--- 要約版 ---

52 ニタリクジラ 北西太平洋

Bryde's Whale, Balaenoptera edeni

                                                                           
PIC

[HOME] [詳細版PDF] [要約版PDF] [詳細版html] [戻る]

図4

ニタリクジラの分布域(網目は主分布域)


図6

西部北太平洋系ニタリクジラの成長曲線


図1

日本における西部北太平洋系ニタリクジラの漁業別捕獲量の年推移


図7

トップバレルを有する鯨類目視調査船


図9

目視調査を実施した航跡と西部北太平洋系ニタリクジラの発見位置(1998〜2002年8・9月)


図5

日本周辺におけるニタリクジラ2系群の分布


図11

IWCによる西部北太平洋系ニタリクジラの管理海域



ニタリクジラ(北西太平洋)の資源の現況(要約表)

資源水準 中位から高位
資源動向 増加
世界の捕獲量
(最近5年間)
なし(商業捕鯨モラトリアムが継続中)
我が国の漁獲量
(最近5年間)
2014年は捕獲調査により年間25頭
最新の資源評価年 2007年
次回の資源評価年 2017年

管理・関係機関
国際捕鯨委員会(IWC)

最近の動き
本種をめぐる大きな動きはない。なお、IWC科学委員会では、北西太平洋の本種(西部北太平洋系群)を対象とした2回目の改訂管理方式(RMP)適用試験を2017年より開始する予定である。

生物学的特性
  • 体長・体重:12〜15 m・20〜25トン
  • 寿命:約60歳
  • 成熟開始年齢:7〜10歳
  • 出産期・出産場所:冬を中心、低緯度海域
  • 索餌場:中低緯度海域
  • 食性:オキアミ、魚類
  • 捕食者:シャチ
  • その他:我が国周辺には太平洋沖合に分布する西部北太平洋系群と東シナ海〜四国沿岸に分布し体サイズがやや小さい東シナ海系群が知られる。2003年以降、本種をB. brydeiB. edeniの2種に分類する研究が報告されている。分類が確定した場合、西部北太平洋系群はB. brydeiに相当(東シナ海系群はB. edeni)。

利用・用途
刺身、鯨油など

漁業の特徴
本種は我が国沿岸で17世紀(江戸時代)から古式捕鯨(網取り式捕鯨)で捕獲されていた記録があるが、19世紀末に近代捕鯨(捕鯨砲による捕獲)が開始され、西部北太平洋系群を含む本種の捕獲が、三陸、和歌山、小笠原諸島近海を主漁場とした沿岸捕鯨によって、商業捕鯨モラトリアムへの異議申し立てを取り下げる1987年まで行われた。また沖合域では、第二次大戦後、我が国(1946〜1952年及び1971〜1979年)と旧ソ連(1970〜1979年)が母船式捕鯨を実施し西部北太平洋系群を捕獲した。この他に、台湾(1976〜1980年)とフィリピン(1983〜1985年)でも散発的に沿岸で同系群を捕獲した記録がある。1988年以降、全ての海域で商業捕鯨は停止されたが、我が国は2000年から第二期北西太平洋鯨類捕獲調査(JARPN II)を開始し、以降、沖合域で同系群の捕獲を継続して行っている。

漁獲の動向
西部北太平洋系群は、我が国では1946〜1987年の沿岸捕鯨で、およそ7,100頭(年平均170頭)、母船式捕鯨で1946〜1952年に約1,300頭(年平均190頭)、1971〜1979年に約2,700頭(年平均300頭)を捕獲した。この他に、旧ソ連が母船式捕鯨で1970〜1979年に約4,100頭(年平均410頭)、台湾が沿岸で1976〜1980年に約1,500頭(年平均290頭)、フィリピンが沿岸で1983〜1985年に約100頭(年平均30頭)を捕獲した。2000年以降の我が国の捕獲調査(JARPN II)では2013年まで年間50頭の捕獲上限のもとに総計655頭(年平均47頭)を捕獲したが、2014年に国際司法裁判所の「南極における調査捕鯨」訴訟判決に照らし、調査目的を限定するなど規模を縮小して実施することとなり、捕獲上限を25頭とし、同年は上限25頭を捕獲した。なお、本種は1940年代末に新種と識別されるまでイワシクジラと同種として扱われていた。日本の捕鯨統計で両種が区別されたのは1955年からであり、1976年からIWCにおいてもニタリクジラとして独立に漁業管理されている。

資源状態
1996年のIWC科学委員会において西部北太平洋系群の包括的資源評価が行われ、1996年当時の成熟した雌の資源水準が同初期資源量の60〜80%であり、Hitterモデルによる資源動向予測により近年増加していることが合意された。これらの結果から、本系群の資源水準は中位から高位にあり、資源動向は増加中であると判断される。

管理方策
IWCの新管理方式(NMP)が1976年より北太平洋で適用され、西部北太平洋系群は初期管理資源に分類され商業的に利用されていたが、商業捕鯨モラトリアムにより1987年漁期を最後に捕獲停止となった。その後、不確実性の下でも資源を安全に管理できる数々の安全策が組み込まれた、ひげ鯨類のためのRMPが1993年に完成した。本系群については、IWC科学委員会で、1996年に包括的資源評価を終え、2005〜2007年に第1回目のRMP適用試験が実施され、3つの管理オプションと1つの調査条件付き管理オプションが了承された。また2008年の同委員会で、RMPによる捕獲枠算出に使用する2000年時点での資源量について20,501頭(変動係数33.6%)として合意した。その後も、日本・IWC共同北太平洋鯨類目視調査プログラム(POWER計画)などの調査によって、引き続き、本種を含む鯨類の目視データ収集等が続けられていることから、それらによる情報の更新を取り込んで、2回目のRMP適用試験を2017年に開始することが第65回IWC/SC年次会合(2014年)で合意された。なお、北西太平洋で我が国が実施している捕獲調査についても、2017年にIWC専門家パネルによるレビュー会合が予定されており、それらの成果も今後のRMP適用試験に貢献することが期待される。

資源評価のまとめ
  • IWCで合意された資源水準は初期資源量の60〜80%であり中位から高位。
  • Hitterモデルによる資源動向予測は増加。

管理方策のまとめ
  • 1976年にIWCの新管理方式(NMP)を適用。
  • 商業捕鯨モラトリアムにより1987年漁期を最後に捕獲停止。
  • 1993年にひげ鯨のための改訂管理方式(RMP)が完成。
  • 1996年にIWCは包括的資源評価を終了。
  • 2007年に改訂管理方式(RMP)の適用試験が終了。
  • 2008年にIWCは捕獲枠を算出する資源量を合意。
  • 2013年に再びRMP適用試験に向けたレビューが開始される予定。