--- 要約版 ---

38 アオザメ 全水域

Bigeye Tuna

Thunnus obesus

                                                                                   
PIC

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図1

アオザメの分布(Compagno 2001)


図4

日本の主要漁港へのアオザメ水揚量


図

アオザメの年齢と成長(尾鰭前長)オス(左)、メス(右)(Semba et al. 2009に加筆)


図

北太平洋におけるアオザメの標準化したCPUE


図

大西洋のアオザメにおいてBSPによって推定されたバイオマス(黒実線)と各国の提出したCPUEのトレンド(左:北系群、右:南系群)(ICCAT 2012)
CPUEを示すマーカーは、北大西洋では黒が米国、赤が日本、緑がポルトガル、青がスペイン、南大西洋では黒がウルグアイ、緑がブラジル、青がポルトガル、水色がスペインを示す。いずれも1971年を開始年とし、CPUEに国別の重み付けをしていない。


図

日本のミナミマグロ漁業オブザーバーデータを基に標準化したアオザメのCPUE(松永ら2012)


図

インド洋(全域)における日本のはえ縄で混獲されたアオザメの標準化したCPUE(Kimoto et al. 2011) 各折れ線は様々な報告率で抽出したデータに基づく解析結果を示す。



アオザメ(全水域)の資源の現況(要約表)

  北太平洋 北大西洋 南大西洋 インド洋
資源水準 調査中 おそらく中位 おそらく中位 調査中
資源動向 横ばい 安定もしくは増加傾向 安定もしくは増加傾向 横ばい
世界の漁獲量
(最近5年間)
調査中 2,100〜
4,100トン
平均:
3,600トン
1,600〜
2,800トン
平均:
2,200トン
調査中
我が国の漁獲量
(最近5年間)
860〜1,140トン
(水揚量)
平均:
920トン
82〜131トン
平均:
102トン
72〜121トン
平均:
104トン
調査中


管理・関係機関
大西洋まぐろ類保存国際委員会 (ICCAT)
みなみまぐろ保存委員会 (CCSBT)
中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)
全米熱帯まぐろ類委員会 (IATTC)
インド洋まぐろ類委員会 (IOTC)

最近一年間の動き
2012年に大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)のさめ類作業部会において、大西洋のアオザメの資源評価が行われた。前回2008年の資源評価に比べデータが改善され、各国から提出されたCPUEは南北共に安定または増加傾向を示していた。ベイジアンサープラスプロダクションモデル、キャッチフリーモデルによる解析の結果は、いずれも南北両系群の資源状態は良好であることを示しており、前回の評価で示唆された乱獲状態の可能性は減少し、現状の漁獲は持続可能なレベルであると判断された。その一方で、推定されたバイオマスのトレンドはいずれも資源量指数として解析に用いたCPUEの変化と合致せず、過去の漁獲量推定値の精度が悪いことや、本種の低い再生産力を合わせて考えると、より信頼性の高い資源評価結果が得られるまでは、両系群について漁獲死亡をこれ以上増やすべきではないとの勧告が出された。2012年3月には、みなみまぐろ保存委員会(CCSBT)の生態学的関連種作業部会会合において、ミナミマグロ漁業で混獲されるアオザメの標準化したCPUEの経年変化が報告された。

生物学的特性
  • 寿命:雄20〜30歳、雌30〜40歳
  • 成熟開始年齢:雄5〜9歳、雌17〜21歳
  • 繁殖期・繁殖場:調査中(出産期は晩冬〜盛夏)
  • 索餌場:温帯・熱帯域
  • 食性:魚類、頭足類
  • 捕食者:成魚は調査中、幼魚はホホジロザメ

利用・用途
肉はソテーやみそ漬け、鰭はフカヒレ、脊椎骨は医薬・食品原料、皮は革製品

漁業の特徴
本種は全世界の熱帯から温帯の沿岸から外洋まで普通に見られる種である。まぐろはえ縄や流し網で混獲されている。さめ類の中では肉質が良いため商品価値は高く、遠洋はえ縄でも放流・投棄せずに持ち帰る場合が多い。日本での水揚げ形態は、遠洋はえ縄では冷凍、近海はえ縄や沿岸流し網では氷蔵であり、前者は静岡県清水港や神奈川県三崎港では冷凍、宮城県気仙沼港等では氷蔵で水揚げされている。

漁業資源の動向
我が国の主要漁港へのさめ類の漁法別・種別水揚量の調査では、1992〜2011年の日本の漁港への水揚量は550〜1,480トンで、その内はえ縄による水揚量が510〜1,310トンと大部分を占めており(アオザメ総水揚量の85%)、流し網が続いて多かった(アオザメ総水揚量の14%)。2011年の水揚量は、東日本大震災の影響から前年に比べて減少し、約550トンであった。2011年を除けば1992年以降特に目立った増減傾向はなく、さめ類の合計値に占める割合(2002〜2011年)は4.6〜7.2%であった。

資源状態
1990年代初旬以降、北太平洋、インド洋及びミナミマグロ漁場において標準化したCPUEに顕著な増減傾向が認められないことから、この15〜20年余りでこれらの海域におけるアオザメの資源は安定的に推移していたものと推定されるが、IOTC、WCPFC及びIATTCにおいて本種の資源状態に関する合意事項は存在しない。南北大西洋系群については資源は健全な状態にあり、乱獲状態である可能性は低いことが示され、不確実性はともなうものの両系群ともにB2010>BMSY、F2010<FMSYであると推定された。

管理方策
2012年に実施されたICCATの資源評価会合において、大西洋の個体群については、現在の資源量がMSYを生じる資源量以上のレベルであり、漁獲死亡率もMSYを達成するレベル以下であるという資源結果が得られた。これを受けて2012年のICCAT年次会合では、大西洋域では全般的に、本種を主として漁獲しているはえ縄漁業の努力量が近年一貫した減少傾向にあることから、既存の管理措置(漁獲量、努力量、放流・投棄量のデータの報告、胴体の有効利用、生存放流の奨励など)以外に新たな措置を導入しない事で合意した。大西洋以外の水域では、本種の資源評価が実施されていないため、早急に着手する必要がある。

資源評価まとめ
  • 北太平洋・インド洋・ミナミマグロ漁場においては、標準化したCPUEの経年変化には、顕著な増減傾向は見られていない。
  • 大西洋系群については、前回の評価で示唆された乱獲状態の可能性は減少し、現状の漁獲は持続可能なレベルであると判断された。

資源管理方策まとめ
  • 大西洋資源については、既存の管理措置(漁獲量、努力量、放流・投棄量のデータの報告、胴体の有効利用、生存放流の奨励など)を継続する(ICCAT)
  • 資源評価の精度を向上するための漁業データ・サイズデータの収集が必要