--- 要約版 ---

40 ネズミザメ 北太平洋

Salmon Shark

Lamna ditropis

ニシネズミザメ 北大西洋・南半球の亜寒帯域

Porbeagle

Lamna nasus

                                                PIC PIC
                                                        ネズミザメ                                                             ニシネズミザメ

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図1

ネズミザメの年齢と成長(田中1984、Goldman and Musick 2006)


図4

ニシネズミザメの年齢と成長(Aasen 1963、森信 1996、Natanson et al. 2002、Francis et al. 2007)


図

ネズミザメ(左)とニシネズミザメ(右)の分布(Compagno 2001)


図

日本の主要漁港へのネズミザメ水揚量


図

北太平洋における日本のはえ縄漁業データをもとに標準化したネズミザメのCPUE


図

ミナミマグロ漁場において、日本の科学オブザーバーが収集したデータを基に標準化したニシネズミザメのCPUE



ネズミザメ(北太平洋)、ニシネズミザメ(北大西洋・南半球)の
資源の現況(要約表)

北太平洋 北西大西洋 北東大西洋 南西大西洋 その他南半球
資源水準 調査中 低位 低位 調査中 調査中
資源動向 横ばい 回復傾向 調査中 減少 横ばい
世界の漁獲量
(最近5年間)
調査中 70〜510トン
平均:320トン
調査中 調査中
我が国の漁獲量
(最近5年間)
1,140
〜4,030トン
(水揚量)
平均:
3,070トン
調査中 調査中 調査中 調査中


管理・関係機関
大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)
みなみまぐろ保存委員会(CCSBT)
北西大西洋漁業機関(NAFO)

最近一年間の動き
ネズミザメは我が国での水揚量は2001年頃までは緩やかに増加したが、その後は横ばい状態である。2011年の水揚量は震災の影響により前年の60%減の1,136トンであった。ニシネズミザメについては、2012年に資源評価は行われていないが、みなみまぐろ保存委員会(CCSBT)の生態学的関連種作業部会会合において、ミナミマグロ漁場で混獲されるニシネズミザメの資源状態に関する議論が行われた。同会合において、南半球のニシネズミザメの資源評価に向けた取り組みを行うことが合意された。2013年3月、ワシントン条約(CITES)第16回締約国会議において、ニシネズミザメを付属書Uに掲載する提案がEUを始めとする国々によって提出され可決された。

生物学的特性
(左:ネズミザメ/
右:ニシネズミザメ)
  • 寿命:雌20年、雄25年以上/雌雄20〜46年以上(北大西洋)、最大65年(南太平洋)
  • 成熟開始年齢:雌6〜10歳、雄3〜5歳/雌13〜18歳、雄7〜11歳 (50%成熟年齢)
  • 繁殖期:交尾期:9〜11月(ニシネズミザメ)
    出産期:3〜5月/4〜6月(北大西洋)、6〜7月(南太平洋)
  • 索餌場:両者とも温帯・寒帯域
  • 食性:両者とも魚類、頭足類
  • 捕食者:調査中

利用・用途
肉はソテーやみそ漬け、鰭はフカヒレ、脊椎骨は医薬・食品原料、皮は革製品

漁業の特徴
ネズミザメは、主にはえ縄と流し網の両漁業で漁獲され、我が国では宮城県の気仙沼港を中心とした東北地方に水揚げされる。さめ類の中では肉質が良好で比較的商品価値が高い。ニシネズミザメは、日本のまぐろはえ縄漁船が北大西洋と南半球の亜寒帯域で混獲しているが、持ち帰る程の価値はないようで、多くは海外の港に水揚げされているようである。

漁業資源の動向
我が国の主要漁港へのさめ類の漁法別・魚種別水揚量の調査では、1992〜2011年のネズミザメのはえ縄及び流し網による日本への水揚量は、それぞれ290〜2,930トン、280〜1,590トン、全体では1,140〜4,410トンであった。全体として2001年頃までは緩やかな増加傾向が見られ、その後2009年までは増減を繰り返しながら横ばい状態であった。さめ類の合計値に占めるネズミザメの割合は15〜26%であり(2002〜2011年)、ヨシキリザメに次いで多かった。

資源状態
我が国漁業で漁獲される北太平洋のネズミザメと、ミナミマグロ漁場で混獲されるニシネズミザメの漁業データを分析した結果、標準化したCPUEに顕著な増減傾向は認められず、この1990年代前半〜2000年代中盤または終盤にかけてこれらの海域で両資源は安定的に推移していたと推定された。一方、北大西洋のニシネズミザメは資源の減少が指摘されており、資源の水準はBMSYを下回る状態である可能性が示唆されている。南大西洋のニシネズミザメについては、一部の地域で資源の減少を示唆するレポートが出されているが、データの不確実性が大きいため資源水準に関しては結論が出ていない。

管理方策
ネズミザメに関しては、現在管理方策は実施されていないが、宮城県気仙沼を中心として国内の水揚量・サイズデータの収集を行い、モニターを継続している。資源状態が悪化している北大西洋のニシネズミザメの漁獲死亡の多くは、加盟国国内におけるニシネズミザメを対象とする漁業によるものと考えられており、これらの国に対しては、当該漁業への新規参入は禁止するとともに、漁業国が国内資源評価によって独自に設定しているTAC (北西大西洋:カナダ185トン・米国11.3トン、北東大西洋:EU 2010年より0トン)を遵守すること、漁獲量を正確に報告することが求められている。一方で、本種を混獲物として扱う漁業国においては、混獲回避手段や漁獲死亡率を低減するための調査研究の推進が求められている。資源評価に必要な種別漁獲量等の統計資料が不十分である点が最大の問題であり、今後は資料収集方法の改善も含めて検討していく必要があろう。
ニシネズミザメに関しては、CITES第16回締約国会議において本種を附属書Uに掲載する提案が提出され、可決されたが、資源水準の低い北系群についてはICCAT/ICESの科学委員会が資源管理措置を勧告していること、南系群についてはCPUEが安定した傾向を示しており附属書Uへの掲載基準に合致しないと考えられることから、わが国は漁業管理機関による科学的情報に基づいた資源評価・管理による本種の持続的利用を支持するものである。

資源評価まとめ
  • 北大西洋のニシネズミザメについては、資源水準が低い状態にある。
  • 南大西洋のニシネズミザメについては、一部の海域で資源の減少が示唆されているが、資源水準は不明である。
  • ネズミザメ及び上記以外の海域におけるニシネズミザメの資源動向は横ばいであると推定されている。

資源管理方策まとめ
  • ネズミザメに関しては、国内水揚量等を引き続きモニターしていく。
  • ニシネズミザメに関して、北大西洋ではTACによる管理を実施、漁獲量の正確な報告が求められている。その他の海域においては保護・管理に関する特別な勧告は出されていないが、引き続き資源状態を観察していく必要がある。