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22 メカジキ インド洋

Swordfish

Xiphias gladius

                                               
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最近の動き

総漁獲量はピーク年(2004年)の4.1万トンから年々減少し2011年には2.2万トンまで落ち込んだ。この原因はソマリア沖海賊の活動範囲が拡大し、多くのはえ縄船が他の大洋へ移動し漁獲努力量が減少したことによる。そのため、メカジキ資源は回復しつつある。2011年以降、一部はえ縄船(特に台湾)に武装警備員が乗船し、ソマリア沖を含むインド洋へ戻りつつあるため、2012年の総漁獲量は2.6万トンと10年振りに増加し、2013年には3.2万トンとさらに増加した。レユニオンのメカジキはえ縄(メカ縄)漁は、2013年にオキゴンドウによる深刻な食害のため漁獲されたメカジキの40%程度が被害に遭い、多くの漁業会社が操業できなくなり倒産した。


利用・用途

寿司、刺身に利用されるほか、切り身はステーキや煮付けとして消費される。


図1

図1. インド洋におけるメカジキの国別漁獲量(1950〜2013年)(IOTCデータベース:2014年10月)


図2

図2. インド洋におけるメカジキの漁法別漁獲量(1950〜2013年)(IOTCデータベース:2014年10月)


図3


図3. インド洋におけるメカジキのFAO海域別漁獲量(1950〜2013年)(IOTCデータベース:2014年10月) 東インド洋(FAO海域51)及び西インド洋(FAO海域57)


図4

図4. インド洋におけるメカジキの分布


図5

図5. まぐろはえ縄における漁獲量の平年分布(1989〜1993年)(Fontenau 2004)


図6

図6. インド洋におけるメカジキの産卵域及び索餌域(IFREMER 2006 改変)


図7


図7. メカジキCPUE標準化で使用される4海域(2011年第9回かじき作業部会より)
(海域1-9は以前使用されたサブエアリア)(IOTC 2014a)


図8

標準化されたメカジキはえ縄CPUE(上図:インド洋全域、下図:南西インド洋)(IOTC 2014a)

赤:ポルトガル、黄緑:スペイン、緑:日本、紫:台湾

図9


図9. インド洋全域におけるSS3による資源評価の結果(資源状況の変遷を示す神戸プロット)(IOTC 2014a)
表1


表1. CPUE標準化で使用した環境情報(Nishida et al. 2011c)


図10

図10. 現状(2009年)の漁獲量(6,579トン)及びその±20%、±40%の漁獲量が2019年まで続いた場合、資源量がMSYレベルを下まわる確率(ASPICの結果に基づく南西インド洋におけるリスク解析)(Nishida et al. 2011a)


附表1

附表1. インド洋におけるメカジキの国別漁獲量(1950〜2013年)(トン)(IOTCデータベース:2014年10月)


附表2

附表2. インド洋におけるメカジキの漁法別漁獲量及び組成(%)(1950〜2013年)(トン)(IOTCデータベース:2014年10月)


附表3

附表3. インド洋におけるメカジキの海域別漁獲量及び組成(%)(1950〜2013年)(トン)西インド洋(FAO海域51)及び東インド洋(FAO海域57)(IOTCデータベース:2014年10月)


漁業の概要

本種は、日本及び台湾のまぐろ類を対象としたはえ縄の混獲として(台湾は時には対象種として)、1950年代より漁獲され始め、1990年初めまでの約40年間に総漁獲量は徐々に増加し、1991年には1.0万トンに達した。1990年代に入ると、沿岸国や島しょ国(スリランカ、インドネシア、レユニオン、インドほか)がメカジキも対象とした操業を開始し、さらに台湾の漁獲努力量が増加したため、総漁獲量は1992年には1.6万トンへと増加した。総漁獲量は、その後も増加を続け、1998年に3.8万トンに達し、第1回目のピークを記録した(図1〜2、附表1〜2)。しかし、1999年から総漁獲量は減少し、2001年には3.3万トンまで落ち込んだ。この頃よりスペイン及びポルトガルのメカ縄船が遠洋漁業に参入したため、2002年より総漁獲量は増加し、2004年に4.1万トンと最大漁獲量(第2回目のピーク)を記録した。しかし、2000年半ばからソマリア沖の海賊の活動範囲が拡大し、まぐろはえ縄船が他の大洋へ移動し漁獲努力量が減少したため、総漁獲量は2005年から減少し2011年には2.2万トンまで落ち込み、1992年以来19年間で最低の漁獲量となった。2012年以降、一部はえ縄船(特に台湾)が武装警備員を乗船させ、ソマリア沖を含むインド洋へ戻りつつあるため、2012年の総漁獲量は2.6万トンと10年振りに増加し、2013年は2.9万トンとさらに増加した(図2、附表2)。

台湾は長年メカジキの最大漁獲国で、1969〜2002年における総漁獲量の40〜60%を占めていた。しかし、その後、2003〜2004年30%台、2005〜2010年20%台へと急速に落ち込んだ。これは、スペイン、インドネシア、スリランカの漁獲量が増加したためである。台湾のはえ縄は、特に南西インド洋や赤道辺りの西インド洋で操業を行っており、夜間に浅縄を使いメカジキを狙って漁獲する場合もある。台湾漁船による漁獲は、その多くが欧州向けに、一部は日本に輸出されているが、自国内での消費はほとんどない。

1990年代に入りスペイン、インドネシア、レユニオン、セーシェルなどがメカジキを対象にし、モノフィラメントの漁具とケミカルライトを使った夜間のはえ縄を展開した。この漁具により、日本や台湾の伝統的なはえ縄よりはるかに高い水揚量を達成した。しかし、最近年は、南西インド洋漁場における釣獲率の低下と魚価安により思うような実績を上げられないでいる。そのほか、1990年代に入ってスリランカ(流し網)による漁獲量も増加してきている。また、便宜置籍船(はえ縄)による漁獲は、1990年代は多かったが最近年減少している。2013年において漁獲量の多い国(900トン以上の国)は、台湾、スリランカ、スペイン、インドネシア、ポルトガル、インドの順となっている(図1、附表1)。

日本の漁獲量は、1997年に最大(2,800トン)となったが、その後まぐろ漁場がメカジキの少ない南半球の高緯度海域に移り、さらに2008年以降は海賊問題のため2012年には620トン(ピーク時の22%)まで減少した(図1、附表1)。本種は東インド洋(FAO海域57)で約43%、西インド洋(FAO海域51)で約57%漁獲されている(図3、附表3)。

インド洋南西海域で、1990年代半ばから2000年代半ばにかけ日本のCPUEが急減した(Nishida and Kitakado 2011a, IOTC 2014a)(図8下図)。主な原因は、南西海域においてミナミマグロ狙いの台湾のはえ縄船が増加し、さらにレユニオン、スペイン及びポルトガルのメカ縄船が参入し、総漁獲圧が急増したためと考えられる(図1、附表1)。そのため、この海域におけるメカジキ資源状況が懸念されており、年次会合からのリクエストもあり、資源評価はインド洋全体及び南西海域の2海域に対し実施されている(IOTC 2011, 2014a, 2014b)。しかし、2014年のかじき作業部会・科学委員会は、同一系群であるインド洋のメカジキについて、南西海域だけ資源評価する意味がないとして、2015年の年次会合に対し今後どのように対処すべきかリクエストした(IOTC 2014, 2014b)。


生物学的特徴

【分布・回遊】

本種は、南緯50度から北緯30度までの温帯・熱帯のほぼ全域にわたって生息している(図4)。メカジキの漁獲の状況は、マダガスカル周辺水域、ソマリア沖、オーストラリア南西部、インドネシア沖で良いので、これらの水域が分布の中心と考えられている(Fonteneau 2004)(図5)。

分布域の西端には、現在インド洋まぐろ類委員会(IOTC)と大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)の境界線である東経20度に設定されている。しかし、漁獲量の分布を見ると東経10度付近まで切れ目がないこと(図5)、南アフリカ沿岸の暖水塊はインド洋側から東経15度近くまで張り出していることから、実際の資源の境界線はもっと西側にあるのではないかと考えられている。

メカジキは日周鉛直移動することがよく知られている。夜間に表層、日中は水深1,000mまで、音響散乱層(DSL)と餌である頭足類の鉛直移動に追従した行動をとる。また、メカジキはまぐろ類とは異なり群れをつくる習性はないが、潮境や海山の辺りで集まる傾向がある。


【成長・成熟・産卵・食性】

本種に関する具体的な生物学的特徴(年齢、成長、産卵など)の知見はほとんど得られていない。メカジキは当歳魚の間に急速に成長し90 cm(15 kg)まで達するが、成熟するまでは時間がかかる。寿命は長く30年以上生きる場合もある。メカジキは、高齢で雌雄二形(性的サイズ二型)が見られ、雌は雄より大きく、早く成長し、遅く成熟する。南西インド洋での50%成熟率は、雌は6〜7歳で170 cm、雄は1〜3歳で120 cmで、メカジキは繁殖率が高く、1回の産卵で何百万もの卵を産卵する。インド洋においては、赤道付近の海域で3日に一度7か月間継続して産卵していると考えられている(IOTC 2014b)。また、インド洋における漁業や調査情報によれば、ソマリア沖とジャワ島沖で春にまとまった数の成熟個体が発見されているので、この2水域内に産卵場があるのではないかと考えられている(Poisson 2006, Poisson and Fauvel 2009)(図6)。メカジキの餌生物は頭足類(特にいか類)、魚類である。


資源状態

【CPUE標準化】
環境データ

インド洋のメカジキ、メバチ、キハダCPUE標準化には、NOAA(NCEP)のGODAS海洋データ(1度区画)が使用されている。1度区画の環境データは数が多いため、CPUE標準化を行う際に適切な統計解析や検定が行われていないことが指摘され、海洋環境とCPUEに高い相関がみられた特定の場所でCPUE標準化を試みるよう勧告された(IOTC 2013b)。具体的な方法は今後の課題であるが、HSI(生息域最適指標)により、海域を絞り込み、月齢、インド洋指数(IOI)、インド洋ダイポール指数(DMI)などの環境要因を使用して、時間遅れ効果を考慮した上でCPUEを標準化することも勧告された(IOTC 2012, 2013b)。表1に、メカジキCPUE標準化に使用した環境データを示した(Nishida et al. 2011c)。


サブアエリア

2011年の第9回かじき作業部会より、4つのサブエアリアを用いてCPUE標準化を実施することになった(図7)。


緯度・経度効果

経度、緯度(5度)バンドの使用が効果的であり、2種の海域(4海域と緯度経度バンド)による日本と台湾の標準化CPUEを用いて資源評価を行った結果、緯度経度バンドを使ったほうがモデル(ASPIC)とデータの当てはまりが2倍程度よくなるために、今後メカジキのCPUE標準化に緯度経度バンドを用い行うことが勧告された(IOTC 2011、Nishida and Kitakado 2011b)。


クラスター解析によるCPUE標準化

主たる漁獲対象種であるかどうかの(ターゲティング)補正について、クラスター解析を用いてGLMにより日本と台湾のはえ縄CPUEを標準化した。クラスター解析は「1鉢あたりの針数情報」がない場合に有効であることがわかった。インド洋全域における台湾、スペイン及びポルトガルの標準化CPUEはフラットな傾向にあるが、日本は全体に減少傾向にある(図8上図)。また、南西インド洋では日本は全体に減少傾向にあるが、他は特にはっきりした傾向が見られない(IOTC 2014a)(図8下図)。


【資源評価】

2014年の第12回かじき作業部会で行ったSS3によるインド洋全域の資源評価(1950〜2013年のデータを使用)では、MSY=3.9万トン及びSSB/SSBMSY=3.1、F/FMSY=0.34といった非常に楽観的な結果が得られた(図9)。なお、2013年の漁獲量は3.2万トン、過去5年間(2009〜2013年)の平均漁獲量は2.7万トンで、MSY(3.9万トン)よりかなり低いレベルとなっている。以上より、本種は、漁獲圧・資源量ともにMSYレベルから相当離れており、資源状況は安全な状態にあるといえる(IOTC 2014a)。また、南西インド洋におけるASPICによる資源評価では、TB/TBMSY=0.94、F/FMSY=0.89で、インド洋全域とは反対に神戸プロットでは黄色ゾーンにあり、経度の過剰漁獲という結果となった。以上より、本種は、インド洋全域では、漁獲圧も資源量も安全な状態にあるといえるが、南西インド洋では、地域的な資源の悪化状況が前回(2011年)の資源評価に引き続き再度確認された(IOTC 2014a)(図10)。


管理方策

2014年の第17回科学委員会は、メカジキ資源に関しインド洋全域では、漁獲圧も産卵資源量もMSYからかなり離れた安全レベルにあるので特に管理方策は必要ないとしている。また、南西インド洋では、地域的な乱獲状況が継続しており、それがなくなる(TBMSYが1以上になる)までは、漁獲量は6,678トン(2009年の漁獲量)を超えるべきでないといった管理方策を勧告した(IOTC 2014b)。2015年に行われる第19回年次会合では、この勧告が採択される見通しである。


メカジキ(インド洋)の資源の現況(要約表)(*)


資源水準 高位
資源動向 増加
世界の漁獲量
(最近5年間)
2.2〜2.9万トン
平均:2.5万トン(2009〜2013年)
我が国の漁獲量
(最近5年間)
576〜1,027トン
平均:704トン(2009〜2013年)
管理目標 MSY=3.9万トン
資源の状態 F/FMSY=0.34及びSSB/SSBMSY=3.10
漁獲圧・産卵資源量共にMSYからかなり離れたレベルにあり資源は安全な状況にある。南西インド洋では地域的に資源量はMSYレベル以下(軽度の乱獲状況)となっている。
管理措置
  • インド洋全域では現在の漁獲量・漁獲努力量が継続すれば管理措置の必要なし。
  • 南西インド洋では地域的に軽度の過剰漁獲であるので、今後の漁獲量は2009年レベル(6,678トン)以下にする。
  • オブザーバープログラム(2011年4月)
  • ログブック収集基準(2013年3月)
  • データ提出義務(2010年2月)
管理機関・関係機関 IOTC
最新の資源評価年 2014年
次回の資源評価年 2017年
(*) 2009年までの情報を用いた資源評価の結果に基づく。

執筆者

国際水産資源研究所 業務推進課

西田 勤


参考文献

  1. Fonteneau, A. 2004. Non-titled working file for the 3rd session of the IOTC working party on billfish. Perth, Australia, November 10-12, 2003.
  2. IFREMER 2006. Report of the Indian Ocean Regional Workshop on Swordfish Structure, IFREMER Ile de la Réunion, France. 44 pp.
  3. IOTC. 2011. Report of the 9th session of the IOTC working party on billfish. IOTC-2011-WPB-R [E].
  4. IOTC. 2012 Report of the 10th session of the IOTC working party on billfish. IOTC-2012-WPB-R [E].
  5. IOTC. 2013a Report of the 10th session of the IOTC working party on billfish. IOTC-2013-WPB-R [E].
  6. IOTC. 2013b Report of CPUE workshop. IOTC-2013-CPUE-R [E].
  7. IOTC. 2014a. Report of the 12th session of the IOTC working party on billfish. IOTC-2014-WPB-R [E].
  8. IOTC. 2014b. Report of the 17th Session of the IOTC Scientific Committee. IOTC-2014-SC-R [E].
  9. Nishida, T., Shiba, Y., Suzuki, N., Nakadate, M., Ishikawa, S. and Chow, N. 2006. Consideration on sampling methods for tissue collection in the IFREMER swordfish stock structure study by the genetic analyses. Indian Ocean Regional Workshop on Swordfish Structure, IFREMER Ile de la Réunion, France. 51pp.
  10. Nishida, T. and Kitakado, T. 2011a. Investigation of the sharp drop of swordfish CPUE of Japanese tuna longline fisheries in 1990‘s in the SW Indian Ocean (IOTC–2011–WPB09–15)
  11. Nishida, T. and Kitakado, T. 2011b. Note for discussion on the Indian Ocean (IO) swordfish (SWO) CPUE (IOTC–2011–WPB09–25).
  12. Nishida, T., Kitakado, T., Matsuura, H. and Wang, S-P. 2011c. Validation of the Global Ocean Data Assimilation System (GODAS) data in the NOAA National Center for Environmental System (NCEP) by theory, comparative studies, applications and sea truth (IOTC–2011–WPB09–11).
  13. Poisson, F. 2006. Synopsis of the reproductive dynamics of swordfish in Indian Ocean and areas for future studies. IOSSS workshop.
  14. Poisson, F and Fauvel, C. 2009. Reproductive dynamics of swordfish (Xiphias gladius) in the southwestern Indian Ocean (Reunion Island). Part 1: oocyte development, sexual maturity and spawning. Part 2: fecundity and spawning Pattern (IOTC-2009-WPB-04)