--- 要約版 ---

69 ナンキョクオキアミ 南極海

Antarctic Krill

Euphausia superba

                                                       
PIC

[HOME] [詳細版PDF] [要約版PDF] [詳細版html] [戻る]

図

ナンキョクオキアミの漁場(サウスシェトランド、サウスオークニー、サウスジョージア水域が現在の主漁場である)


図

ナンキョクオキアミの海区別漁獲量の経年変化(1972〜2013年)


図

48海区における過去10年間の小海区別ナンキョクオキアミ漁獲量(2004〜2013年)


図

CCAMLRの統計海区



ナンキョクオキアミ(南極海)の資源の現況(要約表)

資源水準 高位
資源動向 横ばい
世界の漁獲量
(最近5年間)
16,1〜28.5万トン
平均:21.1万トン(2009/10〜2013/14年)
我が国の漁獲量
(最近3年間)
1.6〜3.0万トン
平均:2.4万トン(2009/10〜2011/12年)
最新の資源評価年
次回の資源評価年

管理・関係機関
南極海洋生物資源保存委員会(CCAMLR)

最近の動き
2012/13漁期及び2013/14漁期のナンキョクオキアミ総漁獲量は、世界合計でそれぞれ217,357トン及び285,028トン(暫定値)で、後者は1991年以降で最も多い漁獲量であった。日本は2011/12漁期に約40年間に及ぶナンキョクオキアミ漁業から撤退した。2012/13漁期は、操業がサウスシェトランド水域(FAO統計海区48.1小海区)に集中し、同小海区の漁獲量が漁期半ばの6月に早々とトリガーレベル(新たな管理措置への移行基準となる漁獲量上限;本小海区の場合は155,000トン)に達し、同小海区は閉鎖された。同小海区の漁獲量は全漁獲量の71%を占めた。2013/14漁期も、操業が48.1小海区に集中し、同小海区の漁獲量が5月にトリガーレベルに達し、同小海区は閉鎖され、同小海区の漁獲量は全漁獲量の51%を占めた。

生物学的特性
  • 寿命:5〜7歳
  • 成熟開始年齢:雌2歳、雄3歳
  • 産卵期・産卵場:12〜2月、南極海の陸棚、陸棚斜面水域
  • 索餌期・索餌場:主に夏季・南極大陸寄りの南極表層水域
  • 食性:夏)植物プランクトン 冬)動物プランクトン・アイスアルジー・デトライタス
  • 捕食者:海産哺乳類、海鳥類、魚類、いか類等

利用・用途
飼料、釣餌、食品、薬品等

漁業の特徴
世界のナンキョクオキアミ漁業は、1972/73漁期に旧ソ連が7,400トンを漁獲したことに始まる。その後日本、ポーランド等が参入し、1981/82漁期に50万トンを超えて最大漁獲量に達した。1986/87漁期から1990/91漁期までの年間漁獲量は35〜40万トンで安定していたが、1992/93漁期には旧ソ連体制の崩壊によってロシア漁船の採算が取れなくなり8万トン台へ急落した。1992/93漁期以降の年間漁獲量は13万トン前後で推移していたが、2010/11漁期には21.3 万トンに若干増加した。2011/12漁期の主要な漁業国は、ノルウェー(3隻10.2万トン)、韓国(3隻2.3万トン)、日本(1隻1.6万トン)である。そのほかチリ、中国が操業した。このうち2005/06漁期に新規参入したノルウェーは、コッドエンドにフィッシュポンプを取り付けた連続操業可能なトロール漁具を装備した大型船を導入するなどして、急速に漁獲量を拡大している。また、中国は2009/10漁期に初めて1隻が操業し0.2万トンを漁獲したが、2010/11漁期には5隻が操業し1.6万トンを漁獲した。日本の漁獲量は2003/04漁期以降2〜4万トンで安定していたが、2011/12漁期は1.6万トンとなり、同漁期終了後ナンキョクオキアミ漁業から撤退した。近年、南極半島周辺でも冬季に海氷に覆われない状況が発生し、夏季中心の操業から冬季を中心とした操業に変わっている。

漁業資源の動向
現在は南極半島周辺(48海区)の48.1小海区、48.2小海区及び48.3小海区が実質的な漁場である。2009/10漁期は48.1小海区が主漁場となり、当該水域では過去最大の漁獲量(153,262トン)を記録し、小海区単位に分割されたトリガーレベルに近づいたため、2010年10月10日に同小海区は閉鎖された。2011/12漁期は48.1小海区と48.3小海区中心の操業となった。2012/13漁期及び2013/14漁期は、操業が48.1小海区に集中し、同小海区の漁獲量は漁期半ばに早々とトリガーレベルに達し閉鎖された。

資源状態
1981年に行われた国際共同バイオマス調査計画(FIBEX計画)では、48海区の資源量は当初1,510万トン、修正値3,540万トンと推定された。2000年に日本、英国、米国、ロシアが行ったCCAMLR-2000一斉調査では48海区のナンキョクオキアミ資源量は当初4,429万トン(変動係数11.4%)、修正値3,729万トン(変動係数20.9%)と推定されていたが、2010年の再計算により6,030万トン(変動係数12.8%)に修正された。これに伴い、予防的漁獲制限量は347万トンから561万トンに上方修正された。
主要漁場である48海区における近年の世界のナンキョクオキアミ漁獲量は、総資源量の0.3%に過ぎず、資源水準は高位、資源動向は横ばいと判断される。しかし、地球温暖化などの環境変動により資源が予想外の急激な変化を示す可能性もあるという意見がCCAMLRでは多くなっている。

管理方策
CCAMLRは条約水域を海区に区分し、海区ごとに保存管理措置を決定する。2010年に48海区の予防的漁獲制限量は561万トンに改定されたが、国別に漁獲枠が設けられることはない。ナンキョクオキアミ資源自体は高いレベルにあるが、漁獲の局所的集中によりペンギン、オットセイ等の捕食者に悪影響が及ぶことを懸念し、新たな管理措置の導入を検討中である。48海区全体に対して62万トンに設定されていた新管理措置への移行基準(トリガーレベル)を小海区ごとに分割することが2009年のCCAMLR年次会合において決まり、2011年の同年次会合で3年間延長された。各小海区への割当量は48.1小海区15.5万トン、48.2及び48.3小海区27.9万トン、48.4小海区9.3万トンだが、全体の合計は62万トンを超えることはできない。当面これが実質的な許容漁獲量になる。過去2年の漁場形成は平年と異なる時空間パターンを示し、年変動も大きいことから、漁船を通じた科学データ収集や対照区や実験区の導入を含むフィードバック管理の導入が検討されている。まずは2016年をめどに、現行のトリガーレベル(小海区)管理から、ナンキョクオキアミ捕食者モニタリングデータなどの解析に基づき、漁獲制限量を小規模管理ユニット(SSMU)に分割する管理への移行を検討する予定になっている。将来的には、捕食者モニタリング、漁業データ、生態系モデルに基づいたナンキョクオキアミのフィードバック管理を目指すことになっている。

資源管理方策まとめ
  • CCAMLR保存管理措置による海区毎の予防的漁獲制限量は48海区561万トン、58.4.1海区44万トン及び58.4.2海区264.5万トン。
  • 2009年に導入された48海区の小海区別トリガーレベルは48.1小海区15.5万トン、48.2及び48.3小海区27.9万トン、48.4小海区9.3万トン(全体の合計は62万トン)で、来漁期までこれが実質的な許容漁獲量となる。