--- 要約版 ---

57 トド 北太平洋沿岸・オホーツク海・ベーリング海

Steller Sea Lion, Eumetopias jubatus

                               
PIC

[HOME] [詳細版PDF] [要約版PDF] [詳細版html] [戻る]
図3

トドの分布(Loughlin 1997に基づく)


図2

体長と年齢の関係(磯野 1999)


図1

トド採捕頭数の推移(1958〜2014年)(北海道庁、青森県)
揚収頭数は回収し陸上処理した頭数、海没頭数は死亡を確認したが回収できなかった頭数、傷害頭数は被弾したが死亡を確認できなかった頭数を意味する。*トド年度(10〜6月)による集計


図6

チュレニー島の個体数変化
(Burkanov and Loughlin 2005、Burkanov et al. 2008、Burkanov et al. 2012に基づく)


図10

近年の来遊状況と回遊模式図 (星野 2004)


図8

航空機目視調査の調査定線とトド発見位置(2012年)
(●;トド一次発見、○;トド二次発見、青線;海況2以下での探索、赤点線;海況3以上での探索)



トド(北太平洋・オホーツク海・ベーリング海)の資源の現況(要約表)

資源水準
資源動向 増加傾向
世界の捕獲量
(最近5年間)
米国のみ
264.6〜330.0頭
平均:291.2頭(2010〜2014年)
(人為的要因による死亡を全て含む)
我が国の捕獲量
(最近5年間)
115〜415頭
平均:245.6頭(2010〜2014年)
(混獲死亡を除く)
最新の資源評価年
次回の資源評価年

管理・関係機関
北海道連合海区漁業調整委員会
青森県東部海区漁業調整委員会
青森県西部海区漁業調整委員会

生物学的特性
  • 2014年8月に「トド管理基本方針」を策定。
  • 2014年度は516頭の採捕枠に対し415頭を採捕。
  • サハリン周辺の個体数は引き続き顕著な増加傾向。

生物学的特性
  • 体長・体重:雌で2.9 m・350 kg、雄で3.3 m・1,100 kg
  • 寿命:雌で30歳程度、雄で18歳程度
  • 成熟開始年齢:3〜7歳
  • 繁殖期・繁殖場:5月下旬から7月初旬、千島列島やオホーツク海、アリューシャン列島、アラスカ湾、カリフォルニアなどの沿岸の特定の岩礁。日本沿岸にはない。
  • 索餌期・索餌場:繁殖場及び上陸場周辺、北海道沿岸(冬季)
  • 食性:魚類、頭足類
  • 捕食者:シャチ、オンデンザメ

利用・用途
生食や缶詰原料、土産物など

漁業の特徴
一部食用としての利用も含め、漁業被害対策として年間の上限を定めて採捕が行われている(2014年度は516頭)。

漁獲の動向
1959年より一部食用としての利用を含め、漁業被害対策としての採捕が行われてきた。1994年より北海道連合海区漁業調整委員会による年間116頭の制限が設けられた。2010年には管理方策に5か年ごとのブロック・クオータ制が導入された。2014年に日本海来遊群の減少を図る新基本方針が策定され、2014〜2018年度の日本海来遊群のクオータは501頭とされた。新基本方針に基づく2014年度の採捕実績(混獲死亡を除く)は415頭であった。2015年度の採捕数の最高限度(混獲死亡を除く)は2014年度の未消化分を考慮し北海道連合海区漁業調整員会で591頭(根室(知床)来遊群を含む)、青森県東部海区漁業調整委員会及び青森県西部海区漁業調整委員会において、両海区の合計で8頭と定めた。
※日本海来遊群の採捕数は北海道、青森県の両道県で576頭以内になるよう実施にあたり調整される。

資源状態
アラスカのサックリング岬(西経144度)以東の東部系群は1970年代半ば以降年率約3%で増加傾向にある。同岬以西の西部系群のうちアリューシャン列島周辺の中央集団は1970年代より急激に減少したが、2000年以降やや増加傾向にある。西部系群のうちコマンドル諸島以西に分布するアジア集団は、1980年代までの急激な減少の後、ベーリング海西部やカムチャツカ半島東部では依然安定もしくは減少傾向にあるが、千島列島やオホーツク海では近年増加傾向にある。そのうちサハリン周辺のチュレニー島では、顕著な増加傾向を示している。

管理方策
主に北海道沿岸で深刻な漁業被害があるため、強化定置網(破られやすい部分に強い繊維を使用)の普及、強化刺網(普通の刺網を、強い繊維の目の粗い刺網で挟む)の開発・実証、猟銃による採捕・追い払い、生態調査等を行っている。2014年の新基本方針で、順応的管理の考え方のもと本種の絶滅の危険性がない範囲で本種による漁業被害を最小化することを目標とし、管理目標を「日本海来遊群の個体数を10年後(2023年)に現在(2010年)の水準の60%となるまで減少させること」とした。新基本方針のもとでの日本海来遊群の採捕数を2014~2018年度の間604頭/年度とし、混獲死亡個体数(103頭)を減じた501頭/年度をクオータとした。新基本方針の対象ではない根室(知床)来遊群のクオータについては、北海道が定めた直近の根室地区の採捕数を踏まえ15頭/年度とされた。なお、新基本方針に基づく管理を開始して5年後に繁殖や漁業被害などの状況を点検・評価し、所要の見直しを行うこととなっており、来遊個体数・採捕数の正確な把握、被害軽減効果の検証などが、同方針中においてトド管理を的確に行うための留意事項として示された。

資源評価のまとめ
  • 我が国に来遊する西部系群アジア集団は増加傾向。
  • 航空機目視調査によって推定された日本海への来遊量は、第1期(2005-2009年)5,800頭(CV=14.4%)、第2期(2010-2013年)6,237頭(CV=12.3%)。

管理方策のまとめ
  • 我が国では、2010年より5か年ごとのブロック・クオータ制を導入。
  • 2014年にPBRに基づく管理から日本海来遊群の減少を図る管理に方針を転換。
  • 2014〜2018年の日本海来遊群のクオータを501頭/年度に設定。
  • 5年後に採捕数の状況や来遊個体数の変化を点検・評価。
  • 管理を的確に行うため、科学的知見の充実が必要。