--- 要約版 ---

55 トド 北太平洋沿岸・オホーツク海・ベーリング海

Steller Sea Lion

Eumetopias jubatus

                               
PIC

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図

トドの分布(Loughlin 1997に基づく)


図

体長と年齢の関係(磯野 1999)


図

トド採捕頭数の推移(1958〜2011年)(北海道水産林務部資料)


図

チュレニー島の個体数変化
(Burkanov and Loughlin 2005、Burkanov et al. 2008、Burkanov et al. 2012に基づく)


図

近年の来遊状況と回遊模式図 (星野 2004)


図

航空機目視調査の調査定線とトド発見位置(2009年)
(●;トド一次発見、○;トド二次発見、青線;海況2以下での探索、赤点線;海況3以上での探索)



トド(北太平洋・オホーツク海・ベーリング海)の資源の現況(要約表)

資源水準 調査中
資源動向 増加傾向
世界の漁獲量
(最近5年間)
米国のみ
167.7〜275.3頭
平均:220.3頭(2005〜2009年)
我が国の漁獲量
(最近5年間)
115〜195頭
平均:133.8頭(2007〜2011年)


管理・関係機関
北海道連合海区漁業調整委員会
青森県東部海区漁業調整委員会
青森県西部海区漁業調整委員会

最近一年間の動き
我が国環境省及び国際自然保護連合(IUCN)においてレッドリストの見直しがなされ、いずれも絶滅危惧II類(Vulnerable)から準絶滅危惧(Near Threatened)にランクを下げた。また海生哺乳類学会(The Society for Marine Mammalogy)はこれまで1種2系群としていた本種を2亜種(Western Steller sea lion; E. j. jubatus、Loughlin's northern sea lion; E. j. monteriensis)であるとした。
2010年8月に水産庁は管理方策に5か年ごとのブロック・クオータ制を導入した。同時に生物学的間引き可能量(Potential Biological Removal;PBR)が309頭に変更され、2012年度の採捕数の最高限度は前年度枠の持ち越しも踏まえ257頭とされた。管理措置の見直しに伴い混獲数に関する情報収集も行なわれ、2010年度は59頭の報告が得られたが、その精度の検証が求められている。サハリン周辺の個体数は引き続き顕著な増加傾向を示している。

生物学的特性
  • 寿命:メスで30歳程度、オスで18歳程度
  • 成熟開始年齢:3〜7歳
  • 繁殖期・繁殖場:5月下旬から7月初旬、千島列島やオホーツク海、 アリューシャン列島、アラスカ湾、カリフォルニアなどの沿岸の特定の岩礁。 日本沿岸にはない。
  • 索餌期・索餌場:繁殖場及び上陸場周辺、北海道沿岸(冬季)
  • 食性:魚類、頭足類
  • 捕食者:シャチ、オンデンザメ

利用・用途
生食や缶詰原料、土産物など

漁業の特徴
一部食用としての利用も含め、漁業被害対策として年間の上限を定めて(2012年は257頭)採捕が行われている。

漁業資源の動向
1959年より一部食用としての利用を含め、漁業被害対策としての採捕が行われてきた。1994年より北海道連合海区漁業調整委員会による年間116頭の制限が設けられた。2010年には管理方策に5カ年ごとのブロック・クオータ制が導入され、2012年の上限は前年枠の持ち越しも踏まえ253頭とされた。また、青森県東部海区漁業調整委員会及び青森県西部海区漁業調整委員会において、トドの採捕数の最高限度を両海区の合計で4頭と定めた。

資源状態
アラスカのサックリング岬(西経144度)以東の東部系群は1970年代半ば以降年率約3%で増加傾向にある。同岬以西の西部系群のうちアリューシャン列島周辺の中央集団は1970年代より急激に減少したが、2000年以降やや増加傾向にある。西部系群のうちコマンドル諸島以西に分布するアジア集団は、1980年代までの急激な減少の後、ベーリング海西部やカムチャツカ半島東部では依然安定もしくは減少傾向にあるが、千島列島やオホーツク海では近年増加傾向にある。そのうちサハリン周辺のチュレニー島では、顕著な増加傾向を示している。

管理方策
主に北海道沿岸で深刻な漁業被害があるため、強化定置網(破られやすい部分に強い繊維を使用)の普及、強化刺網(普通の刺網を、強い繊維の目の粗い刺網で挟む)の開発、猟銃による採捕、生態調査等を行っている。2010年の管理措置見直しで5か年ごとのブロック・クオータ制が導入され、今後5か年のPBRはトドが安定的に増加していることを勘案し、FR=1.0を適用した309頭とされた。その上で、2012年度の採捕数は前年枠の持ち越しも踏まえ257頭を最高限度と定めた。引き続き混獲数の把握とともにその精度の検証が求められている。科学的知見に基づく管理方策の策定に向け、来遊起源と考えられるアジア集団内の個体群構造や回遊様式、来遊起源の詳細とその資源量、来遊個体数等に関する知見が必要である。

資源評価まとめ
  • 資源評価法は国際的に決められていない
  • 個体数推定は繁殖期における繁殖場及び上陸場での計数による
  • 東部系群は増加傾向及び西部系群は近年増加傾向

資源管理方策まとめ
  • 我が国では、2010年より5か年ごとのブロック・クオータ制を導入
  • 2012年の採捕頭数を年間257頭に制限
  • 混獲数の把握とその精度検証が必要
  • 管理方策の策定に向け、科学的知見の充実が必要