資源の状況

FAO(2016)によれば、1974年以降2013年までのFAOによる評価において、生物学的に持続可能でない過剰に漁獲利用された状態にある資源(海域別魚種)の割合は、1974年の10%から1989年の26%まで増加し、1990年以降も概ね緩やかな増加傾向をたどり、2008年には30%以上に達し、2013年は31%であった(図4)。漁獲を拡大する余地のある資源は、1970年代には約40%あったが、2013年には11%まで減少している。世界の漁獲量の約27%を占める上位10魚種については、大部分が漁獲を拡大する余地がないか、過剰に漁獲利用された状態にある。漁獲量の多い南東太平洋のアンチョベータの主要2資源や、北太平洋のスケトウダラなども漁獲を拡大する余地がないとされている。また、まぐろ・かつお類の主要7種については、2013年において、41%の資源が生物学的に持続可能でない過剰に漁獲利用された状態にあるとされている。

過剰に漁獲利用された状態にある、あるいは漁獲を拡大する余地のない資源については、適切な資源管理措置により、資源の回復あるいは維持を図る必要がある。漁獲を拡大する余地のある資源についても、科学的根拠に基づく的確な資源評価が必要である。現在、各国の科学者が漁業者の協力を得ながら資源状態の解析に尽力し、世界の各水域の資源評価・管理において重要な役割を果たしているが、評価に用いる指標や、生物学的な知見が乏しい資源も多い。我が国は、責任ある漁業国、消費国として、資源状態及び変動要因の把握に努めるとともに、各種の地域漁業管理機関において、従来にも増して積極的なリーダーシップを発揮し、科学的知見に基づく適切な資源管理措置の導入に貢献する必要がある。


執筆者

水産庁 増殖推進部 漁場資源課

川端 淳


参考文献

  1. FAO. 2016. The State of World Fisheries and Aquaculture (SOFIA) 2016. Rome. 200 pp.
    http://www.fao.org/3/a-i5555e.pdf
  2. UN-DESA (United Nations, Department of Economic and Social Affairs, Population Division). 2015. World Population Prospects: The 2015 Revision, Key Findings and Advance Tables. New York. 59 pp.
    http://esa.un.org/unpd/wpp/Publications/Files/Key_Findings_WPP_2015.pdf
  3. FAOフードバランスシート:FAO. Fisheries and Aquaculture Department statistics, Food Balance Sheet
    http://faostat3.fao.org/download/FB/FBS/E
  4. FAO統計資料:FAO. Fisheries and Aquaculture Department statistics
    http://www.fao.org/fishery/statistics/en