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17 メバチ 中西部太平洋

Bigeye Tuna, Thunnus obesus

                                                                               
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最近の動き

中西部太平洋における本種の最新の資源評価は太平洋共同体事務局(SPC)の専門家グループにより2014年に行われ、現在の漁獲は過剰漁獲の状態にあり、資源も乱獲状態にあるとされた。同年8月の中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)科学委員会はこの結果を検討し、漁獲死亡率の削減を勧告した。また、同委員会は、メバチ幼魚を混獲する集魚装置(FAD)の使用について、FAD操業回数を2010年水準以上としないとする2012年の勧告を再確認した。2015年12月のWCPFC年次会合においては、2013年に合意されたメバチ・キハダ・カツオ保存管理措置の見直しが議論されたが、2014年に引き続き、継続審議となった。


利用・用途

1970年代半ばまではキハダが缶詰や魚肉ソーセージの原料として重要であったが、急速冷凍設備の普及によって、刺身材料、寿司ネタとしてのメバチの需要・価値が高まった。まき網で漁獲される30〜60 cmのメバチの大部分は、缶詰をはじめとする加工用として利用される。


図1a 図1b

図1. 中西部太平洋におけるメバチの漁法別漁獲量(上図)と国別漁獲量(下図)(前者はスピルサンプリングデータを用いての補正済み)


表1

表1. 中西部太平洋におけるメバチの各年齢時体長


図2

図2. 主要漁業によるメバチの漁獲量分布(1990〜2014年)及び2014年の資源評価に用いられた海区区分(Williams and Terawasi 2015)
緑がはえ縄、青がまき網、黄がその他の漁業を表す。


図3

図3. 2014年の中西部太平洋におけるメバチの漁法別サイズ別漁獲個体数(上図)、漁獲量(下図)(Williams and Terawasi 2015)


図4

図4. 太平洋におけるメバチの分布域と索餌域


表2

表2. 中西部太平洋メバチの体長(尾叉長cm)と体重(kg)


図5

図5. 太平洋におけるメバチの標識放流、再捕結果(1,000マイル以上の長距離再捕のみを示す)(Harley et al. 2014)
緑がSPCによる近年の標識放流事業(PTTP:2008年〜現在)のデータ、紫がSPCによる以前の標識放流事業(RTTP:1989〜2002年)のデータを示す。


図6

図6. 超音波発信機から得られた東部太平洋におけるメバチ(体長120 cm)の遊泳水深(宮部 1998)
赤は水温20°C以上を黄色は15〜20°C、水色は15°C以下を、縦線は夜間を表す。


図7

図7. 中西部太平洋におけるメバチの年齢と成長(Harley et al. 2014)


図8

図8. 中西部太平洋におけるメバチの加入量(WCPFC 2014)
縦軸は加入量(10,000個体)、横軸は年で示す。黒実線がレファレンス・ケース。緑実線は標識魚群の混合する度合いが違う設定。赤と水色実線は親子関係が異なる設定(黒実線と同じ推定値のため、みえない)


図9

図9. 中西部太平洋におけるメバチのSpawning potential(WCPFC 2014)
縦軸はSpawning potential(産卵親魚量、性比、年齢別成熟率、一回あたりの産卵量、産卵回数の情報を考慮した、産卵可能指数)、横軸は年で示す。黒実線がレファレンス・ケース。緑実線は標識魚群の混合する度合いが違う設定。赤と水色実線は親子関係が異なる設定(黒実線と同じ推定値のため、みえない)


図10

図10.中西部太平洋における漁業ごとのメバチ産卵資源へのインパクト(Harley et al. 2014)
縦軸は漁業が資源を減少させた割合(%)を示したもの。はえ縄(緑)、竿釣り(赤)、まき網流れもの操業(青)、まき網素群れ操業(水色)、その他(黄)を表す。


図11

図11. 中西部太平洋におけるキハダのF/FMSYとSB/SBF0の経年的プロット(WCPFC 2014)
SB/SBF0は、漁業がないと仮定した場合の産卵親魚量を1.0としたときの実際の産卵資源量。

図12

図12. MSY推定値と主要漁業種類による漁獲量の経年変化(Harley et al. 2014)
はえ縄(緑)、まき網(青)、その他(黄)のメバチ漁獲量を表す。赤線はMSY。


付表1 付表1 付表1 付表1

付表1. 中西部太平洋におけるメバチの年別国別漁獲量(単位:トン)


漁業の概要

本種ははえ縄、まき網、竿釣り、手釣り等で漁獲される(図1)。主要な漁業はまき網とはえ縄であり、主に赤道域で漁獲されているが、はえ縄は亜熱帯域(例えば日本東方及びオーストラリア東方沖)でもある程度漁獲している(図2)。また、フィリピンとインドネシアの小型まき網やひき縄等によって小型魚が多く漁獲されている。中西部太平洋におけるメバチの漁獲量は1970年代初頭の5万トン前後から増加し、2000年代初頭には15万トンに達した(Williams and Terawasi 2015)。2014年の漁獲量は16.1万トンであった。


【はえ縄漁業】

我が国の漁業は第2次大戦以前から本種を漁獲していたが(岡本 2004)、1952年のマッカーサーライン撤廃以降、はえ縄漁場は急速に拡大し、その年のうちに赤道を越えるとともに東方へも順次拡大し、1960年には南アメリカ大陸沿岸にまで達した。その後、南北太平洋の温帯域にも操業域を広げ、1960年代は地理的に最も広い水域をカバーした。日本のまぐろ漁業は1970年代の初めまではキハダ、ビンナガを中心に缶詰等の加工品原料を供給してきたが、その後刺身需要の増加と冷凍設備の改善によってメバチへの嗜好が強まった。韓国、台湾のはえ縄も歴史が長く、前者は1958年から、後者は1964年から漁獲報告がある。

中西部太平洋では2014年に、日本の排他的経済水域(EEZ)内だけで操業を行う届け出船及び10トン未満の船を除き、主に近海船からなる200トン未満船が278隻、遠洋船の主体をなす200トン以上船が83隻、操業を行ったと推定される(WCPFC 2015a)。韓国は中・大型船のみで、中西部太平洋では1991年の220隻から2008年には108隻まで減少したが、2014年には112隻が操業したと報告されている(WCPFC 2015b)。台湾は大型船が当初ビンナガ操業主体に南太平洋の温帯域で操業していたが、その後熱帯域にも進出した(WCPFC 2015c)。2009年に本水域で操業した100トン以上の漁船数は80隻であり、燃油高により操業を一部の漁船が操業を中止したため、2004年の137隻から大きく減少したが、2011年にはインド洋の海賊行為を避けて太平洋での操業隻数が95隻に回復した。2014年には一時的に操業を停止する船があり、隻数は73隻に減少した。台湾の100トン未満の小型船は、台湾近海及び公海で操業を行っており、2014年には1,275隻が稼動した。中国は1980年代後半にミクロネシア水域への進出が定着し(1994年に最大457隻)、これら小型はえ縄船による生鮮まぐろの日本市場への空輸事業がグアムやパラオ他を水揚地として盛んに行われたが、近年は我が国の景気停滞と漁獲の減少により減少している。2004年には中西部太平洋において約212隻の中国のはえ縄船が操業していたが、2007年には86隻にまで減少したものの近年再び増加に転じている。2014年には353隻が操業しており、このうち氷蔵船が245隻、急速冷凍船が108隻であった(WCPFC 2015d)。この他に、漁獲量は少ないもののオーストラリア、米国、南太平洋諸国(フィジー、ソロモン諸島、ニューカレドニア、仏領ポリネシア等)、ベトナム、エクアドルも、生鮮まぐろを日本へ供給している。

漁場は東西方向に広範囲に形成される(図2)。中心となるのは赤道を挟んだ南北15度までであり、これらの漁場位置は南赤道流及び北赤道流域の水温躍層が100〜200 mの水深に相当する部分である。はえ縄漁具の設置水深と魚群分布域が重なる部分で釣獲率が高いと推察されるが、餌生物やメバチの摂餌水深との関連もあると思われる。さらに南北30〜35度付近の温帯域にもそれぞれの冬場を中心にメバチの好漁場が形成されるが、魚体は小さく未成熟なので摂餌回遊であろう。最近は西経120〜160度の間の漁獲が多くなり、西経120度以東の漁獲が少なくなっている。WCPFC水域におけるはえ縄によるメバチの漁獲は2002年〜2009年には8万トンを上回って推移していたが、2010年以降は8万トン以下となり、2014年のはえ縄の漁獲は7.3万トンであった(WCPFC 2015e)(図1)。


【まき網漁業】

まき網の漁場は太平洋の西部と東部熱帯域に存在し、中央部での漁獲は少ないが、最近やや多くなりつつある(図2)。まき網漁業は歴史が浅く、特に中西部熱帯域でのまき網は1960年代の後半に我が国によって試験的に開始された。1980年代には米国式まき網を採用した台湾と韓国が参入するのとほぼ同時に米国も東部太平洋でのエル・ニーニョによる不漁により漁場を移動し、操業を本格化させた。

主要な遠洋まき網漁業国である日本、韓国、台湾、米国の1992年における総操業隻数(200トン以上)は163隻(それぞれ36隻、38隻、45隻、44隻)であったが、米国船の減少により2006年には111隻に減少し、2014年には再び142隻(それぞれ40隻、28隻、34隻、40隻)にまで増加している(Williams and Terawasi 2015)。太平洋島嶼国のまき網船はこの20年間に徐々に増加し、2014年には95隻となっている。残りのまき網船のうち、中国、エクアドル、エルサルバドル、ニュージーランド、スペインなどは2000年代にWCPFC熱帯海域に参入している。総操業隻数は、1990年から2006年には180〜220隻で比較的安定していたが、最近7年間に次第に増加し、2014年には302隻となっている。

中西部太平洋では自然流木が多く、これを利用した漁法が我が国により行われてきた。その後、米国が人工の集魚装置(FAD)を導入したのに追随して、FADの利用が1990年代前半に我が国を含め台湾及び韓国の漁船に急速に普及し、小型メバチの漁獲量が急増した。しかし、まき網で漁獲された小型メバチは、水揚地においてキハダと区別されていないことも多く、また漁獲成績報告書でもキハダと区別して記録されないことが多いため、我が国や米国を除いてその漁獲量は不正確である。また、まき網のメバチ漁獲量の推定には、オブザーバーデータや主要水揚港でのポートサンプリングデータなどを使用しているが、標本抽出方法(一定容積の容器に入った全個体を測定するスピルサンプリングと漁獲物から一定個体数を手で抽出するグラブサンプリング)や漁獲物の漁艙の移し替え等などの要因により過小評価されているのではないかと指摘された(Lawson 2008)。その後、オブザーバーによるスピルとグラブの同時サンプリングなどの情報が蓄積され(Lawson 2012)、過去にわたってまき網の漁獲量が修正された。2014年のまき網による漁獲量は6.7万トンとなっており、1997年の過去最大の漁獲量7.7万トンには及ばないものの高いレベルである(WCPFC 2015e)。


【竿釣り及びその他の漁業】

中西部太平洋の竿釣りによるメバチ漁獲量は、最近10年間は0.4万〜1.0万トンで推移しているが、2014年の漁獲量は0.4万トンと2012年に続き低レベルであった。また、手釣りも1990年代半ばから0.5万トン前後の漁獲をあげていたが、近年は0.3万トンほどに減少している。その他の漁業は、フィリピン、インドネシアの小型船によるリングネット、ひき縄及び日本の沿岸漁業が、近年およそ0.2万〜0.4万トンの漁獲をあげてきたが、2014年には1.1万トンと漁獲が増加している(図1)。フィリピン、インドネシア漁業の場合、パヤオと呼ばれる固定式FADを利用し、小型(20 cm程度)のものから成魚までを漁獲している。フィリピン近海では、小型のまき網及びリングネット船が160隻ほど操業を行っているが、規模が零細であることと、水揚地が多いことからモニタリングが十分ではなく、特にインドネシアの漁獲量は不確定要素が大きいと考えられる。


【国別漁獲量の動向】

我が国の漁獲は全体の約3分の2以上を占めていたが、1980年代半ばから徐々に減少し、1990年には50%に、1996年以降は20%台、2014年には13%に低下した(図1、付表1)。漁獲量はかつての4万〜5万トン台から2010年には2.1万トンに減少しているが、この海域では第1位であった。しかし、2011年からは1位を韓国に明け渡した。近年、インドネシア、中国及び米国の漁獲量は1万〜1.8万トンと増加している。フィリピンの漁獲量は1996〜2006年に1万トン前後であったが、2011年以降は0.4万〜0.7万トンに減少している。


【漁業別漁獲サイズ】

主な漁業による年間サイズ別漁獲個体数と漁獲量を図3に示す(Williams and Terawasi 2015)。中西部太平洋における大型メバチ(100 cm以上)の大部分ははえ縄で漁獲されている。まき網が大型メバチを漁獲するのは非常に稀であり、はえ縄を除くとフィリピンの手釣りによりわずかに大型個体が漁獲されている。まき網で漁獲されるメバチはほぼ全てがFAD操業によって漁獲されるが、そのサイズは60〜70 cmにモードがある。はえ縄漁獲物における本種のサイズは尾叉長90〜190 cmであり、2014年には130〜150 cm付近にモードがあった。フィリピンやインドネシアの表層漁業では、30〜55 cmの小型のメバチが多獲されている。


生物学的特性

メバチは陸棚上やメキシコからコスタリカ沖の低酸素水域を除く南北太平洋の緯度40度未満のほとんどの水域に分布する(図4)。熱帯もしくは夏季の亜熱帯や温帯で生まれた稚魚は海流と共に移動し、多くは熱帯や亜熱帯にとどまるものの、一部は温帯域へ索餌回遊を行い、成熟に達すると産卵に適した水温の高い水域に戻る。1989年以降、SPCが中西部太平洋において、全米熱帯まぐろ類委員会(IATTC)が東部太平洋において行ってきた標識放流の結果は、太平洋の西端と東端間の交流は限定的であるが、中部太平洋においてはより頻繁に東西の移動を行っていることを示している(図5)。

メバチは他のまぐろ類より深層に分布することが知られており、網膜に光反射組織があって深層での遊泳に適応した構造になっている(川村 1994)。近年の超音波発信機による追跡やアーカイバル・ポップアップタグを用いた研究によると、成魚は特に深い水深まで生息し、日中は深く、夜間は表層に近い水深を遊泳する(図6)。また小型魚は流れ物や海山に付く習性があり、まき網で用いられているFADに蝟集している場合は遊泳水深がより浅く、また体長が大型のものほど深い水深を遊泳する。

メバチの卵は分離浮性卵で油球が一個あり、受精卵の卵径は0.8〜1.2 mmである。船上で行われた人工受精によると、水温25.5〜29.0℃で孵化までに24〜30時間という記録がある(安武ほか 1973)。孵化後の全長は2.5 mmである。産卵は稚魚の分布から、熱帯・亜熱帯域の水温24℃以上のほとんどの水域でほぼ周年行われていると考えられている。ただ、場所により産卵盛期が異なり、中西部太平洋では赤道の北側で4〜5月、南側では2〜3月、東部太平洋では赤道の北側で4〜10月、南側で1〜6月である。メバチは多回産卵型で、ほぼ毎日産卵し、産卵は夜間の7時から真夜中にかけて行われ、1回産卵量はハワイ南西沖のサンプルから体長150 cmで約220万粒であるという結果が得られている(二階堂ほか 1991)。生物学的最小形は90〜100 cm、14〜20 kg(満2歳の終わりから3歳)と報告されており、120 cmを超えると大部分が成熟する。

成長と年齢についてはいくつかの研究があり、代表的なものを図7及び表1に示す。行縄・薮田(1963)が鱗を用いて体長を推定した式を改変したものによると(Suda and Kume 1967)、1歳で44 cm、2歳で76 cm、3歳で102 cm、4歳で123 cm、5歳で140 cmに達する。最近の耳石日輪を用いた研究によると(Lehodey et al. 1999、Matsumoto 1998)、成長率にはそれほど差は見られないが1歳時は約60 cmと推定され、上記の成長式とほぼ半年のずれが見られる。

体長体重関係式は、中西部太平洋、東部太平洋ともに以下の式が用いられている(Nakamura and Uchiyama 1966)(表2)。

        W(kg)=3.661×10-5・L(cm)2.90182         W:体重(kg)、L:体長(cm)

本種の胃中には魚類や甲殻類、頭足類等幅広い生物が見られるが、他のまぐろ類に比べてハダカイワシやムネエソ等の中深層性魚類が多い。仔稚魚時代には、多くの捕食者がいると思われるが、詳細は知られていない。遊泳力が付いた後も、まぐろ類を含む魚食性の大型浮魚類による被食があるが、50 cm以上に成長すると、大型のかじき類、さめ類、歯鯨類等に外敵は限られるものと思われる。

太平洋のメバチに異なる系群の存在は知られていない。しかし、インド‐太平洋群と大西洋群間には遺伝的な差異が報告されているしかし、インド‐太平洋群と大西洋群間には遺伝的な差異が報告されている(Chow et al. 2000)。このことは太平洋において、はえ縄の漁場分布が地理的に連続することや、魚の計数形質にあまり差が見られないことと一致している。


資源状態

中西部太平洋のメバチの最新の資源評価は2014年にSPCの専門家グループにより実施された。解析には統合モデルのMultifan-CL(Fournier et al. 1998、Hampton and Fournier 2001)が用いられた。解析は1952〜2012年について、9海区(図2)、33漁業区分の漁獲量、努力量、サイズデータ(体長及び体重)、標識放流データを用いて行われた。

これまでの資源評価では解析期間の前半で加入が低く、後半では高く推定されてきたが、新たな海区及び産卵可能指数を用いた結果、前半期での加入がより高く推定された(図8)。産卵親魚量は1950年代に比較的安定していたが1970年代半ばにかけて急激に減少し、その後緩やかな減少を示した(図9)。親魚の平均漁獲死亡率は解析期間を通して増加しているのに対して、若齢魚の漁獲死亡率は1990年代後半に向かって急激に増加し、その後比較的安定傾向を示した。漁業毎の親魚資源に与える影響の解析では、解析期間の前半では主にはえ縄の影響が大きかったが、近年、まき網の流れもの操業とはえ縄操業のインパクトは同レベルとなっていることが示された(図10)。

従来、資源状態の指標として、MSYを基準とした産卵親魚量と漁獲死亡の関係を用いていたが、2014年の資源評価では、限界管理基準値(Limit Reference Point(LRP))を基準とした産卵親魚量と、MSYを基準とした漁獲死亡の関係を使用した(図11)。なお、第10回WCPFC年次会合(2013年)で、限界管理基準値を20%SBF=0漁業がないと仮定した場合の産卵親魚量の20%とすることが合意されている。漁獲の状態はMSYレベルを上回っており(Fcurrent(2008〜2011年平均)/FMSYは1.57)、資源状態は限界管理基準値と同値であった(SBcurrent(2008〜2011年平均)/SBF=0=0.20)。現在の漁獲は過剰漁獲の状態にあり、資源も乱獲状態にあるとされた。

MSYは10.8万トンと推定され、近年(2012年)の漁獲量はそれを大きく上回っている(C2012/MSY=1.45)。1970年以前は中西部太平洋のメバチはほとんどがはえ縄漁業によって漁獲されており、若齢のメバチの利用度は低かった。そのため、かなり高いレベルのMSY(>年間200,000トン)がもたらされていた。近年は若齢魚の利用度が高いため、MSYは低いレベル(およそ110,000トン)となり、対照的である(図12)。このMSYの減少は若齢のメバチを漁獲する漁業、主として熱帯域西部における小型魚を漁獲する漁業の増大により生じている。小型魚の死亡が減少すれば、MSYは増加し、現在よりも多くの漁獲が許容されると考えられる。

同年8月のWCPFC科学委員会はこの結果を検討し、漁獲死亡率の削減(2008〜2011年平均水準から36%、2001〜2004年水準から26%)を勧告した。また、同委員会は、メバチ幼魚を混獲するFADの使用について、セットFAD操業回数を2010年水準以上としないとする2012年の勧告を再確認した。2015年は資源評価が実施されなかったことから、WCPFC科学委員会は、前年と同じ勧告を行った(WCPFC 2015f)。


管理方策

WCPFCは、メバチ・キハダ・カツオの保存管理措置として、以下を導入している。現在の措置は2013年に合意された。2015年12月の年次会合において措置の見直しが議論されたが、2014年に引き続き、継続審議となった(WCPFC 2015g)。


(a) まき網漁業(熱帯水域)
・FAD操業の段階的な規制強化(2014〜2016年)
・公海におけるFAD操業の原則禁止(2017年から)
・島嶼国以外のメンバーが保有する隻数の凍結

(b) はえ縄漁業
・メバチの漁獲量を2001〜2004年の平均値から40%削減(2014年から段階的に実施)


メバチ(中西部太平洋)の資源の現況(要約表)

資源水準 低位
資源動向 減少
世界の漁獲量
(最近5年間)
13.8万〜16.4万トン
平均:15.5万トン(2010〜2014年)
我が国の漁獲量
(最近5年間)
1.7万〜2.2万トン
平均:2.1万トン(2010〜2014年)
管理目標 検討中
資源の状態 MSY=10.8万トン
F2008-2011/FMSY=1.57
SB2008-2011/BMSY=0.94
C2012/MSY=1.45
レファレンス・ケースの値
管理措置 (a) まき網漁業(熱帯水域)
・FAD操業の段階的な規制強化(2014〜2016年)
・公海におけるFAD操業の原則禁止(2017年)
・島嶼国以外のメンバーが保有する隻数の凍結
(b) はえ縄漁業
・メバチの漁獲量を2001〜2004年の平均値から40%削減(2014年から段階的に実施)
管理機関・関係機関 WCPFC、SPC
最新の資源評価年 2014年
次回の資源評価年 2017年

執筆者

かつお・まぐろユニット
かつおサブユニット
国際水産資源研究所 かつお・まぐろ資源部 かつおグループ

佐藤 圭介


参考文献

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