--- 要約版 ---

59 カラフトマス 日本系

Pink Salmon, Oncorhynchus gorbuscha

                                                           
PIC
[HOME] [詳細版PDF] [要約版PDF] [詳細版html] [戻る]

図3

日本系カラフトマスの主たる分布域(高木ほか 1982を改変)


図4

標識放流(1956〜2010年)によって確認された日本系カラフトマスの沖合分布域


図1

日本の漁業におけるカラフトマスの漁獲量経年変化


図6

日本系カラフトマスの来遊漁獲数、放流数及び放流体重の推移


図9

日本系カラフトマスの来遊漁獲数と2年前の9月の降水量の関係


図11

日本系カラフトマスの来遊漁獲数の予測値と実測値の関係



カラフトマス(日本系)の資源の現況(要約表)

資源水準 中位
資源動向 減少
世界の漁獲量
(最近5年間)
我が国の漁獲量
(最近5年間)
0.3万〜1.3万トン
平均:0.7万トン(2010〜2014年)
最新の資源評価年
次回の資源評価年


管理・関係機関
北太平洋溯河性魚類委員会(NPAFC)
日ロ漁業合同委員会

最近の動き
日本系カラフトマスの沿岸における2014年の漁期中(7〜12月)の漁獲尾数は132万尾で、過去30年間で最低値であった。2003年以降、奇数年が豊漁年で偶数年が不漁年というパターンが続いたが、最近5か年この傾向が不明瞭になっている。2015年の漁獲尾数は186万尾と前年よりも回復したものの、資源状況の低迷は継続している。

生物学的特性
  • 体長・体重:尾叉長50 cm・1.5 kg
  • 寿命・成熟年齢:ほぼ全てが2歳
  • 産卵期:8月〜10月
  • 産卵場:北海道北東部に流入する河川
  • 索餌期・索餌場:夏期・北西太平洋
  • 食性:水生昆虫(河川)、動物プランクトン・マイクロネクトン(海洋)
  • 捕食者:鳥類・オショロコマなど魚類(幼魚)、ネズミザメなど大型魚類・オットセイなど海産哺乳類(未成魚・成魚)

利用・用途
用途は広く、塩蔵品、生鮮、缶詰等がある。魚卵製品として、筋子(ます子)がある。

漁業の特徴
主に北海道北東部沿岸の産卵河川周辺で夏〜秋季に定置網で漁獲される。広く北太平洋を回遊するが、北太平洋公海のさけ・ます漁業は禁止されている。他国200海里水域内での漁獲量は不明である。

漁獲の動向
1970年代から沖合域での漁獲量は減少し、沿岸域の漁獲量が増加した。沿岸漁獲尾数は、1990年代に急増し偶数年と奇数年の差も広がった。しかし近年、奇数年と偶数年で一定の豊凶が見られるものの、そのパターンの持続性は不明瞭になってきており、過去4か年は沿岸漁獲数が著しく低迷している。2014年漁期(7月以降)の沿岸漁獲量は2,228トン(132万尾)であった。2015年漁期の沿岸漁獲量(速報値)は3,042トン(186万尾)で、依然として低水準となっている。最近5年間(2010〜2014年)の沖合を含む漁獲量は0.3万〜1.3万トンであった。

  
資源状態
稚魚放流数は1980年代から約1.4億尾で安定しているが、来遊漁獲数(沿岸漁獲+河川捕獲)は、1970年代後半〜1980年代前半の約100万尾から、1990年代には500万尾以上となった。しかし、2011年以降は4か年連続で漁獲数が300万尾を下回る著しい不漁で、2015年の漁獲数は186万尾と過去30年間の奇数年で最も少ない漁獲数となった。したがって、現在の水準は低位で減少傾向にある。   

管理方策
繁殖期の降水量と冬期・春期の平均気温を説明変数として作成した再生産曲線を元に来遊漁獲数を予測し、現在の資源水準が維持できる河川遡上数を獲り残すという、産卵親魚量一定方策とした。今後は、放流効果と自然再生産効果の定量的な評価を行い、索餌域である北太平洋の生物生産も考慮した資源管理方策を開発する必要がある。

資源評価のまとめ
  • 資源は近年急速に低迷しており、今後の動向を注視する必要がある。 
  • 資源回復にむけて、一定の河川遡上数を獲り残すという管理目標を実現できるように、漁獲制限などの対策を検討する必要がある。

管理方策のまとめ
  • 現在の資源水準の維持が管理目標。
  • 一定の産卵親魚量を獲り残すことが必要。
  • 自然産卵親魚の保護と効果のある放流手法の開発が必要。