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31 カツオ インド洋

Skipjack

Katsuwonus pelamis

                                                           
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最近一年間の動き

2006年の総漁獲量は62万トンとなり過去最高を記録したが、その後急減し2011年には40万トンとなり(ピーク時の37%減)1999年以来最低となった。この原因は、ソマリア沖海賊の活動海域が拡大しEUまき網漁船が操業を自粛したり大西洋へ移動し漁獲努力量が減少したことによる。2012年のIOTC熱帯性まぐろ作業部会において資源評価が改訂され、漁獲圧、資源量ともにMSYレベルまで至っていないとされた。


利用・用途

缶詰、かつお節、乾燥品などの加工品の原料として利用される。


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図1. ソマリア沖EUまき網漁獲量(1度区画)分布図(青:カツオ、黄:キハダ、赤:メバチ)(IOTC 2009)
左:海賊問題がなかった2000〜2007年の平年図、右:海賊問題が深刻化し海賊回避のためソマリア沖500海里以内で操業がなくなった2008年の状況


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図2. インド洋カツオ国別漁獲量(1950〜2011年)(IOTC データベース)(2012年9月)


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図3. インド洋カツオ漁法漁獲量(1950〜2011年)(IOTC データベース)(2012年9月)


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図4. EUまき網(素群れ操業・付き物操業別)漁獲量(千トン)(IOTC 2010)


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図5. インド洋カツオ海域別漁獲量(1950〜2011年)(IOTCデータベース:2012年9月)
東インド洋(FAO海域57)、西インド洋(FAO海域51)


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図6. インド洋におけるカツオ分布域、産卵域及び漁場


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図7. モルディブ竿釣りカツオCPUE(ノミナル及び標準化CPUE、SS3に使用)及びEUまき網素群れノミナルCPUE (IOTC 2012b)


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図8. SS3で使用された3種の年齢別自然死亡率係数(Sharma et al. 2012a)


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図9. SS3で使用されたカツオ成長式(原則としてLinf=70 cmの成長式を使用)(Sharma et al. 2012a)


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図10. SS3で使用した体長別成熟魚組成割合(Sharma et al. 2012a)


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図11. SS3による資源評価-結果(神戸プロット:stock trajectory)(IOTC 2012)


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附表1. インド洋カツオ国別漁獲量(1950〜2011年)(IOTCデータベース:2012年9月現在)


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附表2. インド洋カツオ漁法別漁獲量(1950〜2011年)(IOTCデータベース:2012年9月現在)


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附表3. インド洋カツオ海域別漁獲量(1950〜2011年)(IOTCデータベース:2012年9月現在)
西インド洋(FAO海域51)及び東インド洋(FAO海域57)


漁業の概要

総漁獲量は1950年から年々微増し1983年には8万トンを超えた。西インド洋でまき網が本格化した1984年に総漁獲量は10万トン台、1988年に 20万トン台、1992年に30万トン台、1999年に40万トン台、2002年に50万トン台、2006年に60万トン台と急増した。しかし2007年以降は、ソマリア沖海賊の活動範囲が拡大し、多数のEUまき網漁船が操業を自粛したり(図1)大西洋へ移動したので、漁獲量は2011年には40万トンへと急減し、1999年以来最低レベルとなった(図2、附表1)。

最近5年間(2007〜2011年)の平均漁獲量は44万トンと推定されている。漁獲量の多い上位6か国は、スリランカ(5年間の平均漁獲量:7.9万トン)、モルディブ(7.3万トン)、スペイン(6.7万トン)、インドネシア(6.7万トン)、イラン(5.7万トン)、フランス(3.7万トン)となっている(図2、附表1)。

最近5年間の平均漁獲量のうち、37%がEU(スペイン、フランス)とセーシェル等のまき網漁業、36%が流し網漁業(主にインドネシア、イラン、スリランカ)、19%がモルディブなどの竿釣り漁業、8%がその他の漁業という内訳になっている(図3、附表2)。2006年までは全漁業の漁獲量が増加する傾向にあったが、そのうちまき網の漁獲増大の比率が高く、FADsの利用拡大によるところが大きかった。まき網による漁獲のうち、最近では80%以上がFADsでの操業によるものである(図4)。また、西インド洋(FAO海域51)と東インド洋(FAO海域57)における最近5年間における平均漁獲量の割合は、65%、35%となっている(図5、附表3)。

インド洋における日本のカツオ漁獲は、ほとんどがまき網によるものである。1957年以来、民間のまき網船1〜2隻が1980年代半ばまで操業していた。まき網船数は1989年以降増加し最大時には11隻となり、1992〜1993年の漁獲は3万トンを超えた。また、1977年からの海洋水産資源開発センター(現在:水産総合研究センター開発調査センター)の(新・旧)日本丸が試験操業を開始し、ほぼ毎年調査を実施している。民間船は1993年以降徐々に減少し、最近5年間では日本丸及び1〜2隻のまき網船(民間船)が操業を行っているだけで、漁獲量は1,100〜4,400トンである(図2、附表1)。


生物学的特性

カツオは3大洋すべての熱帯〜温帯水域、おおむね表面水温15℃以上の水域に広く分布する。インド洋では40°S以北に分布するが、紅海・ペルシャ湾には見られない(図6)。インド洋のカツオ資源は他2大洋とは別系群と考えられている(Matsumoto et al. 1984、Stéquert and Marsac 1986、Adam 1999等による)。

インド洋のカツオの成長研究は確実な年齢形質が確認されておらず、標識魚の放流・再捕データを使っても生活史の限定的な期間における成長を推定するにとどまっている。体長組成解析からは満1歳で30 cm台、満2歳で50 cm台、満3歳で60 cm台に達する成長パターンが示されている。また、2012年のIOTC熱帯性まぐろ作業部会において、標識データに基づく2段階型の成長式(成長曲線が2箇所で屈曲する)が示された。体長−体重関係は、尾叉長50 cmでおおむね2.5 kgとされる。寿命に関して言及されてはいないが6歳以上には達するであろう。

成熟は尾叉長39〜43 cmで開始し、産卵は表面水温24℃以上の水域で広く行われ、仔魚は30〜36° Sから11〜15° Nまで出現する。産卵期は海域によりピークが見られるが、周年と考えられる。

餌は魚類・いか類・甲殻類で、カツオ成魚の捕食者はさめ・かじき類が挙げられている。また、未成魚以下の成長段階における捕食者は、他大洋と同様、カツオ自身を含めた高度回遊性魚類のまぐろ類・かじき類、その他大型の魚食性魚類や海獣、海鳥であろう。


資源状態

インド洋のまき網操業による漁獲量は、エル・ニーニョやダイポール現象の影響を受ける。カツオに対する漁獲努力の変動はキハダ等の漁況の好・不調とも関連している。さらに、まき網の漁獲努力量の定義が困難でCPUE標準化が難しいなど、本種の資源評価は困難であった。そのため、最近まで資源評価が実施されなかった。

このような状況ではあるが、第13回熱帯まぐろ作業部会(2011年)で、本種の資源評価がIOTC発足以来初めて行われ、翌年の第14回熱帯まぐろ作業部会で改訂された。資源評価はSS3(統合モデル)を使用して実施された。資源指標として、EUまき網のノミナルCPUEも計算されたが問題があるため使用されず、モルディブの竿釣り標準化及びノミナルCPUEが資源豊度指数として用いられた(図7)。自然死亡率は3通りのものが(図8)、成長式は、Hillary et al. 2008をアップデートしたものが使用された(図9)。資源評価では、6つのパラメータ(エリア数:1エリア及び2エリア、自然死亡率、steepness、はえ縄選択率曲線及び加入変動、CPUEと体長データの重み付け)による12のシナリオを設定した。図10は、SS3で使用した体長別成熟割合を示している。

種々の要因の重み付けをして12のうち4つのシナリオの平均を資源評価の結果としたところ、MSYは48万トン(36〜60万トン)、F2011/FMSY=0.8、SSB2011/SSBMSY=1.2と推定された。図11に神戸プロットを示した。インド洋におけるカツオ資源の現状は、漁獲努力量も資源量もMSYレベル以下にあり過剰な漁獲や乱獲状況ではないことがわかった。資源評価の結果を用い将来予測を行った結果、2009年の漁獲量(46万トン)を2020年まで継続しても、MSYの資源量・漁獲努力量を割り込む確率は低い(それぞれ19、31%)とされた。


管理方策

第14回熱帯まぐろ作業部会の資源評価結果を受け、第15回科学委員会(2012年12月)は、資源管理方策に関し以下の提言をした。MSYは48万トンであり、2007〜2011年の平均漁獲量は44万トンで、暫定的な管理基準値を割り込む状況ではない。現在起きている努力量の減少及びMSY以下の漁獲量が続く限り、緊急の管理保存措置は必要ない。しかし、モルディブの竿釣りの漁獲量及びCPUEが近年の減少傾向を示しており、資源評価を定期的にする必要がある。


カツオ(インド洋)資源の現況 (要約表)

資源水準 高位
資源動向 横ばい
世界の漁獲量
(最近5年間)
(2007〜2011年)
40〜46万トン
平均:44万トン
我が国の漁獲量
(最近5年間)
(2007〜2011年)
1,100〜4,400トン
平均:2,800トン
管理目標 MSY:47.8万トン(35.9〜59.8万トン)
資源の状態 漁獲努力量も資源量もMSYレベル以下で過剰な漁獲や乱獲状況には至っていない。
管理措置 現在の漁獲努力量減少が続き漁獲量がMSYレベルを下回っていれば緊急の管理保存措置は必要ない。2003年IOTC年次会議で「全長24 m以上の漁船の総隻数等の制限」が採択された(その他の漁業・漁船管理方策はメバチ詳細版参照)。
管理機関・関係機関 IOTC

執筆者

かつお・まぐろユニット
かつおサブユニット
国際水産資源研究所 かつお・まぐろ資源部 かつおグループ

松本 隆之
国際水産資源研究所 業務推進課

西田 勤


参考文献

  1. Adam, M. S. 1999. Population dynamics and assessment of skipjack tuna (Katsuwonus pelamis) in the Maldives. Doctoral thesis of the University of London. 302 pp.
  2. IOTC. 2008. Report of the Eleventh Session of the IOTC Scientific Committee. IOTC-2008-SC-R [E]. 167 pp.
  3. IOTC. 2009. Report of the Twelfth Session of the IOTC Scientific Committee. IOTC-2009-SC-R [E]. 190 pp.
  4. IOTC. 2010. Report of the Thirteenth Session of the IOTC Scientific Committee. IOTC-2010-SC-R [E]. 228pp.
  5. IOTC. 2012a. Report of the Fourteenth Session of the IOTC Working Party on Tropical Tunas, IOTC–2012–WPTT14–R[E]. 89pp.
  6. IOTC. 2012b. Report of the Fifteenth Session of the IOTC Scientific Committee, December, 2012, 288pp.
  7. Matsumoto, W.M., R.A. Skillman, and A.E. Dizon. 1984. Synopsis of biological data on skipjack tuna, Katsuwonus pelamis. NOAA Tech. Rep. NMFS Circ., 451: 1-92.
  8. Sharma, R., Herrera, M. and Million, J. 2012. Indian Ocean skipjack tuna stock assessment (1950–2011) (Stock Synthesis). IOTC–2012–WPTT14–29 Rev_1.
  9. Stéquert, B. and F. Marsac. 1986. La pêche de surface des thonidés tropicaux dans l’Océan Indien. FAO fisheries technical paper 282. FAO, Rome, Italy. xiv +213 pp.