--- 要約版 ---

20 ミナミマグロ

Southern Bluefin Tuna, Thunnus maccoyii

                                                                            
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図3

ミナミマグロの分布(赤)、漁場(青)、産卵場(黄)


図4

CCSBTで用いられているミナミマグロの成長曲線(体長は尾叉長)
体長の各年代の曲線はそれぞれの年代に生まれた年級群の成長に対応する。1950年代及び2000年代の成長曲線は1960年代と1990年代のものにそれぞれ等しいと仮定している。


図1

ミナミマグロの漁獲量の推移


図2

ミナミマグロの緯経度5度区画別の漁獲尾数
2013年暫定値。1〜15はCCSBT統計海区。1海区の青丸はインドネシアによる位置不明の漁獲尾数。


図5

日本のはえ縄漁業のCPUEデータに基づく4+歳魚の資源量指数
漁獲データにはミナミマグロをターゲットする“コア船団”のものが使用されており、CPUEは資源量指数の形にするため、資源の年変動を取り出すための標準化が行われた後、漁場面積によって重み付けされている。w0.8とw0.5は、過去に操業があったが、現在は操業が行われていない海域のCPUEに関する異なる2つの仮説に基づく。オペレーティング・モデル(OM)及び管理方式(MP)にはw0.8とw0.5の平均が用いられている。


図6

航空目視調査による加入量指数
目視調査データには加入量の年変動を取り出すための標準化処理が施されており、指数は飛行した単位海里当たりの資源量の形で表されている。各点の上下にある縦線は推定値の90%信頼区間を示す。2001〜2004年までの調査は、経験がある目視調査員を確保できなかったなどの実施体制の問題により行われなかった。


図7

2014年に資源評価モデルにより推定された加入量(Rec;上段)、10歳以上の親魚資源量(B10+;中段)及び親魚資源量(SSB;下段)
B10+は従来の定義による親魚資源量、SSBは産卵ポテンシャルに基づく親魚資源量を表す。SSBは近親遺伝分析のデータを資源評価モデルに取り込んだことに関連して導入した親魚資源量の定義である。太線は中央値、四分位点、影部は90%信頼区間点を示す。将来部分は管理方式を用いてTAC設定を続けた場合の予測である。


図8

神戸プロット:MSYを産出する資源量に対する各年の資源量の比(B/Bmsy;横軸)及びMSY水準を与える漁獲死亡率に対する各年の漁獲死亡率の比(F/Fmsy;縦軸)の経年変化(1952〜2013年まで)
丸印は推定されたそれぞれの比の中央値を示し、矢印はそれらの推移を示す。灰色、青色の丸印はそれぞれ1952年時点、2013年時点に対応している。横軸は資源枯渇の程度(左に行くほど乱獲状態)を、縦軸は乱獲行為の程度(上に行くほど乱獲行為が進行)をそれぞれ示し、パネルの色は資源崩壊の危険性と資源状態を緑(危険性低、健全)から赤(危険性高、乱獲状態)の4色で表している。(CCSBT 2014のデータを基に作図)



ミナミマグロの資源の現況(要約表)

資源水準 低位
資源動向 親魚資源量は微増。未成魚は増加。
世界の漁獲量
(最近5年間)
9,444〜11,894トン
平均:10,614トン(2010〜2014年)
我が国の漁獲量
(最近5年間)
2,223〜3,371トン
平均:2,667トン(2010〜2014年)
最新の資源評価年 2014年
次回の資源評価年 2017年

管理・関係機関
みなみまぐろ保存委員会(CCSBT)
大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)
インド洋まぐろ類委員会(IOTC)
中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)

最近の動き
CCSBTは第22回年次会合(2015年10月)において、管理方式による計算結果に基づき、2016年漁期のTACを設定した。また、同会合においては、EUのCCSBT拡大委員会への加盟が承認された。

生物学的特性
  • 体長・体重:尾叉長2.0 m・150 kg
  • 寿命:25歳以上、耳石での最高齢は45歳
  • 成熟開始年齢:8歳以上
  • 産卵期・産卵場:9〜4月、インド洋東部低緯度域
  • 索餌場:西風皮流域 (南緯35〜45度の海域)
  • 食性:魚類、頭足類
  • 捕食者:まぐろ・かじき類、さめ類、海産哺乳類

利用・用途
刺身・寿司

漁業の特徴
主な漁業国は日本、台湾、韓国(公海域)、オーストラリア、ニュージーランド、インドネシア(沿岸域)であるが、近年南アフリカ、フィリピンも漁獲している。主な漁法は、はえ縄とまき網である。はえ縄漁業は3歳以上の小〜大型魚を漁獲している。まき網漁は蓄養用種苗を得るためにオーストラリアのみが、2〜4歳を中心とした小型魚を漁獲している。現在の主な漁場は、はえ縄では南アフリカ沖、インド洋南東海域、タスマニア島周辺海域及びニュージーランド周辺海域、まき網ではオーストラリア大湾である。インドネシアの操業海域は産卵場と重複する。

漁獲の動向
表層漁業、はえ縄漁業とも1950年代初期に漁獲を開始した。表層漁業の漁獲量は1982年に21,500トンに達し、その後は自主規制により減少したが、1990年代中頃から蓄養用種苗を得るため漁獲を再び伸ばし、近年は年間約4,000〜5,000トンを漁獲している。はえ縄漁業の漁獲量は1961年に約78,000トンに達したが、産卵場と小型魚が多獲される海域での日本船の操業自粛、TAC規制等で徐々に減少した。その後、はえ縄の漁獲量は、1989〜2005年は8,000〜14,000トンの間で維持され、2007年漁期のTAC削減以降に減少し、2011年までは約5,000〜7,000トンで推移した。2012年からはわずかずつ増加中である。表層漁業、はえ縄漁業を合わせた2014年の総漁獲量は11,894トンであった。

資源状態
資源状態は、漁法別漁獲量、はえ縄CPUE、年齢組成データ、航空機目視調査による加入指数など、複数の情報を解析に用いる統合型モデルによって評価されている。
親魚資源量(10歳以上の資源量)は、本格的な漁業が開始した1950年代にはおよそ1,000,000トンであったが、1960年代以降漸減し、1990年代後半には約100,000トンまで減少した。その後は同様の資源水準で推移し、2013年の親魚資源量は約83,000トンと推定されている。これは最大持続生産量(MSY)を産出する資源量(BMSY)以下の水準(BMSYの約38%)である。しかし、親魚資源は近年微増しており、また、航空機目視調査による近年の加入量指数の上昇や2007年以降のはえ縄CPUEに増加傾向が見られるなど、未成魚の資源回復を示唆する情報もある。

管理方策
CCSBTでは、例外的な事態が生じない限り、原則として3年ごとに実施される管理方式の計算をもとにTACが決定される。2015〜2017年漁期のTACは、毎年14,647トンとすることが、管理方式(事前に定められた方式により、漁獲データなどの資源指標からTACを自動的に計算する漁獲制御ルール)による計算結果から科学委員会が勧告し、第20回年次会合(2013年10月)において暫定合意されていた。2016年漁期のTACは、第22回年次会合(2015年10月)において予定通り14,647トンとすることが確認された。メンバーへの配分は、日本4,737トン、オーストラリア5,665トン、ニュージーランド1,000トン、韓国及び台湾1,140トン、インドネシア750トン、EU 10トンが割り当てられ、協力的非加盟国へは、南アフリカ150トン、フィリピン45トンが割当てられている。ただし、いずれの漁期も、南アフリカへの150トンの割当てはCCSBTへの加盟が条件であり、加盟が遅れた場合は40トンが割当てられ、残りはメンバーに再配分される。

資源評価のまとめ
  • 資源状態は、漁法別漁獲量、はえ縄CPUEなど、複数の情報を用いる統合型モデルによって評価されている。
  • 親魚資源量(10歳以上の資源量)は低位(約83,000トン)、微増。
  • 成熟開始年齢:8歳以上
  • 現在の親魚資源量はMSY水準を与える資源量(BMSY)の38%。
  • 現在の漁獲死亡率はMSY水準を与える漁獲死亡率(FMSY)の66%。
  • 未成魚資源の回復が示唆されている。
管理方策のまとめ
  • 管理方式を用いたTAC管理により、2035年までに70%の確率で、漁業開始以前の親魚資源量の20%水準まで資源を再建する。
  • 2015〜2017年漁期のTACは、管理方式の計算をもとに毎年14,647トンとすることが合意されている(日本4,737トン、オーストラリア5,665トン、ニュージーランド1,000トン、韓国及び台湾1,140トン、インドネシア750トン、EU 10トン、南アフリカ150トン、フィリピン45トン)。